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平成24 年度 第1 回都道府県医師会長協議会

宮城信雄

会長 宮城 信雄

去る7 月17 日(火)午後3 時より日本医師 会館において標記会長協議会が開催された。

はじめに、三上裕司常任理事の司会により開 会の辞があり、会次第に沿って議事が進められ、 横倉義武日本医師会長より概ね次のとおり挨拶 があった。

「北部九州大豪雨による被害を受けた福岡県、 大分県、熊本県には心よりお見舞い申し上げる。 また新執行部が立ち上がり3 ヶ月半が経過した が、各都道府県医師会のご支援には感謝申し上 げる。

政治状況は、社会保障・税の一体改革を巡り 混迷の度合いを増している。国民の生活が第一 という新党が立ち上がった、そのような中で日 本医師会は国民の健康を守る専門家集団である 立場を明確にしながら地域医療の再興を目指 し、政府はじめ様々な関係団体へ訴えていくつ もりである。また、今年4 月1 日から診療報 酬・介護報酬の改定があり、その影響について は日本医師会事務局及び日医総研にて調査を行 っているところで詳細な分析の報告が未だであ るが、大きな問題点を残した改定であったこと から、引き続き対応していく所存である。」

引き続き協議に移り、各県から寄せられた 10 題の質問並びに日本医師会から提案された 議題1 題について協議・報告が行われたので概 要について報告する。


協 議

(1)国の「医療イノベーション5 ヶ年戦略」にみる「特区制度の活用」について [ 兵庫県]

<提案要旨(抜粋)>

以前立ち上げた日医の「特区対応委員会」の その後の消息を聞かないが、本件に関する日医 新執行部の意向を改めてお尋ねする。

回答:石川常任理事

医療イノベーション5 ヶ年戦略に掲げられて いる「革新的医薬品・医療機器の創出」、「世界 最先端の医療実現」、「医療イノベーション推進 のための横断的施策」等の個別項目については、 まさに我々も危惧している。引き続き国と地方 の協議会に於いて、複数の規制の特例措置のみ ならず税制、財政、金融上の支援措置等が継続 議論される。様々な特例措置や優遇措置を受け て、一つの事例が作られると医療制度にダブル スタンダードができ瞬く間に全国に広まり、世 界に冠たる我が国の医療制度への蟻の一穴とな り、医療への市場原理の導入などへ向かうこと が懸念される。日医執行部に於いても総合特別 区域における規制の特例措置にかかる国と地方 の協議結果に対する対応を検討している。また 近日中に、PMDA の担当者からヒアリングし、 検討を重ねることとしており、特区制度や規制 改革によって安心・安全な医療が損なわれるこ とがないよう引き続き国に対して積極的に働き かけていく所存である。


(2)医療類似行為による不適正療養費の増 大に関する1)医師の療養同意書ならびに 2)療養費レセプト審査について  [ 宮城県医師会]

<提案要旨(抜粋)>

医療類似行為による適正な療養提供の為に 1)医師の療養費同意書をめぐる不適切な取扱 いについて、2)療養費レセプト審査・監査の 徹底について、今一度、日本医師会の取り組み をお願いしたい。

回答:鈴木邦彦常任理事

医師の同意書をめぐる不適切な取扱の問題に ついては、患者が施術を受けたことにより何ら かの健康被害を生じた場合、ケースによっては 同意を与えた医師の責任を問われかねないとう いうことを考えると、本来施術の同意に当たっ ては、医師の診察の上、医学的所見に基づき判 断されるものであるが、昨今利便性を理由に、 施術の再同意については簡便な方法による同 意を求める施術者が多いということを聞いてい る。これは再同意に関する通知状の規程に実際 に医師から同意を得ていれば、必ずしも同意書 の添付は要しないとあり、これが拡大解釈され 運用されてきていると考えているが過去に申請 の簡略化と取扱われてきた経緯がある。

また、厚労省の関係通知に於いて、同意を求 める医師は原則として当該疾病にかかる主治の 医師とする事とされているにもかかわらず、一 部の施術者による取扱いを軽視した運用がなさ れているという報告も増えている。

こうした状況を踏まえ、平成24 年度の診療 報酬改定では、療養費同意書交付料の留意事項 通知が改正された。原則として当該疾病の主治 の医師が診察に基づき、療養の給付を行うこと が困難であることを認めた患者に対し、按摩・ マッサージ、指圧、はり・きゅうの施術にかか る同意書または診断書を交付した場合に算定で きること、更に各施術の療養費の支給対象疾病 等が改めて示されている。まずはこの点につい て、会員の先生方に十分ご周知をお願いしたい。

2 点目の療養費レセプトの審査については、 社会保障審議会医療保険部会の議論の中で、保 険者を代表する委員からは次々と厳しい意見が 出され、保険者への直接請求の為、審査やトラ ブルを調整する機関がなく、審査事務も非常に 難しく手間がかかる等、審査体制の問題が強く 指摘されている。協会けんぽと健保連から連名 で出された「24 年度療養費改定に当たっての 意見書」では、不正請求を行った施術者、施術 所は一定期間療養費の支給を停止すると言った 保険医療機関と同様の措置を設け、国による指 導監査体制の整備を要請するとともに、指導監 査状況を公開する等の主張が出されている。

今後はこれらの2 つの問題を含め中長期的な 視点に立った療養費の在り方について、医療保 険部会における柔道整復療養費検討専門委員会 及び按摩・マッサージ、指圧、はり・きゅう療 養費検討専門委員会の2 つの専門委員会で幅広 く検討が行われるものと理解している。現在、 医療の動向を注視しながら厚労省等関係省庁と 連携を図りつつ対応していきたい。


(3)特別養護老人ホーム等の医務室の保険 医療機関の指定に関する問題について [ 福岡県医師会]

<提案要旨(抜粋)>

社会福祉法人が運営する特別養護老人ホーム 等の医務室の保険医療機関の指定に関して、(1) 医師以外が保険医療機関の経営者になること (2)課税の公平性問題について日医としてどの ようにお考えか。

回答:高杉敬久常任理事

特養の医務室に関しては、その構造等がすべ ての被保険者に対して開放されている等、必要 な条件を満たす場合には、もともと制度上は保 険医療機関として指定することが可能であった が、閣議決定という経緯により、保険指定に関 して再周知されたことは遺憾である。

1 件目については、特養に入所している方々 の健康管理、医療を優先していただきたいと考 えるが、独占禁止法に抵触しない範囲で地域の 医療体制への配慮は必要と思っている。そのた めには地域医師会と特養の経営者との協議、そ の診療所で勤務する医師の地域医師会への加 入、地域のかかりつけ医機能の下での特養の診 療所の位置づけの検討等といった方策が求めら れるものと考える。

回答:三上祐司常任理事

2 点目について、日医としては、法人税率に 関する税制要望は普通の医療法人については現 行の営利法人と同じ税率ではなく、特例民法法 人と同じく軽減税率にするように、また租税特 定医療法人については公益性の高さから非課税 に、社会医療法人については付帯業務について も社会福祉法人と同じように非課税にするよう 強く求めている。

従って、医療法人の類型ごとに公益性の度合 いに応じた要望になっているので、この要望実 現に向けた理解と協力を賜わりたい。


(4)今年度診療報酬改定における入院基本 料の算定要件となった管理栄養士配置に ついて[ 長崎県医師会]

<提案要旨(抜粋)>

今回の診療報酬の改定により、栄養管理実施 加算が廃止され、入院施設においては管理栄養 士を配置していなければ入院基本料が算定でき なくなった。有床診療所にとって最善の策は、 一刻も早い入院基本料からの管理栄養士の要件 の削除か猶予期間の無期延長だと考えるが、い かがか。

回答:高杉敬久常任理事

6 月6 日に開催された中医協に於いて、有床 診療所における栄養管理体制について、今回の 改定で入院基本料の要件になった栄養管理体制 については有床診療所のデータを把握しないま まに改定を行われたことを指摘し、3 月31 日 時点で、栄養管理実施加算の届出を行っていた 有床診療所で、4 月以降、管理栄養士が離職等 のため要件を満たさなくなった場合は届出によ る三カ月の猶予が設けられているが、二年間は 経過措置を適用すべきだと主張したことを説明 した。

厚労省からは、4 月、5 月の時点で届け出は 行われていない。届け出制度を活用した事例が 出てきた場合どうするかについては相談させ ていただきたい。問題点は認識しているとの答 弁があった。また保険者側の支払い側も次回改 定の課題である認識をしているとの意見があ った。

日医としては、まず有床診療所における管理 栄養士の配置状況を把握するため、6 月に診療 報酬改定についての調査を実施させていただい た。現在集計中ではあるが、結果を持って中医 協で次回の改定の際には元の加算に戻すことを 含め検討していくべきと主張したいと考えてい る。できるだけ、早い段階で次回改定の方向性 を示すことで現場の有床診療所の先生方の混乱 を最小限に食い止めたい。期中改定で元に戻す べきとの意見もあるが、11 点は残して欲しい との意見もありその両立は難しいと思われる。

いずれにしても、現時点では一か所でも届け 出が出ればその時点で、でなければ次回の改定 で対応していきたいと考えている。何卒ご理解 いただきたい。


(5)消費税損税問題に対する今後の日医の 戦略について [ 長崎県医師会]

<提案要旨(抜粋)>

消費税増税問題に対する日医の戦略をお聞か せ願うとともに、我々地域医師会のとるべき行 動をご指導いただきたい。

回答:中山俊男副会長

5 年前に配布した会員向けのパンフレットを リニューアルし、再度配布の準備を進めてい る。更に、これまで国会議員等向けに使用して いるパワーポイントの資料に解説メモを付けて 都道府県医師会へ情報提供するとともに、最新 版を常時日医のホームページのメンバーズルー ム「税制関連資料」に掲載し、会員の先生方に もご覧いただくようにするので、是非ご活用頂 きたい。

また、日医ニュースの記事、会員へのアンケ ートの実施、HP への掲載、都道府県医師会へ の税制担当理事とのメーリングリストにおける 情報提供等、より充実させたいと考えている。 会員の消費税損税問題への理解を深めるために 活用していただきたい。

また、昨年8 月に日本医師会と4 病協共催に よる日比谷公会堂に於いて開催した市民公開セ ミナーでは2,800 名の参加があり非常に大きな 反響があった。地域住民の理解と賛同を広げる ため各都道府県医師会においても同様の取り組 みをご検討いただきたい。

本問題の解決は、基本的に法律事項であるた めロビー活動が必要であり、国会議員の理解が なければ進まない。地域選出の国会議員の理解 が得られるようご支援をお願いしたい。


(6)准看護師教育の存続と養成所に対する 補助継続について [ 茨城県医師会]

<提案要旨(抜粋)>

茨城県をはじめ、多くの県において養成所運 営補助金の削減あるいは廃止という行政方針が 多数報じられている。保健師・助産師・看護師 法で定められている准看護師の養成を中止した り、養成目的の運営費補助金の廃止あるいは削 減は、看護師不足をさらに悪化させる要因とな る。看護師不足の解消が実現可能となるまでの 間、准看護学科の存続を切に願うものであるが 日本医師会の姿勢をお伺いしたい。

回答:藤川謙二常任理事

神奈川県知事が今年の6 月に、県立専門学校 における准看護師の養成停止及び医師会立等の 准看護師養成所に対する補助金の打ち切りを打 ち出したことについて、7 月5 日の定例記者会 見で懸念を表明した。これらの実行には条例や 予算の改正が必要で、議会の議決が必要になる わけだが、現在継続審議扱いになるよう神奈川 県医師会に於いて議会対策をして頂いていると 聞いている。

人口10 万人当たりの看護職員が全国で最下 位である神奈川県に於いて准看護師養成を停止 しようとするのは無謀である。教員の増員や建 物の物理的な問題もあり、全て看護師課程へ変 更できるわけではない。また働きながら学ぶこ ともできなくなり、新卒のみならず社会人で看 護職を希望する人は神奈川県から県外へ流出す ることが懸念される。神奈川県に於いても准看 護師は重要な役割を果たしており、特に療養病 床では准看護師なしでは成り立たないとのこと である。

看護学校の補助金打ち切りは広島県では平成 22 年度の事業仕訳に取り上げられたが県医師 会のご努力により復活できたと聞いている。今 後も全国で財政難などを理由にこのような動き が出てくる可能性はあるが、地域医療を支える 看護職員確保の重要性を丁寧に説明すれば、理 解は得られるものと考えている。

本会としても、准看護師の養成は地域医療に 欠かせない存在であり、各地域で継続して要請 できるよう必要な環境整備を引き続き厚労省に 働きかけていく。


(7)神奈川県の医学部新設に関する諸問題 について [ 神奈川県]

<提案要旨(抜粋)>

医学部新設により医師会として懸念される課 題を踏まえて、「医学部新設」に対する日本医 師会の見解をお尋ねする。

1) 医学部新設に伴い新たに医師の教員確保が 必要になるが、教員の確保により、地域の医療 機関で働く医師が引き上げられることにより、 新たに地域での医療崩壊につながる。

2) 新設により医師が過剰になった場合、新設 した医学部の廃止は難しい。

3) 今以上に人口の偏在が推測される、20 年 後の地域毎の医師数の見込み。

回答:中川俊男常任理事

医学部新設の問題点は、1) 教員確保の為、医 療現場から医師を引き上げざるを得ず、地域医 療崩壊を加速させる、2) 教員が分散し、医学教 育の水準、ひいては医療の質の低下をまねく、 3) 人口減少など社会の変化に対応した医師養成 数の柔軟な見直しを行いにくくなることなどが 挙げられることから、日本医師会としては、地 域の医師不足、医療崩壊を加速させることが危 惧されることにより反対である。

今行わなければならないのは、地域偏在と診 療科間における偏在の解消である。そのために 本会では、(1)医学部教育と初期臨床研修制度 の見直し(2)地域医療の経験を医師のキャリ アアップの要件に加える(3)医療事故調査制 度の創設(4)医師の就業環境整備(特に女性 医師支援)等について現在、解消に向けて検討 を進めているところである。


(8)予防接種法のあり方について  [ 東京都医師会]

<提案要旨(抜粋)>

現在の予防接種法のもとでは、市区町村の財 政状態や医療保健サービスに対する考え方によ って、接種体制や接種率の差が大きく開くばか りである。日本医師会としても7 つのワクチン の定期接種化、財政的な支援だけでなく、予防 接種事業のあり方も含めた予防接種法改定に向 けて国に要望していただきたい。

回答:小森貴常任理事

他の先進諸国から大きく後れている予防接種 事業を更に推進し、接種で防ぐことができる疾 病から国民の健康を守ることは国の責務であ り、このための材料を確保することはもとより、 接種体制の確立も又国の明確な責任のもとに行 われるべきであると認識している。

厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会に 於いては、「予防接種制度の見直しについて(第 二次提言)」の取りまとめの際にも、この考え の下に、「財源の確保が必要」との表現に改めた。

7 ワクチンの定期接種化に関しては、その財 源の調達が重要な課題となっている。予防接種 法改正に於いては国の責務について財源を含め て明確にし、市区町村の財政状況によって予防 接種費用の有無や格差が生じないよう強く継続 して働きかけていく。

現在時限的に行われている3 ワクチンや9 月から切り替えられる不活化ポリオワクチン の例に見られるように、海外からの輸入ワクチ ンの価格は極めて高価となっている。すべての 国民が負担なく広く予防接種を受けられるた めにはワクチン価格の適正化も喫緊の課題と 考えている。

第二次提言に盛り込まれた予防接種に関する 評価検討組織を適切に運用し、国に継続的また 系統的に提言するシステムの構築、国内でのワ クチン研究、開発、製造の促進等、多角的な視 点からワクチンギャップを埋める世策の実現を 粘り強く交渉していく所存である。引き続きご 理解と強いご協力を改めてお願いしたい。


(9)医業税制等について [ 埼玉県医師会]

<提案要旨(抜粋)>

(1)有識者から成る社会保障制度改革国民会 議に、日医から委員として参加することになる と考えられるが、どの様な主張をされるのか。 (2)医療機関の消費税についても、8%の段階 から課税とし軽減税率、ゼロ税率とする事を検 討すべきであると考えるが如何か。(3)中医協 の「医療機関等における消費税負担に関する分 科会」において診療報酬で手当てするのではな く軽減税率、ゼロ税率の議論に入れないのか。 (4)事業税特例措置・四段階制と消費税との関 係について日医の見解をお伺いしたい。

回答:三上裕司常任理事

(1)については、日医が地域医療の代表と して国民会議の委員になれるよう働きかけてい る。患者の一部負担が引き上げられたり、受 診時定額負担の提案が復活することがないよう に、また地域の実情を踏まえて地域密着型の医 療提供体制の構築を基軸として、国民が安心で きる医療介護保険制度の将来像構築に取り組む べきであると強く主張して参りたい。

(2)については、厚労省が医療機関の消費税 負担について検証する場を設けることになった ことは、ようやく政府が医療における消費税問 題を解決すべき課題として明確に認識したこと であり、一定の評価ができる。しかし、非課税 制度の枠内での改善に現在とどまっており、日 医としては引き続き抜本的解決を求めていると ころである。

(3)については、3 党合意を受けた増税法案 の修正により、8%での段階での複数税率の導 入の可能性もある一方、控除対象外の問題に関 する条文には修正がなかったということで、複 数税率が検討課題に入ったことにより、どのよ うな影響が起こるかは現在不明である。いずれ に対しても、日医はできるだけ早期課税制度に 改めるよう要望していくので、8%段階でその 可能性があるということであれば、当然その実 現を求めていく。現行制度は、医療機関の消費 税負担問題の次元とは別に支払い側にとっては 非課税と言っても患者、被保険者、事業主は消 費税負担を負わされていることで、更に税率引 き上げがそうした負担の増加を自動的にもたら すという点では支払い側にとっても不透明な仕 組みとして、解決すべきと認識されているよう である。このことは支払い側が診療報酬改定の 都度、患者負担増、保険料負担増、事業主負担 増に反対するということを主張し、社会保障・ 税一体改革についても同様の主張を展開してい るので当然のことだと思う。

(4)に関して、日医としては中医協消費税 分科会での検証と並行し政府税調においても 控除対象外消費税問題の検討会を設置するよ う求めている。事業税の特例措置の段階税制の 関係の質問について、仕入税額控除を可能にす るためにやむなく課税制度を要望していると ころで、課税することが医療の公平・公共性に はならないと考えている。事業税の特例措置4 段階税制はそれぞれの根拠或いは政策目的に より創設され、継続されてきた経緯がある。こ れは控除対象外消費税問題と関連するもので はないと考える。むしろ消費税とは関係なく、 今まで廃止或いは縮減のプレッシャーを受け てきたわけである。事業税について、消費税は 国税、財務省の所管で財サービスの取引から生 じる付加価値に対する税であるのに対し、事業 税は総務省の所管で、地方税で行政サービスか らうける利益の対価としての税である。それぞ れの税の所管庁や性格が異なることから、消費 税問題と事業税の措置等存続の相互の関連性 はないと考えている。

事業税の非課税措置についても、社会保険診 療報酬が消費税非課税の現在であっても総務 省や全国知事会がその廃止を強く主張し、政府 税調でも極めて緊迫した情勢であるが、消費税 の問題と直接因果関係はないと主張していき たい。

また4 段階税制については、小規模や高齢の 医師による診療所を支え、或いはひいては地域 医療を支えることを政策目的とした制度で、消 費税が課税になってもこのような診療所は一定 の関税方が必要であり、消費税の要望との齟齬 はないと考えている。

日医は医療法実現に向けて、病院団体をはじ め全ての医療関係者及び団体と共同して働きか けを強化している。


(10)警察医・検案医の組織化について  [ 岩手県医師会]

<提案要旨(抜粋)>

日本医師会の、広域に亘る大規模災害を想定 した場合の検案医の派遣体制や警察との協力体 制の構築について進捗状況を伺いたい。

回答:高杉常任理事

今年の3 月には各都道府県医師会に検案関連 の業務を担当する役員と事務局担当者のご記名 をお願いしたところである。日医では役員業務 分掌内に、検案を明示、私と今村副会長が担当 している。

具体的な検案体制の構築については、警察庁 刑事局検死担当部署との間で本格的な協議開始 のための打ち合わせを進めている。その中では 日医とともに日本法医学会、日本歯科医師会、 日本警察医会等、検案業務、身元確認を担当す る関係団体がまとまって協議をする必要がある こと、広域大規模災害の場合、応援に行く出発 地の医師会と警察本部、歯科医師会の密接的な 連携が効果的であること、警察省、日本医師会 を中心とした指揮系統を明確にするべきなどと の考え方を提示している。

一方で、検案を担当する医師の組織化も重要 な課題である。日本警察医会は全国を網羅する 組織とはなっていない。現在、日本警察医会の 組織強化に向けた会合が日本医師会との間でた びたび開かれている。そのなかで、日本医師会 の関与について実務的な段階の検討に入ってい るところである。日本医師会としても今年度は 連携強化の一環として日本警察医会等の団体と ともに、死体検案に関する研修会の開催等を計 画しているところである。

大災害に備え、検案体制の整備、構築は喫緊 の課題であり、関係機関との連絡協議を深めて いくとともに、警察医、検案医の組織の全国化 の課題も強力に推し進めて参りたい。


(11)公益社団法人への移行認定申請及びそ れに伴う定款・諸規定変更について  [ 日本医師会]

日本医師会は、平成25 年4 月1 日より新た な公益社団法人への移行認定に向けて、鋭意準 備に取り組んでいるが、公益社団法人として認 定されるためには18 ある公益認定基準を満た すことと、新公益法人制度に合致した定款変更 が必要になる。

公益認定基準の主なものとして、財務に関す る裁量権等があるが、医師年金が公益目的事業 と認められる見通しとなったことを受け、現時 点ではいずれもクリアしていると判断してい る。現在は医師賠償責任保険事業を公益目的事 業として正式な確認を得られるよう、内閣府公 益等認定検討委員会事務局と交渉中である。

また定款変更については、日本医師会では本 年1 月に定款諸規定改定検討委員会より、公益 社団法人移行後の定款諸規定変更案を答申頂い た。定款諸規定変更案の答申を受け、7 月10 日の第11 回常任理事会、本日開催の第5 回理 事会において審議・承認された。

この内容を持って、10 月28 日開催の第127 回日本医師会臨時代議員会並びに同日開催の第 71 回日本医師会臨時総会へ議題として上程す る予定であるのでご参考までにお知らせする。

その他

小森常任理事より、「女性医師支援センター 事業ブロック別会議開催について」、以下の通 り協力依頼があった。

日本医師会女性医師支援センター事業では、 女性医師支援センター事業ブロック別会議を 開催しているところである。今年度も各ブロッ クの担当医師会宛に開催依頼をしているが、ブ ロック別にそれぞれの担当医師会があり、セン ター事業ブロック別会議の担当については、本 会の女性医師支援委員会委員が在籍する都道 府県医師会にお願いしている。女性医師バンク のコーディネーターが都道府県医師会の役員 をしている場合にはあまり齟齬はないようで あるが、役員でない場合に、都道府県医師会と の連絡が充分に行っていないと内部の声があ る。この機会にあらためて都道府県医師会にお 願いしたい。

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