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ロードバイクで走る

宮里  章

宮里眼科  宮里  章

還暦を前にして、ついにロードバイクで走り 始めた。こんなに自転車が好きになるとは思っ てもいなかった。きっかけは、2 年前精神的に 落ち込んでいた時期があり、何か気晴しになる ものはないかと考えていたところ、7 〜 8 年前 当時中学生だった息子と時々サイクリングに出 かけたことを思いだした。それで、古くなった マウンテンバイク(MTB)を引っ張り出してきて、 汚れを落し、チューブを取り換えて自転車を再 開した。石川から金武までの海岸沿いを潮風に 吹かれながら歩道をゆっくり走っていた。そし て、海辺に座って海を眺めながらあれこれ考え ていると、心の整理ができ前向きな考えになっ ていくのを感じた。それで、いつの間にか自転 車で海を眺めに行くことが楽しくなってきた。 半年もすると、歩道は段差があり速く走れない ので、ヘルメットをして車道を走り始めた。し だいに慣れてくるともっと速く走れる自転車が 欲しくなってきた。しかし、いきなりあの細い タイヤと羊の角のように曲ったドロップハンド ルのロードバイクで走る自信がなかったので、 MTB とロードバイクの中間的なクロスバイク で走ることにした。より軽く速く走れるように なると、金武の坂もハーハーいいながら登れる ようになり、今までよりも遠くまで走るように なった。

去年の正月には、帰省中の大学 4 年生の息 子とやんばる 1 泊の自転車旅をしたことが、 楽しい思い出になった。また連休には、名護 まで車で自転車を輪行し、そこから辺戸岬ま で走った。途中、生まれ島の大宜味村根路銘 の今は何も残っていない亡き祖父母の屋敷跡 に立ち寄った。小学生のとき、夏休みには那 覇からバスに 3 時間も揺られて遊びに来たこ とが、懐かしく思い出される。行きは快調で あったが、帰りは疲れと向かい風で何度も休 みながら、何でこんな辛い思いをして走って いるのかと思うこともあったが、戻って来る とまた次も走りたくなるものである。それ以 来、連休があると本部半島一周や古宇利島、 伊計島へと遠乗りをした。特に名護から本部 への海岸沿いの眺めは好きな場所である。

自転車に乗り始めて変わったことは、10 年 前からスポーツセンターへ通って 64kg(身長 160cm)あった体重を 1 〜 2 年で 57kg まで落し たが、その後はほとんど変わらなかったのが、 53kg まで落ちたことである。

2 カ月前、ついにロードバイクを買った。初 心者には少し値段は高いが、初めから少しいい ものをと考えていたので、片手で軽く持てるカ ーボンフレームのものにした。初めは不安定で あったが、あの腰を曲げた乗り方にも少しづつ 慣れて来た。

2 年前の精神的落ち込みをきっかけに、自転 車の楽しさを発見できた。これからも「こころ 旅」の火野正平さんのように、ハーハーいいな がら坂を登り、「人生、下り坂最高!」とつぶ やきながら、いろんな場所へ自転車の旅をした いと思っている。