常任理事 真栄田 篤彦
去る3 月28 日(木)午後7 時30 分より沖 縄県医師会館(3F ホール)において、第199 回臨時代議員会が開催された。
まず、新垣代議員会議長より定足数の確認が 行われ、定数58 名に対し、42 名の出席が確認された。
定款第28 条に定める過半数に達しており、 本代議員会が有効に成立した旨宣言され、議事 録署名人に中部地区医師会の仲田清剛代議員、 那覇市医師会の知花朝美代議員が指名された。
冒頭宮城会長から次のとおり挨拶があった。
挨 拶
○宮城会長
皆さんこんばんは。 本日は、第199 回の臨 時代議員会を開催いた しましたところ、代議 員各位におかれまして は、年度末で非常にお忙しい中を枉げてご出席いただきまして衷心よ り厚く御礼申し上げます。
先日発表されました都道府県別平均寿命にお いては、もう皆さんご存じだと思いますが、男 性が30 位に転落、それから、女性は、ずっと 保っていた首位の座から陥落して3 位になると いう事態となりました。
これは予測をして、26 位ショックのときも 本会から県民に対して県民公開講座、講演会等 さまざまな啓発活動に取り組み、警鐘を鳴らし ていたのですが、残念な結果になっております。 そのようなことから、平成25 年度は、これま での事業というものを検証しまして、改めて長 寿県の復活に向けた事業を展開してまいりたい と思います。
また、平成25 年度は、沖縄県医師会が九州 医師会連合会の担当県となり1 年間を通してい ろいろな事業が本県で開催をされることになっ ております。特に8 月の九州ブロック学校保健・ 学校医大会、11 月に開催されます九州医師会連合会総会・医学会には、九州各県から多くの 先生方が参加されます。是非先生方も多数参加 をしていただきますようご協力をお願いしたいと思います。
さて、昨年「社会保障と税の一体改革関連 法案」が去年の8 月に衆議院で可決されまし た。これは景気対策条項ということで、経済環 境の回復という条件ですが、我が国の消費税と いうのが8%、10%増税をしていくということ が決定されております。経済の回復という兆し が見えてきている中で、増税実施の判断という のが今年の秋に決定をすることになっておりま すが、仮に「控除対象外消費税」という大きな 問題を抱えたまま増税をされますと、医療機関 にとっては非常に大きな影響を及ぼすことにな り、経営が困難な状況に陥るということが目に 見えております。
また、安倍総理はTPP 交渉に参加するとい うことを表明しております。医師会としては国 民皆保険制度は守るべきだと訴えており、総理 も国民皆保険制度は守るということを強調しております。
しかしながら、国民の命を守る医師会として は、混合診療の全面解禁、あるいは皆保険制度 を形骸化する恐れのあるということを指摘し て、これに対しては交渉の過程を注視していく ということを考えております。
景気の回復の兆しが見えておりますが、医療 界にとりましては非常に厳しい状況がまだまだ 続いております。これを打開するためにもぜひ 会員が一丸となりまして、医療界発展のため行 動を起こさなければいけないということを考え ております。会員の皆様におかれましては、今 後ともご理解をいただきまして、ご協力を賜り ますようお願い申し上げます。
最後になりますが、本日は、4 月からの会務 運営に関する事業計画、予算等についてご報告 を申し上げるとともに、定款改正並びに役員選 任規程改正案について上程をさせていただいて おります。それぞれの議案の内容については、 後ほど担当の役員からご説明を申し上げますの で、ぜひご承認を賜りますようお願い申し上げて、挨拶とさせていただきます。
その後下記事項について、各担当理事から報 告があり、特に異議なく原案のとおり執行する ことになった。
報 告
以上の報告の後議事に移り、以下の議案につ いて一括して各担当理事から説明があった。
議 事
第1 号議案 沖縄県医師会定款改正案の件
○真栄田常任理事
本会は、公益法人制度改革に伴い、昨年4 月 1 日に一般社団法人へ移行したところであり、 昨年2 月の代議員会において選出された理事及 び監事の任期は法律に則り、本会定款第35 条 において「理事及び監事の任期は、選任後2 年 以内に終了する事業年度のうち最終のものに関 する定例代議員会の終結時までとする」と定め ていることから、本年6 月開催の定例代議員会 の日までとなっている。
日本医師会の役員任期は平成26 年6 月の定 例代議員会迄となっている。
今回提案した理由は、沖縄県医師会の従来の 役員任期でいくと日本医師会の役員の任期とタ イムラグが生じてくる。日本医師会の役員の期 間と、県医師会の役員の期間をシンクロナイズ するために定款を改正したいということである。
また、現在の沖縄県医師会の役員の任期は 日本医師会代議員の任期とタイムラグが生じている。
次に、地区医師会も日本医師会とシンクロナ イズし、日本医師会と県医師会、地区医師会、 全てがシンクロナイズする方向で定款「附則」 に特例任期とし条文を規定することについて提 案をさせていただいた。
但し、理事の場合には、任期の期間を短縮す ることはできるが、監事については、1 年に短 縮することは出来ないため、特例任期は3 年と いうことになる。平成28 年6 月以降は、理事 及び監事とも日本医師会並びに地区医師会役員 の任期と合わせることが可能となることから、 当該改正案についてお諮りいただきたい。
定款の「附則」:(役員等の任期)
9:平成25 年度に行う代議員会において選 任する理事の任期については、第35 条の 規定にかかわらず、選任後1 年以内に終了 する事業年度の最終のものに関する定例代 議員会の終結の時までとする。
10:平成25 年度に行う代議員会において選 任する監事の任期については、第35 条の 規定にかかわらず、選任後3 年以内に終了 する事業年度の最終のものに関する定例代 議員会の終結の時までとする。
第2 号議案 沖縄県医師会役員選任規程改正案の件
○真栄田常任理事
役員の選任規程については、より具体的にす るために改正案をお諮りしたい。また、選挙 権について、分かりにくいという指摘があり、 選挙権を明確に示している。改正の概要は次のとおり。
○法律により役員選任が議案扱いとなったこと から、理事会が役員候補者につき、役員選任 議案として代議員会に提出すべきことを規定した。これにより、候補者の届出期間終了後 に理事会を開催し、その後、候補者の氏名を 公示しなければならないことから、現行で選 挙の届出が選挙期日前3 日までとした場合、 理事会を開催する暇がないため、選挙の届出 締切日を選挙の期日前10 日までに変更して いる。また、役員選挙の期日の公示も期日前 10 日から20 日に変更した。
○届出を「日曜日、祝日を除く日」とし、重複候補を禁ずる規定を新たに設けた。
○選挙を円滑かつ適切に行うために、選挙立会 人及び開票管理人の選任と具体的に投開票方 法を明記した。
○代議員の投票時の負担軽減及び無効投票の減 少並びに開票作業の効率化を図り、選挙を円 滑に進めるべく条文を改正すると共に、投票 用紙の様式を追加した。
以上、ご審議のうえご承認を賜りますようお願い申し上げる。
説明後、採決を行った結果、満場一致で原案のとおり承認可決した。
その他、当代議員会における質疑の要旨は次のとおりである。
質疑応答(要旨掲載)
○中田代議員
現在、各県立学校の 嘱託産業医の配置につ いては、学校医が兼務 する場合が殆どである。
産業医の多くは開業 医であり、その業務内 容は職場巡視、作業環 境管理、作業管理、健康管理に加え、平成8 年 に義務化された健康診断の事後措置としての面 談や保健指導などがある。また、最近ではメン タルヘルスの問題も含めてそれらを本業である 日常診療の中で産業医業務に時間や労力を割く ことには限界があり、その報酬も低額である。
そのことから昨今、産業医を辞退する学校医 も増えているが、学校側や県教育委員会ではす ぐに代わりの産業医を配置できるとのことで、 産業医の職務内容の見直し、負担軽減等の措置 は行われず、これを安易に承諾している感があ る。このような状況の中で協力している嘱託産 業医の評価がなされていないのが現状であるのではないか。
そこで沖縄県医師会並びに地区医師会として は、県立学校の校医配置は重要な地域保健活動 の一環として地区医師会の協力を得て配置を行 っているが、学校産業医の配置への協力につい ては、今後、他の民間企業と同様に、各学校、 もしくは沖縄県教育委員会が直接、産業医資格 を有する医師との間で行っていただくよう提案したい。
回答(佐久本理事)
ただいまの中部地区 医師会からのご提案は、 最もなことだと思う。
近年、学校現場では、 労働安全衛生法等に基 づく管理体制の整備に ついて、教職員が意欲 と使命感を持ち教育活動に専念できる適切な労 働環境確保の観点から労働安全衛生体制の整備 が図られているところである。
産業医の職務については、労働安全衛生規則 第14 条と第15 条に規定されていることから、 職務内容の見直しや軽減等の措置は法改正が必 要であり、難しいものと考えられる。
そのため、学校現場には「産業保健活動の意 義」や「産業医が労働者の健康に寄与する」こ との重要性について正しく認識していただかな ければならないと考えている。そのための評価 として、一般の産業医並みに「月額報酬額」を 引き上げてもらうよう申し上げていきたいと考えている。
今回、沖縄県教育委員会内にある「県立学校 総括安全衛生委員会」に、本会執行部より理事 が委員に就任することになっているので、中部 地区医師会からご指摘のあるこれらの事情を県教育委員会の中枢に問題提起し、(1)報酬の問題、 (2)選任の問題、(3)契約の問題等について、改 善が図られるよう努めていきたいと考えている。
それと同時に近日中に私も含めて、学校医担 当理事とで県教育委員会に話し合いを持ちかけ ていきたいと思う。できるだけご希望に沿うよ うな形に持っていければと考えている。
そういうことで、もうしばらく耐えていただけ るのであれば、今の現状でやっていただけないか と考えている。これは決して強制するものではない。
○中田代議員
1 歩前進として評価したいと思っているが、 最後の「耐えて」というところはちょっと賛成 しかねる。しかしながら、今後「県立学校総括 安全衛生委員会」で、執行部から理事が委員に なられて非常にいいことではあると思うが、ぜ ひ知っていただきたいのは、産業医問題は単に 医学とか医療の問題ではなくて、ビジネスの世 界の一部であるから、産業医の正当なコストを 企業が負担するのは当然のことであると思う。
私は昔、産業医を取るため産業医大に研修に 行ったとき、そこの教授から言われたのが「な ぜ、日本の産業医の問題が出てきたかというと、 ヨーロッパと比べて日本の場合は労働者のコス ト、産業医のコストも払っていないから、これ はダンピングだということで正当に取るべき だ」というふうなことを教えられたという覚え がある。ですから産業医として経済的に正当に 評価することはとても重要だと思う。
それからもう1 点ですが、現在の問題の1 つ はメンタル問題の自殺とか過労死の労災認定と なりつつあるが、現在、産業医は労働安全衛生 法第14 条、15 条でしっかり遵守をしなさいと いうのがあり、こういうことを考えると、今後 自殺者があった場合に、産業医がしっかりやっ ていないという理由で産業医が法的に訴えられ ないかとか、そういう懸念もあるので、ぜひ産 業医の保護を考慮していただきたい。
以前でしたら、本当にボランティアで成り立 っていたが、今はそうではなくてビジネスにな るところがあるので、法的な保護も含めて今後 話し合っていただけたらありがたいと思う。
回答(佐久本理事)
今、問題になっている一番の原因というのは、 教育庁が産業医のことをきちっと認識していな いというのが一番の問題である。ですから我々 としては、報酬の問題、先ほど申し上げた問題、 3 点も含めて、まず産業医というのはどういうも のかということをきちっと県教育委員会のほう で再認識してもらうよう努めていきたいと思う。
○白井代議員
1. 沖縄県医師会ホームページの充実に関して
先ほど平成25 年度の 事業計画の中で、既に 検討がなされて始まっ ているということを伺 っているが、沖縄県医 師会ホームページが現在、あまり充実している 状態ではないように感じた。他県医師会ホーム ページの多くでは、トップページに目指す情報 対象の大まかな区別のみを示した、ユニバーサ ルデザインとも考えられるすっきりとしたレイ アウトを採用し、利用しやく、また親しみやす い画面作成の工夫が行われている。ホームペー ジのリニューアルには、専門のデザイナーへの 依頼など資金面の問題もあるが、県民のみなら ず、会員のサービス向上、県医師会のイメージ アップ、そのようなものに貢献するために医師 会のホームページの充実をお願いしたいと思 い、質問させていただいた。
2. 生涯教育関連分野・各種会議等でのIT の活用に関して
離島を多く抱える当県ではIT は大変有用な ツールである。特別講演や各種講演会、委員会 等において離島などの遠方からの出席は大変な 時間的経済的負担を強いられる。産業医講習会 ではその点を考慮し、土曜日に集中的に講義を 行うなどの工夫も始めておられるが、負担解消 にはほど遠い状態といえる。昨今、ストリーミング放映を利用し、講演会等を同時配信するこ とが可能となっている。チャットを利用すれば、 質疑も可能である。各地区医師会館で放映すれ ば質的な面もクリアしやすいと考える。また、 テレビ会議の利用促進も、離島からの各種委員 の先生方の利便性の向上、台風時の対応等のた めに考慮すべきと考える。
回答(佐久本理事)
ホームページの内容としてはご指摘のとおり で、現在の県医師会ホームページは、事業の多 様化に伴い掲載情報が膨大となっているにも関 わらず、各種情報が整理されないまま掲載され ている状況にある。
また、県民向けのコンテンツも乏しく、魅力 あるホームページとは言い難い内容であること は認識している。
このような状況に鑑み、本会では、現在、事 務局内にホームページリニューアルに向けたワ ーキンググループを設置し、種々検討を重ねて いるところである。
ワーキンググループでは、各種情報のカテゴ リの整理や、トップページ及び各ページのデザ インの見直し、県民向け情報の効果的な見せ方 等の検討を行っている。
今後は、ワーキンググループの検討内容を整 理した上で、本会広報委員会等にもご確認をい ただき、平成25 年9 月を目途にリニューアル を行いたいと考えているところである。
2 番目の質問の各種会議等のIT の活用に関 してであるが、これもご指摘のとおりだと思う。
宮古地区医師会や、八重山地区医師会、北部 地区医師会の役員・会員においては、委員会や講 演会等にご参加いただく際、時間的また経済的 に大きな負担になっていることは認識している。
本会においては、平成21 年度からテレビ会 議環境を構築・運用しているところである。テ レビ会議については、Apple 社のノートパソコ ン(MacBook)に標準装備されているiChat(無 料)を活用しており、テレビ会議にご参加いた だく地区医師会の先生方には、地区医師会まで 出向いていただき、ご参加いただいている状況 である。
しかし、インターネット回線の状態によって は音声が明瞭でなくなる場合があることや、発 言のタイミングやディスカッションの盛り上が り等が、テレビ会議と直接顔を合わせた会議と では、どうしても差があり、全ての会議、講演 会等をテレビ会議で開催することは難しい状況 にあるとも考えているところである。
これらを解消する高性能な機材は、様々なメ ーカーが提供はしているが、莫大なコストがか かるため、バランスの良い機材の購入を現在検 討していく必要があると考えている。
今後は、今の懸念事項等も含めた上で各種会 議のIT の活用については、いずれ実施するこ とではあるが、もう少し検討を加えていきたい と考えている。
○名嘉代議員
重粒子線がん治療施 設誘致の活動は、だいぶ 前にそういう運動が高 まっていたが、その後、 全然そういう活動は聞 こえてこなくなったが、 最近、重粒子線治療施 設の誘致活動が高まっているように思う。
地区医師会連絡協議会で、玉城副会長に重粒 子線治療のプロモーションビデオを見せてもら ったが、とても素晴らしい治療という印象を受けた。
勉強不足で知らなかったが、既に重粒子線治 療の検討協議会も設置されていろいろ検討もさ れているようである。
先ほどの補正予算でもそういう予算が計上さ れていることも初めて分かったが、県のほうで も誘致活動に向けて、調査費として予算も計上 しているようで、かなり具体的な運動が出てき ていると思う。玉城政策参与の尽力のお陰では ないかと思う。
そこで、誘致活動への県医師会の関わりを含めた現状と今後の課題について、お伺いしたいと思う。
また、実際に重粒子線治療を受けた方による と非常に効果が良かったということであるが、 ただ、治療費が非常に高額であることから医療 保険適用に向けた署名活動が県内でも行われる ようである。こうした取り組みに対する県医師 会の考えについてもお伺いしたいと思う。
回答(玉城副会長)
本会では、沖縄県福 祉保健部より「重粒子線 治療施設導入に係る検討 基礎調査事業」の委託 を受け昨年8 月より同 調査事業を行っている。 (H24.8.14 第16 回理事会にて承認)
これは、去る平成24 年4 月16 日に本会より 沖縄県知事に対し、同治療装置の導入に向けた 調査機関の設置を要望したことにより実現した ものである。
当該調査を行うにあたっては、放射線医学研 究所、琉球大学、県立病院、企業関係団体等の 代表者で構成する検討協議会を設置すると共 に、その下に詳細な調査事業を行う作業部会を 設置し、本県への重粒子線治療装置の導入の可 能性について検討を行ってきた。
同調査事業では、1)県内で当該治療を必要と する患者数、2)県外・国外からの当該治療の需 要、3)技師等人材確保の可能性、4)運営方法の 可能性、5)コスト調査、6)先進地ヒヤリング調 査、7)メーカーヒヤリング調査等について検討 を行ってきた。
現在、沖縄県は琉球大学、各拠点病院並びに 関係医療機関のご尽力により、人口10 万人あ たりのがん死亡者数が全国でも最も低い水準に 抑えることができている一方、急速な高齢化の 進展により、今後は前立腺がんや肺がんをはじ めとするがんの脅威が一段と高まることが予測 されている。
そのようなことから、痛みを伴わず、がん細 胞に対する強い殺傷効果を有する重粒子線治療は沖縄のがん治療体制構築の大きな柱となると 共に、総合的ながん治療の推進や研究に大きく 貢献することが期待される。
ご承知のとおり、重粒子線治療は、現在先進 医療として認可されていることから、診療・検 査・薬などについては公的保険の適用となるが、 治療費の約300 万円が自己負担となっている。 現在厚労省において保険収載について検討がな されているところであり、同治療を実施する群 馬大学や、陽子線がん治療施設を導入している 福井県では公的保険適用に向け、国に働きかけ を行っているところである。
なお、粒子線治療施設は人口1000 万人に対 し1 台必要とされており、今後、北海道並びに 沖縄県に設置されることになれば、全国民が等 しく治療を受けられる環境が整ったとして、公 的保険適用に向けて加速するのではないかと考 えている。
因みに、現在、各粒子線治療施設では患者に 対する補助として、治療費助成(25 万円〜 30 万円)、治療費の銀行借入における利子補給、 交通費支給、先進医療特約の加入促進が図られ ているところである。
沖縄県に重粒子線治療施設を導入する場合、 事業収支の面で最低でも年間500 人程度の治 療患者を確保する必要がある。沖縄県からの集 患は100 名程度に留まると見込んでおり、差 分の集患の可能性を探らなければならないが、 本県は地理的条件からも見て日本の技術を世界 へ発信するモデル拠点として位置づけることが 可能であり、先端医療の研究・トレーニング施 設としての発展も期待できる。その点でも、県 外のみならず海外からの集患の可能性について も更なる検討が望まれる。
因みに、本年開院予定の佐賀県の九州国際重 粒子線がん治療センターを運営する「佐賀国際 重粒子線がん治療財団」では、台湾のがん治療 放射線科医師の学会である「台湾放射腫瘤学会」 と学術協定を結び、医学交流並びに台湾人患者 の受入を整備していくことになっている。
なお、沖縄県では次年度予算として本調査費 を計上しており、企画部を中心に福祉保健部、 商工労働部、文化観光スポーツ部の合同による 本格調査として、事業の収益性、事業体のあり 方、集患、人材育成、事業体制等について更な る検討が行われる予定であり、本会としても積 極的に関わっていきたいと考えているので会員 諸兄のご理解とご支援をお願い申し上げる。
それから、医療保険への適用のための署名活 動が行われ、全国で1 万人以上の署名が集まり、 衆議院議長と参議院議長に提出して、国会議員 も積極的に推進するという方向で、何名かの先 生方が頑張っていただいているというお話を伺 っている。
なお、沖縄県医師会では、会員の先生方に重 粒子線治療についてご認識頂くべく、来たる6 月9 日(日)に開催する沖縄県医師会医学会総 会における特別講演の講師として、群馬大学重 粒子線医学研究センター長の中野隆史先生を招 聘し、重粒子線治療の現況についてご講話いた だくことになっている。また、前日の8 日(土) には県民向けの公開講座も併せて開催し、中野 先生にご講演いただくことになっているので、 是非とも併せてご聴講いただきたい。
ハードルはまだ高いが、これからの情報を先 生方にお伝えしていくので、沖縄でできる可能 性を探っていければと思っている。