理事 佐久本嗣夫
去る1 月27 日(日)、宮崎観光ホテルにお いて開催された標記協議会について、以下の通り報告する。
挨 拶
宮崎県医師会の富田副会長より挨拶が述べられた。
始めに、日本医師会総合政策研究機構主任研 究員の矢野氏より、日医認証局(HPKI)の概 要について説明があった。
日医認証局は、厚生労働省に設置されている 「医療情報ネットワーク基盤検討会」の提言に 則って制度設定がされている。また、厚生労働 省において認証局を運用する規格や基準が定め られており、日医認証局はそれに則って運用している。
始めは、電子署名を作るべきとの提言であっ たが、2009 年に新たに認証基盤を作るべきと の提言がなされた為、日本医師会では、電子署名と認証ができる基盤を構築しているところである。
次いで矢野氏より、認証局の2 つの利用用途 (電子署名と認証)について説明されるととも に、日医認証局のIC カード発行までの手順や 日医認証局を取り巻く環境の変化について説明 され、その後、質疑応答が行われた。
<主な意見等>
◆質問:日医認証局に登録した後に、日医認証 カードを紛失したり、なくしたりした場合は、 悪用される可能性はないか。
◇日医:暗証番号がある為、カードを単に取得 しただけでは使用出来ないと思う。しかし、ク レジットカードやキャッシュカードと同じよう に、悪用される可能性はある為、紛失した際に ご連絡をいただければ直ぐに使えなくするとい う措置を取ろうと考えている。
◆質問:現在コンピュータウイルス等で、銀行 等でも個人情報が取られていることがあるが、 このシステムのセキュリティはどうか。
◇日医:本会の認証基盤を経由する為、防げると考えている。
◆質問:日医認証局のターゲット資格名に、准 看護師が入っていないが、今後永遠に入らない となると地域連携等が全て電子化された時に、 准看護師は入れないということになるのか。
◇日医:この質問については、全国からいただ いている。介護支援専門員も含め、日医認証局 がある限り入れない。日医認証局は、厚生労働 省と接続している為、このような縛りがあるが、 本認証局の仕組みをコピーして、他の領域に准 看護師を入れることは可能である。しかし、各 県、各地域において認証局を展開されると、勝 手に医師の資格を入れる等のことが有り得る 為、日本医師会がルートとなった認証局で准看 護師やケアマネージャーが入れられるようなも のを提供出来ないかと内部で検討しているところである。
◆質問:電子署名を受け取る側は、どのようにそれを電子署名と認識すれば良いか。
◇日医:電子署名は判子である為、判子を買っ ていただく必要はあるが、受け取る側に対して は、日本医師会から電子署名を確認できるアプ リケーションを無料で提供している為、それを ダウンロードしていただきたい。
◆質問:今の仕組みであれば、板橋で問題とな った医師のなりすましそのものは、防げないと 考えるがいかがか。
◇日医:板橋の案件については、非常に巧妙に されていたと考える。現在、医籍を直接確認で きる仕組みを認証局として出来ないか、厚生労 働省と話を進めているところである。
協 議
<提案要旨>
九州各県とも離島・その他地理的条件等で、 会議を開催する場合は、その開催場所や日時の 選択に苦慮されていると思われる。
近年、遠隔地を結ぶテレビ会議が可能となってきている。
現時点での各県での状況を下記の1)〜4)及び具体的にご教示願いたい。
<各県回答>
各県のテレビ会議の実施状況として、福岡県、 鹿児島県、宮崎県、本県が実施しており、大分 県、熊本県、佐賀県が実施していないとのこと であった。
各県ともに、遠隔地の会員の為にもテレビ会 議実施の必要性はあるとするものの、佐賀県に おいては、使用頻度が低く、会議中に機材が不 具合を起こす等のトラブルが発生したことや各 郡市医師会において光回線負担額が年間約10 万円に上ること等の理由により、平成24 年5 月にテレビ会議システムを廃止したとの意見も あった。
しかし、宮崎県においては、平成19 年に光 回線を利用し(利用できない郡市医師会の場合 はADSL 回線で対応)、「県内どこでも30 分以 内に研修会会場へ」のスローガンによる研修シ ステムができているとのことであった。参加箇 所は計8 か所で、初期費用の約700 万円を県 医師会が負担し、SONY 社製TV 会議システ ム「PCS-G50」を使用しており、画像はクリ アかつ音声はCD 並みの環境が提供可能となっ たとのことであった。また、平成23 年度利用 実績として、研修会22 回、県医師会各種委員 会7 回開催したとのことであった。
実施していない3 県においては、テレビ会議 システム導入について、対象会議の頻度や予算等 を鑑みて、今後検討していくとのことであった。
<提案要旨>
あじさいネットの目指すところは、医療に特化したイントラネットの構築である。
このイントラネットを使って、医療・会議・ 福祉・行政のより密な連携を作る事が最終目標である。
このイントラネット内を動く情報は、デジタ ル化されたアナログ情報であり、今までと何ら変わる事はない。ただ、情報伝達媒体が電話・ ファックス・手紙から、インターネットへと変 わり、より速く、より多くの情報を伝達する事 ができるようになる。
今、基幹病院の電子カルテを診療所で閲覧す る事が注目を浴びているが、これはイントラネ ット活用の一つのサービスであり、普及させる ための手段に過ぎない。
医療イントラネットの構築についての各県のお考えをお聞かせ願いたい。
<各県回答>
各県ともに、イントラネットの構築について は、多くの診療情報を効率的に取り組み、より 良い医療を提供する為に必要であるとの見解が あるものの、費用やセキュリティの問題を始め、 患者側の利益や医療者の責任等の課題が非常に 多いとの意見があった。
その中でも宮崎県においては、地域診療情報 連携システムとして、はにわネットをインター ネットにて利用し、VPN を用いて情報の漏洩 はしない仕組みとなっており、イントラネット のひとつと考えているとのことであった。
また、熊本県では、地域中核病院がそれぞれ 独自に地域の病院・診療所とネットワークを構 築しつつあるが、相互に情報支換できる体制に はなっていないとのことであった。
各県ともに、今後、自県の特性を踏まえ、各 地域のイントラネットを参考にしながら検討し ていきたいとのことであった。
<提案要旨>
9 月に開催された、第1 回各種協議会におい ても「ICT を活用した連携システムについて」 議論が行われたが、地域医療の充実、地域連携 の推進のためには、ICT を使用した診療情報連 携がその一端を担うと想定される。
現在、各地域でそれぞれのネットワークが構 築されつつあるが、独立したネットワークが混 在すると、今後地域を超えて連携を拡大する際 に、混乱を生じ、連携に支障をきたす可能性が高い。
また、全国で地域の中核病院のカルテをかか りつけ医が閲覧できるシステムが増加している が、中核病院の当該患者のカルテの内容を全て 閲覧しないと、重要な診療情報の見逃し等が発 生し、医療ミスにつながる可能性が懸念され、 見逃しがあった場合の責任の所在問題も生じ る。更に、いわゆる「閲覧システム」への参加 の同意の有無については、患者の権利であるの か、参加しない場合は診療の妨害となるのかも 不確かである。
個々のネットワークが確立するまえに、各地 域だけではなく全県を想定した連携にむけ、統 一した情報システムについての基本概念、患者 の権利についてなど法整備・運用整備・ルール 徹底・事業に対する歯止め等が必要である。
今後、九州においても県を越えた連携を行う ために、診療情報連携に関する本質的な課題に ついて、また診療情報の有効活用とその情報に よる有害事象について早期に検討を行い対応す る必要があると考えるが、各県の意見をお伺い したい。
<各県回答>
熊本県、鹿児島県、佐賀県においては、各地 域のネットワークがそれぞれ互換性を持ってい なければ、その地域以上の連携が難しくなる為、 九州において患者の権利やセキュリティの課題 等について検討を行うとともに、共通認識をも っておく必要があるとの見解であった。
その一方で、宮崎県より、実際に県を越えて 連携することは稀であることから、全国統一の システム構築を待つと地域の連携が進まない為、 現時点では、各地域で異なるシステムが構築さ れても良いのではないかとの意見があった。
<提案要旨>
ICT(情報通信技術)を用いた医療情報連携シ ステムを構築されている医師会へ、現在システ ムは有効活用されているかどうか、またシステ ムの構築及び運用する際の費用の面で問題点等はないか、各県の現状をお伺いしたい。
<各県回答>
既に医療情報連携システムが構築されている 長崎県においては、ICT を用いた地域医療ネッ トワークを構築しており、本ネットワークの特 徴として、VPN 通信網を用いてそれぞれの基 幹病院や診療所を繋ぎ、医療に特化した秘匿性 の高いネットワークとなっているとのことであ った。また、運営費については、会員の会費で 賄われているとのことであった。
また、佐賀県の地域医療ネットワークについ ては、地域医療再生基金にて運営しており、基 金等終了後の継続性については不明であるとの ことであった。
宮崎県の地域医療ネットワークについては、 中核病院として参加している病院が全て負担し ているとのことであった。
<提案要旨>
東日本大震災においては日常の通信手段が断 絶し、最も情報が必要とされる災害時に情報が 届かない状況に陥った。平成23 年度の日医医 療情報システム協議会においてもメインテーマ として取り上げられ、各地からさまざまな提案 がなされたところである。
本県においては、各郡市医師会に防災無線が 設置され、また携帯電話等による緊急時メーリ ングリストを設けたが、十分な対応とは言いが たい現状にある。各県においての取り組みを参 考にしたいと考えるので、通信手段設置の状況 と訓練の実施状況についてお教え願いたい。
<各県回答>
各県ともに、衛星電話は必須であるとの見解 で、購入予定や既に設置しているとのことであ った。また、無線の設置についても、検討して いくとのことであった。
一方、FAX の一斉送信システムやメーリン グリストを設ける等の対策もされているもの の、日常の通信手段が出来なくなる状況考えら れる為、対応が難しくなるではないかとの意見 や、県、県医師会、郡市医師会等の各団体との 災害時の連絡手段等について情報交換していっ てはどうかとの意見があった。
その中で、長崎県においては、平成25 年2 月より、「長崎県広域災害救急医療情報システ ム」を導入予定であり、県医師会及び郡市医師 会を登録している。また、本システムを厚労省 の広域災害救急医療情報システム(EMIS)と 接続することで、国や都道府県と情報共有し、 災害支援体制を整備していくこととしていると の意見があった。
<提案要旨>
九州各県において花粉情報・検査定点医療機 関に花粉飛散動向の調査を1 月31 日〜 4 月30 日までお願いし、それをまとめて国立病院機構 福岡病院へFAX にて毎日報告していることと 思われるが、この事業は平成2 年から開始され たと聞いている。
今年も、福岡県医師会より観測の依頼が来て いるが、検査定点医療機関よりダーラム型花粉 検査機が古くなったので変えてほしいとの依頼 があった。
この事業が開始された当初は、各県医師会が 花粉検査機を購入し、それぞれの検査定点医療 機関に配布したと聞いている。
現時点での各県での状況をご教示願いたい。
<各県回答>
宮崎県の一部、本県を除く、各県ともに、花 粉検査機については県医師会が購入し、それぞ れの検査定点に配布しているとのことであった。
福岡県医師会より、今後もご協力をお願いしたいとの発言があった。
印象記
理事 佐久本嗣夫
デジタル情報通信技術の進歩は目覚ましく九州各県においても大なり小なり種々創意工夫をこ らした医療イントラネットを構築している。さらにそれは年々進化していることが今回の協議会 で確認できた。
当県でも「おきなわ津梁ネットワーク」として他地域では類をみない県内41 市町村を連携す る大きな医療イントラネットを構築中である。これは糖尿病、脳卒中、心筋梗塞を主とする地域 連携パスで本年度4 月には糖尿病を先駆けに本格的運用を開始する予定である。
それについて技術的には追いついていると思われるが、問題はその維持費である。この事業運 営は地域医療再生基金を利用しているためH25 年度までは運用可能だが、その後はその他の助成 金や、利用者負担も考慮しなければならないと思われる。全会員で協力しつつこの他県に誇れる 医療イントラネットを継続していきたい。
もう一つの課題として法的整備の問題が挙げられる。電子カルテが共有されると責任範囲はど こまで広がるのか、医療イントラネットに参加する・しないは患者の権利なのか、参加しなけれ ば診療の妨害なのか、逆に患者がイントラネットに参加していて全ての共有情報を把握せず医療 ミスに繋がったら責任はどう問われるのか、等々不確かなことが多い。このように法的整備が不 十分でありながら現時点では決定的な法規制は困難と思われる。
患者にとっても我々医療人にとっても医療イントラネットは便利なツールである。しかし、今 後は前述した法的問題が目の前にあることを念頭におきつつ、この便利ツールを利用していくべ きだと思った。
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