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今年の抱負

比嘉太

琉球大学医学部感染症・呼吸器・
  消化器内科学(第一内科) 比嘉 太

皆様、明けましておめでとうございます。

昨年は未曽有の大震災があり、日本中が悲し みと不安に揺れた大変な一年でありました。年 が明け、被災された方々には一日も早く安寧の 日々が訪れることを願っております。

さて、私は辰年生まれということで、県医師 会報で新年のご挨拶をする機会を頂きました。 日頃のんびり過ごしている私をご指名頂いたと いうことは、自分自身の来し方行く末ぐらいち ゃんと考えなさいという暖かい御指導であるよ うにも感じられ、改めて感謝を申し上げたいと 思います。

思い起こせば、三十年前私は設立されたばか りの琉球大学医学部に二期生として入学しまし た。琉球大学医学部の理念は「南に開かれた医 学部」であり、当時の大鶴医学部長と小張病院 長の薫陶を直接に授かり、旧くて新しい分野で ある感染症学に眼を開かせて頂きました。学生 時代のインパクトは極めて大きかったと思いま す。多くの琉大の同窓生が感染症の基礎や臨床に携わり、日本全国で活躍されています。私は その中の一人というには大した仕事もしていな いのですが、現在も琉球大学病院で勤務し、呼 吸器や感染症の患者さんの診療に携わるととも に、病院全体の感染対策業務を担当する感染対 策室に所属し、日々感染症対策に関わっており ます。

感染制御学というのは比較的新しい学問分野 で、病院内外での感染症を減らすことを目標と して、そのためのエビデンスを構築する学問と いえます。感染症の予防学というところでしょ うか。医科学というよりも、社会学、教育学、 経営学、環境学、という様々な立場がからまっ ている分野です。琉大病院の感染対策室には、 感染制御看護師ICN、感染制御医ICD、薬剤 師、臨床検査技師、事務部担当者、が所属し て、組織横断的な活動を行っています。様々な 職種が協力して仕事をする楽しさもあります が、感染対策は「言うは易し行うは難し」を実 感するところでもあります。最近、「おいあく ま」というのが盗塁王福本豊さんの言葉として 新聞に紹介されていました。「おこるな、いば るな、あせるな、くさるな、まけるな」。この 言葉を胸に盗塁数日本一を達成されたそうで す。なるほど、感染制御に携わる者にも全くあ てはまる言葉だと思っております。

これまでの来し方を振り返ってみると、本当 に多くの方々にご指導を賜ってきました。皆様 の御恩に対して少しでも報いるように、「初心に 還って」もうひと頑張りせねばという気持ちで す。辰年生まれでも「龍」にはなれそうもあり ませんが、月並みなことばですが、私なりの精 一杯の社会貢献に努めて参りたいと思います。