沖縄県医師会 > 沖縄県医師会の活動 > 医師会報 > 12月号


3. 地域医療対策協議会
(防災対策・在宅医療・医療情報ネットワークの連携を含む)

  副会長 玉城 信光
 常任理事 宮里 善次
 理  事 玉井  修

協 議

【1】地域医療計画について

(1)平成25 年度地域医療計画の見直しについて(福岡)

<提案要旨>

現行の保健医療計画は平成20 年3 月に策定 され、来年、平成25 年度に新たに見直される こととなっている。

本年4 月より日本医師会長に就任された横倉 先生は「地域のあるべき医療の姿を地域医師会 から日本医師会に集約し、―地域から国へ―医 療現場の必要とする政策を提言する」と強く主 張されている。

福岡県でも来年度の見直しについて、医療計 画部会や医療審議会で審議され平成25 年3 月 に策定される予定であるが、福岡県医師会とし てもこの見直しについて積極的に関わり、地域 の医療を担っている医師会としての意見を提言 するために「地域医療計画見直しプロジェクト 委員会」を発足させた。委員には、行政および 大学の教授など有識者にも参加していただき、 7 月までに4 回開催し意見交換等を行っている。

今後は、福岡県の二次医療圏における5 疾病・ 5 事業および在宅についての現状と問題点を明 らかにし、その解決策を検討したうえで、9 月 中には医師会としての提言を行う予定である。

各県の状況並びに日医の見解をお伺いし たい。

【九州各県の回答】

九州各県ともに、会内委員会もしくは県行政 が設置する医療審議会や医療計画策定に関する 協議会等へ会長や担当役員が参画し、医師会の 意見を反映している。

会内の委員会にて検討を行っているのは、本 県を含め、長崎県、熊本県、福岡県、宮崎県と なっており、特に福岡県と熊本県、宮崎県にお いては既存の委員会ではなく、医療計画見直し のためのプロジェクト委員会を発足し、県行政 へ提言を行うこととしている。

医療計画の見直しについては、県行政の委員 として参画するのは当然のことであるため、福 岡県や熊本県、宮崎県のように、医師会内にプ ロジェクト委員会を立ち上げ、県行政が計画を 作るのでなく、医療のプロフェッショナルであ る医師会が作成し、県行政へ提言した方が良い との意見が多数を占めた。

(2)各県地域医療計画改定にあたり二次医療圏設定の問題点について(大分)

<提案要旨>

本年は、各県の地域医療計画改定の年である。

「5 疾病5 事業」に在宅医療を含めた検討が なされようとしている。

従来、2 次医療圏設定の基本であった急性期 医療と今回新たに地域医療計画に入った在宅医 療は、地域医療の両面であるが、2 次医療圏の 見直しにおいては、トレードオフ(二律背反) の関係にあることも見逃せない。2 次医療圏設 定において、在宅を重視すれば、医療圏を小さ く設定するようになり、急性期を重視すれば広 域で効率優先となる。2 次医療圏の見直しで各 県が苦労するところではないかと考える。

また、一方で、県内他医療圏への流出率が高け れば、医療圏統合という話が出てくるが、これが 県をまたぐ流出となれば問題が複雑になる。県を またぐ受療行動は各県とも、どう把握されているか。

まず、その実態を把握し、問題点があれば当 該県、医師会同志で問題解決を測る必要がある。

各県の現状と問題の存在をお伺いしたい。

【九州各県の回答】

他県を跨ぐ患者の受療行動については、沖縄 県を除く九州各県において、県境付近での流出・ 流入が多く見られるものの、現在のところ大き な問題には至っていない。

長崎県では、県北医療圏が佐賀県に隣接してい るため、12.9%の県外流出率がある。県外流出率 が高いところで問題となっているのは救急医療で あり、特に、三次救急を担う医療機関への軽症患 者搬送が問題となっている。先般、MC 委員会で 三次救急対象患者を搬送するよう議論がなされた。

鹿児島県では、領域が大きく離島を抱えてい るため、徳之島や奄美大島等に関しては、沖縄 県にドクターヘリをお願いするなど、非常にお 世話になっている。しかし、費用の問題がある ので、沖縄県・鹿児島県行政と沖縄県・鹿児島 県医師会間で十分な調整がなされているため、 今のところ大きな問題とはなっていない。

熊本県では、九州の中央に位置し、南は鹿児 島県への流出患者、北は福岡県や大分県への流出 患者が目立つ。県境を跨ぐ受療については、県境 付近の地区医師会や県医師会等と連携・調整を行 い、医療計画に反映したところであるが、県行政 間の連携が取れていないのが問題となっている。

佐賀県では、来年12 月にドクターヘリを導 入予定としているのが、久留米と長崎県と共同 運航していく考えで行かないと難しい問題では ないかと考えている。

(3)平成25 年度地域医療計画における二次医療圏の再編について(宮崎)

<提案要旨>

今回の地域医療計画策定において、国は「人 口が20 万人未満で、かつ流出型の二次医療圏 については再編について検討するように」との 方針を示した。宮崎県内では7 つの二次医療圏 中で3 医療圏がこの基準に該当する。現在の議 論では、宮崎市に隣接し特に患者流出が著しい 1 医療圏について併合についての検討を進める こととしている。

各県において、二次医療圏の再編が検討され ているところがあるかお伺いしたい。

また、その場合、併合のメリット・デメリッ トについて具体的にどのような議論がなされて いるかをお教えいただきたい。

日医におかれては、今回の国の方針について どのような見解を持っておられるかも併せてお 聞かせいただきたい。

【九州各県の回答】

九州各県ともに、各県の実態を考慮し二次医 療圏の再編は行わず、現行どおりの二次医療圏 を設定することとしている。

福岡県から、今回の二次医療圏再編は行わな いが、5 年後をどう考えていくか等、高齢化社 会到来の際に下支えする地域を今後の高齢人口 率等により推計し、今後の二次医療圏の設定を 検討していく必要があるとの意見があった。

また、大分県から、厚労省が5 疾病5 事業+ 在宅とした事で、従来の地域完結型である二次 医療圏の考えが崩れてきた。がんは受療行動が 広く、精神は全県レベルになるが、在宅となる と地域ケア整備構想では中学校区レベルとなる ため、杓子定規で地域完結を考えない方がよい との意見があった。

【日医石川常任理事コメント:(1)〜(3)に関して】

日医の横倉会長は就任直後より、医療等にお ける政策は、国からの画一的なものではなく、 地域の実状に応じたものでなければならないと 訴えている。

日医は、医療計画に関する厚労省通知の基と なった検討会において、国の政策の一方的な押し 付けによる政策ではなく、地域の実状を十分に反 映し適切な医療連携を構築することができるの でなければならないという見解を検討会の場で 主張してきた。その結果、厚労省通知には5 疾 病5 事業および在宅医療に係る医療計画の作成 にあたり、以前の4 疾病5 事業と同様に各都道 府県の患者動向、医療資源等を考慮し、地域の実 状に応じた計画を構築するものであるとされた。 また、あくまで医療体制構築の目安であり、必ず しも厚労省通知に縛られるものではなく、地域の 実状に応じて必要性の高いものから優先的に取 り組むことが必要であると留意点に明記された。

二次医療圏の再編については、各県にとって 深刻な悩みを抱えていると思うが、県医師会や 群市医師会を中心に検討を行い、現在の設定を 基に進めていくことでも良いし、出来る限り急 変時の対応体制や医療と介護の連携体制の構築 を図っていくことも視野に入れて考えていくこ とも必要である。

第6 次医療計画のキーワードは「連携」であ り、4 疾病5 事業の際にも、各地で連携パスが 作成されたが、今回、在宅が含まれることによ り、医療と介護を含め、更に「連携」が強調さ れていくものと思われる。

また、連携パスのICT 化を進めているとこ ろもあるかと思うが、より効果的に運用してい くためには、連携パスを利用するためのインセ ンティブをどうしていくかという事を併せて議 論していくことが重要であると考えている。

地域包括ケアシステムに関しても、都道府 県医師会や郡市区医師会による議論が重要で ある。

医師確保・育成の施策として、20 都道府県 に地域医療支援センターを設置している。当セ ンターは、医師のキャリアアップを県が責任を もって行い、医師会や大学等と協力し合いなが ら進めているものであり、まだ成功している都 道府県は見られないが、医師確保・偏在対策と して、地域医療計画の一つの連携になるのでは ないかと考えている。

(4)地域医療における専門医(救命救急医、NICU 医)不足の影響について(長崎)

【提案要旨】

長崎県内には3 か所の救命救急センター、4 か所の周産期医療センターがある。何れのセン ターにおいても専門医(救命救急医、NICU 医) 不足に悩まされている。総合母子周産期センタ ーでは、昨年度県外への妊婦母体搬送を防ぐべ く、常にオーバーベッド状態での診療を行った が周産期死亡率は悪化した。今年度は定床内で の搬入を続けているが、当然の如く県外搬送が 相次いでいる。一方、救命救急センターでは、 本年4 月より県内3 か所目の施設として県北に 救命救急センターを開設したが、専門医確保が 困難な状況で1 名でのスタートとなった。開設 後は7 割以上の「ウォークイン」患者に悩まさ れている。今年度より県では専門医への奨学金 を設けたが効果は不明である。以下の3 点につ いて各県の状況を伺いたい。

【各県回答】

1)専門医不足による地域医療への深刻な影響に ついて

各県とも医師不足は喫緊の課題となっている 一方で、熊本県や佐賀県では一定数の専門医師 が確保されているとの回答があり、なかでも熊 本県では、周産期死亡率が平成16 年以降全国 平均を下回り、22 年の統計では全国第3 位に なったとの回答があった。その背景には、周 産期医療ホットライン事業(県事業:国庫補助 1/2)活用による搬送体制の連携を上げた。具 体的には周産期医療センター施設間のNICU 専 門医に「PHS」を配備し、医師同士の連携体 制を構築し、受入医療機関の確保が図られてい るとのことであった。

この他、宮崎県では他県同様、深刻な医師不 足にも関わらず、周産期ネットワーク(3 次施 設⇔ 2 次施設⇔ 1 次施設間で100%の受入・逆 転院)体制の構築により、平成6 年にワースト 1 であった周産期及び新生児死亡率が全国トッ プクラスに改善したとの事例を挙げた。しかし 今後の課題として、1 次を担当する新たな産科 開業が10 年で0 件。今後、高齢化と共に正常 分娩であっても1 次施設で賄えなく危険性があ ると危惧した。

2)専門医の効果的な育成方法について

宮崎県や沖縄県で早い時期から若い医師への アプローチ(宮崎県:地域医療学講座で「総合 診療医」の養成、沖縄県:女性医師部会主催の 専門医相談会の開催)を行っているとの回答が あった。この他、大分県や佐賀県、宮崎県で特 定診療科を選考する者への修学資金貸与事業等 の活用を挙げた。

3)医師確保対策について

大分県、熊本県、宮崎県、沖縄県の4 県で、 勤務環境が厳しい診療科の医師に対して、県が 実施する補助金を活用した処遇改善を例に挙げ たが、一方でその方法が確実なものかの保証は ないとの回答があった。また、佐賀県では、大 学の地域枠や県推薦特別選抜枠、自治医科大学 等による医師確保、寄附講座の設置などが実施 されているとの回答があった。

その他、大分県では今秋、大学病院に導入が 予定されるドクターヘリを活用し、高度な救命 救急医療を学べる場をPR し、救急医の養成・ 確保に繋げたいと回答があった。沖縄県からは 地域医療再生計画(二次)を活用した産婦人科 医師確保対策事業を例に挙げた。また、鹿児島 県では、行政・医師会・大学・拠点病院等で構 成された委員会において、各地域・各診療科の 医師の適正な配置について検討を行っており、 計画的な医師確保と適正な配置について取り組 むと回答があった。

【石川日医常任理事からのコメント】

地域医療における専門医、救命救急医、 NICU 医の不足の影響については全国的な問題 である。妊婦のたらい回し問題がある中、いく つかの県では対策が功を奏しているところもあ るので色々研究していきたい。

そのよう中、日医では来年度の政府概算要求 の要望書の中で、救急勤務医や産科医への手当 補助の充実を要求している。

平成22 年度から開始された救命救急センタ ーの新しい充実段階評価では、九州・宮崎で1 ヶ所C 評価(救命救急センターだが加算され ない)の施設が出た。担当理事の石井常任理事 は、折に触れ地域で重要な役割を果たしている 施設が、医師不足等により低評価となる施設こ そ、しっかり支援すべきだと主張しており、引 き続き、国へ働き掛けていきたい。



【2】ICT を活用した連携システムについて

(5)ICT を活用した地域医療連携システム等の構築状況および地域医療再生基金終了後のシステム継続費用について(沖縄)

<提案要旨>

平成21 年度補正予算による地域医療再生基 金(一次)、平成22 年度補正予算による地域医 療再生基金(二次)の設置により、全国各地で ICT を活用した地域医療連携システム等の構築 が進められている。

本会においても地域医療再生基金を活用し、 生活習慣病(糖尿病、脳卒中、急性心筋梗塞、 特定保健指導等)を中心とした良質かつ切れ目 のない地域医療連携を推進していくための基盤 整備として、各疾患における地域連携クリティ カルパスのIT 化を進めているところである。

1)九州各県におけるICT を活用した地域医 療連携システム等の構築状況についてご教 示いただきたい。

2)地域医療再生基金終了後のシステム維持・ 更新のための運用費用について、良策があ ればご教示いただきたい。

(6)地域におけるICT(情報通信技術)を用いた医療情報連携システムの現状について(大分)

<提案要旨>

今回の国の医療計画においては特に医療連携 と在宅医療に重点が置かれている。限られたリ ソースの中で、効率的に医療機関の連携や多職 種が関わる在宅医療を展開していくためには、 ICT の利活用が有効と思われるが各県での取り 組みの現状についてお伺いしたい。

(7)各県における「IT を活用した地域医療連携」の現状と問題点について(長崎)

<提案要旨>

経産省が2000 年度の補正予算で01 年度に 実施した「先進的情報技術活用型医療機関等ネ ットワーク化推進事業」(通称・電子カルテの 共有モデル事業)はその多くが有効利用されず に終わってしまった。そして、今回、地域医療 再生基金を用いて、各地で「IT を活用した地 域医療連携」が構築されつつある。

長崎県においては、補助金を用いず立ち上げ たあじさいネットが全国でも珍しい成功例とし て注目を浴びており、長崎県・県医師会のタイ アップのもと、今回の地域医療再生基金を利用 し長崎県全県下に展開しているところである。

しかし、そういう中においても、現状は、あ じさいネットを立ち上げた大村市医師会におい て、A 会員74 名中、あじさいネットに登録し ているのは40 施設。長崎市においても514 名 中64 施設と、徐々に登録施設は増えつつある が、開設当初の様な利用者増はなく、また、そ の中でも熱心に利用している人とそうでない人 の差は大きい。活用のためいろいろ模索してい るが、その有効な手立てを見いだせないところ である。

このままでは、せっかく作った地域医療ネッ トワークであるが、補助金が終了するとともに 有効に利用されなくなることが危惧される。

各県における「IT を活用した地域医療連携」 の現状と問題点、今後の有効利用に対するお考 えをお聞かせ願いたい。

(8)医療情報連携システムについて(福岡)

<提案要旨>

地域医療の充実のためには、医療連携が必要 であり、今後は医療情報ネットワークの構築が その一端を担うと想定される。本県においても、 郡市医師会が推進しているネットワーク、地域 中核病院が推進しているネットワークなど、い くつかの医療情報ネットワークが構築されつつ あるが、全県下の統一性はないのが現状である。

福岡県医師会では全県を想定した医療情報ネ ットワークの構築を構想しているが、各地区の ネットワークとの整合性の問題が多々横たわっ ているのも実情である。

この点に関して、各県の取り組みがあればご 教示願いたい。

(9)ICT を活用した医療情報の共有化について(佐賀)

<提案要旨>

本県では、本会、地区医師会、県行政等とと もに、ICT を活用した医療情報共有体制の整備 について検討し、平成22 年11 月より、県下 全域で診療情報を共有できる佐賀県診療録地域 連携システム(愛称:Pica Pica Link ピカピカ リンク)として運用を開始している。

ピカピカリンクは、地域医療連携ネットワー クサービス「ID-LINK」(NEC)を用いて佐賀大 学医学部附属病院、佐賀県立病院好生館など県内 9 つの中核病院の診療情報(受診歴、治療、検査等) を患者の同意に基づき、その患者の診療に関わ る医療従事者が参照できるというものである。

現在、9 病院に診療情報等を公開するためのゲ ートウェイサーバーが設置され、県下87 医療機 関(平成24 年7 月現在)よりアクセス可能とな っている。なお、ピカピカリンクに参加するに は、セキュリティを確保するためにオンデマンド VPN 接続サービス(NEC)への加入が必要となる。

県行政では、設置費用等の助成を行うととも に、地域医療再生基金を投じ、利便性向上に向 けたシステム改修を行っているが、思うように 進まない状況である。

一方、本県の東部地区会員の多くが連携して いる基幹病院のある隣接の福岡県・久留米市及 びその周辺地域でも、同様のID-LINK を利用 した連携システムの運用が開始されており、県 境を越えたネットワーク構築に向けてルールの 統一化が検討されている。

各県でも、同様のネットワークが構築されて いるようであれば、現況と課題をお知らせ頂きた い。また、県境を越えたネットワークが構築さ れている事例があれば、併せてご教示願いたい。

(参考)

●オンデマンドVPN 接続サービス(NEC)

・初期費用(1 台につき) 84,000 円(平成24 年度新規申込に限り全額佐賀県が負担)(機 器、初期登録費用、設置・設定作業費用)

・月額利用料(1 台につき) 1,029 円/ 月(最 大1 年間は無料で利用可)

●システムの普及と運用サポート体制(委託先:  NPO 法人 佐賀県CSO 推進機構)

佐賀県(行政)では、総務省「ICT ふるさと 元気事業」補助金を活用して、ピカピカリンク の運営サポートに関わる技術的な教育支援、シ ステムに対する問合せ等を「NPO 法人 佐賀県 CSO 推進機構」に委託している。同機構では、 加入促進のための広報活動、加入手続き、導入・ 説明作業、ヘルプデスク業務等を担っている。

※(5)〜(9)は一括協議

【九州各県の回答】

九州各県ともに、地域医療再生基金やその他の 補助金等を活用して、ICT を活用した地域医療連 携システムを構築しているものの、システム継続 費用の問題や参加医療機関のインセンティブを含 めた拡充の問題等、様々な問題を抱えている。

大分県では、別府市医師会が主導する「湯け むりネット」、大分大学が中心となっている「大 分県医療情報ネット」、臼杵市が中心となって いる「うすき石仏ねっと」が稼働している。

長崎県では、大村市を皮切りに補助金なしで 「あじさいネット」という基幹病院のカルテを 診療所が参照できるシステムを構築した。今で は長崎市や今回の地域医療再生基金で佐世保市 への拡充を行ってきたところである。当初より、 医療に特化したイントラを整備し紙やFAX 等 で運用しているものをインターネット上で行う ことを目的としていた。

福岡県では、複数の地域医療情報ネットワー クが存在する。県医師会としては、全県を想定 したネットワークを整備したいと考えている が、なかなか整合性を取れないのが現状である。

佐賀県では、県行政と医師会、大学等を含め た基幹病院にて、佐賀県診療録地域連携システ ム「愛称:Pica Pica Link」を進めている。し かし、福岡県の久留米地区が同様のシステムを 利用することとしており、佐賀県内で利用して いた同意書の見直しや、システムの名称変更、 活用方法の見直し等々、県境を越えた利活用の 問題が浮上している。

熊本県では、県医師会レベルで共通なネット ワークを試みたことはあるが、なかなか発展ま でには至らない。今回の再生基金では、天草医 療圏の医師不足対策として地域医療ネットワー クを整備しているところである。同様な事を阿 蘇医療圏でも整備しているところである。

鹿児島県では、垂水市が県のモデル事業とし て、ICT システムを活用した地域における在宅 医療、在宅看護・介護のネットワークシステム 「在宅医療情報共有システム」を構築している。 また、地域医療再生事業の一環を県から委託さ れ、24 時間365 日可能な救急画像診断支援シ ステムを構築している。

宮崎県では、平成13 年より、宮崎県医師会、 宮崎県、宮崎大学医学部を中心に構築した「は にわネット」を運用している。当システムは、 地域の医療機関から中核病院へ紹介入院となっ た患者の電子カルテを紹介元医師が自院のパソ コンから閲覧できるシステムである。また、患 者本人が医療機関で行った処方、検体検査結果、 オーダーの予約情報を携帯電話やパソコンから 閲覧も可能である。

また、福岡県より、医療情報の連携に関する 課題があげられ、以下の提言がなされた。

1)契約書はちゃんと読もう

2)診療情報は個人情報の中でも最も高く売れるデータであることを自覚しよう

3)医療情報管理に関する法律を新設しよう

4)医療情報連携で情報を扱えるのは国もしくは医療者団体(日本医師会)だけである

【日医石川常任理事コメント:(5)〜(9)に関して】

日本医師会では、日医総研と一緒に全国の ICT 利活用、実証状況のアンケート調査を実施 している。これまで100 を超えたところでの ICT の利活用状況を把握していたが、現在の状 況からすると200 を超えるのではないかと想 定される。

ICT を活用したネットワークを構築する際に は、そのネットワークのインセンティブを実証 実験開始前から考えていく必要がある。

九州ブロックは全国と比較してもICT の連 携が非常に進んでいるものと思われるが、地域 的に成功している事例として、山形県のNet4U があげられる。Net4U では、当初より自分た ちの身の丈を考え、継続的な点を視野に入れた システム作りを行ってきた。

地域医療連携システムを作る上で、インセン ティブの確保が重要となるが、地域医療再生基金 等の補助金などで負担したイニシャルコストが 最初のインセンティブであり、ランニングコス トはネットワークを利用して利益を得る患者や 医療従事者を想定して計画していくべきである。

個人情報やレセプトの利活用の問題について も、国と議論を行っているところであるが、問 題が浮上するたびに、厚労省と共に是正してい るところである。例えば、レセプトの利活用に 関しては、HP 上等で患者の了承を得なくても 第三次活用してよいと公に発言している。

個人情報に関しては、医療従事者にも十分に 気を付けなければならない。また、遺伝子情報 の取扱いについても考える必要があると思われ るので、それらは第三者機関の設置を行い、個 人情報の問題と遺伝子情報の問題は個別法でき ちんと管理していかなければならない。

日医では、石川県の薬剤師で認証カードの実 証実験している。電子印鑑も整備されているの で、電子処方箋にも対応可能であるので、ご利 用いただきたい。

【3】在宅医療について

(10)各県における在宅医療連携拠点事業等への取り組みについて(沖縄)

<提案要旨>

在宅医療を必要とする者は2025 年には29 万人に上ると推計されており、急性期治療を終 えた慢性期・回復期患者の受け皿として、終末 期ケアも含む生活の質を重視した在宅医療のニ ーズが高まっている。

このような状況に鑑み、厚生労働省では、在 宅医療・介護推進プロジェクトが立ち上げられ、 在宅チーム医療を担う人材の育成事業や在宅医 療連携拠点事業等の取り組みが行われていると ころである。

本県においても、平成24 年度在宅医療連携 拠点事業として、中部地区医師会と浦添市医師 会が事業計画を提出し採択の内示を受けたとこ ろであり、現在、当該事業実施に向け準備を進 めているところである。

具体的には、浦添市医師会では、「浦添市地 域見守り情報共有システム」を構築し、主な 治療の概要や状態変化や当該患者のケアで留 意すべき生活上のポイント等の共有化を図る とともに、既設の浦添市在宅医療ネットワー クを中心とした多職種検討会や症例検討会等 の定期的な開催を主な事業としており、中部 地区医師会では、中部地区医師会立訪問看護 ステーションを中心としたネットワークセン ターを立ち上げ、WEB 上で各種情報の共有を 図るとともに、主治医や副主治医の連携、代 診医の調整、訪問看護ステーションや介護サ ービス事業等との協力体制の構築を図ること 等を主な事業としている。

ついては、各県における在宅医療連携拠点 事業等への取り組み状況や既に実施されてい る在宅医療に係る事業等あれば、ご教示いた だきたい。

(11)在宅医療連携拠点事業との連携と在宅医療推進に向けた各県の取組みについて(鹿児島)

<提案要旨>

今年度、厚労省が在宅医療を提供する機関等 を連携拠点として、多職種協働による在宅医療 の支援体制を構築し、医療と介護が連携した地 域における包括的かつ継続的な在宅医療の提供 を目指すことを目的に、全国で105 箇所の事 業所がモデルとして在宅医療連携拠点事業を実 施することが決定しており、本県でも在宅中心 の無床診療所と有床診療所、医師会立病院の3 箇所が実施することになっている。

本事業の実施にあたっては、県医師会とも連 携することが求められていることから、本会と しても各事業に協力しながら、その動向を見て 行きたいと考えている。本事業における各県の 状況と県医師会としてどのように連携されるか についてお伺いしたい。

また、国は今回の診療報酬で、医療と介護等 の機能分化や円滑な連携、在宅医療の充実に 1,500 億円もの財源を充て、更に施設から在宅 への移行を進めている。しかし在宅医療の推進 にあたっては、患家までの移動距離や他職種と の連携、患者負担の問題など、都市部と地方部 でその在り方にも違いがあり検討すべき課題も 多く抱えている。

本会では、今年度の事業計画で、超高齢社会 を見据えた適切な在宅医療提供体制の在り方の 検討を掲げ、会員や関係職種を含めた「在宅医 療推進研修会」を年4 回開催する予定にしてい る。(第1 回:8 月2 日(木)開催)

本件に関する日医と各県の見解と今後、各県 で在宅医療に関する研修会等の予定があればお 伺いしたい。

(12)在宅療養支援医療機関のグループ化の取り組みについて(佐賀)

<提案要旨>

現在、在宅医療・介護の連携に係る施策が推 進されており、平成24 年度は在宅医療連携拠 点事業が全国約100 カ所で実施されている。今 後、在宅療養支援医療機関グループが在宅医療・ 介護のいわゆる中学校区単位(5 千〜 1 万人の 人口規模)のリーダーとなるべきであろうと考 えられる。

在宅医療・介護の連携体制の構築に係る在宅 療養支援医療機関のグループ化(在宅医療・介 護の連携体制)については、どのような規模や 形態でグループ化を進められているのか、お伺 いしたい。

また、在宅医療連携拠点は、どのような位置 付けの機関を想定されているのか、併せてお伺 いしたい。

※(10)〜(12)は一括協議

【九州各県の回答】

九州各県ともに、郡市医師会を中心とした 在宅医療に関する事業を次のとおり実施して いる。

大分県では、在宅医療連携ガイドの作成や情 報共有体制の整備、IT を活用した連携、情報 共有の効率化を行っている。

長崎県では、医療・介護・福祉の連携や多 職種連携、医療福祉資源マップの作成を行っ ている。

熊本県では、在宅医療情報・相談センター(仮 称)の設置や医療連携協議会を開催している。

福岡県では、在宅医療連携拠点事業室による 多職種連携を行っている。

鹿児島県では、多職種連携勉強会の開催や ICT 活用による市民、医療・介護サービス提供 者、行政間の情報共有システムの構築、SNS を活用した多業種の情報共有システムの構築等 を行っている。

佐賀県では、全県下において実態調査やデー タマップの作成、人材育成、普及啓発を行って いる。

宮崎県では、医療と介護の情報を一元化し、 多職種がその共有化を図っている。

【日医石川常任理事コメント】

今年、在宅医療に関する予算は20 億となっ ているが、来年は23 億+復興枠10 億の計33 億の予算となっており、高齢化の問題と疾病 の慢性化率が高くなっていることから、在宅医 療が重視されている。また、在宅医療や高齢化 医療等の間尺に合った医療費の問題ということ で、医療費削減の一つとして考えられているこ とは事実であると思う。

高齢化や疾病の慢性化に伴い、在宅医療のニ ーズは高いため、我々も医療費の問題を抜きに して医療のあるべき姿を追求していかなければ ならない。

そのためには、在宅医療の拠点を設け、医師 会が中心となって有効に連携を運営していかな ければならない。

在宅医療における問題として後継者問題があ げられるが、在宅専門診療所の設置など、政府 は在宅医療に対するインセンティブの付け方が 偏っている。

これまで医療・医学は“ 疾病oriented medicine” であったが、高齢化率や疾患の慢性 化率が高くなってきたことから、患者の生活を 中心とした“生活oriented medicine” という事 を医師の教育時点から教えていく必要がある。

さらには、介護保険を離れていく医師が多く なっているので、医療と介護を改めて考えてい かなければならない。

(13)第6 次保健医療計画に策定される在宅医療について(熊本)

<提案要旨>

第6 次保健医療計画の中に「在宅医療の体制 構築に係る指針」が示され、在宅医療の連携体 制等が計画に記載されることになっている。

在宅医療が含む範囲は極めて広く、特に医療 と介護が重複している部分であり、今後、極め て重大な意味を持つものと考えられる。しかも、 県の計画策定スケジュールは確定しており、医 師会の考え方、要望等を明確に計画策定に含め ておく必要があると考えられる。

本県においては、地域的構造(都市部と地方 での著しく異なる医療環境、都市部周辺の夜間 無医地区などの医療資源の格差)の問題をはじ め介護保険と医療保険の重複する領域(介護保 険適応案件では途中から医療保険の適用が制限 されているなど)の問題、医師不足や特に看護 師不足、脆弱な訪問看護ステーション、後方支 援病院等々の課題が山積している。

在宅医療について、各県の取組みをご教示下 さい。

また、在宅医療連携拠点事業において、郡市 医師会、県医師会の役割が、公平性の意味にお いて重要となるものと考えられる。行政との連 携も含め各県の取組みをご教示下さい。

【九州各県の回答】

九州各県ともに、在宅医療連携拠点事業や在 宅医療推進研修会、各種委員会等にて在宅医療 を推進していくこととしている。

また、在宅医療は今後の重点課題として捉え ており、都市部と過疎地域との医療資源の格差 や医師不足・看護師不足等の問題を念頭に置い た上で、県医師会、群市医師会がイニシアチブ を取りながら、医療計画に反映させていく必要 があるとされた。

【日医石川常任理事コメント】

二次医療圏での在宅医療はイメージが湧かない。

次期計画では、「連携」がキーワードとなっ ており、在宅医療や急性期医療との連携をどの ようにしていくかという事が、医師会での検討 の一つのポイントになると考えている。

医師会が音頭を取りながら、医療と介護との 連携や在宅医療の連携を推進していくべきで、 単位は郡市区医師会等の範囲になると思われる が、まずは小さな連携づくりからスタートして も良いのではないかと思う。

また、生活機能評価において、BI やFIM を 連携ツールに入れるのかICF を取り入れるの か等を検討し連携のうねりを作っていきたい。



【4】災害時対応について

(14)災害時における県対策本部での位置づけと県防災訓練について(沖縄)

【提案要旨】

県内で災害が発生した際、沖縄県地域防災計 画に基づき、県庁に対策本部が設置されるが、 医師会等関係機関が参加できるか如何かは定か ではない。その様な事態になった場合、情報の 収集や迅速な対応に重大な障害が出るものと危 惧する。過日、本会では本件について行政と調 整を行った。

また、毎年、医療圏毎に実施(輪番)される 県防災訓練には、行政・消防・自衛隊・医師会 等を含めた各関連団体が参加し、大規模災害を 想定した訓練を実施している。本会では東日本 大震災での経験を生かすべく、例年シナリオ通 りに遂行される訓練を、今回実効性のある訓練 に改めるよう要望し、今年度一部実働に近い訓 練が実施出来るようになった。以下の2 点につ いて、各県の状況を伺いたい。

【各県回答】

1)防災対策本部での位置づけについて

現在のところ、佐賀県を除く全ての県におい て、対策本部への明確な位置づけは無いと回答 があった。また、現在、大分県、宮崎県が県対 策本部に参画できるよう働きかけていると回答 があった。

佐賀県では、災害時医療救護マニュアルに基 づき、県医師会救急災害医療担当理事が、県災 害対策本部の医療救護部門に、非公式ながらア ドバイザー的役割で参画することになっている と回答があった。

2)防災訓練の実施状況について

全ての県で、実働に即した訓練は行われてお れず、シナリオに沿った訓練が展開されている との回答があった。一方、熊本県の郡市医師会 では、行政と連携の上、色々なケースを想定し た訓練を実施しているところもあり、また、福 岡県では、県行政に対して実効性のある訓練を 実施するよう要望していることが分かった。ま た、佐賀県でも医療救護所の設置・運営訓練は、 出来るだけ実態に近いシナリオで実施するとの 回答があった。

(15)災害時医療救護マニュアルの見直しについて(佐賀)

【提案要旨】

阪神淡路大震災以後、各県においても災害時 医療救護マニュアルが策定されたと認識してい る。現在、本県では第6 次保健医療計画策定に 併せ、緊急被ばく医療マニュアルと併せ「災害 時医療救護マニュアル」の大幅な改定作業を行 っているが、様々な問題(「DMAT の位置づ け」「医師会医療救護班とJMAT の位置づけ」 「災害拠点病院の機能」「災害医療コーディネー ターの設置」「避難手段と収容」「通信手段の確 保」等)があり、諸課題解決は前途多難である。 以下の2 点について、各県の状況を伺いたい。

【各県回答】

1)災害時医療マニュアルの改訂の試み及び進行 の具合について

長崎県や熊本県を除く各県でマニュアルの改 訂、検討が開始されているとの回答があった。 福岡県では、県医師会が自地域内の災害医療対 応を定めるべく、郡市医師会が作成する医療救 護計画について、行政が作成する地域防災計画 との整合性を図って貰うため、県医師会独自に 「地域災害医療構築の手引き」を作成した。9 月 に各郡市医師会へ本手引きについて説明会を実 施したとの回答があった。また、沖縄県でも本 年4 月会内に「災害医療委員会」が設置され「沖 縄県医師会災害医療計画」の中で簡便でわかり やすいマニュアルの作成に向け進めていると回 答した。鹿児島県は、災害拠点病院やDMAT 指定病院等の関係機関から意見を集約し、10 月に改訂版が纏められるとのことである。

その様な中、宮崎県では本年3 月に「宮崎県 災害医療活動マニュアル」が暫定版として一部 改定され、災害医療コーディネーターの設置や JMAT の記載等、医師会の意見も一部組み込ま れたとの回答があった。

2)問題点について

各県とも提案県と類似の問題を抱えており、 例えば、災害拠点病院の機能等の要件見直し (大分県)、EMIS 等通信手段の確保(鹿児島 県・沖縄県)、患者の避難誘導調整(沖縄県)、 JMAT の明確な位置付け・日当・旅費・医薬品 等の実費弁償、二次災害時の傷害保険による補 償、派遣先を県外も想定(宮崎県)等が挙がった。

この他、宮崎県から災害拠点病院の非常時の 稼働能力の有無の検証、大規模災害に備えるた め、民間医療機関を準施設として指定すること 等を要望していきたいとの考えが示された。

(16)平成24 年7 月九州北部豪雨における災害医療体制について(熊本)

【提案要旨】

本県では7 月下旬に「これまで経験したこと のない大雨」により県央、県北に甚大な被害を 受けた。県医師会では、医療機関の被害状況に ついて直ちに被害実態調査を行ったが、被害が 広範囲であった事や医師会事務局が機能しなか った為、情報収集に苦慮した。今回、大雨によ り県災害対策本部は設置されたが、DMAT を 含む医療派遣要請は無かった。また、本会か ら郡市医師会への医療派遣要請等も行っておら ず、今後の課題を残したと考える。

ついては、九州各県での対応事例があれば伺 いたい。

【各県の回答】

大分を除く九州各県では、これまで噴火災 害や集中豪雨、河川氾濫など、様々な自然災 害に見舞われているが、行政から県医師会へ の医療救護班の派遣要請の事例は無いとの回 答であった。

今回2 チームのDMAT を派遣した大分県で は、消防本部等からの求めに応じ、超急性期対 応として竹田市に派遣しており、その後は、本 庁や保健所の保健師・栄養士に引き継ぎ、心の ケアを含む健康支援(7/4 〜 8/2 延124 名)を 行ったとの回答があった。また、福岡県の郡市 レベルでも独自に被害状況を確認し、行政と連 携の上、医療支援活動を実践した医師会もあっ たとのことである。

また、熊本県では今回の経験を踏まえ、関係機 関との連携・情報の供給が大事であったとし、被 害状況等について行政から医師会への報告が少な く、情報収集に苦慮したとの報告があった。今後 は反省を活かし、県・保健所・県医師会で情報の 共有を図る協議会を設けていきたいと述べた。

(17)大規模災害時におけるJMAT 活動を認識した災害時医療救護協定について(宮崎)

【提案要旨】

本年6 月、九州各県医療保健福祉主管部長・ 九州各県医師会長合同会議において「災害時 医療救護協定におけるJMAT の位置づけに ついて」協議が行われている。当県としては DMAT と同様に、「JMAT の公的な位置づけ」 「補償等の整備」「出動の事後追認を協定」に盛 り込みたいと考えているが、行政側は各県共通 に「九州各県や国の状況を見ながら検討したい。 超急性期後(48 時間以降)の対応であるから 事後追認は困難」との考えである。

ついては、各県の現状について伺いたい。ま た、県行政の対応を変えていくためには、国で JMAT の位置づけを明文化し、派遣要請の流れ を明確化することが必要だと考えている。日医 の考えと対応についてお伺いしたい。

【各県の回答】

現状、全ての県において「県外派遣にかかる 補償や事後追認」の協定は盛り込まれてないと の回答があった。県外へのみなし規程に関して は、現状、行政側が責任を負うことは困難との 見方が強く、日医や全国レベルの問題と捉える 県が殆どであった。

福岡県から8 月に開催された九州各県医務主 管課長会議(災害時の医療救護活動の見直し) の協議結果について報告があったが、事後追認 は困難あるとの考えで、全く前進しなかったと の説明があった。また、同じく福岡県で「我々 医師会は行政からの呼びかけに基づき活動を展 開すべく日頃から確実に動けるようにすること が肝要である。予め出ていくのではなく、行政 の求めに応じ消防傘下で働くことを徹底したい」 と述べた。

【石川日医常任理事からのコメント】

昨年の3.11 以降、JMAT が存在しなければ、 あれだけの規模の応援は出来なかったものと考 えている。我々は国に対しJMAT の位置づけ について強く要望しているが、各県においても 「5 疾病5 事業」の災害医療の中で、JMAT の 位置づけを強くお願いしたい。

日医はいつでもJMAT を出動できるよう用 意している。今回の九州豪雨の際にも出動する か如何か検討していたところである。

【5】予防接種について

(18)予防接種体制について(宮崎)

<提案要旨>

ポリオの予防接種が9 月から生ワクチンから 不活化ワクチンに変わりましたが、貴県での対 応はどのようになっているでしょうか?

接種体制、接種料金等についてお教えいだき たい。

【九州各県の回答】

九州各県ともに、9 月から始まる不活化ポリ オワクチンの導入に向けて、郡市医師会や各自 治体との接種体制を整備している。特に、生ポ リオワクチンでは集団接種で実施されていた が、不活化ポリオワクチンでは個別接種に切り 替わることから、変更契約の締結に向けた準備 を進めている。

また、接種料金については、各市町村で格差 があり、今後、郡市医師会と各自治体で協議し 決定することとしている。

【宮崎県医師会から要望】

予防接種の体制がどんどん変わっていく中 で、来年度のHib と肺炎球菌、インフルエンザ ワクチンは未だに決まっていないので、しっか り国に要望していただきたい。

その中で、消費税の問題についても、各自治 体で委託料に格差があるなど、消費税を加算し ているところと加算していないところがあるの で、指導いただきたい。

また、外国製のワクチン料金が高いので、 日医からも低くするよう働きかけていただき たい。

さらに、年少者扶養控除手当が廃止になって、 こども手当になっているが、子育てしている親 が負担している増税部分で約400 億ある。せ めてその増税分を子供たちに回していただくよ う、厚労省や財務省等に働きかけて欲しい。

印象記

安里 哲好

宮崎県での初めての各種協議会であった(平成24 年9 月29 日)。今年度から、未知なる領 域である介護保険領域の担当になり、各県から提案された介護保険に関する議題を吟味し、当県 における現状や課題について2 回ほど勉強会をした後に、協議会に臨む予定であった。ところが、 出発前々日になると、台風17 号の影響で、出席される理事者が不確かになり、急遽、地域医療 対策協議会に出席することに成り、18 項目の協議事項について検討した。その後再度、介護保険 担当理事も帰沖することが困難に成りそうと言うことで出席せず、結局、再度介護保険対策協議 会に出席することになった。

議事進行は、司会が居て、主催者側の挨拶する方がおり、議事を進行する座長の3 名から構成 されていた。協議事項は10 項目で、その内3 項目が同じ内容にて、一括で検討された。1 項目に ついて10 分、提案県から趣旨説明をし、2 〜 3 の他県から追加の意見や質問がされ、その後日医 の担当常任理事よりのコメントがあった。同じ内容の3 議題に関しても各県から趣旨説明があり、 全部で12 分を振り分けていた。議題(1)が当県からの提案で、冒頭に台風17 号の影響で、7 人出席の予定の理事者が2 名しか出席できず、各部門でご迷惑をかけますがご理解の程よろしく お願いしますと述べ、趣旨説明に入った。介護保険領域は協議事項(4 ― 6)の地域包括ケアシス テムに課題が集中し、地域包括支援センター事業と在宅医療連携拠点事業とが重なり一体化する 可能性があり、その過程として地域の先生方が中心的役割を担い活性化し、地域ケア会議にも出 ていただきたいと、三上裕司常任理事は述べていた。その後3 協議会について、日医担当常任理 事よりそれぞれ日医の考え方も含め要約した報告会があった。

来年度は、当県で何回かの協議会や集まりがあるだろう、特に台風時期(8 〜 10 月頃)には2 〜 3 回程度の会が開かれると思うが、良好な天候を祈願する以外には無いのかと思慮していると ころである。那覇ゴルフ倶楽部で行われた日本オープンの様に、3 日目は雨と強風、最終日は晴 れて中程度の風と、台風が1 週間近くも沖縄の近辺で右往左往(東西を行き来し)ていると、良 いのかそうで無いのか(日本オープンは開催され、悪コンディションの中でもプレーが4 日間で き安堵したが)、まったくもって大変である。昨年はそれ程、沖縄本島への直接の台風は無かった ように記憶しているが、今年は凄まじいもので、来年は穏やかな1 年になることを祈りたい。

宮崎の先生より、ゴルフバッグを準備しますから、明日のゴルフは如何ですかと懇親会の席で 言われたが、おそらく雨天であろうことも脳裏をかすめた点もあり、皆と一緒に帰沖する事を予 定しており、感謝しつつもお断りした。次の朝は、青空が広い範囲で見え日が射して、一転して ゴルフ日和となった。どんなに科学の力が発達しても、天候の変化は神のみぞ知ると言うことで あろう。