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平成23年度 第6回 沖縄県・沖縄県医師会連絡会議

安里哲好

副会長 安里 哲好

去る3 月26 日(月)、県庁3 階第3 会議室 において標記連絡会議が行われたので以下のと おり報告する。

議 題

1.平成25年度「沖縄県保健医療計画」における基準病床に関する調査について
(提案者:沖縄県医師会)

<提案要旨>

平成25 年度「沖縄県保健医療計画」につい ては、平成24 年度中の見直しに向けて、5 疾 病5 事業と在宅医療についての「沖縄県医療機 能調査」のための調査票作成が進みつつある。

保健医療計画のもう一つの役割である「基準 病床数」に関しては、病院及び診療所の一般病 床と療養病床をあわせて2 次保健医療圏ごとに 定めるとなっている。2 次保健医療圏ごとの「基 準病床数」に関する調査・検討をどの様に進め ていく予定か、ご教示いただきたい。

前回の平成19 年度は、分析が不十分な状況 下で、かつ年度のぎりぎりの時期に厚労省の計 算式より算出された「基準病床数」が提示され、 充分に検討される間もなく承認されたきらいが あった感がする。平成24 年度は早い時期に、 2 次保健医療圏ごとの「基準病床数」のデータ 収集を行い、充分な分析・検討がなされること を要望する。

<医務課回答>

平成25 年4 月施行予定の新たな沖縄県保健 医療計画については、平成24 年度に見直し作 業を行うこととしており、基準病床数の見直し についても、国の示す全国統一の算定式により 算定し、新たに基準病床数を設定することとしている。

算定式に用いる数値は、国の人口動態調査や 沖縄県医療機能調査等によりデータ収集を行 うこととしており、今後、国から算定式が示された段階で、早い時期に基準病床数を算出していく。

○主な意見交換は以下の通り

県医師会:在院日数が短くなると病床数が少な く設定されるとのことだが、本県は在院日数は 短くどの病院も満床状態である。

県医師会:平成16 年の改正から全医療圏で病 床過剰となっているので、基準病床が増えるこ とはない。国は当然、病床数を抑えてくるはず である。しかし、現状と合致するかというと、 全国ではたらい回しがあっても基準病床を改正 することはない。現状と合わない時に特例病床 という概念があり、微調整はこれから進めてい くことである。基準病床の計算式は沖縄独自の ものではなく、全国統一されたもので沖縄だけ 特別変えるということはできない。

県福祉保健部:次期医療計画では、在宅医療の 推進があげられている。診療所の病床が48 時 間規制の撤廃に伴い、基準病床にカウントされ ている。周産期と在宅を担う診療所は基準病床 に関係なく増床が可能である。診療所の病床の あり方について、今後、県医師会と議論していきたい。

2.地域医療再生計画の進捗状況について(提案者:沖縄県医師会)

<提案要旨>

平成22 年から実施されている沖縄県地域医 療再生計画について、各事業の進捗状況や予算 の執行額・執行率等をご教示いただきたい。

特に下記事業についての詳細な状況をご教示いただきたい。

事業名:離島・へき地診療所等の医療機器等整備

事業概要:離島・へき地診療所に妊婦管理のための胎児モニター等の医療機器を整備することにより、離島・へき地診療所等の医師等の円滑な診療実施を支援する。

なお、地域医療再生計画の進捗状況や予算の 執行状況については、定期的に報告いただくよ うお願いしたい。

<医務課回答>

1.地域医療再生計画の進捗状況について

地域医療再生計画は、宮古・八重山及び北部 保健医療圏を対象とした一次計画(平成22 〜 25 年度;基金額50 億円)と、沖縄県全体(三 次医療圏)を対象とした二次計画(平成23 〜 25 年度;基金額21 億6,849 万7 千円)がある。

(1)一次計画の進捗状況について

平成23 年12 月26 日に厚生労働省に進捗状 況を報告したが、沖縄県の平成23 年度末の執 行予定額は25 億714 万7 千円(宮古・八重山 6 億7,258 万8 千円、北部18 億3,455 万9 千円) で、執行率は50.1%(全国の執行率35.7%) となっている。

(2)一次計画の軽微な変更について

計画作成時から2 年経過し、新たな医療課題、 行政需要が生じており、執行残等の財源を活用 して、一次計画の目的に合致する新規需要に対 応する必要があるため、県では計画の変更の手 続きを進めている。執行残等を活用した新規事 業は、「臨床研修医確保対策合同説明会参加モ デル事業」等となっており、平成24 年度以降 実施する準備をしている。

これら新規事業の追加は、厚労省の基準によ る「地域医療再生計画の主旨に合致する2 億円 以下の新たな事業への取り組み」に該当するも ので、軽微な変更にあたるものである。

県では、関係団体から新規事業案を募り、軽 微な変更を調整してきたが、平成24 年3 月30 日(金)に開催予定の沖縄県保健医療協議会で 意見を聴取の上、最終決定する予定である。

(3)二次計画の進捗状況について

平成23 年度末の執行予定額は2 億5,635 万1 千円で、執行率は11.8%となっている。

2.離島・へき地診療所等の医療機器等整備について

当該事業は、一次の当初計画の事業費1 億4,900 万円のうち、健康増進課所管分が3,163 万1 千円、医務課所管分が1 億1,736 万9 千円 で、執行状況は以下の表のとおり。

3.地域医療再生計画の進捗状況や予算の執行状況の報告について

県では、沖縄県保健医療協議会に地域医療再 生計画の進捗状況を報告することにしており、 平成22 年度は平成23 年3 月28 日の開催時に報告した。

平成23 年度は平成24 年3 月30 日に開催し、報告する予定にしている。

関係団体等から進捗状況の報告等の依頼があ れば、随時対応したいと考えている。今後、県 医師会に対しては県・県医師会連絡会議におい て定期的に、加えて、依頼があればその際に報 告または資料提供したいと考えている。

○主な意見交換は以下の通り。

県医師会:自宅等にいながら、超音波モニター を当てて、それを主治医(看護師等)が判断す る遠隔システムの導入を検討いただきたい。地域の医師不足(産科医)を支援するシステムである。

県医師会:責任の所在等の問題もあるので、モデルケースを作って進めてみては如何か。

県福祉保健部:専門医の巡回検診等で実際に産婦人科医にみせてはどうか。

県医師会:地域医療再生基金が出来た背景は、 医療費を10 年間削減してきた結果、地域の医 療が崩壊した。本来、診療報酬を上げることで 対応を図るべきところ、代わりに再生基金を創 設した。地域医療再生に関連するものであれば、 自由に使えるものでなければならない。

3.中部医療圏の救急告示病院の一般病床の不足について(提案者:沖縄県医師会)

<提案要旨>

平成22 年度の人口割合でみた県内二次医療 圏毎の救急告示病院の一般病床数は、南部医療 圏が人口10 万人当たりで541 床、中部地区は 325 床、北部地区は518 床、宮古地区は467 床、 八重山地区は444 床となっている。中部地区は最も少なく、南部地区の60%、北部地区の 62%にすぎない。中部地区は県立中部病院が断 らない救急を実践し文化とした地域である。平 均在院日数を10 日まで短縮させ、病床利用率 を104%まで引き上げ、後方病院と連携しなが ら頑張ってきた経緯がある。

“断らない救急” は一見して良く機能してい るように見えるが、105%を超えないように、 観察室や廊下を使った医療が行われているにす ぎない。そうした医療は安全な医療を提供する という観点から見ても危険極まりなく、数年前 からベッドの確保が困難な時は救急車を断らざ るを得ない事態が発生している。県立中部病院 が10 月から50 床稼働するが、現状では焼け 石に水である。

また災害医療の対応が問われている昨今、平 時における慢性的な満床状態で、災害時に機能 するのか。この点も踏まえて、中部医療圏の救 急医療が崩壊する前に、他の二次医療圏並みに 人口10 万人当たり500 床を目標とし、医療提 供体制を構築して頂きたい。

これは中部医療圏に住む患者さんが平等に医 療を受ける権利でもあると考えるが、救急医療提 供体制にかかる県の考えは如何か。

<医務課回答>

ここ数年、県内の救急搬送患者が急増する傾 向が見受けられることから、県においては昨年 から県内救急告示病院の救急患者受け入れ状況 や病床利用率等の緊急調査を行い、指摘いただ いている中部医療圏の急患受入が逼迫している 状況についても確認したところである。

県内においては、特に中・南部医療圏におけ る救急患者搬送数の増加が顕著であり、救急告 示病院での病床確保の困難性が高まっている反 面、救急告示病院になり得る医療機関の増加が 見込めず、現状では救急病床の増加が見込めな い状況にある。

県としてはこのような状況を踏まえ、次のような対応策を検討している。

・引き続き、救急告示病院の適正受診等の普及啓発
・地域医療連携事業等を実施し、既存病床の有効活用の推進
・救急告示病院の増床について特例病床として増床検討

なお、特例病床については、現在、厚生労働省と検討を進めているところである。

○主な意見交換は以下の通り。

県福祉保健部:現状をどう提示するか、現在資 料収集をしているところである。本来、特例病 床については半年から1 年かけて調整を行っ ているが、早急に国との協議を行うこととしている。

県医師会:本来、救急医療に関しても保健医療 計画に基づいて行うべきだが、そこで問題が出 るのであれば、計画をきちんと見直すべきであ る。現状に合わせて早急に検討していただきた い。特例病床は、あくまで微調整に過ぎない。 過去に病院自体を特例で認められた背景がある ので、きちんと医療計画を見直し、特例のあり 方を認識すべきである。

4.琉球大学医学部附属病院の再整備計画におけるがん医療病床増床計画について
(提案者:沖縄県医師会)

<提案要旨>

琉球大学医学部附属病院(以下、琉大病院) は昭和59 年に現在地西原町に新築移転したが、 それから30 年余りが経過したため、老朽化し、 診療に支障が生じてきている。文部科学省から も、再整備計画を立てるようにとの指導があり、 平成26 年度の概算要求を行うべく、鋭意計画 案を練ってきたが、10 年後の沖縄県の医療事 情も考慮し、救急医療とがん診療については現 在よりも高機能の病院を目指す計画案を作成し たところである。

がん医療については、5 年10 年先を考えて みると、がん罹患者の増加、特に心疾患や脳卒 中など他の疾患に罹患している高齢がん罹患者 の増加が予想され、がん治療の主体が手術から、放射線治療、抗がん剤治療、免疫療法にシフト していくことが予想されている。また、がん治 療後患者に対する緩和ケアのニーズも増加する であろう。

このような状況に鑑み、琉大病院としては、 がんの集学的治療病床と緩和ケア病床を新設す ることを考えている。琉大病院はこれらの専門 家の人的資源を蓄積しており、県民のがん医療 のニーズに応えるべく、この発想に至ったのは、 当然のことと思われる。

琉大病院は現在600 床であるが、集学的治 療病床を20 床、緩和ケア病床を15 床作るこ とを考えており、前者の10 床と緩和ケア病床 については計25 床の特例病床としての増床を お願いしたいと考えている。

琉大病院は、平成20 年2 月に沖縄県がん診 療拠点病院に指定されて以来、がん診療の均て ん化、高度化に絶え間ない努力を続けている。 今後の沖縄県の医療計画で、がん診療における 県内各病院の役割分担が明確化していく中、先 んじてこれらの病床を作っておくことは、県内 のがん診療の進歩に繋がると確信している。

そこで、沖縄県のがん診療に対する考え方、 琉大病院にがんの集学的治療病床と緩和ケア病 床を増床することについての考えをご教示願う。

<医務課回答>

本県のがん医療提供体制については、沖縄県 保健医療計画に基づき、がん診療連携拠点病院 を中心として、専門的がん診療機関、標準的が ん診療機関、緩和ケアを行う機関などによる連 携体制を構築し、有効な治療法を切れ目なく提 供していくこととしている。

県では、平成25 年4 月からの新たな沖縄県 保健医療計画の施行に向けて、医療機能調査及 び国保レセプト調査を実施することとしてお り、現状及び今後の課題を抽出し、平成24 年 度にがん医療提供体制の見直しについて検討していく。

国立大学法人の増床については、国が許認可権限を持っており、琉球大学医学部附属病院の増床については、国との協議を進める必要がある。

県としては、病院と国との協議の状況を踏まえながら必要な対応を行っていく。

○主な意見交換は以下の通り

県福祉保健部:琉大の状況や県全体の状況を提 示いただき、県と大学が一緒に取り組みを行いな がら、厚労省と調整を図っていきたい。必要があ れば県も意見書等の文書による対応を行いたい。

5.高齢者虐待防止対策に係る医療機関との連携について
(提案者:沖縄県福祉保健部)

<提案要旨>

高齢者虐待防止件数が全国的に増加する中、 本県においても高齢者虐待は増加傾向にあり、 防止対策を推進する上で、関係機関の連携強化 が課題となっている。

特に、医療機関については、虐待の早期発見・ 早期対応・未然防止を図る上で重要な役割を果 たしていただいているものと考えている。

現在、県内23 市町村では「高齢者虐待防止 ネットワーク」を構築し、地域包括支援センタ ーを中心に関係機関との連携を進めており、そ の多くには地域の医療機関や医師会などにも参 加いただいている。

今般、県が開催した「沖縄県高齢者虐待防止 連絡会議」において、名護市の虐待防止ネット ワークの取り組みについて、北部地区医師会病 院や県立北部病院との連携は取れてきているも のの民間病院との連携が進んでいないとの報告 があった。

虐待の防止対策を進めるためには、地域のか かりつけ医も含めた医療機関との地域包括支援 センターとの更なる連携が必要と考えるが、連 携を進める上での課題や必要な対策等につい て、県医師会のご意見を伺いたい。

<県医師会回答>

本会では、現在、高齢者虐待防止に有効な手段が無く、特に取り組みは行っていない。

沖縄県高齢者虐待防止連絡会議において報告 された各自治体や各団体の取り組みを参考に、 今後、医療機関でどこまで対応が可能か検討す るとともに、各関係機関の取り組みに対し医師 会として協力していきたい。

小児は医療機関で虐待の兆候を見つけた場合 通報することになっている。高齢者についても 同様に通報する形が良いかどうか、法的な部分 も含め確認検討したい。

○主な意見交換は以下の通り

県福祉保健部:名護市では、高齢者虐待防止に 係る取り組みとして、地域包括支援センターを中 心に、県立北部病院や北部地区医師会病院、宮里 病院等の医療機関や、警察・消防また弁護士等と の連携協力体制を整備し、虐待対応の総合的な評 価や取り組みを行っているところである。

今後とも、診療を通して高齢者の不審な怪我 やあざ等の状況把握及び情報提供についてご協 力いただくとともに、各地域における高齢者虐 待に係る連携協力体制の整備等についてもご協 力をいただきたい。

6.認知症サポート医の養成に係る協力依頼について(提案者:沖縄県福祉保健部)

<提案要旨>

本県においては、高齢者の約17%(約6 人 に1 人)に何らかの認知症の症状が見られる状 況であり、その人数も増加傾向にある。

県では、認知症の地域医療支援として認知症 サポート医の養成、かかりつけ医認知症対応力 向上研修に取り組んでいる。

このうち認知症サポート医については、県に おいて毎年度2 人ずつ、平成23 年度現在で10 人を養成し、かかりつけ医への助言や地域包括 支援センターとの連携推進等にご尽力いただい ているところだが、診療業務との両立の困難さ などの課題があり、養成数の増を図る必要があ ると考えている。

県では、地域における認知症サポート医の活動支援や養成数の増を図るためには、それぞれ の地域での認知症の診断・治療等に係る実情を 把握されている地区医師会の協力を得ることが 効果的であると考えており、下記について協力 依頼を行うことを検討しているが、このことに ついて県医師会のご意見を伺いたい。

(依頼検討事項)

「県の取り組みと並行して、地区医師会においても認知症サポート医を養成することについて」

<県医師会回答>

認知症に対応するための医師の養成について は、本県において緊要な課題であると認識して いるが、認知症サポート医養成研修には2 日間 を要し、日常診療の多忙な医師にとっては参加 が難しく、本会においても参加いただく医師の 選定に苦慮している状況である。

現在、本県には10 名の認知症サポート医が養 成されていることから、今後は、認知症対応力向 上のための研修を、地区医師会単位で行う等、県 内での研修により力を入れるべきと考える。

○主な意見交換は以下の通り

県医師会:地区医師会において認知症サポート 医を養成することについては、県で予算化をし た上で対応いただきたい。

自殺対策は、地区毎に対応が図られている。 認知症対策についても同様に地区毎の対応を検 討していただきたい。

しかし、研修会を開催しても、毎回参加者が 同じメンバーになってしまう等の課題もあり、 その為の対応も検討する必要がある。

また、認知症疾患医療センターの設置についても検討していく必要があると考える。

県福祉保健部:地区医師会等と連携を図り、対応について検討していきたい。

7.東日本大震災の被災者にかかる一部負担金の取扱いの変更について
(提案者:沖縄県福祉保健部)

<提案要旨>

○平成24 年2 月29 日までとされていた東日 本大震災の被災者にかかる一部負担金の減免 については、平成24 年3 月1 日以降も延長となった。

○福島原発事故に伴う警戒区域等の全ての住民 の方については、平成25 年2 月28 日まで、 東日本大震災による被災区域の住民の方で、 国民健康保険制度、後期高齢者医療制度、全 国健康保険協会の被保険者については、平成 24 年9 月30 日まで、医療機関等の窓口で免 除証明書を提示することにより一部負担金が 免除となる。(震災発生後、他市町村へ転出した方を含む。)

○国民健康保険、後期高齢者医療制度、全国健 康保険協会の被保険者については、免除証明 書の有効期限が平成24 年2 月29 日までと 記載されている場合でも、引き続き使用することができる。

○県では、被災者受入対策チームを通し、被災 者の方々に対し、情報を提供しているところである。

○加入する医療保険により取扱いが異なるもの であり、各医療機関に周知を図っていただき、 被災者にかかる一部負担金の取扱いが適切に 行われるようご協力をお願いする。

8.外来診療における高額療養費の現物給付の導入について
(提案者:沖縄県福祉保健部)

<提案要旨>

○平成24 年度4 月1 日から、従来の入院医療 に加え、外来診療についても、現物給付制度が導入される。

○同一医療機関で同一月の窓口負担が事項負担 限度額を超え、高額となった場合は、限度額 適用認定証等を提示することにより、窓口で の支払いが自己負担限度額までとなる。

○窓口支払いの自己負担限度額は所得により異 なるため、所得区分を確認するため、窓口で、 下記の証明証を提示していただくことが必要である。

○県、市町村では、広報誌等で周知を図っているところである。

○各医療機関においても、制度の周知を図って いただき、外来における現物給付の円滑な実 施について協力をお願いする。

※平成24 年3 月31 日以前に交付された限度額適用認定証又は限度額適用・標準負担減額認定証も、認定証等に記載されている有効期限まで、使用可能です。

9.平成24 年度市町村国民健康保険被保険者証について
(提案者:沖縄県福祉保健部)

<提案要旨>

○沖縄県における市町村国民健康保険被保険者 証(国民健康保険被保険者証、退職被保険者 証)については、保険者証の更新忘れを防ぐ 観点から、これまで全県統一で、毎年色を変 えて交付してきたところである。

○平成24 年度の被保険者証は、銀鼠色として、 沖縄県国民健康保険団体連合会から各市町村 に対し、事前に周知が行われたところではあ るが、豊見城市、宮古島市においては、平成 24 年度の被保険者証を23 年度と同じ空色で 交付している。

○被保険者証の色については根拠規定はなく、空色の被保険者証も、問題なく使用することができる。

○しかしながら、これまで、慣例として、被保 険者証の色については、県内41 市町村で統 一的な取扱いをしてきたことや、平成24 年 度の国保の被保険者証は銀鼠色として、テレ ビ、ラジオ、ポスター等を活用し広報を行っ ていることから、被保険者証の色に関する問 い合わせが、既に被保険者から市町村等に寄 せられている。

○また、医師会等関係機関に対しても、国保連 合会から24 年度の市町村国保の被保険者証 は銀鼠色との説明を行ってきたところであ り、豊見城市、宮古島市の被保険者証の色に ついては、再度周知を図る必要がある。

○今後、関係機関に対しましては、国保連合会 から文書で通知を行うこととしているが、医 師会においても、各医療機関に周知を図っていただき、患者からの問い合わせ等に対し適 切に対応していただくようお願いする。

上記の協議題7、8、9 については、県より一括して報告が行われた。

○主な意見交換は以下の通り

県福祉保健部:東日本大震災被災者にかかる一 部負担金の取扱い、外来診療における高額療養 費現物給付の導入、及び平成24 年度市町村国 保被保険者証の切替について、医師会からも各 医療機関に対し周知をお願いしたい。

県医師会:国や県、及び日医を始めとする各関 係団体からの通知等は、取り纏めて毎月発刊し ている県医師会報付録、並びに本会ホームペー ジへ掲載し、会員並びに各関係団体へ周知を図 っている。今回の提案事項の件についても同様 に周知徹底を図りたい。

印象記

副会長 安里 哲好

平成23 年度の最後の会議は3 月末に行われ、9 議題が提案され、年度末の儀礼的挨拶に止まる と言うことには成らなかった。当会から4 議題と、福祉保健部から2 議題と3 項目についての協 力依頼があった。

議題1.「平成25 年度『沖縄県保健医療計画』における基準病床に関する調査について」は、 平成24 年度の早い時期に「基準病床数」のデータ収集を行い、充分な分析・検討がなされるこ とを要望した。全国の病床利用率は70%、平均在院日数は17.8 日と沖縄県の救急告示病院の病 床利用率は95 〜 104%、平均在院日数は9 〜 14 日と極端な違いをどのように解釈して行くのか。 おそらく、新規入院患者は他府県に比べ2 倍以上で、すなわち2 倍忙しく回転していることを示 している。保健医療計画は地域の医療現場に沿った改善や対策がなされるのが望ましいと日医は 強く訴えているし、国もそれを求めている。

議題2.「地域医療再生計画の進捗状況について」は、一次計画の進捗状況は執行率50.1%(全 国の執行率35.7%)で、執行されてない事業の一部の費用を他の目的に使用する予定との事(一 次計画の軽微な変更)と述べていた。事業内容について、当事者同士の検討がなされておらず、また、 医療現場の事業者が事業の趣旨を理解せず或いは全く知らされていないのが現状でなかろうかと 危惧する。ちなみに、一次計画における「IT を活用した地域医療連携システムの構築」の事業者 は沖縄県病院事業局と北部地区医師会となっている。予算が3 億7,500 万円の内、2 億9,500 万 円は県立北部病院の電子カルテ導入に充当(現場の自助努力で比較的安価で導入されている)し、残りは県立北部病院・北部地区医師会病院・地域の医療機関・診療所等における医療連携に使用 することになっていたが、おそらく事業者間の話し合いや了解も無く、軽微な変更の事業のため に没収されているようである。早々に問題を提起し、その改善が望まれる。

議題3.「中部医療圏の救急告示病院の一般病床の不足について」は、中部地区医師会からの提 案で、中部医療圏では救急告示病院の一般病床が極端に不足している現状を数字と図で持って報 告し、福祉保健部の考えについて伺った。対応策は文中の医務課回答を参照頂きたい。

議題4.「琉球大学医学部附属病院の再整備計画におけるがん医療病床増床計画について」は琉 球大学医学部附属病院よりの提案で、がんの集学的治療病床10 床と緩和ケア病床15 床の特例病 床の増床についてである。福祉保健部は平成24 年度にがん医療提供体制の見直しについて検討し て行くと同時に、琉球大学医学部附属病院の増床については、国が許認可権限を持っており、病 院と国との協議を踏まえながら必要な対策を一緒に行っていきたいと述べていた。

議題5.「高齢者虐待防止対策に係る医療機関との連携について」は、県医師会は特に取り組み は行っておらず、各自治体や各団体の取り組みを参考に、医療機関がどこまで対応が可能かを検 討するとともに、各関係機関の取り組みに対し県医師会として協力して行きたいと述べた。

議題6.「認知症サポート医の養成に係る協力依頼について」は、福祉保健部より、認知症サポ ート医の育成に際し、地区医師会の協力についての意見を求められた。本会では、認知症サポー ト医養成研修には2 日間を要し、医師の選定に苦慮している現状である。すでに10 名の認知症 サポート医が養成されているが、今後は県の予算化の下で、各地区医師会で認知症サポート医の 養成や対応能力の向上のための研修が望まれ、かつ認知症対策は地区ごとの対応を検討していた だきたいと要望した。

議題7.「東日本大震災の被災者にかかる一部負担金の取扱いの変更について」、議題8.「外来 診療における高額療養費の現物給付の導入について」と議題9.「平成24 年度市町村国民健康保 険被保険者証について」は福祉保健部より一括して説明と協力依頼があった。本会では国や県お よび日医をはじめとする各団体からの通知等を取り纏め、毎月発刊している県医師会報付録、並 びに本会ホームページへ掲載し、会員並びに各関係団体へ周知を図っており、今回の提案事項の 件についても同様な周知を図りたいと述べた。

小生は平成19 年度から5 年間、沖縄県(福祉保健部・病院事業局)と県医師会との連絡会議 を担当して来た。その間、各地区医師会、県立病院、琉大病院そして県医師会の理事者や県立看 護大学等よりの多方面にわたる多くの要望や課題が提案され、沖縄の保健・医療・介護・福祉の 現状と近未来について、県行政と共に話し合い検討し、可能な限りの改善を進めて来た。今後も 医療現場の要望をくみ取り、地域医療の現場に沿った改善を推進して行く県医師会でありたいと 強く願っている。