沖縄県医師会 > 沖縄県医師会の活動 > 医師会報 > 5月号

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編集後記

本号のトピックスは1)日本医師会長に横倉義 武氏が当選−第126 回日本医師会定例代議員 会−(宮城信雄会長)、2)女性医師支援事業連 絡協議会(沖縄県医師会女性医師部会 松原忍 委員)、3)県民健康フォーラム「誰も教 えてく れないタバコの真実」(玉井修理事)、4)地区医 師会役員決定です。1)と4)については記事をご 覧下さい。

巻頭に小渡敬前副会長、大山朝賢前常任理事、 當銘正彦前理事の退任のご挨拶が記載されてい ます。各々10 年間、9 年間、4 年間ご苦労様で した。広報委員もやっと慣れてきたと思ったら 2 年の任期が終了いたしました。前回の医師会 館建設検討委員会(平成18 〜 20 年)の時も委 員になって始めて医師会の仕事を少し理解した ような次第です。病院、開業の先生方もお忙し い時間を割いて医師会活動をされていることに は頭が下がります。原稿作成中に北朝鮮がミサ イルの打ち上げに失敗しました。韓国でさえも 成功していない人工衛星(ミサイル?)の打ち 上げ失敗は予測されていましたが、問題は日本 の緊急連絡体制の不備です。発射前には政府に よるJ-ALERT、Em-Net による迅速な連絡が 報道されていましたが、結局どちらも機能せず 打ち上げ失敗は政府の報道よりもネットの情報 が先行しました。昨年の原発事故でSPEEDI(緊 急時迅速放射能影響予測ネットワークシステ ム)が全く役に立たず、今になっても情報をす べて公開してはいません。SPEEDI の情報が 速やかに公開されていれば、わざわざ放射能が 高い地域に向かって避難した人はいなかったは ずです。今回の北朝鮮のミサイル発射も防衛省 大臣が報告するまで46 分かかっています。ダ ブルチェックに時間を要したとの弁ですが、着 弾してから警報を発しても意味がありません。 優れたシステムを持っていても運用する人が無 能だと宝の持ち腐れになる良い例です。早急に 日本の危機管理を見直す必要があります。

さて、今回の表紙を鮮やかに飾ったButchart gardens はgardens で表記されるようにいくつ もの庭で構成されており、一日で見きれないほ どの大庭園です。Vancouver, Seattle に行く機会があれば是非訪れてください。一見の価値は あります。琉球大学医学部の女性の比率は現在 の5 年生が33%、6 年生が40%を占め、女医 の復職や勤務の継続のための環境整備は女医ば かりでなく医療全体にとって重要な課題です。 日本の女医の勤務継続率は、県議会、市議会議 員の女性比率と同様に先進国の中でも低く、こ の率を先進国並みに上げることは医師不足の解 消につながります。「現状を変えることは文化 を変えること」と印象記に書かれていますが、 私たち全員が努力すれば必ず達成できると信じ ております。本年4 月に琉球大学敷地内に東洋 最大クラスのシミュレーションセンターが開設 されました。医学教育の充実による沖縄の医療 レベルの向上に加えて研修医の定着も期待され ます。

県民健康フォーラム「誰も教えてくれないタ バコの真実」では「タバコは百害あって一利も ない」にもかかわらず、タバコ販売促進により ニコチン依存者を増やし利益を追求するタバコ 産業の情報操作の巧妙さが記載されています。 米国内でタバコを販売すると巨額な賠償金を要 求される可能性があることから、米国のタバコ 産業は海外に販路を拡大しようとしています。 米国にとってタバコ産業を保護するために海外 で販売を増やすことは当然のことであり手前勝 手の理論です。鯨油採取のために欧米が鯨の捕 獲をはじめましたが、今では過去を忘れたかの ように捕獲禁止を唱えており、グリーンピース をはじめとする環境テロリズムも過激になって きています。彼らがヒトに有害なタバコの禁止 を訴えないのが不思議であり、彼らの手前勝手 な主張に注意しなければいけません。宇座先生 が随筆「確かな情報で正しい判断を」で述べら れておられるように、情報の選択と情報操作を 批判的に見ることが今後ますます重要になると 考えます。

「私にとっても良い経験になった2 年間でし た。」とお礼の編集後記を書いておりましたら もう1 期と言うことになりました。引き続きよ ろしくお願いいたします。

広報委員 金谷 文則

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