常任理事 安里 哲好
平成23 年9 月11 日(日)、名護市のホテルゆ がふいんおきなわにて「みんなで知ろう脳卒中」 と題した市民公開講座が開かれた。北部地区医 師会副会長の石川清和先生が司会をされ、東日 本大震災後、半年の節目に、亡くなられた方の ご冥福と被災県の復興、そして福島県原発事故 の終息を願い黙とうを捧げた。北部地区医師会 長の代理で、大西弘之副会長の挨拶後、おきな わ脳卒中地域連携委員会委員長(沖縄赤十字病 院院長)良英一先生の座長のもと、講演と会 場からの質疑応答を中心に討論が進められた。
内原利光先生(県立北部病院)は脳の解剖を カラフルに示し、脳卒中の種類や発症の過程・ 部位を動画を用いて解りやすく説明していた。 先生は50 歳代の方々の実例を持って脳MRA や脳動脈CT 等を示し、また、県立北部病院の 実際の統計をもって、脳卒中の頻度、タイプや 年齢構成について話されていた。
饒波正博先生(沖縄赤十字病院)は寸劇と川 柳を読み、寸劇は患者と家族と救急隊や患者と 家族と医師との3 者で行われ、会場の笑いを誘 った。まず一句、「脳卒中 なったらすぐに 119 番」、私が申し上げたい事は、まさにこれ だけですと述べていた。
脳卒中市民公開講座<名護会場>
- 日時:平成23 年9 月11 日(日)
- 場所:ホテルゆがふいんおきなわ
司会:北部地区医師会副会長 石川 清和 先生
1.開 会
2.挨 拶 北部地区医師会会長 大城 修 先生
3.講 演 座長:沖縄赤十字病院院長 良英一 先生
- 講演1 「脳卒中とは・・・」 県立北部病院 内原 利光 先生
- 講演2 「脳卒中になってしまったら」 沖縄赤十字病院 饒波 正博 先生
- 講演3 「脳卒中にならないために」 琉球大学医学部附属病院第三内科 伊佐 勝憲 先生
- 講演4 「リハビリと医療連携について」 ちゅうざん病院 仲地 聡 先生
〜 休 憩 〜
4.質疑応答
5.閉 会
伊佐勝憲先生(琉大医学部附属病院第3 内科) は脳卒中予防十か条について話され、「脳卒中に なったら救急車」は正解かどうかアンケートを 取ったら、1 位は秋田県で正解率85 %、沖縄県 は57 %で最下位との事。脳卒中はリスクファク ターが1 個あれば4 倍、3 個以上だと8 倍の発生 で、沖縄県における発症は約2,000 件/年、リハ ビリ等で何らかの症状のある方は1.6 万人と述 べていた。宮古医療圏での分析で、出血は減っ たが脳梗塞は2 倍になった。血圧コントロール により脳出血減、体重増加とHDL-C 減少にて 脳梗塞増、全体では脳卒中増、すなわちメタボ が主因で、メタボの友、3 つの「あ」:あまい、 あぶら、アルコールが課題だと述べていた。
仲地聡先生(ちゅうざん病院)は長嶋さんや オシムさんについて話され、長嶋さんは子供た ちの前で、脳卒中後初めて自然にバットを振 り、その人らしさ、長嶋さんらしさを取り戻し た。サッカーの監督のオシムさんについては、 倒れた時救急車を呼ぶのに1 時間かかった。息 子さんが傍にいたが救急車を呼べず、フランス に行っているスタッフを通じて救急隊に連絡し たとの事。手足を動かすのは戦いの一部で、障 害を持って生きて行くことは、家族がそばにい たから、人のつながりがあったから回復できた と話されていた。仲地先生は医療連携を説明す ることは容易ではなく、図が必要であり、人の つながりをイメージしたと述べていた。段差の みがバリアフリーではない、「ひと」も環境の 一部、残された能力を存分に発揮して生活でき るよう支援するのが望まれ、キーワードは「ソ ーシャル」で‘伝える’を‘繋げる’と説明 し、リハビリテーションの目標は「私らしさ」 を取り戻すことを支援する事と述べていた。
良先生が各講演をサマリーアップして分か りやすく会場の方々に説明していた。参加者か ら27 件の質問があり、その内の4 件をリスト アップし、各先生方が答えていた。参加者180 名は名護ではかなり多い数との事、また内容が 解りやすく楽しい講座であったと、石川副会長 はすごく喜んでいた。
去る平成23 年3 月6 日に那覇市のパシフィ ックホテル沖縄で行われた同市民公開講座の際 は、700 名余の市民の参加のもと、会場から48 件もの質問を受け熱気あるシンポジウムが行わ れた。会場での質問は、県医師会のホームページの県民公開講座コーナーに掲載している。
脳卒中市民公開講座<那覇会場>
- 日時:平成23 年3 月6 日(日)
- 場所:パシフィックホテル沖縄
司会:沖縄県医師会常任理事 安里 哲好 先生
1.開 会
2.挨 拶 沖縄県医師会会長 宮城 信雄 先生
3.講 演 座長:沖縄赤十字病院院長 良 英一 先生
- 講演1「脳卒中とは・・・」那覇市立病院 豊見山直樹先生
- 講演2「脳卒中になってしまったら」 沖縄赤十字病院 饒波 正博 先生
- 講演3「脳卒中にならないために」 琉球大学医学部附属病院第三内科 渡嘉敷 崇 先生
- 講演4「リハビリと医療連携について」 友愛会南部病院 岩田 剛 先生
〜 休 憩 〜
4.質疑応答
5.閉 会
平成21 年2 月に県医師会内に準備委員会を 持ち、同年6 月より南部保健医療圏脳卒中医療 連携委員会を立ち上げて連携パスを作成した。 平成22 年4 月より南部保健医療圏(70 万人) において同一パスを利用。平成23 年4 月より 中部保健医療圏(49 万人)においても同一パ スを利用。平成23 年6 月より、名称を「おき なわ脳卒中地域連携委員会総会」に変更。北部 保健医療圏において2 度の説明会を行い、今回 の市民公開講座を開いた。平成23 年度第2 回 おきなわ脳卒中地域連携委員会総会(10 月6 日)には同圏から多くの方の参加があった。平 成24 年4 月から北部保健医療圏においても統 一パスを実施する予定である。
今回は、平成23 年9 月22 日の琉球新報の内 容を中心に名護市での市民公開講座を掲載する とともに、これまでの活動として、当委員会設 立に至るまでの経緯(表1)、これまでの活動経 過(表2)、組織図(図1)、おきなわ脳卒中地 域連携パス導入圏域および南部保健医療圏にお けるパスシート利用実績(図2)を掲載するの でご参照いただきたい。
表1
表2
図1
図2