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沖縄県医師会医学会耳鼻咽喉科分科会 会長
鈴木 幹男 先生

鈴木幹男先生

千里の行も足下に始まる。
何事も継続が大切ですね。

Q1.2011 年8 月号の「分科会研究会等からの 報告コーナー」では沖縄県医師会医学会耳鼻咽 喉科分科会会長として会の活動などご紹介を頂 き、ありがとうございました。会長に就任され てからこれまでを振り返っての感想をお聞かせ下さい。

沖縄県の耳鼻咽喉科分科会は、まず医師会分 科会として1967 年10 月14 日に、渡嘉敷一郎 先生を初代会長として13 名の耳鼻咽喉科医が 所属し発足しています。祖国復帰を経て、日本 耳鼻咽喉科学会沖縄県地方部会が1975 年に発 足したことから、地方部会が分科会を兼ねるよ うになりました。私は2006 年に琉球大学に赴 任し、4 月から分科会会長に就任し、7 年にな ります。これまで最も大きな行事では、2008 年に九州連合地方部会学術講演会を那覇で開催 しました。この時は200 名を超える耳鼻咽喉 科医が九州全土から集まり熱気 れる討論をい たしました。会員数は、他府県と比べるとまだ 少ないですが、2013 年に104 名になりました。

Q2. 鈴木先生が目指す分科会運営の方針、今後 の展望、課題等についてお聞かせ頂けないでし ょうか。また、耳鼻咽喉科分科会において特に 力を入れている活動があればお聞かせ下さい。

分科会では、医事問題・学校保健など日本耳 鼻咽喉科学会に関連したものの他に、耳の日、鼻の日活動を行なっています。耳鼻咽喉科が扱 う領域には、摂食・嚥下、聴覚、平衡覚、音声、 言語、呼吸、嗅覚、味覚などを司る複雑な感覚器、 運動器が含まれていますが、その代表が耳と鼻 だと思います。毎年、3 月3 日、8 月7 日に耳 の日、鼻の日講演会を行ない、早期診断・治療 につながるように、啓発にとりくんでいます。

新臨床研修が始まってから、耳鼻咽喉科医を 志す医師は30%程度減少しています。特に九 州地区と東北・北海道地区では減少が目立って います。幸い沖縄県では、毎年新たに耳鼻咽喉 科医になる若い医師がおり、その点では恵まれ ていると思います。耳鼻咽喉科分科会は、小所 帯であるためか、会員同士も仲が良く親睦ゴル フ会もしています。また、内地から沖縄へ移住 される耳鼻咽喉科医も増えてきています。分科 会に参加していただける先生はよいのですが、 あまりお見えにならない先生には情報を届けに くく、特に離島ではそのような傾向があることが悩みです。

医学の進歩とともに、長生きできるように なりましたが、長寿そのものよりもQOL を維 持して長生きできるかが問われるようになっ てきています。耳鼻咽喉科分野では、聞こえ や嚥下の問題を扱います。聞こえなければコ ミュニケーションができなくなり社会から孤 立しやすくなります。また、嚥下を上手にできなければ、むせや嚥下性肺炎を起こしやす くなり、命に関わります。分科会ではこれま でも聴覚補償や嚥下指導・リハビリに取り組 んできましたが、さらに積極的に関与してゆ く必要を感じています。

Q3. 県医師会に対するご要望等がございましたらお聞かせ下さい。

沖縄県では、優れた臨床研修システムが普及 し、全国から多くの若い医師が研修に集います。 しかし、初期研修を終えると再び県外に帰り、 沖縄に定着する医師が少ないのが現状です。医 師の生涯教育は1 施設でできることではなく、 県医師会が中心となりさらに活性化してゆくこ とが必要と考えます。その点で、初期臨床研修 医の表彰はモチベーションを上げる点で有効だ と思いますのでぜひ継続していただければと思 います。また、沖縄振興計画では多くの予算が 投入されています。この機会に、沖縄県と協力 して、医師の教育や災害医療・医療拠点の整備にもさらにコミットしていただくことを望んで います。

Q4. 大変ご多忙の身でありますが、日頃の健康 法、ご趣味、座右の銘等がございましたらお聞 かせください。

できるだけスポーツジムに通うようにしてい ます。水泳もたまにしますが、主にランニング をしています。趣味はゴルフと映画鑑賞です。 ゴルフは練習が足らないのか、なかなか上達し ません。ブービーやブービーメーカーから脱出 したいです。最近の座右の銘は、千里の行も足 下に始まる(コツコツと積み重ねてゆく努力が 大切)です。琉球大学でも、分科会でも、一足 飛びに活動が結実するわけではなく、地道な努 力が必要だと肝に銘じています。

この度はお忙しい中、ご回答頂きまして、誠に有難うございました。

インタビューアー 広報委員 金谷文則