沖縄県医師会 > 沖縄県医師会の活動 > 医師会報 > 4月号

会長就任にあたり

会長 宮城 信雄

去る2 月16 日開催の第196 回沖縄県医師会 臨時代議員会にて引き続き沖縄県医師会長とし て選出して頂きました。稲冨会長の「信頼され る医師会」を引き継ぎ3 期6 年間「地域に根差 した活力ある医師会」を基本目標に掲げて会務 を遂行してきましたが、さらに地域医療の充実 発展をキーワードにレベルアップを図って行き たいと思います。

新臨床研修制度で沖縄を初期研修の地に選ん でくれる研修生は各臨床研修病院群の努力もあ り他の地域に比べて多い方ですが、最近希望者 が減少してきています。二年間の研修終了後に 他府県に移動する研修医2 〜 3 割と相変わらず 多く、出来るだけ多くの研修医に沖縄での専門 研修にいかに残ってもらうかが課題になってお ります。いかに三つの臨床研修病院群(琉球大 医学部を中心とするRyuMIC グループ、中部病 院を中心とするグループ、民間病院の群星沖 縄)で統一のプログラムを作成し自由に交流で きるかが鍵になると考えております。国の地域 医療再生基金を活用した4 月から琉大医学部内 で運用が開始される「おきなわクリニカルシミ ュレーションセンター」が大きな役割を果たす ものと期待されます。設立当初より沖縄県医師 会が関ってきましたが、運用についても今まで 以上に協力・共同が必要とされています。

地域医療連携体制総合調整事業の脳卒中、糖 尿病の地域医療クリティカルパスの運用を開始 し医療機関の機能分化を図りながら地域住民に 一貫した医療が提供出来るように取り組んで行 きます。これからの医療は一つの病院ですべて の医療を完結するのではなく地域でそれぞれの 医療機能を生かしながら協力し地域完結型医療 体制を目指す必要があります。病診、病病、診 診連携がこれからの地域医療を担っていく必要 があります。顔の見える医療が大事です。地域 医療クリティカルパスが一つのツールになると 考えています。

沖縄が基地経済や公共工事に頼らずに自立し ていくためにはいかに観光客を増やしていくかに かかっています。日本医師会は「医療ツーリズ ム」は世界に冠たる医療制度を壊すものだとし て反対をしています。沖縄県医師会としては日 本の文化ともいえる医療制度が破壊されない範 囲で外国の観光客が沖縄を訪問する環境を整え るのに最大限の協力をしていきたいと思います。

TPP で混合診療の全面解禁や医療保険に対す る介入が明らかになれば国民医療を守る立場か ら反対の運動を展開していく必要があります。 東日本大震災を受けて危機管理が問われていま す。支援を頂いた方々に感謝致しますとともに 提言に基づいて早急に体制を整えて行きます。

沖縄県には救急医療、離島医療、産婦人科等 の医師不足・偏在、長寿日本一復活等まだまだ 多くの課題が解決されずに問題点として残され ています。それぞれの課題は一朝一夕に解決は 出来ませんが沖縄県医師会が中心となって総て の医療人が心をひとつにして力を合わせなけれ ば困難は乗り切れないと思います。今まで以上 に会員の先生方のご指導ご鞭撻の程よろしくお 願いを申しあげます。

新しい年度の沖縄県医師会執行部のあり方

副会長 玉城 信光

副会長に就任し6 年の経過を振り返り、今年の活動を考えてみます。

この間活動したことは沖縄の臨床研修の相互 乗り入れの実現を頭に描いてきました。県立病 院の優れた面、琉大の専門性を生かした研修、 応用の効く民間病院での診療、沖縄で研修をす る研修医、専門医になろうとするものにどのよ うなメリットを提供できるのか。

いよいよそれらが完成しそうな状況が生まれ てきました。4 月オープンする“おきなわクリ ニカルシミュレーションセンター”を中心にし ながら、3 つの研修群の連携ができてきました。 あとは施設長と事務方の調整を残すのみになり ます。また、協同で臨床研修医確保対策合同説 明会に参加することにもなりました。オール沖 縄で研修医を勧誘し育てていこうとする動きで す。県内すべての研修病院が参加します。会員 の応援をお願いします。若い人々が集うという ことは医療が沖縄県が活性化することなのです。

政策参与になり5 年が経過しました。最初に 知事が話されたことは「このままでは県立病院 がだめになる。どうにかならないか」という諮 問のようなことでした。知事、副知事、病院事 業局長、福祉保健部長、知事公室長と私の話が 何度かもたれました。私の答えはただ一つでし た。「簡単ですよ。病院職員の意識が変われば すぐにできます。」の一言です。ただ、誰がど のように変えるのか?これが大きな問題です。 しかし、これも簡単なことです。病院の職員= 当事者が自分の病院はどのようにしたら働きや すい病院にできるのか、自分の病院の抱えてい る矛盾は何か、当事者以外に答えはでません。 外圧で変えられるものではありません。自分た ちを被害者の立場においたのでは解決しないの です。85 億円の繰入金を3 年間いれたら県立病 院の経営が健全化してきました。今年は県立病 院の今後の姿を見据えた改革に取り組む重要な 年です。県公務員の先生方を応援しますので素 晴らしい県立病院の第一歩を踏み出してほしい ものです。

今年は復帰41 年目に入ります。沖縄が自立 する姿を創っていかなければなりません。県医 師会は医療を通じた沖縄の未来像を描いてきま した。新しい沖縄振興策にも各種の提言をして きました。シミュレーション医療を通じた産業 の育成(沖縄版シミュレーターの開発、アジア 各国からシミュレーション教育のための人材交 流、離島からセンターにアクセスし手術のシミ ュレーションをする遠隔医療)。重粒子線治療 施設の設立(アジアの国々と連携し重粒子線治 療が沖縄で受けられること、重粒子線治療関連 の人材育成センター、重粒子線開発研究所)人 材交流=万国津梁は沖縄の伝統です。国の行政 機関、県外の団体、沖縄の動きも、もう一息の ところまできました。あと一押しです。

今年は大学院大学が開学します。バイオ関係 の先端の大学院が沖縄にできるのです。大学の 周りに種々の研究所が設立されてくるでしょ う。沖縄県には最先端の遺伝子解析装置(ギガ シーケンサー)が10 台あるようです。ゲノム コホート研究のメッカになる可能性がありま す。夢のような癌の治療薬ができるかもしれま せん。それらを治験するためのネットワーク作 りもできました。沖縄県医師会の中に治験セン ターが設立され、糖尿病の新薬100 例の治験が 完成しました。現在COPD と精神科薬の治験が進行中です。医師会を通じた治験は会員のメ リットにもなりますし、製薬メーカーにとって も症例を多く登録できるメリットがあるので す。治験・臨床研究を推進することは医療のレ ベルを向上するとともに安心・安全な医療にも つながるのです。

地域医療の分野で置き去りにされているもの があります。産婦人科医師をはじめとする人材 の不足と地域医療を供給する体制の未熟があり ます。今年は沖縄の医療のグランドデザインを 考える委員会で、どのようにしたら地域医療を 守れるのか、北部地域の問題と宮古・八重山地 域の問題を考えていきたいと思います。

また昨年の大震災から学んだことを基礎に災 害対策として、「災害医療支援にかかるワーキ ンググループ」より提言された「沖縄県医師会 災害救助医療班派遣要領草案」を基に委員会を 設立し、備品整備など具体的に実効ある計画を 立てていきます。

医師会に求められているのは会員のための事 業を推進発展させることと、地域の医療を確保 し住民の健康、安全を守ることだと思います。 そのためには事務局の能力の向上も必要になり ます。優秀な人材が集まっているのですが、残 念ながら新しい事業に対する、シンクタンク的 分析、事業計画立案に関してまだ足りない部分 があります。今年はこのようなことを念頭にお きながら会員のために仕事をしていきたいと思 います。

7 期目に心を新たにし

副会長 安里 哲好

この度、宮城信雄会長と中部地区医師会の推 薦で副会長に就任いたしました。どうぞよろし くお願いいたします。宮城会長を支える役目と 共に、中部地区医師会の会長を2 期4 年務め多 くの勉強と貴重な経験をさせていただいた事を 基軸に、地区医師会との更に密なる連携の懸け 橋の役割をと考えています。各地区医師会にお いて、地区を超えた諸検討課題等がありました ら、ご連絡いただけたら幸いです。また、福祉 保健部との連絡協議会の窓口も担っており、各 地区医師会からのご提言は適宜、その協議会に 提案し検討して行きたいと思います。

これまで6 期12 年医師会活動を務め、今年 度で7 期目となります。医師国保と産業医担 当、労災部会から始まり、医師会医学会・生涯 学習、勤務医部会、地域医療臨床研修委員会の 立ち上げ、女性医師部会立ち上げとの関わり、 臨床研究・治験委員会の立ち上げ、脳卒中医療 連携の立ち上げ、地域医療委員会の担当と情報 システム関連、そして総務に関わる副担当等に 関わらせていただき、医師会会務の多種多様な 経験をさせていただきました。

今、1 つの事業を進め、今年度からもう1 つ の事業を開始しまナ。1 つの事業は、地城医療 再生基金からの補助を受け、平成22 年の末か ら実施している生活習慣病IT 地域医療連携 (脳卒中、糖尿病、急性心筋梗塞等:地城医療 連携体制総合調整事業)です。脳卒中は急性 期・回復期・維持期とパスができ動いており、 近日中にIT 化し、また、現在の南部・中部医 療圏より北部医療圏に広げる予定です。また、 那覇市・名護市での市民公開講座を開き、両方 で900 人余の市民の参加を頂き、75 件の質問を 受け、内容が解りやすく楽しい講座でそれでい て、熱気のあるシンポジウムが行われました。 今年は、その延長上に、新聞社と共同で脳卒中 の急性期の医療連携を中心に県民公開講座を開 く予定です。糖尿病の地域連携は4 月より、中 部・北部医療圏において、紙べ一スで進める予 定で、IT 化も同時に進んでいます。時代より一 歩先の経験として、会員の方々の積極的参加を 切に希望いたします。新年度からのもう1 つは、 沖縄県総合保健指導支援・疾患管理センタ一の 事業です。それは生活習慣病IT 地域医療速携 との両輪です。前者は生活習慣病の薬物等によ る治療、合併症の予防や合併症の進展・増悪の 阻止が中心的役割です。一方、新しい事業は生 活習慣病の予防、予備群の疾病への進行の阻 止、早期発見と薬物療法によらない生活改善、 そして重症度を早い時期に階層化による評価を し、医療機関受診を積極的に・半強制的に勧奨 して行くのが趣旨です。その他、特定保健指導 マニュアルの簡素化、保健指導の単位のコンピ ューター化、データベースの統一化(できれば、 糖尿病・脳卒中・急性心筋梗塞と同じID)と 管理・分析等です。全県を年齢(35 歳〜 64 歳 を対象に)別入口と特定健診で得られたデータ を基に疾患別階層化の元にマッピングする予定 です。現状把握に終わらないよう、県民の健康 に寄与できるアウトカムを出したいものです。 それにしても、時間がありません。2 年間の時 間しか与えられていません。各地区医師会、会 員の皆さん、市町村行政の保健師の方々、看護 協会の方々、栄養士・運動療養士等の方々のご 協力をよろしくお願いいたします。

新しい年度に、心を新たにしています。今年 度は「沖縄県保健医療計画」を策定する年度に なっています。各地区医師会、委員の方々、会 員の方々のご協力をぜひ頂きたいと存じます。

就任挨拶

理事 真栄田 篤彦

平成24 年度の沖縄県医師会常任理事を就任することになりました。

当会の総務担当理事として会務運営に万全を 尽くしてまいりますので、なにとぞ宜しくご指 導・ご鞭撻くださいますようにお願い申し上げ ます。

昨年度は東日本大震災の発生に関して、当会 正副会長がイニシアチブをとり被災地への直接 支援としての医療チームの派遣、義援金の造成 およびご寄付と貢献できました。これもひとえ に県医師会員の一致団結した心ある支援が行動 に移されたものと思います。

被災後一年経過しておりますが、まだまだ支 援が必要とされていますし、当会でも支援して いくと思いますが、これまでの総務担当理事と しても感謝とお願いを申し上げます。

さて、当会は平成24 年4 月1 日から新法人へ の移行初年度としてのスタートをします。非営 利を徹底した一般社団法人化として3 月に沖縄 県から承認されました。今後は、毎週開催の理 事会にも監事も参加します。会計報告や種々の 会務運営も県庁への報告等これまで以上に必要 とし、経理・総務担当事務局は多忙になりま す。会員の先生方におかれましては、今後も当 会の会務運営にご理解・ご協力をお願い申し上 げます。

ご挨拶

理事 稲田 隆司

宮城執行部、4 期目の理事を拝命いたしまし た。3 期目から常任理事を拝命し、平成12 年の 理事から数えますと通年12 年になります。

医事紛争、医療安全、医療倫理を担当し、ど ちらかといえば内部のガバナンスに主として関 わってきました。

交代のシステムをと言うことで、前期は各地 区医師会に担当理事の体制を作って頂き、徐々 にではありますが、医師会の危機管理体制は強 化されつつあります。今期はその体制をより円 滑なものにしつつ、日医の医事紛争処理体制の 改革に連動した改変に尽力したいと考えており ます。

To Error is Human といわれるように医療は 不確実で、一定の確率で医療事故は発生しま す。その現状を、患者さん、御家族に説明しつ つ、医療関係者の状況も伝え対応しつつ、業務 に努めたいと存じます。

日本医師会はより患者さんの御意見を反映し た医事紛争処理、制度設計を行う流れのようで すが、沖縄県医師会においても更に、患者さ ん、御家族のご意見、御要望を取り入れた過不 足のない紛争処理体制をつくるべく工夫・改善 を図っていきたいと考えております。

医療安全は、全国共同行動と歩調を合わせ、 医療倫理は、県下に生じた事例の詳細な検討を 行うなど試みていきたいと存じます。

紛争、倫理を語るガラではありませんが、努力致します。

宜しくお願い申し上げます。

理事就任ご挨拶

理事 金城 忠雄

宮城信雄会長の下に、南部地区医師会の推薦 を受け、引き続き4 期目の理事を務めることに なりました。よろしくお願い致します。

医師会活動は、医療医政関連を始めとして多 種多様な活動範囲が広汎で、責任の重さを自覚 させられてきました。

毎週火曜日、多岐にわたる理事会の議題は、 午後7 時30 分から2 時間にも及びます。東京や 九州各県への出張も多く、活動範囲の広さには 驚くばかりです。

私はこれまで、産業保健・産業医関連と労 災・自賠責保険等のほかに産婦人科の代表とし ても任務のひとつとして携わってまいりました。

産業医活動には、労働者のメンタルヘルス対 策があります。日本全国で自殺者が3 万人以上 にもおよび、労働環境の改善指導、過重労働や メンタルヘルス対策などに厚生労働省はかなり の力を注いでいます。

沖縄労働局からは、看護師等の「雇用の質」 の向上に関する企画委員会の提案があります。 病院管理者は、看護師の夜勤対策や労働時間管 理を徹底して欲しいとの提案です。医師会とし ては、看護師の過重労働はすべからく看護師不 足が原因なので看護師養成を積極的に行うべき と反論しています。看護学校入試倍率は高いの です。看護専門教師の不足も依然として解決す べき課題です。

産婦人科医代表の懸案事項として、母体保護 法指定医師審査権の問題がありました。法律に は、公益法人たる医師会が指定するとありまし たが、日医本部の精力的な活動により、沖縄県 医師会のような一般社団法人にも指定権を与え ると法律が改正され、安堵しているところです。

産婦人科は、平成18 年福島県立病院産婦人 科医逮捕以来、訴訟リスクと過酷な勤務条件 も重なり希望者が少なくなっています。沖縄県 には、研修医が中部病院ブランドを呼び水に毎 年140 人前後集まるのに、県立北部病院や離 島の宮古・八重山病院の産婦人科医の維持補 充には苦労しています。医学生や若い研修医 が、産婦人科を専攻するよう工夫と努力をした いものです。

玉城信光副会長は、県の政策参与として地域 医療再生基金を活用し産婦人科医の充実に真剣 に取り組んでおりますが道半ばです。

医師会員先生方のご協力をたまわり、心機一 転新たな気持でこれから2 年間の任務を全うし たいと思っているところです。ご指導ご鞭撻を よろしくお願いいたします。

理事就任にあたって

理事 宮里 善次

この度学校保健及び感染症・予防接種担当理 事として留任することになりました。今回で3 期目となりますが、今後も宮城会長を支え、一 生懸命任務に専念する所存です。

さて、新型インフルエンザの流行は大阪・兵 庫から始まりましたが、本格的な全県的流行は 沖縄県から始まりました。

また残念なことに最初の死亡例報告も当県か らでした。当時来沖中であった厚生大臣が発表 する形で、全国的に報道されましたので、ご記 憶に新しいと思います。

事前準備していたとは云え、流行の初期にお いては様々な厳しい状況下にありました。しか しながら当県は当時の宮里達也統括監(前保健 福祉部長)を実務トップに、糸数班長が率先し て、県医師会や関係機関と密接な連絡を取り合 い、沖縄方式と言われる診療連携システムを作 り上げ、最終的にもっとも死亡例が少ない県と なったのです。

当時感染症担当理事として対応にあたってき ましたが、各地区医師会及び会員の先生方が診 療やシステム作りに快く協力して頂いたことに 改めて感謝申し上げます。

後に流行が続いた各県から沖縄県や県医師会 に多くの問い合わせがあったと伺っております し、日本医師会の総括においても発表の機会を 与えて頂きました。

また担当は違いますが、東北の大震災時の県 医師会と会員の皆様の素早い支援の動きに対し て大きな感銘を受けました。

自然災害や新たな感染症流行はないことに越 したことはありませんが、緩やかなようでい て、いざと云う時の医師会の結束力を実感した 2 年間でした。と同時に、県医師会事務局の優 秀さを実感した2 年間でもありました。

再来年度は沖縄県において、九州学校保健・ 学校医大会が開催されます。

担当理事として、宮城会長をしっかりバックアップして成功に導きたいと思います。

会員の先生方のご協力を、よろしくお願い申し上げます。

理事就任挨拶

理事 佐久本 嗣夫

この度、県医師会理事として引き続き二期目 を務めることになりました。私は数ある医師会 事業の中で医療情報システム対策事業、看護士 養成対策事業、医療従事者対策事業、会員及び 従業員の福祉共済事業等を担当しています。一 期目は全く不慣れな状態で周囲関係者の皆様に お世話になりつつなんとか職務をこなしてきま した。二期目となる現在は私の職務を始め県医 師会事業の全体像が見えてきた気がします。さ て昨年は波乱万丈、不安定な行政の中でさらに 追い打ちをかけるように東日本大震災、津波、 原発事故と国難続きとなりました。医療界も今 回の診療報酬改定ではなんとかマイナス改訂は 免れたものの依然厳しい状況は続きます。しか し沖縄県では他県に比べて良い面もあり看護士 養成学校の充足率は良好で永年勤続医療従事者 もほぼ毎年増加傾向にあります。県内地域によ る医師不足や看護士不足はありますが医療に従 事している人、今後そうしたいと考える人はま だまだ大勢いるということです。私は県医師会 理事の一員としてこのような厳しい医療環境の 中でも医療従事者の皆さんが県民へ質の良い医 療を提供できるよう、また沖縄県が医療従事者 の皆さんにとって働きがいのある地域、環境に なるよう微力ながらお役に立てればと思いま す。さて昨年から医療情報システム対策事業の 一環として県医師会文書映像データ管理システ ムが稼働開始しています。これは県医師会員で あれば誰でもインターネット上、県医師会ホー ムページより医師会関連文書や講演会映像等を 閲覧できるシステムです。閲覧にはアカウント やパスワードが必要です。事前に連絡済みでは ありますが、お忘れの方は県医師会事務局へお 問い合わせください。配信データはまだまだ少 ない状況ですが、どうぞ積極的にご利用いただ きたいと思います。二期目の理事就任にあたり 自分のクリニック、職員を守りつつさらに可能 なかぎり医師会活動にも尽力して行きたいと思 います。これからも会員の皆様、その他関係者 の皆様のご指導、ご協力をよろしくお願い致し ます。

沖縄県医師会理事就任に当たり

理事 本竹 秀光

私はこの度の沖縄県医師会役員改正において 理事に立候補し、当選をさせていただきまし た。推薦をしていただきました県立中部病院院 長宮城良充先生を始め、会員の皆様方に熱く御 礼を申し上げます。私は平成21 年6 月から沖 縄県公務員医師会会長を務めさせていただいて おります。沖縄県立病院事業は皆様もご周知の ように平成18 年度から平成19 年度にかけ、損 益収支の急激な悪化に伴い約100 億円の資金不 足を抱え、極めて危機的な経営状況にありまし た。これに対して平成21 年度から平成23 年度 までの3 年間を経営再建期間と位置づけ、不良 債務の解消、資金不足の解消、経常収支の黒字 化の3 つを目標に掲げました。結果は国の公立 病院特例債の活用、一般会計からの支援強化、 病院現場の経営努力で、先の3 つの目標は一年 前倒しで平成22 年度には達成することができ ました。この中で、特筆すべきはこれまでにな い病院現場の経営に関する意識の変化でした。 我々現場の職員は24 時間365 日県民の医療に 努力しているのにどうして赤字になるのか、共 通した疑問を抱いていました。我々公務員医師 会は経営を事業局に任せ、現場の一人一人が経 営にあまり関心を持ってこなかったことが大き な原因の一つと考え、経営に関する勉強会を公 務員医師会理事と各県立病院管理者(院長、副 院長、医療部長)との間で始めました。その結 果、病院経営についての意識は現場に広がり、 経営努力となって先の目標の早期達成につなが ったと考えています。沖縄県立病院は県民に安 心・安全の医療を安定して提供していくために 更なる改善に努めているところです。

戦後の沖縄の医療は県立病院が中心となって 県民に医療を提供してまいりました。この間、 医学部が開設され、医学部の学生が卒業し、沖 縄県で働く医者も増加し、医師不足も過去の話 となりました。私立の総合病院も増加しまし た。医療レベルも本土に比肩するまでに達しま した。これもひとえに諸先輩医師たちの努力の たまものと思います。現在沖縄県は全国でも初 期臨床研修医が集まる県として有名になりまし たが、しかし、後期研修医や若手医師の沖縄県 への定着に関しては必ずしも楽観はできませ ん。最近県立病院でも若い先生方が離職しキャ リアアップのために本土に出ていくケースが増 えてきています。その原因の一つは中規模の病 院が増加したため、症例が分散し短期間で十分 な経験がつめないことなども考えられます。沖 縄県の次世代を担う先生方のキャリアアップを 図り、沖縄県の医療をリードする若きリーダー たちを早急に育成する必要があります。私は与 えられた2 年間の中でそれぞれの地区医師会の 先生方と連携をとりながら次世代の人材育成の how to を考え、実現していきたいと考えていま す。県医師会会員の皆様方のご指導、ご鞭撻を 宜しくお願い致します。

沖縄県医師会理事再任挨拶

理事 村山 貞之

このたび、沖縄県医師会の理事に再任されま した村山貞之と申します。琉大病院長に就任し まして、1 年が経とうとしておりますが、昨年 6 月から理事を仰せつかっております。

私の理事としての勤めは、学術担当が中心で あります。昨年は12 月に行われた沖縄県医師 会医学会総会の主催が大きな仕事の一つであり ました。副学会長として、会長の名嘉村 博先 生をサポートし、プログラムの立案などに尽力 しました。特に今回から新たに始まった沖縄県 医師会医学賞(研修医部門)については事前に 多数の方々からいただいたご意見を反映させな がら、初期研修医2 年目の方を対象とし、医師 会医学会でのポスター発表を中心に選考する運 びとなり、当日行われました。発表された各研 修病院の先生方は、立派にプレゼンテーション を行われ、実りある講演会になったと思いま す。今後も、引き続き行われることが決まりま したので、医師会医学会自体の活性化にも繋が ることでもあり、期待したいと思います。ま た、当会の改革案も色々と出されていますの で、名嘉村会長、田名副会長共々、頑張ってい きたいと思っています。

もう一つの大きな担当は、臨床研修でありま す。臨床研修実務者会議などを開き、諸問題に 対応してきています。今年度の大きなイベント は、臨床研修医確保対策合同説明会参加モデル 事業(平成24 年度〜平成25 年度)として、県 医師会に県から配分された資金による事業につ いて、しっかり成果を出すことが挙げられま す。具体的には全国規模で行われている学生・ 研修医に対する研修病院の勧誘説明会に、個々 の県内臨床研修指定病院病院レベルだけではな くて、沖縄ブースを作り、みんなで沖縄での研 修をアピールしようという試みです。沖縄県は 地方の他県に比べて、県外からの多数の初期研 修希望者がいることで評判でしたが、現状では 約140 名の定員に対して20 人ほどマッチして いません。やや陰りが出てきている沖縄県での 研修を、さらには後期・専門研修者も増えるよ うにアピールしていく予定で、現在ワーキング グループが作戦を練っています。

臨床研修に関連していますが、琉球大学医学 部の敷地内にできる全国一の規模の医療シミュ レーションセンターの運営に医師会理事として 関与することも担当であります。もちろん、琉 大病院の病院長としても非常に楽しみであり、 大きな事業と思っているわけですが、この施設 はオール沖縄の施設で県の補助金で建設・運営 されることから、医師会としても大きなバック アップを行う所存であります。4 月15 日には、 全県の1 年目初期研修医を集めて、初歩的な医 療技術のシミュレーション教育を行うことが決 まっており、全県の専門家たちと、その打ち合 わせも行ってきています。

その他、地域医療に関することや、県内で行 われる学術的な行事などに関わっていく予定で す。任期中これらのことに邁進していくつもり ですので、ご指導、ご鞭撻の程、よろしくお願 いします。

県医師会:理事就任のご挨拶
〜「班会議」の活性化を!〜

理事 照屋 勉

南部地区医師会よりご推薦頂き、2 期目の理 事を拝命いたしました「てるや整形外科」の照 屋と申します。主に「医師国保」と「広報」を 担当いたしております。小生的個人的見解とし て、沖縄県医師会の【課題・問題点】および 【今後の展望】を考えてみました。

【課題・問題点】として、(1)学校医・産業 医・介護保険2 次審査会・地域イベントへのメ ディカルサポート・予防接種事業などに関する 諸問題!〜時間的制約・報酬・労災補償・医師 賠償責任・事務的対応etc …。まだまだ十分と はいえない行政サイドへの要請・陳情・アプロ ーチが重要なポイントと思われます。(2)保険 医療機関における診療報酬請求業務に関する諸 問題!〜社保・国保両審査会で合議を得たもの に関して「保険診療の留意事項(Q & A)」とし て情報提供されております。是非、ご一読頂き たいと思います。(3)医事紛争処理に関する諸 問題!〜沖縄県医師会には、各分野の専門医と 顧問弁護士で構成する「医事紛争処理委員会」、 争訟事案に迅速に対応する「サポート委員会」 があり、会員の負担を医療・司法の両面からサ ポートできる体制が出来上がっております。精 神的にも肉体的にも、本当に“拠所(よりどこ ろ)”となる素晴らしいシステムだと思います。

【今後の展望】として、(1)「広報活動(対 内+ 対外)」〜会員向け毎月発行の「会報誌」 の充実、新聞などへの「メディカルエッセー」 の継続、「マスコミとの懇談会( 年4 回開 催)」・「県民公開講座(沖縄タイムス社との 合同開催)」・「県民健康フォーラム(琉球新 報社との合同開催)」・「医療に関する県民と の懇談会(年1 回開催)」・各部会主催による 「講演会・研修会」の継続etc …。「継続は力!」 ですが、継続していくのは「至難の業!」と痛 感しております。(2)「人財育成」〜復帰40 周 年を迎える沖縄県において、「人材」・「人 在」・「人罪」ではない「人財」の育成が急務 と思われます。特筆すべきは、医師・歯科医 師・薬剤師・看護師・PT ・OT ・ST ・放射 線技師・臨床検査技師などの職種を超えた、医 学部・工学部・理学部などの学部を超えた「お きなわクリニカルシミュレーションセンター」 の開設・始動…。これは沖縄県の医療界全体が 待ち望んでいた朗報と思われます。また、「オ ール沖縄〜赤瓦プロジェクト〜」が「臨床研修 医確保対策」として立ち上げられました。海外 との交流も盛んな沖縄で、「RyuMIC 群」・ 「県立病院群」・「群星沖縄群」が互いに切磋 琢磨し、救急医療・離島医療・プライマリ・ケ アを学ぶ最適な環境の中で、充実した初期・後 期研修プログラムをこなし、素晴らしい「人 財」が育っていく…。沖縄から、全国へ、全世 界へ…。「夢」が叶うか否か、まさにこれから が正念場です。(3)「ネットワークの構築」〜 大規模災害時の連携、離島医療・小児救急医療 の連携、GP(G :一般医、P :精神科医)ネ ットワーク、全県的な『DM』ネットワーク、 『脳卒中』・『がん』・『臓器移植』・『緩和 ケアー・在宅医療』ネットワーク、『メタボ対 策』(内科医)と『ロコモ対策』(整形外科医) の啓蒙、学校医・産業医・かかりつけ医・民生 委員・社会福祉協議会・婦人会・老人会などと の連携、PTCA(Parent: 家庭教育+ Teacher :学校教育+ Community :地域教育+ Association :連合・連携・共同体)の確立、 そして、さらなる病病・病診・診診連携etc …。

最後に、上記の「広報活動」・「人財育成」・「ネ ットワークの構築」に際し、「日本医師会・県医 師会・地区医師会」のミニマムユニットである 「班会議」の活用が最も有効と考えます。A・B・ C 会員との連携、地域・行政との連携、情報交 換・意見交換etc …。今後とも、「班会議」への ご参加・「会報誌」へのご投稿、「人財育成」・ 「ネットワークの構築」へのご支援・ご協力を、 切に切にゆたしくゆたしくお願い申し上げます。

医食農動同源で病気にならない生活習慣を

理事 石川 清和

新しく理事に就任した北部地区医師会副会長 の石川です。1960 年、今帰仁村生まれ北山高 校出身、大学・研修の10 年間を除き、52 年の 人生の42 年間を北部で過ごしてきました。15 歳で医者になろうと志した最大の理由は医師不 足でした。全国的に問題となっている医師の局 在による地域的な医師不足が、北部地区にも押 し寄せ、北部地区の医療は崩壊の危機にありま す。北部の医療の問題は、医師不足だけでな く、生活習慣病の蔓延、高齢化社会、教育問 題、経済問題等が複雑に絡み合っています。そ のため、北部の医療の問題解決には医療界、行 政、経済界との連携だけではなく、地域住民が 北部の医療と向き合い、問題解決に取り組んで いく必要があります。また、北部地域は沖縄本 島の約60 %の面積の中に沖縄の人口の10 %未 満が住む、過疎地域でありそのことも北部の医 療を考えるときに配慮しなければなりません。 さらに、健康長寿を再生するためには、医療の 高度化、医療の充実のみでなく医食農動同源を 中心とした病気にならない生活習慣作りに取り 組むことも重要な事だと考えます。

2002 年の26 ショックでは特に若い世代の男 性の健康状態が危機的であると報告されまし た。心疾患、脳血管疾患別の死亡率では35 〜 65 歳の多くの年齢層が上位に入り、アルコー ル性、あるいは肥満による脂肪肝が押し上げて いると考えられる肝疾患による死亡率は全国で 最も悪い状態でした。さらに、2010 年の死亡 統計でも沖縄の肝疾患による死亡率は男性1 位、女性2 位でした。沖縄県のA 高校の2009 年と2011 年の高校1 年生と3 年生の特定健診 と同じ項目の検査を行った結果、高血圧症が 20 〜 30 %、高脂質血症、糖代謝異常、高尿酸 血症が約20 %、肝機能異常が約10 %にみられ ました。若い世代でも生活習慣、特に食習慣の 乱れによって代謝異常が起こり、糖尿病、高血 圧症、さらには心疾患、脳血管疾患、肝硬変症 の予備軍となっていることが危惧されます。

何故変われないのか?情報化社会の現代の生 活の中で、私達は様々な情報の洪水によって溺 れかかっています。偏った知識や全く知らない 事(無知)、健康についての情報は持っていて も行動しない事(無為)、テレビや雑誌、イン ターネットで得られる多くの情報、行動半径が 広がった忙しい生活の中で家族・友人・知人へ 十分な関心を払わなくなっている事(無関心) が、現在の沖縄の健康長寿再生の大きな障害と なっています。20 世紀の戦後の沖縄は字や市町 村などの地域社会と公衆衛生看護師、医師不足 の中で最大の努力をした先人医師等の活躍によ って健康長寿を達成しました。地域社会の結び つきが緩やかになり、家族関係でさえ希薄化し ている21 世紀においては、趣味、スポーツ、ボ ランティア等の新しい結びつきによる行動半径 の広い、新たなソーシャルネットワークを活用 した健康づくりが求められていると考えます。

持続可能な沖縄を作るために、北部地域の住 民だけでなく自然、環境にも配慮した新しい生 活習慣作りを目指していく必要があります。60 歳になるまでは耳従わざる事があるかもしれま せんが、皆様のご指導ご鞭撻をよろしくお願い します。

沖縄県医師会新執行部就任挨拶

理事 玉井 修

宮城信雄会長のもと、4 期目の理事を拝命す ることとなりました。1 期目に関わっていた仕 事は主に対外広報に関する事だけでしたが、2 期目からはこれに特定健診集合契約の締結と特 定健診の円滑な運用に関わる仕事が加わりまし た。全国にも類を見ない全島統一単価、統一内 容の集合契約を沖縄県で締結する事は、島しょ 県である沖縄においては何としても守り抜かな ければならないものです。これを特定健診の実 施初年度から5 年間守り続けてこられたのは、 国保連合会や被用者保険との密接な意見交換を 行いつつ、各地区医師会や健診医療機関との信 頼関係の蓄積があればこそなのです。県民に対 して利便性とクオリティの高い特定健診を提供 しつつ、市町村の負担を出来るだけ軽減し、受 診率向上の為に協力しやすい環境を整えるため 今後も特定健診集合契約は守り抜かなければな りません。また、もうすぐ2 年目を迎える# 8000(小児電話救急相談事業)は、現在の午 後7 時から午後11 まで1 回線のみでの運用では 30 件程度の相談に応じるのが限度であり、1 時 間電話しても繋がらないなどの不満が寄せられ ております。これに対応するにはマンパワー不 足が足かせになり、回線を増やすなどといった 対策を講じるのはまだまだ調整が必要です。今 後も# 8000 事業に対する会員のご協力をよろ しくお願い申し上げます。

昨年3 月11 日に発生した東日本大震災のお りには、震災直後から岩手県大槌町に医療支援 を行うなど、沖縄県医師会の救急医療に対する 対応は素晴らしいものがありました。今後地域 防災計画の見直しが行われる予定であり、沖縄 県医師会は積極的な発言を求められておりま す。震災現場に直接赴き、医療支援を行ってき た者としてしっかり発言していきたいと思って おります。

対外広報活動に関しては、来年度から広報委 員会と一体化し、より効率的な運用を目指して おり、県民公開講座、県民健康フォーラム、県 民との懇談会、マスコミとの懇談会は例年通り の開催を計画しております。また、大規模災害 を想定した県民救急フォーラムの開催も計画し ております。特定健診に関しては今年度より地 域医療再生関連予算を利用して円滑な特定保健 指導を行えるようなシステム作りを考えてお り、特定保健指導推進センター事業(仮)を発 足させて、会員施設でも無理なく円滑に特定保 健指導が実施できる環境を整備していきたいと 考えております。

ついでではございますが、昨年医師協同組合 で作成いたしました『かりゆし調白衣』は如何 だったでしょうか?このアイディアはとある飲 み屋さんで思いついたものでした。デザインは 母校でもある首里高校の染色デザイン科の高校 生に依頼しました。発想から1 年をかけてよう やく実現した『かりゆし調白衣』は今後の評判 が良いようでしたら第二弾、第三弾と手がけて いこうと思っております。臨床現場において も、また、学会や講演会のお土産品としてもご 利用になれます。なにとぞよろしくお願いいた します。

沖縄県医師会 理事就任のご挨拶

理事 比嘉 靖

この度、安里哲好前中部地区医師会長からの 推薦を受け県医師会理事を拝命いたしました比 嘉靖と申します。よろしくお願いいたします。 沖縄市にて「東部クリニック」を開業しており ます。これまで中部地区医師会理事として、広 報、学術担当を担当し、県医師会へは広報委員 会として参加させて頂いておりました。未だ十 分な働きをなさない内の移動ですのでやり残し た感はありますが、先生方の御理解、後押しも 有り御指名をお受けさせていただくこととしま した。

昨年度は東日本大震災があり、改めて医療活 動についていろいろと考えさせられる一年でし た。災害発生により始めて明らかになる問題点 が数多くありました。しかし、一方では沖縄県 医師会も積極的に参加した災害救援活動、医療 支援活動では、既存の医療システムのもつ力も 強く感じることもできました。今後はその力を より一層高めて行く必要があると思います。 個々の医師としての精進・努力も大切ですが、 医療人である医師の立場から社会システムへア プローチする際には個人の力に増してMass ・ 団体としての力が必要であると考えます。この 効果は平常時には適切な診療活動を行うための 環境づくりにも発揮されるもので、医師会のあ るべき姿の一つであると思います。しかし、実 際の診療の現場では、医師は医療技術の進歩、 多様化する医薬品などの膨大な情報への対応に おわれているのが現状です。さらに本年度は大 震災後初の診療報酬改定もあり、これにも対応 して行くことが必要とされます。

最近では生活苦、老々介護などの問題から十 分なサービスを受けられない医療・生活難民の 孤独死のニュースをよく耳にすることが多くな り、一方、医師会のなかでも地域医療に対する 医師の意識の変化の影響なのか、学校医/予防 接種などへの参加拒否などの諸問題もおこって います。このような状況の変化に、本来の純粋 な医療活動が左右されているのです。

我々、医師会執行部の使命は、これら諸問題 を事前に把握、処理することで、会員の皆様の 本来の診療活動の環境を守ることと考えており ます。少しでもこの使命を全うできるよう微力 ではありますが、県民の健康を支える会員の先 生方の診療環境の充実を私の医師会理事として の目標として頑張りたいと思いますので、遠慮 なく御指導、御鞭撻の程よろしくお願い申し上 げます。

理事再任のご挨拶

理事 平安 明

浦添市医師会のご推薦をいただき第196 回沖 縄県医師会臨時代議員会において3 期目の理事 を拝命いたしました。

平成20 年4 月に理事に就任後、ひょんなこ とから医療保険の担当となりましたが、まさか 全医療機関向けの診療報酬改定説明会を2 回も 担当することになるとは夢にも思っていません でした。かなりのプレッシャーとストレスを感 じますが、多くの関係者から励ましと労いの言 葉をいただき、「少しは理事として貢献してい るのかも」と都合のよい解釈を自分自身に与 え、モチベーションを失わないように奮起しな がら何とか職責を果たすよう努力しているうち に4 年が経っていました。さらに今回再任して いただいたことは光栄であると同時に、より一 層の役割を果たさなければならないとの思いで 一杯です。

医療保険対策事業としては、1)保険診療の適 正化の推進、2)審査業務の適正化、3)会内委員 会の活用、4)主管行政機関・保険者並びに両審 査機関との連絡協調、5)都道府県医師会社会保 険担当理事連絡協議会、九州ブロック医療保険 対策協議会等への派遣、といったものがありま すが、会長はじめ理事の先生方や郡市医師会の 担当理事の方々の協力を得ながら、当会事務局 保険課のスタッフと共に様々な問題に対処して います。

担当理事として個別指導に立ち会うことが多 いため、医療機関の保険診療に対する理解には かなりの濃淡があることを感じておりますが、 患者のためにと真摯に行っている医療行為が、 個別指導において算定要件を満たさないとして 保険請求のルール上“不適切”と判断されたり すると、侮辱されたと憤慨する先生もいるかと 思います。しかし、保険診療には厳然とした 「請求のルール」があり、それを遵守すること を前提に保険医療機関として認められていると いうことを、私たち医師はもっと重く考えなけ ればいけないのかもしれません。

2 期目に意識的に取り組んだ事業として、保 険診療の理解を広めるために地区医師会単位で 勉強会を行いました。実際のところ医療機関に とっては個別指導でどのような点をチェックさ れるのかといったことが気になるところだろう と思います。その対策をすることを何か隠ぺい 工作をしているかのような見方をする人もいる ようですが、全く見当違いです。むしろ「保険 診療の適切な理解と運用」のために不可欠なこ とで、むしろ日頃から積極的に取組むよう行政 側も推奨していいのではないかとさえ思います。

診療報酬改定後にはしばらく疑義照会等の対 応や種々の問題に対する対応が優先されます が、医療機関間の情報共有、情報交換の場とし ても地区での勉強会は非常に有意義と感じてい ますので、今後も積極的に開催していきたいと 思っています。

今後ともご指導ご鞭撻の程、よろしくお願い致します。

監事就任のご挨拶

監事 山里 将進

この度、浦添市医師会の推薦により沖縄県医 師会の監事に就任させて戴きました山里将進で す。県医師会の役員に就任するのは今回が初め てです。宮城信雄会長を始め理事の皆様と協力 して県医師会の発展のため微力を尽くしたいと 考えております。宜しくお願い致します。

私は昭和44 年に福島県立医科大学を卒業し 福岡県博多市にある千鳥橋病院で初期研修を行 いました。初期研修の半ばでしたが沖縄協同病 院の前身の沖縄民主診療所(現那覇民主診療 所)の創設に参加しました。5 年後に沖縄協同 病院を建設しその後は病院と診療所で呼吸器内 科の仕事を続けました。専門研修は東京逓信病 院、国立相模原病院、築地国立癌センターで肺 癌、気管支喘息などをテーマに行いました。呼 吸器疾患の診療では宮城征四郎先生や源河圭一 郎先生に御指導戴きました。

那覇民主診療では17 年所長を務めました。 1970 年代の初め頃から、障害や認知症を持つ 高齢者の医療や介護の問題に関わるようにな り、那覇市で訪問看護制度の実現を目指すフィ ールドワークを行い、地域住民と協同して制度 の実現を国に先駆けて那覇市に実現して戴きま した。それ以来、在宅医療は私のライフワーク になりました。この間、東京葛飾区の社団法人 福寿会、福岡クリニックで在宅医療の研鑽を行 い、与那原中央病院在宅部を経て現在は浦添市 前田で10 年前から医療法人五色会、かじまや 一クリニックで在宅医療を重点にして診療を続 けています。

疾病構造の変化や高齢社会の到来で在宅医療 や在宅介護のニーズは増大しています。病院か ら在宅への政策的誘導もあり在宅医療に携わる 医師も増えています。在宅医療の様相も時代と 共に様変わりしています。医療技術の面では病 棟医療と殆ど同じ水準に近づいています。血液 検査、超音波検査、携帯心電図、携帯レントゲ ン検査も在宅でも可能になっています。緩和ケ アの分野でも癌患者や難病患者の緩和ケアが在 宅でも可能な時代になっています。内科の医師 以外の専門の医師が在宅医療に参加する場面も 多くなっています。浦添市医師会では3 年前か ら在宅医療ネットワークを立ち上げ多職種連携 のモデル事業にも力を入れています。私も浦添 市医師会の理事としてネットワークに関わって きました。今後は県医師会の仕事を通して在宅 医療の発展に寄与出来れば幸いです。

日本は現在、医療も福祉も多くの問題を抱え ています。国民皆保険制度の崩壊が危惧される 状況が進行しています。社会保障と税の一体改 革と言いながら医療保険や介護保険の先行きが 危ぶまれる状況になっていると思います。生命 ど宝は沖縄の黄金言葉と言われています。生命 を尊重する方向に流れを変えて行くためにも生 命の守り手としての医師のミッションが強く求 められているとおもいます。

東北地方で地震、津波、放射能被害からの復 興のため医師として奮闘している学友に思いを 馳せながら私も県医師会を通じて復興支援を続 けたいと考えています。

監事の仕事は不慣れですが責任の重さは充分 認識しています。日本医師会員として医の倫理 綱領の実践に励む決意です。会員の皆様の御指 導、御鞭撻宜しくお願い致します。

沖縄県医師会監事就任のご挨拶

監事 喜久村 徳清

沖縄県医師会が平成24 年4 月施行を目指し ている新公益法人制度の監事に、那覇市医師会 会長真栄田篤彦先生よりご推挙いただき、去る 2 月26 日の臨時代議員会で正式に選任されまし た。先輩方もおられる中、私でよいのかと悩み ましたが、宮城信雄医師会長から新制度施行後 は監事も理事会出席が必要になると伺い、決心 したところです。新制度下の職務の詳細はこれ から走りながら考えるということになろうかと 思います。

私が医師になりたての頃、20 代、30 代は医 師過剰時代と言われ、医師免許更新制、医師定 年制が現実問題として真剣に議論されていて、 意見を求められたことがあります。一方、過疎 地の医師不足に対して行政の長が自らの命を守 るために医師探しをしており、医師免許取得間 もない医師に多額の給料を準備して東奔西走。 「ヒトの命は何ごとにも変えがたい、地球より 重い」という言葉が普通に通じる時代でした。

那覇市医師会の理事を拝命していた50 代は、 医師会活動の三本柱として、「地域医療」、「学 術」、「医政(制)」があることを学ばせて頂き ました。

県医師会の事業計画には毎年20 数項目の活 動方針が示されております。各地区医師会との 関わりのみならず、県医独自の活動、また、日 医や社会との関わりも強く要求され、現代は医 師が医療のみに専念できる時代ではなくなって います。最近の地域医療の例では、県立八重山 病院の産科医不足の件で、お産は島外でするよ うにと病院長が記者会見した後、事態は急速に 解決に動きました。かつ、また現代は、生命倫 理、再生医療、臓器移植、介護保険が施行さ れ、医療機器の進歩も含めて診断、治療法が格 段に進歩しており、尊厳死の普及、高福祉高負 担制度、少子高齢社会、OECD 並みの医療費、 TPP 問題への対処等、医師会(医師)に求め られている課題は少なくありません。加えて、 昨年の東日本大震災、原発事故発生後、復興再 生には40 〜 50 年かかるとされている今、放射 線被曝を避けるための労働者不足は深刻で、国 民が公平に負担を求められる徴兵制度のような ものがありうる(猪瀬東京都副知事の発言。マ イケル・サンデル「究極の選択」、2 月18 日、 NHK 放送)との情報もあります。

平成20 年、県医師会館が移転、新築され、は つらつとそこで働く事務局の皆さんは頼もしく 感じられました。最近の私は代議員として、ま たふれあい広報委員として出席していました。

医師会活動の一端は県医師会報、ホームペー ジ等でactive に、speedy に、かつまたdynamic に展開していることがよく解ります。宮城会長 をはじめとする執行部、会員諸氏、事務局及び 関係各位の弛まぬ御活躍に敬意を表しながら、 この組織に属していることを誇らしく思う一 方、身の引き締まる思いがいたします。誠実に 職務に対応していく所存ですので、どうぞ宜し くお願い致します。