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第23回沖縄県医師会県民公開講座
「ゆらぐ健康長寿おきなわ」
〜がんの最先端放射線治療について〜

玉井修

理事 玉井 修

式 次 第

司会:理事 玉井 修

1. 挨  拶
 沖縄県医師会長 宮城 信雄
 沖縄県福祉保健部長 崎山 八郎

2. 講  演
 座長 沖縄県医師会理事 玉井  修
1)特別講演 重粒子線治療について
 群馬大学重粒子線医学研究センター長 中野 隆史
2)重粒子線治療施設を沖縄につくりたい
 沖縄県医師会副会長 玉城 信光
3)重粒子線治療を体験して
 元岐阜県知事 梶原  拓

3. 討論・質疑

4. 閉  会

平成25 年6 月8 日(土曜日)午後2 時30 分より沖縄都ホテルあやばねの間において第 23 回沖縄県医師会県民公開講座が開催されま した。今回のテーマは「がんの最先端放射線治 療について」と題して群馬大学重粒子線医学研 究センター長の中野隆史先生をお迎えして、重 粒子線治療に関してご講演いただきました。医 療の進歩により様々な治療法が研究開発され、 日進月歩の癌治療においても未だに日本の死亡 原因の第1 位は癌であります。今回の公開講座 においても大きな関心が寄せられ事前申し込み も非常に多くありました。公開講座では約500 人のご参加があり、中野先生の話に食い入る様 に聞いている参加者が多かった印象です。癌治 療において大きな期待が寄せられる重粒子線で すが、当然、全ての癌を魔法の様に消し去る治 療法ではなく、その適応をしっかり理解する事 が必要です。引き続き沖縄県医師会副会長の玉 城信光先生から沖縄県に重粒子線を誘致すると いう事が決して夢物語ではないこと、そのためにクリアすべき課題がいくつかあることをお話 頂きました。そして今回、実際に重粒子線治療 を受けた体験を、元岐阜県知事の梶原拓さんに ご講演いただきました。重粒子線治療にたどり 着くまでの経過は紆余曲折があり、現在重粒子 線治療を受ける場合の敷居の高さを想像させま す。講演のあと、フロアからの質問に答えてデ ィスカッションを行いましたが、質問には沖縄 から重粒子線を受けるためのプロセスに関する 質問が多く寄せられておりました。自分や家族 の癌に重粒子線は適応があるのかというご質問 が多く寄せられ、質問用紙には「助けてくださ い!」等の書き込みも見られ、切羽詰まった気 持ちが伝わってきました。沖縄に重粒子線治療を行える施設は無く、重粒子線治療に関する窓 口が無いため行き場が無く困っているというの が現状です。急いで対応しなくてはならない人 たちにどの様な窓口を提供するべきか、重粒子 線治療に関するより詳細な情報をどの様に提供 するかという喫緊の課題をまずクリアしなくて はなりません。そして、近い将来、群馬大学等 との協力を得ながら重粒子線治療装置を沖縄県 に設置し、それに関わる人材を多く養成し、更 にアジアに対して重粒子線治療のハブ施設とし て沖縄が機能できる日を夢見たいものです。今 回のお話を聞いて、実際この様な事は決して夢 物語ではないと思いました。

講演の抄録

重粒子線治療について
中野隆史

群馬大学 重粒子線医学研究センター長
中野 隆史

本邦では2 人に1 人が生涯で癌に罹患する時 代となり、がん医療が医療福祉において益々重 要性を増すとともに、QOL(Quality Of Life) を 重視した低侵襲がん治療法の確立ががん医療の 喫緊の課題となっています。この中で放射線治 療では、がん病巣に放射線の線量の集中性を高 める先進的放射線治療技術が目覚しく進歩し、 いわゆる、“臓器を温存してがんを治す放射線 治療” が脚光を浴びています。そうした先進的 放射線治療の中で、ピンポイントの放射線線量 の集中性と高い生物効果で注目されているの が、重粒子線治療です。

この重粒子線治療とは炭素イオンなどの重いイオンを大型の加速器で光速の70% 近くまで 加速させ、がんの病巣に当てる治療法です。こ の治療は、現在、主な病院で行われているX線 治療に比べて、がん細胞を殺傷する効果が2 〜 3 倍強く、さらに放射線の集中性に優れており、 がん病巣だけを照射し周囲の臓器に及ぼす影響 を最小限に抑えられるという特徴を持っていま す。そのため、肺癌、肝臓癌、骨軟部腫瘍など の通常の放射線が効果的でない癌に対しても優 れた治療成績が得られています。いわば“切ら ずに生活機能を損なわずにがんを治す“優れた 治療法と言えます。また、従来の放射線治療で は、週5 回照射で6 〜 8 週間の治療期間がかか るのに対して、重粒子線治療では、1 回照射法 や4 回照射法など短期間で寡分割照射法ができ るので、患者の精神的肉体的負担、さらには社 会的負担まで軽減される特徴を持っています。 この治療施設はまだ、世界で数か所であり、こ の内、群馬大学を含む3 施設が日本にあります。 つまり、この治療法は、強力ながん制御能に加 えて治療中、治療後のQOL が高い最も優れた 低侵襲がん治療法の一つであり、国際的にも我 が国が世界をリードする数少ない革新的ながん治療法と言えます。これまで放射線医学研究所 (千葉)において5,000 名以上のがん患者に炭 素イオン線治療が行われ、肺がん、頭頸部腫瘍, 頭蓋底腫瘍,肝癌,前立腺癌,骨肉腫,軟部腫 瘍など多くのがんに良好な治療成績が得られて います。現在では、普及を目的に小型の重粒子 線治療装置が開発され、群馬大学において、平 成22 年3 月から600 名以上のがんの重粒子線 治療が行われています。

群馬大学の治療は、放医研の治療経験をもと に、肺がん、頭頸部腫瘍,頭蓋底腫瘍,肝癌,前 立腺癌,骨肉腫,軟部腫瘍など、手術が適応とな りにくいがんや一般の放射線治療でも治療困難 ながんを初期の治療対象として、臨床試験として 開始しました。治療法の基本を週4 回4 週間16 回法において、治療を行っています。しかし、肺 癌、肝臓癌については放医研の治療実績を踏まえ、 1 週間で4 回法の短期寡分割照射法を採用し呼吸 同期法による照射を行っています。平成10 年3 月から平成12 年9月までに470 名の治療が行わ れ、前立腺癌345 名、肺癌28 名、肝臓癌 27 名、 頭頸部癌30 名、骨軟部腫瘍20 名、その他20 名 でした。未だ経過観察期間の中央値が1 年程度 で短く治療成績を紹介する時期ではないですが、 現在までに重篤な急性、慢性放射線反応は起きて いません。重粒子線治療は、近い将来の重要なが ん放射線治療法になると考えられます。

重粒子線治療施設を沖縄につくりたい
玉城信光

沖縄県医師会副会長 玉城 信光

沖縄県の長寿という財産が危機に陥ってい ます。沖縄県医師会は2011 年沖縄県の長寿復 活のプランと医療を通じた沖縄県の発展のた めの政策を沖縄県の21 世紀ビジョンに提言しました。

その中で先進医療を沖縄県に誘致することに より、沖縄の医療を全国一にする。ひいては世 界一にまで引き上げたい。また医療を通じて沖 縄を豊かにする方策を考えてきました。そのひ とつが現在すすめられている重粒子線治療施設 の沖縄への設置です。

重粒子線治療は日本が世界の先頭を走ってい ます。いろいろな癌を消滅させることができる のです。治療に際して痛みを感じることもあり ません。手術が難しい高齢者の肺がんなども簡 単に治せます。しかしながら、重粒子線のみで は治らないがんもあるのです。他の治療、手術 や抗がん剤、ホルモン療法など総合的な医療の 支えが必要です。がんの範囲をしっかり診断で きるようにすることも重要です。痛みを伴わな い治療なので沖縄観光をしながら治療を受ける こともできます。

重粒子線が沖縄にくると県民の多くに恩恵が 行き渡ります。また沖縄県は「万国津梁」とい うアジアにむけ多くの人が往来する琉球王朝か らの伝統があります。日本の南の玄関口として アジア、世界の人々の健康にも寄与することが できるでしょう。

このように夢のような放射線治療を導入する には沖縄県のご理解と支援が必要です。沖縄県の 未来のために種々の振興計画の中に重粒子線治 療をいれて頂きたいものです。高額な機器なので 沖縄に設置した場合に運営がうまくできるのか が課題になります。昨年から沖縄県医師会を中心 に沖縄県の委託を受けて調査を行っています。

この県民公開講座の講師をして頂いている中 野先生の群馬大学重粒子線医学研究センターや 千葉の放射線医学総合研究所も見学してきまし た。兵庫県立粒子線医療センターも見せて頂き ました。がんの患者さんにとり大変重要な施設 であることを痛感しました。これらの装置は将 来アジアの皆さん、世界の皆さんのお役に立つ ことができると思います。沖縄県に設置された 場合、群馬大学など粒子線治療をしている全国 の施設との連携を通じて、よりコンパクトで効 率のよい装置の開発を沖縄でしたいものです。がんの早期発見や重粒子線を中心に手術療法、 抗がん剤治療、免疫療法などがんの総合的な医 療が行える沖縄県を目指したいものです。

ただ現在の難点は治療費用が300 万円ほど かかることです。沖縄県民に何らかの援助がで きないかも検討しています。

沖縄県に施設ができて、東北、北海道にもで きると重粒子線治療が健康保険の対象になると 思われます。そうなるともっともっと治療が受 けやすくなります。

この県民公開講座を通じて県民の皆さんのご 理解とご支援をお願い致します。

重粒子線治療を体験して
梶原拓

元岐阜県知事 梶原  拓

・沖縄向けの提案として

1. 沖縄に「重粒子線治療施設」を設置、放医研と連携

2. アジア地域の「がん治療センター」に、各国技術者の研修センターを兼ねる、いずれ施設の輸出も

3. できれば施設は2 台以上、需要に応える、 一番大切なことは「自然治癒力」、先端的 治療法とともに
今年度は、農水省交付金「都市・農村交流・対流事業」「広域ネットワーク」事業
農村は「ゆらぎ症候群」自立歩行・自力避難・安全運転が困難
「健康道場」を設け、「統合的心身活性法」 の実践、運動療法が中心
都市側の企業と提携、共同で「健康づくり」 職員の「うつ病」家族の「認知症」
職員は地域に滞在し農業等、地域活性化に協力
複数の有料「老人ホーム」などで「シニア 村」の建設、「健康道場」でぼけ防止も 「市民学」の時代:「お任せ」から「自己責 任」へ 

1「. クラウド」健康法:「脳」のソフトウエア が健康を左右する(プラス思考かマイナス思考か)

2「. 類人猿」健康法:「脳」以外はあまり進化 していない。(体は塩、砂糖、酒や食べ過ぎ、 徹夜、運動不足など現代生活に適応できていない)

3「. 親和力」健康法:人間も宇宙の原理に支 配されている。(万物・万有の宇宙エネル ギー「気」の吸収)(呼吸法.交感神経調整など)

※公開講座終了後、公開講座の内容の検証と今後の対応に資するべく、講師間の意見交換会を行っ たので、その概要を掲載する。

意見交換会

○玉井理事   本日は「がんの最先端放射線 治療について」をテーマに講座を開催しました。 今日のご感想を伺いたいと思います。まず中野 教授いかがでしょうか。

○中野教授   今日は沖縄の皆さん、非常に 重粒子線について興味をもってお集まり頂き、 話していてかなり熱気を感じました。やはり癌 は高齢者が多いので、高齢者が多かったという のもありますけど、かなり重粒子線についてご 理解頂けたかと思います。是非沖縄でも重粒子 線を導入して頂きたい。私自身が放射線治療専 門医としてやってきて、専門医が惚れた治療で あるということは間違いないです。ですから是 非沖縄に実現して頂きたいと思います。

○玉井理事   今日も質問の中に助けてくだ さいという切実な質問が多かったです。沖縄県 ではどこが窓口になっているのか。私は対象な のか、誰が決めてくれるのか、そういった質問 が多かった気がします。

○中野教授   私どもの施設については、 ホームページ上で患者支援センターという窓口 を設けています。それ以外にも主治医の先生や、 患者さんからお便りをもらったりして、その都 度対応をしています。各施設の問題ではなくて 日本全国の問題として、今重粒子線をやってい る施設で一堂に会して重粒子線のない地域の方 も、受け入れられるネットワークづくりが必要 だと感じます。

○玉井理事   沖縄には全然情報が届いてい ないと思います。治療を受けるにしても宿泊 代、飛行機代を考えないといけないので、不安 に思っている質問が多かったです。

○中野教授   患者さんを集める意味でも、 医者の依頼に対して効率的に対応する意味で総 務省からお金を頂いて、患者さんの画像を群大 の重粒子センターに転送して電話レベルで画像 を見ながら適用について主治医と話していける ようなシステムを開発しました。

そういうものを窓口になってくれる先生の所にシステムを提供していければと思っています。

○玉城副会長   明日の医学会は琉大の村山 教授もいらっしゃいますので、そこで調整する とネットワークはできると思います。医師会の 先生方はどこにキーとなるステーションがある かを分かれば使えると思います。

○中野教授   医師会と琉球大学が中心と なっていただけるのであれば、是非こちらのシ ステムを活用して頂きたいです。

○玉城副会長   琉大にもPET-CT が入っ ていて離島でも遠隔画像診断をやろうとしてい ますので、おそらくすぐ一緒に活用できると思います。

○玉井理事   玉城副会長、今日実際に講演 されてみていかがでしたか。

○玉城副会長   熱気が凄かったです。今ま で一人で旗を振っていたのですが、後ろ見たら 誰もいないのじゃないかと心配していました。

講演が終わってから、脳に転移して、脊椎に 転移しているのだが適用になるのかと話しがあ りました。今も放射線治療をしているようです が、全身的な治療を併用しないといけないと話 をしました。やはり皆、関心がありますよね。 家族が困っているのでどうにかしてあげたいと いうことで、先ほど中野教授が仰っていたよう に、どこかに窓口があって、写真を持ってきて こちらで一度スクリーニングできれば良いなと 思いました。

○梶原氏   私も中野教授と同様に非常に熱 気を感じました。そこでつい番外で若様姫様外 様バカ殿様が地域活性化の主役だと話しをしま したが、やはり患者のグループを作ったらいい なと、沖縄でも重粒子線治療を体験した方もい らっしゃると思います。我々患者レベルで考え ると、患者様の情報が重要なんですよ。中野教 授がどんなに立派でも業者だと思ってしまいま す。同じレベルの仲間の情報というのが、今は 市民社会になっていますので、信頼できます。 沖縄タイムスさんが患者を集めて座談会をやるとか沖縄タイムスに聞けば前立腺癌患者を紹介 してくれるとか。役所の方はやりにくいので、 沖縄タイムスさんが患者仲間の座談会をやって 紹介までもっていく方が良いと思います。治 療は中野教授を紹介するとか、仲介的なことを やってもいいと思います。医師会や県だと難し い話になってしまいます。

とっさの思いつきなんですが上手く提案すれ ば患者を救えると思います。検討会とかシンポ ジウムは何回やっても駄目なんです。具体的な 行動をしないとダメなんです。そのためには家 庭の主婦や女性の集まりを利用していかないと いけません。座談会などで玉城副会長にも入っ ていただいて紙面に載せる。また相談センター の案内も一緒に載せる。そこから中野教授に紹 介するようにしたらいいと思います。

○玉井理事   まさか壇上で電話番号を仰る とはビックリしましたよ。

○中野教授   テレビに出てから、お手紙が 届いて、お手紙に対応するのは大変なのです が、患者さんのご心配を考えると一生懸命相談 にのっています。

○梶原氏   中野教授に電話がいっても秘書 がしっかり受け答えするとか、担当医師に回す とかやってもらいたいんです。

○中野教授   重粒子線のことを知ってもら うことは非常に重要なことで、今日女性の方が どうして「設置の署名活動しないのよ」と言っ ていました。用紙を置いておけば、住所と連絡 先を書いてその中から頑張る方が出てきて、そ の力を結集してやることが良いと思います。

○玉井理事   今日沖縄タイムスさんがこ ういうことをやったのも一つの縁だと思いま す。例えば世論が県民の中で盛り上がってい けば、県内に誘致するための署名を広げてい こうとか、県民運動に繋げていけるかもしれ ませんね。

○平良編集局次長(沖縄タイムス)

平良編集局次長

我々は患者の闘病記 をやっていまして、反 響は大きいです。今回 のシンポジウムでいう と来場者の切実感が あって、僕らが思う以 上に期待が大きいと感 じました。今日の特集記事は1 週間後に掲載さ れますが、その後にも掲載していきたいです。

○中野教授   具体的に今日の患者さんたち のご意見をくみ上げるという意味では、群大や 放医研の連絡先を新聞に載せることもやってい ただければいいと思います。各施設に連絡頂け れば私たちもすぐ情報提供します。

○梶原氏   それぞれで相談センターがある んですけど、みんな知りません。インターネッ トみればいいといったって、どこにあるのか。 それは沖縄タイムスさんが重粒子線治療の総合 窓口を記載したらいいです。すごい威力を発揮 すると思います。

○玉井理事   例えば、沖縄タイムスさんの ホームページに放射線治療リンクバナーをつく ることはできるんですか。

○比嘉広告局局長(沖縄タイムス)

比嘉広告局局長

医師会さんといろん な事業をやっています ので医師会の事業のバ ナーをつくってリンク できるようにすること はできると思います。

○平良編集局次長   検診の部分とかいろん な取組がありますよね。それとタイアップして やっていこうと思います。

○玉城副会長   私も今度の特集記事に相談 窓口の問い合わせ先を載せた方がいいと思います。

○中野教授   沖縄タイムスで特集を出した 時に群大にも頂きたいです。沖縄出身の人も刺 激になると思います。それを見て我々も勇気づ けられますし具体的なところからネットワークが強くなりますので是非お願いします。

○梶原氏   患者が500 人いなきゃいかな いとかケチな話しですよ。重粒子線治療は痛く もかゆくもないし、兵庫県では患者がゴルフを しています。患者は閑ですから閑者と言ってい ます。沖縄でもゴルフをやりながら治療をする といい。観光も十分できると思います。私は治 療に4 週間かかりました。僕の前は5 週間でし た。私が忙しいから4 週間にしてくれと頼みま した。病院も丁度短縮したかったみたいです。

○平良編集局次長   もっと短くなる可能性 はあるんですか。

○中野教授   最近では3 週間で12 回法を やっています。そこで再発なしとなれば基本的 な治療方法になると思います。

○梶原氏   沖縄のブランドが大きいんです よ。失礼だけど群馬にはわざわざ行こうと思い ません。草津温泉もあるけど、沖縄の場合は魅 力があるから観光医療ツーリズムが成り立つと 思います。痛くもかゆくもない1 日1 時間ぐら いの拘束では観光に支障はないでしょう。

○中野教授   群馬の代表としていっておき ますが、群馬もメディカルツーリズムで伊香保 温泉、草津温泉、ゴルフ場もありますので、県 のイメージとして人気ないと言われています が、重粒子と一体となってメディカルツーリズ ムをかかげて人気回復に頑張っております。

○宮城会長

宮城会長

沖縄県は県内に重粒 子を入れるために、数年 前からずっとやってい て、稲嶺知事の頃も熱心 にやっていました。仲井 眞知事も1 期目の時に 計画を立てたことがあ るんですよ。それが途中で中断したことがあり ますが、今回はかなり知事の方も熱を入れてい ます。知事が決めると言ったらすぐ決まると言っ ていますが、かなり本気になってきていますの で、可能性が高くなっていると思います。それ も県民が必要だと理解をして頂かないと動きに くいことがありますので、今日の講演会を積み重ねて重粒子がどういうものなのか全員が知る ようにマスコミの方も協力して頂きたいです。

○梶原氏   知事を経験して思うことです が、やはり有権者の盛り上がりが大事なんです よ。仲井眞知事は熱心です。が個人的にやるぞ と言われても、みんなでバックアップしなきゃ 駄目なんです。やはり女性ですよ。選挙でも女 性です。それをターゲットに沖縄タイムスさん がやってもらえればいいと思います。

僕が6 年後に来てまた同じことをいわなくて もいいようにしてもらいたい。

○玉城副会長   次回はそうならないと思い ます。オープン式典で是非お会いしましょう。

○中野教授   我々も県民に重粒子線の話し をしていました。保険会社がアンケートをとっ たところ以前から広告をしていたPET-CT は だいたい20%ぐらい県民の方が知っているの に対して、重粒子が22 〜 23%とあっという 間に重粒子線も周知されてきました。その後 30%ぐらいの群馬県民には「詳しくはわけわか らないけど重粒子線ってあるらしい」と分って 頂いたと思います。県庁の方も、重粒子を群馬 に持ってきて県民に良い治療を受けさせたいと いうことで、県議会議員の方も超党派で、重粒 子線をサポートするために全体の費用の約三分 の一の40 億円を県と地方公共団体が拠出して 頂いたんですよ。それで国も群馬大学に置いて やろうとなったんですけど、ベースは県民が望 んだからという事だと思います。

○梶原氏   僕が患者の時に放医研の中で研 究会を作ったんです。放医研の課長で文科省か ら出向してきた岐阜県出身の女性がいて、彼女 と話して研究会をつくってお医者さんも専門家 も来てもらってイニシャルコスト50 億でつく ろうということで勉強会をやりました。その結 果、文科省から出向している課長が頑張って、 翌年の文科省の調査費5 億円をとったんです。 それがやがて群馬大学の予算計上の方向にいき ました。これは群馬県自体も頑張られたけども、 中曽根元総理の時に癌対策の総合戦略でご自身 が重粒子線を勉強して、世界でもなかった独自 の技術を応援したんです。それで放医研の病院の前に中曽根元総理の顕彰碑がありますよね。

そんなことで、結構世の中は夢が実現するん ですよ。検討会やシンポジウムを何回やっても 駄目なんです。具体的な行動に移せば結果がつ いてくるんですよ。

沖縄自体は知事の裁量で使える予算はあるわ けだから、あとは県民の盛り上がりですよ。医 師会がこれだけ熱心なところは全国にはないわ けですから。

○玉城副会長   話し始めた時も、これ金持 ちの機械じゃないかと言われるのが大変だと いう話しが付いて回るから、県民にどのように して等しく提供できるかということを考えて います。

○梶原氏   沖縄らしく医療特区にして300 万の負担はなしということでいきたい、抗がん 剤でも財政負担は変わらない訳だから、これで 治した方が安いんですよ。

それも3 〜 4 日で治るようになれば、コスト 少ないから300 万はいりません。文科省の縄 張りだから厚労省がいじわるしているとは思い ませんが、自分たちの医療特区で勘定を合せよ うとしたら300 万はいりません。それを世界 に展開しようとすれば、成長戦略の中に取り入 れて大きく考えてやる。群馬とか放医研とか兵 庫県と同じ並びの沖縄ではなく、そいうものの 集合体の一つの拠点だと位置づけをして医療特 区にもっていって、成長戦略としてアジア全体 から患者が来る、あるいは研修に来ることをす れば医療観光として十分成り立つと思います。

○中野教授   フィリピン、ベトナムにして もお金持ちいっぱいいますからね。いま日本で も腎臓移植でメディカルツーリズムやろうとし ている方がいますが、沖縄であれば現実的に医 療ツーリズムが成り立つと思います。

○比嘉広告局局長   一昨年医療ツーリズム の視察で、タイに行ったんですけど、向こうは 欧米の金持ちだけかと思いましたが、中近東、 インドネシア、アジアの富裕層がタイに集まっ ています。あちらのイメージは医療技術が低い 印象でしたが、向うは株式会社の病院を作っ て、医療ツーリズムを徹底的にやっているんで すよ。人材の問題もありますけど、重粒子の拠 点をつくって海外からも呼び寄せることも可能 性はあると思います。

○梶原氏   バンコクの病院に行きましたけ ど、医者がほとんどアメリカの留学生で、行っ てみるといろんな人種がいました。アラブ人が たくさん来ていました。中近東はすべてカバー している通訳さんもいました。

○玉城副会長   そういう病院はいいのです が、田舎にいくと昔の沖縄と似ており、医療が なくて大変困っているということもあります。 中野教授がタイに応援にいくとか聞いています けど、東南アジアでみんなで協力しあっていけ ればいいと思います。

○玉井理事   是非沖縄タイムスさんには頑 張っていただいて沖縄県の重粒子線誘致にお力 添えをお願いしたいと思います。本日はありが とうございました。