常任理事 真栄田 篤彦
去る6 月26 日(水)、午後7 時30 分より本 会館において第200 回定例代議員会が開催された。
はじめに新垣善一議長より定数の確認が行わ れ、定数58 名に対し、46 名が出席し定款28 条に定める過半数に達しており、本代議員会は 有効に成立する旨宣言された。
続いて、宮城会長より次のとおり挨拶があった。
挨 拶
皆さんこんばんは。本 日は第200 回定例代議 員会を開催いたしまし たところ、時節柄大変お 忙しい中、また日中の診 療でお疲れのところを 多数の代議員にご出席 をいただきまして心より感謝を申し上げます。
さて、ご高承のとおり新公益法人制度改革に 伴い、本会は昨年の4 月より一般社団法人とし て会務を遂行してまいりました。おかげをもち まして平成24 年度の会務も代議員の先生方、 会員各位のご協力により予定をしておりました 諸事業も滞りなく推進することができました。
特に本県の地域医療再生計画における対策課 題のひとつとして、本会が構築を進めてまいり ました地域連携クリティカルパスシステムの運 用を開始しております。これによりまして糖尿病、 脳卒中、急性心筋梗塞などの生活習慣病を中心と して良質な地域医療連携が図れるものと期待を しております。会員各位におかれましても、同事 業の発展にご協力をお願い申し上げます。
また新制度の施行によりまして、現執行部が 本日をもって任期満了となることから、次期役 員等候補者について公示を行いましたところ、 いずれも定数内の候補者となり本日の代議員会 において選任をしていただくことになりまし た。後ほどお諮りいただきますのでご承認賜りますようお願いいたします。
さて現在、安倍政権下においてTPP 交渉を はじめ経済財政諮問会議や規制改革会議、産業 競争力会議等、医療分野において財政面の視点 で捉えた議論が行われて、国民皆保険制度を形 骸化に導く動きが再燃をしております。
世界で最も優れた医療制度に対して、産業的、 経済的な観点のみで規制緩和を図り、国民医療 をないがしろにする政府には厳しく対処してい かなければなりません。
このような事からも、ぜひ我々医師会の代表 を国政に送り、早急に医療政策を正していかな ければなりません。
医療界にとりましては非常に厳しい状況が続 いております。これを打開するためにも、ぜひ とも会員が一丸となり医療界発展のために行動 を起こさなくてはなりません。
会員の皆様におかれましては、今後ともご理 解をいただきご協力を賜りますようお願い申し上げます。
本日は、先ほど申し上げました役員等選任の 他、報告を2 件、議事8 件を上程しております。 報告、議事の詳細につきましては、各担当理事 より説明をしていただきますので、慎重にご審 議の上ご承認賜りますようお願いを申し上げて 挨拶といたします。最後までよろしくお願いい たします。
続いて、報告・議事に移り、報告事項は安里 副会長から平成24 年度沖縄県医師会会務につ いて、山里監事から平成24 年度沖縄県医師会 監査について報告があった。
議事は、以下の議案について行われ、第1 号 議案役員等選任の件は、本会役員(会長、副会 長、理事、監事)、裁定委員いずれも定数内の 候補者で、投票によらず選任された。選出され た本会役員、裁定委員は67 頁のとおりである。
なお、再選された宮城会長から挨拶があり、 より良い県民医療をめざして役員一同決意を新 たにして精進してまいりたいと思う。沖縄県医 師会の一層の活性化と連携強化を図るとともに、 本県の保健・医療・福祉の向上発展のために事業を展開してまいる所存であるので、ご支援ご 協力をお願いする旨の所信表明が述べられた。
第2 号議案沖縄県医師会顧問委嘱の件につい ては、引き続き、宜保好彦先生、比嘉国郎先生、 桑江朝彦先生、稲冨洋明先生に委嘱することが 承認された。
第3 号議案〜第8 号議案については、各担当 理事から説明が行われ、全て原案どおり承認可決された。
第9 号議案沖縄県医師会定款改正案の件につ いては、真栄田常任理事から、本会は公益法人 制度改革に伴い、昨年4 月より一般社団法人 へ移行し、新定款に則って会務運営に当たって いる。去る3 月28 日に開催した代議員会にお いては、新定款(沖縄県の認可)に基づき平成 25 年度の事業計画、諸予算をご報告申し上げ 承認をいただいたところであるが、報告事項で あるため代議員からの質疑がなく、代議員会が 形骸化されるのではないかという懸念するご指 摘を受けている。ついては、会務運営に当たっ て重要事項である事業計画、予算について、代 議員会における報告事項から決議事項として定 款を改めるべくご審議いただきたい旨説明があ り、採決を行った結果、満場一致で原案のとお り承認可決した。
第1号議案 役員等選任の件
第2号議案 沖縄県医師会顧問委嘱の件
第3号議案 平成24 年度沖縄県医師会一般会計収支決算の件
第4号議案 平成24 年度沖縄県医師会医事紛争処理特別会計収支決算の件
第5号議案 平成24 年度沖縄県医師会会館建設特別会計収支決算の件
第6号議案 平成24 年度沖縄県地域産業保健センター事業特別会計収支決算の件
第7号議案 平成24 年度地域医療連携体制総合調整事業特別会計収支決算の件
第8号議案 平成25 年度沖縄県医師会一般会計収支予算補正の件
第9号議案 沖縄県医師会定款改正案の件
続いて、その他の事項で中部地区医師会から 寄せられた代表質問について、次のとおり担当 理事から答弁があった。
質疑応答(要旨掲載)
○與那嶺吉正代議員
1)特定健診料金について
特定健診については、 毎年、何度となく保険 者と話し合いが行われ ているが、そのほとん どの協議が「特定健診 単価」について行われ、 「受診者増の対策」など は置き去りにされている感がある。九州各県の 「特定健診単価」は幅があり、このことは市町 村の財政状況に大きく左右されていると思われ る。健診単価は財政状況で判断、決定するもの ではなく、保険点数などの何らかの基準によっ て健診料金を決定すべきと考える。
また、1)各検査個別判定及び総合判定、2)紹 介状発行と精密検査受診勧奨、3)精密検査受診 状況、精密検査結果等の集計業務も健診料金の 設定では考慮すべきと思う。
2)沖縄県特定健診項目について
沖縄県では、厚生労働省の定めた「特定健診 実施項目」の他に、追加検査項目として全受診 者に対して、ヘモグロビンA1c、尿酸、クレア チニン、尿潜血を沖縄独自に行っているが、追 加検査は実施医療機関がコストを負担してお り、大きな負担となっている。
中部地区医師会としては、現在の健診単価は 下げずに、健診項目は厚生労働省の定めた「特 定健診実施項目」のみを実施し、追加項目はな くすか、あるいはもし追加項目を入れるなら別 契約(別料金)としていただきたいと考えてい る。そのような事を言うのも沖縄県独自の追加 項目を除くと、沖縄県特定健診単価が全国的に も非常に安い状況にあるからである。
3)消費税増税について、2014 年4 月より8%、 2015 年10 月より10%となる予定であるが、 その分も特定健診単価に反映させるべきと考え るがいかがか。
回答(玉井理事)
日頃は特定健診及び 特定保健指導の実施運 営に関して、会員の皆 様のご協力をいただき 大変感謝している。
特定健診は、そもそ も厚生労働省の制度設 計が甘いために、単価も内容も保険者と受託医 療機関等において協議、研究していただきたい ということで、ほとんど丸投げというような状 況になっている。その為、各地域によって単価 が非常にばらついている現状があり、日医でも 非常に大きな問題になっている。
しかしこのような状況においても、本県は6 年間、特定健診の集合契約を維持してきた。そ の単価を形成するために大きな労力を割いてき たということはおっしゃるとおりである。
受診勧奨に関しては、ないがしろにされてき たわけではないが、確かにおっしゃるとおり、 もう少し力を注ぐべきではないかと考えてい る。特定健診単価の算定に関しては、当初から 保険者とともに議論して、積算根拠を積み上げ つつ単価を交渉してきた。確かに沖縄県におい ては、各自治体の体力が非常に弱い。しかもへ き地・離島を抱えているという地域的な特徴も あり、非常に単価の交渉が困難を極めている。 毎年各自治体の代表の方たちに集まっていただ き単価の交渉をするが、時には自治体に対して 頭を下げながら、創りあげてきたのがこの特定 健診の集合契約である。
昨年は、南城市が特定健診の集合契約から一 時離脱して、非常に大慌てした。それによりこ のような特定健診の集合契約の離脱が、医療資 源が充実している市町村に広がれば、特定健診の 集合契約が瓦解し、それがへき地・離島の特定健 診を脅かすことになるのではないかと非常に大きな危惧を抱いた為、昨年、本会から南城市長に 対して、特定健診の集合契約に戻って頂きたい旨、 文書で依頼し、戻っていただいた。特定健診の集 合契約は、このような経緯があり、毎年困難をク リアしながらやってきたものである。
しかし、このような苦労を乗り越えてきたた めに、特定健診というのは我々各医療機関そし て保険者と親密な信頼関係を構築することがで きている。それにより、今回特定健診データを 国保連合会及び協会けんぽから提供していただ き、それが「おきなわ津梁ネットワーク」とい う大きなものに形づくられようとしている。こ のような状況ができたのも、この特定健診の集 合契約があればこそだと思っている。我々がや ってきたことに間違いはなかったと思っている。
特定健診の単価に関しては、非常にご無理を 言っているということは理解している。しかし、 特定健診の集合契約の維持に関しては、沖縄県 医師会は必ず守っていくというつもりで今後も 頑張っていくので、ぜひ各地区医師会及び先生 方のご協力をこの機会にお願いしたい。
<書面回答>
1)特定健診料金について
貴見のとおり、特定健診については、例年「特 定健診単価」についての協議が多く、これまで 受診率向上に向けての協議があまりされていな い状況にあった。今年度は、受診率向上に向け た協議についても、しっかりと対応させていた だきたいと考えている。
本会では、受診率向上の1 つの対策として、 現在構築中である「おきなわ津梁ネットワーク」 において、診療を行う際に市町村国保と協会け んぽの特定健診データを参照できることになっ ている為(おきなわ津梁ネットワークの登録に 同意いただいた患者に限る)、来院された患者の 特定健診データが取り込めない場合は、特定健 診を受診されていないこととなり、その場で受 診勧奨を行うことで、より効果的かつ効率的な 受診率向上に向けた取り組みを行うことができ るのではないかと期待しているところである。
特定健診単価については、保険点数を基準に 用いた場合、特定健診単価とその保険点数を比 較(追加健診項目を含む)すると、診察部分を 初診料、再診料のどちらで算定するかで合計金 額が大きく変わる。(初診料で算定した場合は 7,320 円、再診料で算定した場合は5,310 円)
特定健診を初診として取り扱うのか再診とし て取り扱うのか、明確な取り決めがない為、保 険点数を基準に用いることは慎重な検討が必要 ではないかと考えている。
本会としては、特定健診単価の引き上げにつ いては、保険者毎に異なる受診券様式や健診結 果の送付先等、より煩雑化する事務処理を理由 に、単価引き上げを強く要求していきたいと考 えている次第である。
○與那嶺吉正代議員
よくわかりました。どうもありがとうござい ました。ただ私ども医師会としては、追加項目 をやるのであれば、現在の単価に含めるのでは なく、別契約でやっていただきたい。そうしなければ、我々の負担がかなり大きくなってしま って、去年の例で追加項目だけでも何千万と負 担を強いられているという状況であるので、そ の辺はご検討をお願いしたいと思う。