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第8 回男女共同参画フォーラムに参加して〜様々な「変わる」がメインテーマ〜

仁井田 りち

沖縄県医師会女性医師部会委員 仁井田 りち


今年の男女共同参画フォーラムは2012 年7 月28 日土曜13 時〜 17 時、富山県の第一ホテ ルで開催されました。沖縄から富山への飛行機 の直行便はなく、東京で乗り継ぎとなりました。 ところが飛行機が遅れ、東京から羽田空港での 乗り継ぎ10 分を切っており係員誘導に従い空 港内を走りながらなんとか富山空港に着くこと でまず達成感。今回一緒に参加した中学時代か らの同級生大湾勤子先生と夕食は日本海のおい しい鯛や魚料理を味わい、久しぶりに楽しい時 間を過ごしました。

フォーラム当日は、全国から320 名の参加 があり、開催担当の富山県医師会の名司会で、 時間厳守でかつ、まとめのしっかりした会が進 行していきました。

一番印象的だったのが、パネルディスカッシ ョンで4 人の先生の「男性が変わる」「働き方 が変わる」「意識が変わる」「組織が変わる」  講演でした。

今回のフォーラムでは9 人の先生が、講演、 挨拶、報告した中、今、思い出すと心に残った のは2 人の現役男性医師と基調講演の渥美由喜 先生の講演でした。

「男性が変わる」埼玉医大脳外科教授 藤巻高 光先生の「医師夫婦二人三脚のコツ」で3 人の 子育てをしながら男性医師の視点で、奥様の小 児科医としてのキャリアも見守りながら歩んだ 半生をアルバムも含めて映画のような展開で伝 えて下さいました。突然ベビーシッターが出勤 できなくなり、東京から長野の実家に2 人の子 供を預けて再び東京に戻り仕事をするというア クシデントがあったり、ベビーシッター探しの 新聞広告を出し面接をしてあえて日本人でなく 外人のシッターを探した経緯、綱渡りの子育ての 苦労をしたあと経験を生かして「働く女医の 夫の会」のHP を立ち上げています。

「組織が変わる」大阪厚生年金病院の名誉院 長の「100 人の医師を増やし、日本一女医の働 きやすい病院を作った」結果、大阪府から救急 病院としての表彰を受け、医業収入もアップし た話をされ「大阪だから出来たのでなく、地方 病院でも、組織のトップ(院長)の考え方次第 で必ず改革はできる」という具体策を交えた下 記の5 箇条を説明されました。「医療現場のワ ークライフバランスを守るためには」1. 子育て 支援制度、2. 短時間正社員制度、3. 主治医制度 の見直し、4. チーム医療やシフト制、5. 地域連 携(地域におけるチーム医療、開業医との連携) 基本的なこの5 つを守り続けた結果大阪厚生年 金病院の清野先生は「うちの病院は、医師不足 に困っていません」とさらりと余裕の発言をさ れました。

「イクメンで行こう!」の著者でもある(株) 東レ経営研究所ダイバーシティ& ワークライ フバランス研究部長、渥美由喜氏は「ナナメの 関係を充実させ、地域でさらなる活躍を」と強 調しタテの関係(親と子、教師と生徒など)で もヨコの関係(友人など)でもない、子どもた ちとガキ大将や近所のおじさんおばさんなど、 地域社会の中の関係がナナメの関係。現代はナ ナメの関係が希薄になっており、これは子ども にとって不幸なことだと思います。子どもにと っては、いろんな大人と関わりを持ったほうが 絶対プラスになる。親にとっても、夫婦2 人だ けで完結するよりは、いろいろな人に関わって もらうという意識改革を提案。

結論として 男性の講演が心に残ったのは、 職場人として、家庭人としてのみでなく、地域 人としての視点で、地域社会の中でしっかりと 役割を果たしている姿でした。医師はけして特 殊な職業ではなく、地域社会に根を下ろし謙虚 に助け合いと絆を深めてきたことで、ライフワ ークバランスに成功した「男性医師」の生の言 葉でした。

今回の男女共同参画フォーラムでの内容は、 医師不足に悩みながらこれまでの考え方を変え られない、男性管理者が聞くべき講演だったと 思います。渥美先生は意識を変えられない男性 を「組織の中の粘土層(粘土の層のおかげで、 その下の水分が吸い取られる。つまり部下が育 たない)」と比喩して会場から爆笑でした。

そして、資料で特に惹きつけられたのが石川 県加賀屋旅館(300 名従業員)の「従業員は家 族、加賀屋は大きな村」として7 階建ての母子 寮の1 階に保育所学童があり、シングルマザー 雇用率が日本一の職場の紹介でした。守られた 環境で客室係のコミュニケーションスキルの高 さ、顧客1 人1 人へのきめ細かい対応、見えな い部分で徹底的な合理化のノウハウは、医療界 も見習うべき心遣いでした。「ナースを含める と各病院で働く人々は7 割以上は女性であり、 病院は女性の職場なのだ」という現実の認識の 下に、「女性の働きやすい職場が病院を支えて いるという」男性医師の意識改革がやはり必要 のようです。

また新しい試みとして膨大なカルテ資料を時 差を利用してインドなどの国でタイプされ書か れ、Email などを使って時間のロスなく電子版 で送り返すというシステム導入というイギリス の例も紹介されました。

成功した病院に学ぶ、成功した企業に学ぶ今 回の富山の会議は、まさに参加者にメインテー マ「変わる」をインパクトした会議でした。


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