沖縄県医師会 > 沖縄県医師会の活動 > 医師会報 > 2月号

沖縄県立南部医療センター・こども医療センター副院長
佐久本 薫 先生

佐久本薫先生

県民のニーズに応え、地域に根差した病院運営を目指します。宜しくお願い致します。

Q1. 県立南部医療センター・こども医療センター 副院長ご就任、誠におめでとうございます。就 任されて約10 カ月が過ぎましたが、ご感想と今 後の抱負をお聞かせいただけますでしょうか。

昭和54 年に熊本大学を卒業後、熊本や北九 州市の病院で勤務していました。昭和58 年4 月に琉球大学医学部産科婦人科学教室が開講さ れたのに合わせて沖縄に帰ってきました。県立 八重山病院へ1 年間出向した以外は琉球大学 に奉職しました。実に29 年間琉球大学に勤務 したことになります。初代中山道男教授(故)、 二代金澤浩二教授、現在の青木陽一教授に師事 致しました。琉球大学の教授、准教授から県立 病院の管理職へ転出したのは私が初めてかもし れません。琉球大学と沖縄県病院事業局や福祉 保健部、各県立病院とのパイプ役になることが できれば幸いだと思います。

管理職として慣れない業務ばかりで最初は戸 惑いばかりでした。10 カ月が過ぎて、次第に 日常業務に慣れてくるに従い、産婦人科の日常 診療も手伝えるようになっています。

Q2. 琉球大学医学部附属病院から沖縄県立南 部医療センター・こども医療センターに移ら れて色々な変化があったかと思われます。今 後どのような医療展開を目指しておられるの かお聞かせください。

県立南部医療センター・こども医療センターにも様々な問題があります。救急室のあり方、 泌尿器科医の確保、看護職員の確保など人材の 確保には苦労しています。病院長、看護部長を 中心にいっそう努力したいと思います。初期研 修医のカリキュラムの改善も研修管理委員会を 中心に行っています。現在の懸案は電子カルテ の更新です。ベンダーが変更されることになり、 ワーキンググループを立ち上げ、診療のサポー トだけでなく医事業務との連携、データ管理で も優れた電子カルテにしたいと考えています。

当院は、救急救命センター、総合周産期母子医 療センターとしての機能も果たしながら県内唯一 のこども病院としての役割も果たさなければなり ません。また、小児診療と一般成人部門とのバラ ンス、救急室の維持と専門診療の充実など全てを 満足させることが難しいことも多々あります。県 民、患者様のニーズと当院の理念を守りながら解 決策を見つけていきたいと思います。

Q3. 近年深刻さを増す産科医不足について沖縄県の周産期医療の現状についてお聞かせ下さい。

沖縄県の産科・周産期医療は多くの問題を抱 えています。全国的な問題ですが分娩を取り扱 う産科施設が減少しています。県内では病院と 診療所合わせて平成18 年には46 施設でしたが、 平成24 年11 月現在、産婦人科施設58 施設のう ち36 施設しか分娩を取り扱っていません。名護市では2 診療所、宮古島市は1 診療所です。産 婦人科医の高齢化もあって、都市部でも分娩取 扱いを止める施設が出てきています。各地区で の分娩取扱いの拠点となる施設の確保、産科を 専門とする医師の確保が今後の課題となります。

沖縄県では産婦人科を希望する若い医師は増 加しているのですが、女性医師が多く、妊娠出産、 育児支援が必要になります。若い医師の研修と離 島支援をうまく組み合わせることが必要になると 思います。産婦人科医の育成には琉球大学医学部 附属病院産科婦人科学教室と連携した研修プログ ラムの作成・推進と県立病院産婦人科との人的な 交流も進めたいと思います。その中から産科・周 産期に興味のある医師を育てたいと考えます。

妊婦の高齢化、ハイリスク妊娠の増加、帝王 切開率の上昇など産科医療はますます厳しいも のになっています。二つの命を預かること、常 に緊急性を伴うこと、訴訟が多いことも産科の 特徴です。産科・周産期医療の発展に伴い高度 な診療を維持することが必要です。そのために は拠点となる県立病院に複数の産科医と新生児 専門医、麻酔医、看護師・助産師などのチーム 医療を確保することが重要であると思います。 このことから現時点での県立北部病院の産科診 療再開は問題が多いと思います。県立八重山病 院の産婦人科医は当面5 人が確保される見込み です。県医師会の会員である診療所の先生方と 協力連携を深め、産科医を確保し、最も出生率 の高い沖縄県の産科周産期医療において安心・ 安全な産科診療を県民に提供したいと考えます。 (産科医師数などは県医師会報、11 号32 ぺージ、 マスコミとの懇談会「産科医師不足について」 報告を参照して下さい。)

Q4. 県医師会に対する要望等がございましたらお聞かせ下さい。

日頃より産科周産期診療に協力していただき 感謝申し上げます。平成24 年8 月にはマスコミ との懇談会に「産科医師不足について」を取り上 げていただきました。産科医師の増員や県立病院 の産婦人科の充実には県医師会の更なる支援が必 要と考えます。女性医師の支援にもこれまで以上 に取り組んでいただきたいと思います。沖縄県産 婦人科医会(会長:佐久本哲郎)とも協力し、様々 な産婦人診療の改善に向けて努力をしていきたい と思います。県立南部医療センター・こども医療 センターとしても研修医の診療所実習に医師会会 員の先生方の診療所で実習させていただいていま す。改めて感謝申し上げます。さらに地域連携を 推進していきたいと考えています。県医師会のこ れまで以上のご協力をお願いします。

Q5. 大変ご多忙の身でありますが、日頃の健康 法、ご趣味、座右の銘等がありましたらお聞か せください。

週末の土日の夕方に新都心公園を変な格好を して歩いています。運動と食べる量とが釣り合 わないためメタボリックな状態です。酒を控え るのが先だとの指摘は多くの人から受けていま すが、なかなかやめられません。趣味は「日曜 朝市」です。折込みチラシで卵や野菜、トイレッ トペーパー、洗剤の値段を調べ安い日曜に買い 込みます。メモを取らずに今日はどこのスー パーの大根が99 円、白菜1/2 が138 円、卵 128 円、牛乳198 円などと覚えます。メモしな い分結構頭を使います。ボケ防止にはもってこ いだと思います。日曜の朝にスーパーで見かけ たら声をかけてください。

インタビューアー 広報委員 本竹 秀光