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沖縄県医療推進協議会
〜国民皆保険制度とTPP・控除対象外消費税問題を決議〜

真栄田篤彦

常任理事 真栄田 篤彦

去る12 月10 日(月)、ロワジールホテル那 覇において標記推進協議会が開催されたのでそ の概要を報告する。

当日は急な呼びかけにもかかわらず加盟28 団体中16 団体が参加し、国民医療を守るため の活動計画について協議を行った。

先ず、今回の呼びかけ団体である県医師会を 代表して、宮城会長より概ね下記のとおり挨拶 があった。

宮城信雄沖縄県医師会長 挨拶

宮城信雄沖縄県医師会長

本日は、ご多用な中、 急な呼びかけにもかか わらず、沖縄県医療推 進協議会にご出席賜り まして厚く感謝申しあ げます。

当協議会は、沖縄県 における医療・介護・ 保健および福祉行政の充実強化を目指し、積極的に諸活動を推進することを目的に掲げ、当該 趣旨に賛同する28 団体が参加し、平成16 年 11 月に設立されました。

当協議会では、これまで「混合診療の全面解 禁阻止」、「高齢者のさらなる負担への反対」、「国 民不在の医療制度改革反対」、「助産師・看護師 養成、県立浦添看護学校の存続」、「地域医療を 守る予算の確保」、「社会保障費の年2,200 億円 削減撤廃」、「TPP 参加阻止」等を求め、署名 活動や県民集会等各種活動を展開して参りまし た。お陰様で、「混合診療の全面解禁阻止」「助 産師・看護師養成」「社会保障費の削減撤廃」に ついては一定の成果を得ることができました。

これも偏に当医療推進協議会各加盟団体のご協力の賜と感謝申しあげる次第であります。

そのような中、去る7 月31 日に閣議決定さ れた『日本再生戦略』やTPP を巡る動きを見 ると、医療を営利産業化し、国民皆保険を崩壊 へと導きかねない内容が含まれていることに、 大変危惧しております。特にTPP については、現在行われている衆議院選挙において争点の一 つになっており、その危険性が国民に示されな いまま交渉を進めようとする動きもあります。

又、去る8 月10 日に社会保障制度改革推進法、 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本 的な改革を行うための消費税法等の一部を改正 する等の法律など、社会保障・税一体改革関連法 が成立しました。今後段階的に消費税率は10% にまで引き上げられ、その増収分はすべて社会保 障に充てると、野田総理は述べられております。

一方、社会保険診療にかかる消費税は非課税 となっていることから、医療機関は患者さんか ら消費税をいただいておりません。しかしながら、 医療機関は社会保険診療を行うために仕入れる 薬品や材料等に対して消費税を支払っておりま す。本来、消費税は消費者が負担する仕組みとな っておりますが、患者さんから消費税をいただい ていないため、その分を医療機関が負担している という控除対象外消費税の問題があります。

この問題の解決なくこのまま消費税率が引き上げられれば、今後、医療機関は現在の2 倍の税負担を強いられることとなり、多くの医療機関が経営破綻するおそれがあります 。

地域医療を担う医療機関が閉院した場合、一 番困るのはその地域に住む住民の皆様であるこ とは言うまでもありません。

かかる状況に鑑み、国民に今の医療をとりま く危機的状況を知らせると共に、医療の営利産 業化へと繋がるTPP 交渉への参加阻止、「日 本再生戦略」に見る市場原理主義への回帰阻止、 医療に関する消費税問題の抜本的解決を求める 声を政府に届けることを目的とした県民運動を 沖縄県において展開したいと考え、本日当医療 推進協議会を開催いたしました。

つきましては、時節柄何かと慌ただしい折、 誠に恐縮に存じますが、所期の目的を達成すべ く、ご支援ご協力賜りますようお願い申しあげ まして、ご挨拶とさせていただきます。

続いて、今回の協議会開催に係る趣旨説明と して、真栄田常任理事より「国民皆保険制度と TPP」について、玉城副会長より「控除対象外消 費税問題」について資料に基づき説明が行われた。

以上の説明の後、宮城会長より本来であれば 当協議会においてお諮りし、了解が得られれば 県民運動へ展開すべきところであるが、中央か ら12 月中の運動展開要請があることと現在行 われている衆議院議員選挙後にいち早く行動を 起こすべく、当協議会において決議を採択した いとの提案があり、異議なく承認された。

これを受けて決議案が配布され真栄田常任理 事より朗読が行われた後、協議が行われ全会一 致で決議案が承認された。なお、同決議文は内 閣総理大臣、厚生労働大臣、財務大臣、衆参両 議長、衆参厚生労働委員会委員、県選出国会議 員、沖縄県知事、県議会議長、県議会議員、マ スコミ等関係各位へ送付する事になった。

沖縄県医療推進協議会役員名簿

決 議

国民の幸福の原点は健康にある。

それを支えるわが国の優れた国民皆保険を堅持し、 地域医療を再興していくことは、すべての国民の願い である。

そのため、国民皆保険を崩壊へと導く医療の営利産 業化に繋がる政策並びにTPPには断固反対する。

また、国民と地域医療を担う医療機関に不合理且つ 不透明な負担を生じさせている医療に係る消費税問題 の解決を強く要望する。

以上、決議する。

平成24 年12 月10 日

沖縄県医療推進協議会