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平成24年度第2回沖縄県・沖縄県医師会連絡会議

玉城 信光

副会長 玉城 信光



去る8 月16 日(木)、県庁11 階第1 会議室 において標記連絡会議が行われたので以下のと おり報告する。(出席者は以下のとおり)

出席者:宮城会長、玉城副会長、安里副会長、稲田常任理事、宮里常任理事、村山理事(以上、県医師会)崎山福祉保健部長、国吉保健衛生統括監、国吉健康増進課長、平医務課長、仲村国民健康保険課長、篠崎医療企画監(以上、県福祉保健部)

議題

1. 健康沖縄21のこれまでの状況と新しい振 興計画における沖縄の長寿復活のプラン について(提案者:沖縄県医師会)

<提案要旨>

2010 年の集計で沖縄県の肺がんの死亡率は減 少しているが、乳がんの死亡率が全国ワースト 2 位になっている。この結果をどのように解釈 し、今後の対策をどのように考えるのか。また、 女性の長寿が1 位から落ちているが、健康長寿 復活へ向けた実践的な取り組みを伺いたい。

<県福祉保健部回答>

国吉健康増進課長より次のとおり回答があ った。

【健康長寿に向けた取組状況について】

県民の平均寿命を延伸させ、「健康・長寿沖縄」 を維持継承していくためには、20 歳から64 歳 までの青壮年期の年齢調整死亡率を減少させる ことが喫緊の課題であり、その原因である肥満・ アルコール・肝疾患対策及びタバコ対策への取 組を行い、生活習慣病を如何に減少させるかが 特に重要である。

また、健康的な生活習慣を実践し継続してい くためには県民一人一人が具体的に行動する必 要があり、そのために健康おきなわ21 行動計 画(アクションプラン)に基づき各種の普及啓 発事業や検診事業を引き続き実施しているとこ ろである。

その結果、直近の成果指標のうち本県の喫 煙率(国民生活基礎調査)は、平成19 年の 23.2%から平成22 年は20.4%へ、特定健診受 診率(市町村国保分)は、平成20 年の27.4% から平成22 年の34.4%へ改善している。  肥満率(男性20 歳から69 歳)については、 平成22 年国民健康・栄養調査において沖縄県 が最も多いという結果が出ており、さらなる改 善が必要である。

今年度は、「健康おきなわ21」行動計画(ア クションプラン)の中間評価を実施する予定で あり、県民健康・栄養調査結果の分析、市町村 等に対するアンケート結果の分析に基づき現状 値を確認し、検討委員会において評価を行った うえ、重点的に取り組む対策を検討する予定で ある。また、中間評価や関連計画と足並みを揃 えるため沖縄県食育推進計画の第2 次計画の策 定も今年度中に行う予定にしている。

平成24 年度は健康増進推進月間の9 月から 3 カ月間、アクションプランの普及啓発事業と して、本島内路線バスの車体ラッピング及び車 内広告を実施する計画である。

また、沖縄振興一括交付金を活用した健康行 動実践関連の新規事業の芽だしのため、財政当 局と調整を行っているところである。

乳癌については、患者様が健診等で要精密検 査となり、受診勧奨をしても精密検査を受けず、 所見が悪くなっているケースがある。このよう な状況から、がんが重症化してから病院を受診 している方が多いと推測される。

今後は、がん検診の精度を上げていくととも に、乳癌は、早期発見・早期治療で治る病気で あることから、がん検診や精密検査の受診率向 上のために、市町村や関係機関との連携を強化 し、がん検診と精密検査の大切さを引き続き普 及啓発していくことが必要と考えている。現在 実施している、がん検診推進事業の無料クーポ ン券についても一層周知していきたいと考えて いる。

また、乳がんの発症には、脂質の多い食生活 や肥満が大きく関わっているので引き続き一次 予防対策も行っていきたいと思っている。

<主な意見等>

◇県医師会: 沖縄県の女性の乳がん死亡率が全 国ワースト2 位となっているが、単一の施設で 見るとこのように高くなっているとは思ってお らず驚いた。市町村でがん検診に呼び込むとい うことをしなくてはならない。肺がんがワース ト1 位から良くなってきている傾向があるの で、我々もそれに倣って何らかのことを考えて いきたい。

◆県福祉保健部: 現在、健康おきなわ21 分野 別検討委員会があり、その中で様々な検討が行 われている。その中の生活習慣病では、がん検 診の受診率を必ず上げ、県も勿論であるが各分 野でモニターを厳しくしていくことが決定して いるところである。

2. 小児生活習慣病健診の取り組みについて
(提案者:沖縄県医師会)

<提案要旨>

1999 年7 月沖縄県医師会から標記取り組み について要望を提出し、県からは小児生活習慣 病健診の実施については様々な問題があり、対 象の特定と費用の問題に分けて検討したいとの 回答があったが、その後の検討した内容につい て伺いたい。

2009 年沖縄県内の久米島の小学校5 年生〜 中〜高校生への健診で、各学年の31 〜 57% に高血圧症が疑われ、各学年の20 〜 52%に HbA1c の上昇がみられ、糖代謝異常が疑われ た。これらのグループに情報提供をすることに よって翌年には多くが改善していた。

健康長寿再生を目指し、沖縄の将来を担う子 供達の健康的なライフスタイルを確立するため に小児生活習慣病健診の実施を再度提案する。

<県福祉保健部回答>

国吉健康増進課長より次のとおり回答があ った。

小児生活習慣病健診については、那覇市が市 内小学校4 年生を対象に児童期における生活習 慣病対策を目的に平成13 年度から実施してお り、肥満児童の比率が全国より高くメタボリッ クシンドロームの症状の児童も見られること、 評価(追跡調査)の実施に課題があることなど を聞いている。

また、久米島町においても、平成21 年度か ら全小学校の5・6 年生、全中学生、全高校生 を対象にして特定健診レベルの健康診断を実施 し、平成24 年度も子ども健診として実施して おり、平成21 年度からの健診結果を今後分析 していくと聞いている。

県健康増進課としては、県教育庁保健体育課 に対し、那覇市の小児生活習慣病健診の取り組 み状況の資料を提供し説明を行うとともに、沖 縄振興一括交付金を活用した事業の可能性につ いて検討を依頼しているところである。

子どもの健康づくりについては、将来の健康 につながる大切なことと考えているので、沖縄 県食育推進計画の実施において関係のある県教 育庁及び関連部局とも連携を図り、取り組んで いきたいと考えている。

(参考)全国での小児生活習慣病健診の実施例
     1)宮崎県、 2)東京都、3)千葉県、
     4)神奈川県、5)高知県、6)愛媛県、
     7)長野県 他17 府県がある。
※健診の実施に関しては医師会等の健診機関に市町村から委託する例が多い。

<主な意見等>

◇県医師会:交通機関もあまり充実していない 地域の児童が、既に高血圧や高脂血症等の生活 習慣病を持っているということは大変なことで ある。都会であればもっといるのではないか。 幼少の頃からの食育が非常に大切ではないかと 考える。

◇県医師会:小児生活習慣病予防健診を全員に 実施することは難しいと思うので、パイロット 的に実施し、経過をみて改善したというデータ が出れば良いのではないかと考える。

◆県福祉保健部:那覇市が小児生活習慣病健診 を実施しているが、個人情報の問題もある。

◇県医師会:集団として見るので個人が公に出 る事はない。個人情報のことを取り上げると、 健康改善ができない。健康情報は少し違うので はないかと考える。

◇県医師会:厚労省で西日本の小児アレルギー 罹患率を出しているが、沖縄県でも町の小学校、 地域の小学校、中間位の小学校等、4 校が対象 となっている。全児童を対象とすることは難し いので、このように対象の小学校を決めてはど うか。生活習慣病に罹患している方を対象とす るよりは、予防的にも子どもたちから実施して はどうかと考える。

また、那覇市の小児生活習慣病予防健診は希 望者のみである。希望者は意識が高い人たちで あり、そこに引っ掛かっていない人を拾うこと が大事ではないかと考える。まずは、1 校から のスタートでもよいので、是非お願いしたい。

3. 避難生活者の健康を守るための支援について(提案者:沖縄県医師会)

<提案趣旨>

平成24 年2 月現在、沖縄県への避難者は266 世帯670 人で、沖縄県では東日本大震災支援協 力会議を中心に多くの取組がなされている。

避難されている方々にとって、経済的問題・ 精神的な問題と並んで、健康に関する不安は大 きいものと思われる。とりわけ、福島県の方か らの子供達への内部被爆の影響に関する相談は 切実な問題である。

会員医療機関には、避難者から「健康相談」 や「健診」、「講演会」等を沖縄県として実施し ていただけないかとの意見が寄せられており、 沖縄県として財政的支援を含めた支援活動をお 願いしたいとの依頼がある。

本会としても、避難者の方々の要望に沿って、 「健康相談」や「健診(甲状腺検査等を含む)」、 「講演会」等を沖縄県として継続して取り組んでい ただけるようご検討をお願いしたい。

沖縄県は被災地支援に力を入れている。被災 者の方たちの健康についても、沖縄県として取 り組んでいただきたい。

<県福祉保健部回答>

県では、保健所等で健康相談を実施しており、 必要に応じて県外の民間検査機関や被ばく医療 を行う医療機関の情報提供などを行っている。

6 月7 日現在、福島県内から県外に6 万 2,000 人余りの方が避難しており、そのうち沖 縄県には691 名の方が避難していると聞いて いる。

福島県においては、県民健康管理調査の本部 を福島県立医科大学に置き、すべての県民を対 象に健康調査を行っているところである。

県外に避難している住民に対する健康調査の 実施状況は確認できていないものの、福島県以 外の社会保険病院や日本赤十字に窓口を設置し て健診の機会を提供するという情報もある。

沖縄赤十字病院に確認したところ、現在、本 部からそのような指示や連絡は受けていないと いうことだが、今後とも情報収集に努める。

県では保健所等での健康相談を引き続き実施 し、避難者の方へ必要な情報の提供に努める。

福島県の“県民健康調査「甲状腺検査」” に ついて、対象者・実施方法・実施計画・全県先 行検査(実施体制・スケジュール・対象者への 通知)・検査結果について資料説明。

以下、概要。

1)対象者:平成23年3月11日時点で、0から18歳までの福島県民

 1)先行検査(現状確認のための検査)
    平成4年4月2日〜平成23年4月1日に生まれたもの

 2)本格検査(平成26年4月以降)
    平成4年4月2日〜平成24年4月1日に生まれたもの

2)実施方法:福島県立医科大学、福島県内害の医療機関等が連携して実施

3)実施計画

 1)先行検査:平成23年10月〜平成26年3月末までに、1回目の甲状腺検査を実施

 2)本格検査:平成26年4月以降は、20歳までは2年ごと、それ以降は5年ごとに継続して甲状腺(超音波)検査を行う。

4)全県先行検査

 1)実施体制
    福島県内:福島県立医科大学スタッフ等が中心となり、保健センター等で実施。
    福島県外:専門医が所属する医療機関に委託(46都道府県少なくても1以上)。
    現在調整中。準備が整い次第避難区域等市町村対象者より順次検査を実施。

 2)実施スケジュール:平成23年11月中旬以降、市町村ごとに実施。

 3)対象者への通知:本人(保護者)宛に検査実施場所・日時を通知

5)検査結果:後日、本人(保護者)宛通知

<主な意見等>

◇県医師会:沖縄県で健診を実施する機関を募 って福島県に推薦するということか。

◆県福祉保健部:福島県が健診機関を決める調 整を行う。呼びかけがあったら協力したい。

◇県医師会:沖縄県から検査の実施について問 い合わせいただきたい。県外に避難している方 の検査は福島県が責任を持ってやるということ を、沖縄県に避難されている方に伝えていただ きたい。

◆県福祉保健部:福島県に問い合わせてみる。

4. 琉球大学医学部附属病院への高度救命救急・災害医療センター設置について
(提案者:沖縄県医師会)

<提案趣旨>

琉球大学医学部附属病院(以下、琉大病院) は特定機能病院として高度先進医療の提供を行 っている一方、昭和59 年に現在地西原町に新 築移転する以前から救急部を設置し、沖縄県の 地域医療計画でも三次相当の救急病院と位置付 けられ、年間約8,000 名の救急患者を診療し、 地域医療に貢献している。特に、豊富な専門医 による高度な救急医療すなわち多診療科の専門 医療を同時に受ける必要のある患者、切断肢の 患者、多くのマンパワーを要し施設設備も必要 となる全身熱傷、特殊な中毒症患者、緊急適応 の減圧症患者(緊急対応の高気圧酸素療法)な どの受け入れを積極的に行ってきた。現在の救 急医療受け入れ実績を見ても、琉大病院入院患 者の約5 分の1 にあたる年間1,800 名が救急か らの入院患者で、うち約800 名が三次の患者 である。その中には小児患者および他の二次救 急病院や救命センターで提供できない救急医療 のため転院搬送された例も多い。そのことは、 琉大病院が救急医療を専門とする医師だけでな く各診療科の専門医がまんべんなくいる事によ って持ちうる安定した能力を示している。

沖縄県は東西1,000km という広大な海域に 多くの離島を持つだけでなく、本島自体が、隣 県からは1,000km あまりも離れる地理的に孤 立する離島県である。これからの急速な高齢化 に伴う心血管疾患などの内因性救急疾患、熱傷、 多発外傷などの重症疾患、いつ起きるか分から ない災害時に受け入れなければならない多数傷 病者に備え、県内に1 ヶ所は高度救命センター を設置する必要性があると考える。さらに、沖 縄県においては、現在すでに3 つの救命救急セ ンターが設置され運営されているにもかかわら ず、時々それらが受け入れ困難になる場合があ る。特に南部地区ではインフルエンザ流行等に 伴って救急車の5 回以上の照会症例数が一時増 加するなどの緊急事態となる問題が生じた。同 様の緊急事態が起きた場合、他県と違い、隣県 に送る手立てもない。この2 点から高度救命 救急センターの設置は救命センターベッドの過 剰、無駄な重複投資ということにつながらない と考える。

琉大病院は、以前より高度な治療を要する救 急患者の受け入れ努力を続けているが、病院開 設から30 年余りとなる病棟や外来は急性期対 応としては手狭であったり、ICU 病棟のベッ ド数が少ない等の受け入れ数に限界となるハー ド面があった。この際、琉大病院ではこれまで の能力に高度救命救急センターとしてのハード 面を追加することを院内で検討しており、三次 相当の救急病院ではなく、高度救命救急・災害 医療センターの設置は県内の救急・災害医療の 充実に無くてはならないものと確信している。

そこで、沖縄県の高度救命救急センター設置 に対する考え方、琉大病院に高度救命救急・災 害医療センターの設置することについてのお考 えをご教示願いたい。

なお、厚生労働省から提供された資料による と全国の高度救命救急センターは、100 床から 20 床で運営されており、琉大病院も20 床程度 を確保する必要があると考えられる。

ついては、沖縄県が厚生労働省と協議してい る特例病床での増床が認められた場合は、琉大 病院の高度救命救急センターに20 床を割り当 てていただくよう特段のご配慮をお願いする。

<福祉保健部回答>

T . 高度救命救急センターの設置について

1)現在、県内には3 つの救命救急センター(県 立中部病院、県立南部医療センター、浦添総 合病院)を整備しており、県内の救急医療提 供体制については、23 病院ある2 次救急医療 機関と連携して対応することになっている。

2)高度救命救急センターについては、島嶼県と して必要性はあるものと考えているが、その 設置においては、厚生労働省の「救急医療対 策事業実施要綱」で定める救急専用病床20 床以上の確保、広範囲熱傷等特殊疾病患者に 対する高度診療機能の整備等必要な基準に合 致する必要がある。

3)現在、九州では福岡県のみに設置(久留米大 学病院)されているところであり、本県にお けるセンター設置いついては県全体での意見 集約も必要と考える。

特例病床については厚生労働省と再度調整す ることになっている。厚生労働省は、そもそも 病床は医療計画の基準病床、医療連携で決まっ てくる、その中で特段の理由をつけてという形 であると言っている。他県の状況も国から示さ れており、各病院毎に考えるのではなく、圏域 で考えるとしており、他県でも1 圏域でせいぜ い10 床〜 20 床しか認められていない状況で ある。沖縄県は将来の見込み、救急搬送件数が 増えているという状況を踏まえて検討しないと いけない。国においては、その都度その時期の 状況を見て特例病床についても検討するとして おり、2 〜 3 年後の救急搬送の件数をみてから やるのではなく、毎年毎年見ていくとしている。 どういう形で試算するか纏めて、早めに厚生労 働省と調整した上で結果については関係病院に 説明したいと考えている。

U . 災害拠点病院の指定について

1)現在、各2 次医療圏の県立5 病院を災害拠点 病院として指定しているところである。

2)昨年の東日本大震災を踏まえて、厚生労働省 は、災害医療体制の充実強化を図るべく、平 成24 年3 月に「災害時における医療体制の 充実強化について」において災害拠点病院の 指定要件を見直し、指定病院のソフト・ハー ド両面からの機能の充実を求めている。

3)沖縄県としては、上記の状況、及び大規模災 害において広域で連携することとなる九州各 県等の指定状況も勘案のうえ、沖縄県保健医 療計画の見直し作業と併行して、各医療圏で の災害拠点病院の指定のあり方について検討 していくこととしたい。

<主な意見等>

◆県福祉保健部:琉球大学としては新たな病院 としての設置は?

◇県医師会:計画を立てて4 年後に間違いなく やる。特に救命救急については、前倒しでやる。 現在の病院にプラスアルファのものを設置する つもりでいる。ベッドコントロールが非常にう まく行っていて病床利用率は現在90%ぐらい になっている。どうしても2 人ベッドが使いに くいので、10 床ぐらい外に出してそこに救命 救急あるいはHCU を作ることも来年度にでも やろうかと考えている。そういう要望があれば 積極的にやっていきたい。

◆県福祉保健部:国との協議があるので、最後 は病院の中で確保せざるを得ないことも出てく ることをご理解いただきたい。

◆県福祉保健部:災害拠点病院には、ヘリポー ト設置が必要となっている。

◇県医師会:新病院では、ヘリポートは必ず作 ることにしている。

◆県福祉保健部:指定要件としては、合致する と思う。医療計画のなかで検討していきたい。

◇県医師会:特例病床としては、大学病院を最 優先していただきたい。高度救命救急センター の認可は国となっているのか。

◆県福祉保健部:国と協議が必要、指定は県が 行う。

◇県医師会:医師会も九州の実態を調べた。琉 大病院から提案されていることは最優先してい ただきたい。

5. 療養病床及び一般病床に係る基準病床数の算定について
(提案者:沖縄県医師会)

<提案要旨>

去る3 月26 日(月)に行われた平成23 年 度第6 回沖縄県・沖縄県医師会連絡会議では、 本会より「平成25 年度「沖縄県保健医療計画」 における基準病床に関する調査について」を提 案し、基準病床数に関する調査・検討の進め方 について確認したところである。

本件については、医務課より「国の示す全国 統一の算定式により算定し、新たに基準病床数 を設定することとしている。算定式に用いる数 値は、国の人口動態調査や沖縄県医療機能調査 等によりデータ収集を行うこととしている。」 との回答をいただいた。

今般、厚労省告示の改正により、療養病床及 び一般病床に係る基準病床数の算定に使用する 数値(性別及び年齢階級別の長期療養入院・入 所需要率、地方ブロックの性別及び年齢階級別 一般病床退院率、療養病床及び一般病床に係る 病床利用率及び平均在院日数)が最新の統計に 基づく数値に改正されたところである。

ついては、沖縄県における療養病床及び一般 病床に係る基準病床数の算定結果を早急にご提 示いただくとともに、算定方法の具体的な計算 式や算定に利用した国の人口動態調査、沖縄県 医療機能調査等によるデータの具体的な数値等 について、ご教示いただきたい。

なお、算定が済んでいないようでしたら、今 後のスケジュールとともに、具体的な計算式、 算定に利用するデータ等についてもご教示いた だきたい。

<県福祉保健部回答>

平医務課長より次のとおり回答があった。

療養病床及び一般病床に係る基準病床数につ いては、現在、算定に必要なデータの収集を行 っているところである。

今後、県外への流出患者の推計値の基となる データ(国保連合会と調整中)が纏まり次第、 基準病床数を算定し、国との協議に入ることと している。

なお、基準病床の算定には上限値があり、上 限値の算定方法は平成24 年3 月30 日付医政 発0330 第28 号通知の「医療計画作成指針 第 4-3 基準病床数の算定方法」で示されており、 療養病床及び一般病床はそれぞれ、以下の式に より二次医療圏ごとに算定した数の都道府県に おける合計数を超えることはできないとされて いる。

新たな沖縄県保健医療計画一般・療養病床の 上限値見込みは、全医療圏において病床過剰と なっている。

〔療養病床〕
  {( 当該区域の性別及び年齢階級別人口)×(当該区域の性別及び年齢階級別入院・入所需要率)の総和−(介護施設で対応可能な数)} ×(1/ 病床利用率)

〔一般病床〕
  (当該区域の性別及び年齢階級別人口)×(当該区域の性別及び年齢階級別退院率)の総和×平均在院日数×(1/ 病床利用率)

<主な意見等>

◇県医師会:全国共通の計算式で上限値が示さ れているが、計算式がおかしい。宮古と八重山 の人口の差からすると、今回示された病床の差 はおかしい。

また、病床利用率が高ければ高いほど基準病 床は増えるはずである。

◆県福祉保健部:そもそも基準病床が形骸化し ているので、内閣府でも問題視されている。

◇県医師会:以前、基準病床制度をなくすとい う話も出たが、そういうことであれば病床の規 定を全くなくした方がよい。

◇県医師会:県医師会でも日医の試算を基に分 析を行ったが全く違う病床数が出ているので、 具体的な算定法をご教示いただきたい。

◆県福祉保健部:今後、計算式に使用する算定 数字も具体的に提示していきたい。ただし、公 表する数字と協議検討を行う数字は若干、誤差 が生じるのでご了承いただきたい。

6. 新型インフルエンザについて
(提案者:沖縄県福祉保健部)

<提案要旨>

○新型インフルエンザ及び全国的かつ急速なま ん延のおそれのある新感染症に対する対策の 強化を図り、国民の生命及び健康を保護し、 国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小と なるようにすることを目的に、新型インフル エンザ等対策特別措置法が平成24 年5 月11 日に公布され、1 年を超えない範囲で施行す ることになっている。

○同法では、新型インフルエンザ等が発生した 時は、国は、国全体として万全の態勢を整備 する責務を有し、地方公共団体は、その区域 に係る新型インフルエンザ等対策を的確かつ 迅速に実施する等の責務を有するとされてい るほか、医療等の公益的事業を営む法人を、 国においては政令で指定公共機関として定め、 地方においては都道府県知事が指定地方公共 機関と指定して、その業務について、新型イ ンフルエンザ等対策を実施する責務を有する こととされている。

○国からは、新型インフルエンザ等の発生時に、 その業務を通じて一定の公益的役割を果たし ていただくという制度の趣旨を踏まえ、1)そ の法人が行う業務の公益性、2)国や都道府県 が実施する新型インフルエンザ等対策におい て当該法人が担う業務が継続的・安定的に行 われることの重要性などを総合的に勘案し て、指定(地方)公共機関の選定を行うこと が必要とされている。指定地方公共機関の指 定に当たっての留意事項等については、今後、 国において開催される検討会議(仮称)にお ける議論も踏まえ、施行日までに通知する予 定となっているが、本県においては沖縄県医 師会を指定地方公共機関の一つとして指定し たいと考えている。

○そのほか、同法においては、登録事業者(医 療提供業務又は国民生活・国民経済の安定に 寄与する業務を行う事業者で、厚生労働大臣 の登録を受けているもの)の従業員等に対す る特定接種の実施、都道府県知事の要請に応 じ、又は指示に従って、患者に対する医療の 提供を行う医療関係者が、そのため死亡した り、疾病にかかったりしたときは、都道府県 知事は、その損害を補償しなければならない とされている。

○なお、新型インフルエンザ等緊急事態の基準 等の政令、政府行動計画等の内容、登録事業 者の基準等の詳細については、今後、国にお いて開催される検討会議(仮称)において検 討され、平成25 年春頃までに順次整備され る予定になっている。

以上、健康増進課より、これまで新型インフ ルエンザ等の対策措置が定まっていなかった が、指定地方機関の指定や損害補償等に関し進 展があることについて情報提供があり、今後も 情報共有していくことになった。

7. 医療機関通院中の被保険者に対する特定健診受診勧奨について
(提案者:沖縄県福祉保健部)

<提案要旨>

仲村国民健康保険課長より次のとおり説明が あった。

特定健診について厚生労働省では、平成24 年度の受診率目標値(市町村国保)を65%と しており、各市町村においては医師会等関係機 関協力のもと受診率向上に向け様々な取り組み を行っている。しかしながら沖縄県の平成22 年度受診率は34.4%、平成23 年度は若干の増 加が見込まれているものの目標値達成は厳しい 状況にある。

受診率向上のおける課題の一つに、医療機関 通院中の被保険者に対する受診勧奨があげられ る。このため、国民健康保険課においては、通 院中で未受診者の多い県立病院及び健診受託医 療機関(那覇市内)を訪問し、当該未受診者に 対する受診勧奨について御協力をお願いしたい と考えている。

ついては、健診実施機関の代表である県医師 会へ医療機関訪問の趣旨をご理解いただくとと もに、さらなる御協力の程、宜しくお願いしたい。

<主な意見等>

◇県医師会:以前は、健診を受けにきて医療保 険で請求するということを避けるために、同日 実施等をやってはいけないことになっていた。 しかし、特定健診は保険診療との同日実施が認 められているにも関わらず、初診料や再診料、 その他付随する加算は、算定できないことにな っている。それを改めていかないといけないと 考える。

◇県医師会:通院患者が特定健診を受診すると、 受診率が30%上がると言われているが、県立 病院にどのような受診勧奨を行うのか。

◆県福祉保健部:これから話を伺い、別の医療 機関での特定健診の受診勧奨や、集団健診への 誘導等ができればと考えている。健康に対する 県民の意識を高めるためにも是非お願いしたい。

8. 第二期医療費適正化計画の策定について
(提案者:沖縄県福祉保健部)

<提案要旨>

仲村国民健康保険課長より次のとおり説明が あった。

国及び各都道府県では、平成20 年度に策定し た第一期医療費適正化計画が今年度で終了する ことから、平成25 年度をスタートとする第二期 医療費適正化計画を策定することとしている。

医療費適正化計画の記載のうち、平均在院日 数等の医療提供体制に関する事項は医療計画や 介護保険事業支援計画、特定健診・保健指導の 実施に関する事項は健康増進計画という都道府 県が策定する他の3 計画に密接に関連してお り、相互に調和を図ることとされている。

ついては、上記趣旨を御理解いただくととも に、計画の策定・実施・見直しの各段階におい て、医師会の御協力をお願いしたい。

※以上、仲村国民健康保険課長より、第二期医 療費適正化計画の策定に向け、医師会から委員 としての参画等の協力依頼があった。

印象記

副会長 玉城 信光

8月16日に県庁で開催された。今回は議題が多く8つの議題が取り上げられた。詳細は報告に譲る。

1. 健康おきなわ21 のこれまでの状況と新しい振興計画におけるおきなわの長寿復活プランにつ いて(県医師会提案)

今年は健康おきなわ21 の中間解析の時期なのでこれまでの成果を検討し新しい事業を作って いくとされた。皆様の目にも触れるようになっていると思うが、9 月から健康増進キャンペーン のラッピングバスの運行が始まっている。県医師会でもそれに呼応する形で理事者の健康チェッ クをすることが決められた。

2. 小児生活習慣病健診の取り組みについて(県医師会提案)

小児生活習慣病健診の取り組みについては教育庁への働きかけを行っていることが述べられた が、縦割り行政で総合的な沖縄県の健康復活へ向けた計画をどのように立てていくのか、大きな 課題は残ったままである。結局は各地区医師会が各市町村と連携して健康復活事業を盛り上げて いかなければならないようである。

3. 避難生活者の健康を守るための支援について(県医師会提案)

福島県からの避難生活者の健康を守るための支援についてどのような取組みがなされているの かとの質問に対し、まだそのような動きはないようである。しかし、会議の後で情報が入ってき たが、たった1 回のみの検診が予定されているようである。沖縄県内には北部から宮古、八重山 まで福島県からの避難者が分散しており、地域の県立病院や医師会検診センターにお願いするよ うにしている。福島県はたった1 回の検診で何をしようと考えているのか不明である。

4. 琉球大学医学部附属病院への高度救命救急・災害医療センター設置について(県医師会提案)

現在、県内には3 つの救命救急センター(県立中部病院、県立南部医療センター、浦添総合病院) を整備しており、県内の救急医療提供体制については、23 病院ある2 次救急医療機関と連携して 対応することになっている。県内には高度救命救急センターがないので、沖縄県としても島嶼県 として必要性はあるものと考えている。今後厚労省との打ち合わせを行いながら整備をして行き たい旨の回答であった。

5. 療養病床及び一般病床に係る基準病床数の算定について(県医師会提案)

療養病床及び一般病床に係る基準病床数の算定については、保健医療計画で見直しが予定され ているが、そのようなデータがあがった時点で医師会と話し合いをもって欲しい旨お願いをした。 医務課の計算によると沖縄県では全域で病床過剰のようである。精密な計算ができたときに改め て話し合うことをお願いした。

6. 新型インフルエンザ等対策特別措置法について(県福祉保健部提案)

新型インフルエンザ等の対策で指定地方公共機関の指定や損害補償等に関し進展があったこと が報告された。

7. 医療機関通院中の被保険者に対する特定健診受診勧奨について(県福祉保健部提案)

特定健診受診を通院中の患者さんにも勧めてほしいとの要望がある。これまで健診を受けにき て医療保険で請求するということを避けるために、同日実施等をやってはいけないことになって いたが、特定健診は保険診療との同日実施が認められている。しかし初診料や再診料、その他付 随する加算は、算定できないことになっているが、実際に監査をされたことはないようである。 この辺りに関しては現在調整中で、近日中に指針が出るかもしれない。

8. 第二期医療費適正化計画の策定について(県福祉保健部提案)

第二期医療費適正化計画の策定について協力願いがされた。第二期医療費適正化計画の策定に 向け、医師会から委員としての参画等の協力依頼があった。しかし、医療費適正化計画とは実質 的な医療費削減策であり、今後どのように展開していくのか医師会としても積極的に関与をして いきたいと思う。