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九州医師会連合会平成23年度 第1回各種協議会

3.医療安全対策協議会

玉城信光

副会長 玉城 信光

挨 拶

日本医師会の高杉敬久常任理事より、概ね以 下の通り挨拶があった。

今、政局が極めて不安定な状況であり、我々 が執行部になってから実に三人目の総理大臣で ある。野田政権が誕生し、医療費は削減しない とは言っているが、どうなるのかは分からな い。現在、医療・介護の同時改定に向け、担当 役員が一生懸命動いているところである。

原中会長は、物事をズバッと言うので、そう いう意味では私は時宜を得た会長だろうと、そ のように思いながらいろいろな仕事をさせても らっている。

本日は、よろしくお願いしたい。

○座長選出

慣例により、担当県の古賀義行常任理事が座 長に選出され会が進行された。

協 議

(1)各県医師会における、医療安全及び医事紛争対策に係る取り組みについて(沖縄県)

本会では、医療安全及び医事紛争対策を推進 すべく、従来、県内外から講師を招聘し、各種 講演会並びに勉強会等を開催している。

医療安全対策としては、平成22 年度より、 「医療安全全国共同行動」に賛同し、医療に携 わる各種医療団体と共同による講習会を企画開 催している。具体的な内容としては、本会、歯 科医師会、看護協会、薬剤師会、臨床工学技師 会より、それぞれの医療事故のケースや医療安 全対策に係る取り組み等について報告いただ き、その後、全体のディスカッションを行って いる。

医事紛争対策としては、毎年、医事紛争勉強 会を開催し、診療科を限定した上で実際に発生 した医事紛争事案を取り上げ、事案発生から解決に至までの経緯等を説明し、同様の事案が発 生しないよう情報を共有しているところである。

ついては、今後の本会の活動の参考に資すべ く、各県医師会の医療安全及び医事紛争対策に 係る取り組みをご教示いただきたい。

(2)中小病院、診療所における医療安全対 策の取り組みについて(鹿児島県)

平成19 年の医療法改正により、従来の病院、 有床診療所に併せて、無床診療所も医療安全対 策、院内感染対策、医薬品の安全管理、医療機 器の安全管理などの各種指針、職員研修等が義 務づけられている。

本会では、中小病院や診療所を支援するべ く、インシデントレポート様式の作成や日医作 成の指針の雛形などの情報をまとめ本会ホーム ページ上に掲載を行っている。また平成19 年 度からは、中小病院、診療所における医療安全 対策の事例発表の研修会(医療安全対策モデル 事業)を開催し、参加した会員医療機関からも 好評を得ている。

なお、今年度は、日本医療機能評価機構との 共催で地域フォーラムを企画しており、県薬剤 師会、県看護協会にも協力をもらい開催する予 定にしている。

貴会において、中小病院、診療所に対する医 療安全対策の取り組みやまた関係団体と共同で 実施している事業があればご教示いただきたい。

(3)医療安全対策事業について(福岡県)

九州各県における医療安全対策への取り組み 状況に関してお伺いしたい。

なお、本会ではこれまでに下記のような取り 組みを行っている。

1)医療安全対策委員会

患者の安全を守り、安心して医療を受けても らえる環境づくりについて検討することを目的 に平成13 年度に設置。

2)自浄作用活性化委員会

医の倫理に反する行為、職業倫理に反する医 療事故を防ぐため、会員の共通認識のもとに、 解内にて自浄作用を活性化させ、国民の信頼に 応えることを目的に平成16 年度に設置。

3)医療よろず相談電話・診療総合相談窓口

(4)医事紛争解決後のフォローについて(熊本県)

本会では、医事紛争を起こした会員に対し、 事故の再発防止を目的に本会主催の医療安全研 修会(年3 回)への出席を促している。しかし、 該当医師の出席は低調であるのが実情である。

更には、医療事故を何度も繰り返す、いわゆ るリピーター会員に対しては、上記研修会の 他、日本医師会主催の医療事故防止研修会にも 参加を促している。

医事紛争解決後の会員のフォローについて、 各県の取り組みをご教示いただきたい。

提案事項(1)〜(4)については一括協議さ れた。

<各県回答>

各県ともに、医療安全対策や医事紛争対策に ついては、主に年1 回から2 回、講習会や研修 会を企画開催していると説明があった。

熊本県医師会では、実例を基にロールプレイ ングを取り入れたワークショップ形式の研修会 を開催していると報告があり、福岡県医師会で は、各医療従事者を対象とした医療安全推進者 講座の開催や、医療従事者の接遇向上を目的と したハートフル研修会等の開催を行っていると 報告があった。本県からは、平成18 年度より 取り組んでいる医事紛争対策勉強会の内容につ いて報告を行った。

中小病院や診療所における医療安全対策支援 にかかる取り組みについては、長崎県より、 「各医療機関に求められる安全管理対策の整備」 という資料を配り各医療機関に対し注意喚起し ていると報告があり、熊本県医師会や福岡県医 師会より、中小病院や診療所における医療安全 対策の各種指針や手順書等の雛形を作成し、各 医療機関に対し情報提供を行っているとの報告があった。

医療相談の対応については、宮崎県医師会: 医療苦情処理委員会(平成12 年度設置)で対 応。大分県医師会:医療相談窓口を県医師会及 び一部郡市医師会に設置。長崎県医師会:診療 に関する相談事業を平成19 年度より開始、県 医師会事務局にて対応。熊本県医師会:医療相 談窓口を県医師会事務局に設置。福岡県医師 会:医療よろず相談電話として毎週木曜日(第 3 週を除く)の午後5 〜 7 時に役員が交代で対 応、診療総合相談窓口として通常勤務時間内に 県医師会事務局が対応。鹿児島県医師会:患者 さんの声ダイヤルイン事業を平成14 年度から 開始、月、水、金の午前9 時〜午後5 時を損保 会社のOB が対応、火、木は各課持ち回りで対 応。佐賀県:毎週木曜日の午後2 〜 3 時に専用 回線で役員が対応。という報告があった。

医事紛争解決後のフォローについては、各県 ともに決定的な取り組みはなく模索している状 況にあると報告があった。

<日本医師会コメント>

高杉常任理事:医療安全対策は非常に大切なこ とであり、これをなくして国民の批判には耐え られないと考えている。

私が執行部に入る前に木下先生が仕上げられ た仕事で、「医療事故削減戦略システム」とい う小冊子があり、これを材料に医療安全対策を 広げたいと考えている。医療事故云々よりも医 療安全をきちんとやらなければ国民の期待には 答えられない。大病院、中小病院、診療所でで きる安全対策は何かということで、今、医療安 全委員会において、それぞれにテーマを決め、 実際にトライアルする事業を行い、その半年後 の成果はどうかということを1 月に発表してい ただく予定である。それでどのような効果があ ったのかということも含め医療安全対策を広げ ていきたいと考えている。

医療安全等についてはいろいろな研修会があ るが、医師が参加するだけでは医療安全には繋 がらない。職員全体が医療安全に取り組まなけ ればならない。職員全体で行うことで、診療所あ るいは中小病院の質が上がるということになる。

愛知県では、ヒヤリハットレポートを集め、 起こりやすい事例を地域で共有している。それ で医療事故がどれだけ減ったかということが数 字で出てくれば、良い取り組みになるのではな いかと考えている。

今、診療所レベルでも医療安全対策が義務づ けられている。もし何かあった場合に、安全対 策を行っていないということで咎められたり、 あるいは非難されるということにも繋がりかね ないので、何らかの取り組みを行っていただき たい。日医でも医療安全推進者講座を行ってお り、そのまとめを11 月に行う。医師以外の医 療従事者が積極的になると医療安全の質が上が るだろうと考える。そういう意味では、私は医 療安全全国共同行動に参加していただきたいと 考えている。これはいろいろな職種で医療安全 に取り組もうというものである。東北を起点に 各県に広がりつつある。九州では、鹿児島県や 沖縄県でトライアルしていただいている。福岡 県医師会が取り組まれているハートフル研修会 についても、職員の接遇ということでとても大 切なことだと考えている。大病院と中小病院、 診療所は医療安全の取り組みが違うというが根 本的な部分は同じであると考える。

リピーターの問題は一番悩ましいが大きな対 策はなかなか無いということが実情である。た だ言えることが、中央がどうのこうのと言うよ りも、地域医師会でしかできない取り組みだと 考えている。地域医師会の執行部が勇気を出し て指導し、質を上げていただきたい。残念なこ とに、リピーターに限って医師会の集まりや研 修会には来られないということで、なかなか対 策が難しいが、これは我々がきちんとピアレビ ューし対応していく。そのようなことで地域の 信頼が保てるのではないかと考えている。

藤川常任理事:日本医師会では、様々な医療安 全関係資料を各県医師会に送付しているが、実 際には、現場の職員まで情報が届いておらず、以外と活用されていない。医療安全の研修会等 についても、どうしても医療機関によって温度 差がある。

未だ事故調の問題が解決していない段階で、 医療事故で患者様が亡くなった場合、警察が医 療機関に入り込んで来るという可能性も十分に あるので、早急に医療の安全性を高めるととも に、事故調の問題を解決していかなければなら ないと考えている。

(5)日本医師会の基本的提言の中にADR (裁判外紛争解決手続)の活用を推進する とあるが、各県の医療紛争処理委員会の 役割は終わったのか(長崎県)

日本医師会医療事故調査に関する検討会の5 つの提言の中に、「ADR の活用を推進する」と ある。現在、各県医師会には医療紛争処理委員 会があり、第三者的立場で県医師会が仲介役を 十分に果たしているように思われる。確かに地 域住民、受療者がアクセスしやすい形になって いるかと問われれば、決して患者さんからアク セスしやすいとは言えない状況ではある。しか し会員にとっては無料で気軽に一時的に相談で きる現行制度は今後も必要不可欠な制度である と思われる。今後ADR としてスキルアップす るためにはどうするべきか各県のご意見をお伺 いしたい。

<各県回答>

各県ともに、医療側と受療側が十分な対話を 持つことは重要であるとの認識であり、現行の 医事紛争処理委員会等において、一部その役割 を果たしていると回答があった。しかし、現在 の仕組みでは、第三者性という観点からすれば 中立的立場にないものと患者側から受け止めら れることは否めなく、各県医師会に設置されて いる医事紛争処理委員会の役割及び、日医医賠 責保険制度のあり方も含め再検証すべきではな いかとの見解も示された。

<日本医師会コメント>

高杉常任理事:日医の医賠責制度は、まさに医 療版ADR である。しかし患者側からはどうか、 これは医療側だけの話しではないかということ は気になるところである。私は医師会に入る最 大のメリットは医事紛争に遭った時だと思って いる。これが一番頼りになる。ただ、患者側か らいろいろな苦情相談があり、きちんと説明す れば問題ないことが、十分な説明がされていな い、あるいは誤解、あるいは納得できない時に どうしたら良いか、そういう時に、十分に患者 様と接触する必要があるが、それがなされない 場合に被害届が出され警察が動くということ で、そういうことがないようにしなければならない。

我々は、医療事故調査に関する検討委員会を 行い、患者様にしっかりと説明していくための 仕組みを作ろうとしているが、その過程で、医 賠責、あるいは医師会の相談窓口や紛争処理委 員会だけで良いのだろうかと、いろいろな形に 耐えられるシステムも考えなければならない。 そういうことで、いわゆる第三者が入った ADR も良いのかと考えている。患者様と十分 な話し合いを行い、この部分のミスは認めると いう時の解決の仕方はどうだろうかと、その時 は第三者が入り、賠償の話しになるが、これは ADR が出て行かなければならない。患者様に 行くところがないということで訴訟になる。し かし訴訟の中でも結構の数が和解となってい る。患者様に幾らかお支払いをして和解すると いう手段は現実に行われている。それをいわゆ る裁判になる前の紛争処理という形として、私 は視野に入れなければならないと考えている。

これまでの訴訟になった事例をシリーズで日 医雑誌に掲載している。ご参考にしていただき たい。

藤川常任理事:日医の医賠責制度は、非常に中 立の立場で審議を行っているが、問題は無責の 場合にどうするかというところである。

日本医師会の医賠責制度は非常に有機的に機能している。各県の医事紛争処理委員会できち んと処理され、また手前の段階の相談窓口でも 事務局と担当理事が対応するというところで、 私自身はうまくできていると考えている。

今回、茨城県の提案では、紛争になった症例 について、患者側と医療側の両方を同じテーブ ルにつかせ、お互いの主張を聞く。これによ り、有責であれ無責であれ、患者側の気持ちを 十分に医療側が理解してあげるというところに おいて、お互いに事故が起こる前の信頼関係を 保っていた時期まで遡ってもらう。無責であっ ても、こちらが構え過ぎると患者側との交流が なくなってしまう。弁護士が入る前にインフォ ームド・コンセントを再構築するという努力 で、医療側の責任を逃げようとせず、相手の話 しを受け止めることが大事なことではないかと 考えている。

各県医師会の医事紛争処理委員会の医療側だ けで処理することももちろん大事であるが、も う一つ相手側や第三者も入れるような場所を医 師会が提供するということも大事なことかと考 えている。

(6)医療事故発生への対応について(宮崎県)

今回「医療事故調査制度の創設に向けた基本 的提言について」と題して、日医医療事故調査 に関する検討委員会から答申がなされた。

各医療機関の院内医療安全委員会を基にして の事故調査委員会設置が提言されている。

その際、小規模病院や診療所では対応が困難 であり、医師会・大学等への調査支援依頼がで きる体制構築が重要であるとされている。

現在、各県においてそのような体制構築となる 基盤はどの程度確立しているのかお伺いしたい。

(7)全ての診療所にも院内医療事故調査委員会の設置を義務づけるのか(長崎県)

日本医師会・医療事故調査に関する検討委員 会では、会長諮問「医療事故調査制度の創設に 向けた基本的提言」に対する答申を取りまとめ た。その5 つの提言の中に「全ての医療機関に 院内医療事故調査委員会を設置する」とある が、病院では既に設置されているところも多い と聞いている。しかし、診療所においても再発 防止の観点から、公平性を担保された形で、自 ら積極的に調査分析を行うことが重要とした上 で、実施に向けては、制度設計を協議する場と して、日医、病院団体、医学会、大学他の参加 により専門委員会を立ち上げることを提案して いる。

具体的には、小規模病院や診療所等では医師 会・大学等からの支援を依頼する体制を築くこ ととしているが、対応等をお伺いしたい。

(8)医療事故調査制度の創設について(福岡県)

福岡県医師会では、平成19 年7 月より「診 療行為に関連した志望の調査分析モデル事業」 の福岡地域事務局として事例受付を開始してい るが、本事業は平成24 年度以降の事業継続が 不透明な状況であることから、これまで蓄積し たノウハウを生かして本会事業として、病院だ けでなく診療所レベルまで広め、院内医療事故 調査委員会の設置が困難と考えられる診療所や 中小病院の支援及び非解剖事例も対象とする方 向で検討委員会を立ち上げて議論している。

平成23 年6 月20 日に日本医師会医療事故調 査に関する検討委員会より答申「医療事故制度 の創設に向けた基本的提言」が出されている が、日本医師会で検討されている医療事故調査 制度を参考に今後検討していきたいと思うの で、本制度についてご協議いただきたい。

協議事項(6)〜(8)については一括協議された。

<各県回答>

各県ともに、日医が示す「医療事故調査制度 の創設に向けた基本的提言」の中に記された 「全ての医療機関に院内医療事故調査委員会を 設置する」という提言について、小規模病院や 診療所での対応は困難との見解が示され、日本医師会の具体的な対応等を伺いたいとの意見であった。

<日本医師会コメント>

始めに、高杉常任理事より「医療事故調査制 度の創設に向けた基本的提言」について、パワ ーポイントを用いて説明があった。

説明では、医療事故調査制度の厚労省第三次 試案・大綱案の特徴が改めて示されるととも に、日本医師会医療事故調査に関する検討委員 会が提示した各提言内容について解説が述べら れた。また“今後の見通しと目標”として、法 制化に向けた日本医師会の考え方を改めて公表 した上で、およそ1 年間をかけて全国の医師会 への説明と意見募集を重ね、その後、国会議員 との意見交換等を行っていきたいと考えている と説明があった。

パワーポイントの説明の後、日本医師会よりコメントが述べられた。

高杉常任理事:福岡県のモデル事業は事業仕分 により減額されたが、これは我々がきちんとや らない限りは世に問えないということであり、 このモデル事業を進化させた形で取り組んでい かなければならないと考えている。医療の信頼 を取り戻すために我々がしっかりやらなければ ならないと考えている。

医療事故調査制度の創設については、政権交 代でできなかった。また、刑事訴追がネックと なり2 割の会員が反対という意見であった。刑 事訴追が残る事故調で良いのかと個人的にも思 っている。政権交代で議論がストップしていた が、先般、医療の質、向上に資する無過失補償 制度を考える検討会がスタートした。従って、 医療事故調も含めた議論がまた動き出している。

藤川常任理事:日本医師会の原中執行部の最大 のテーマはこの問題である。今の段階では、自 民党、民主党ともに、そんなに反対の意見は無 い。後は被害者団体の問題もあるが、最終的に は警察だと考えている。司法の問題をクリアす れば立法の国会では何とかいけるのではないか という気持ちで動いている。

我々としては、原中政権の中で、事故調の問 題と医師法21 条の改正について、これは避け ることなくやらなければならないという覚悟 で、政治家や官僚を納得させ、実現したいとい う決意で取り組んでいる。診療報酬の問題もあ るが、診療報酬の問題以上にこの問題が全国の 医師や医療に関係する方々の大きな課題である と考えているので、第一番にあげて頑張ってい るところである。

印象記

副会長 玉城 信光

9 月17 日佐賀にて開催されたが、その数日前から台風15 号が沖縄近海を伺っており、飛行機 が飛ばなくなることも予測された。宮城会長、安里常任理事と局長始め事務局の5 名は前日の朝 福岡へ向けて出発した。私は外来の患者さんを変更することが無理なので土曜日の朝出発するこ とにした。しかし、この迷走台風は沖縄本島へ寄ることなく停滞をしてくれた。おかげですべて の役員、事務局員が会議に出席することができた。

南風が吹き込んでいるせいか福岡、佐賀とも暑く9 月の気候とは思えなかった。

医療安全対策協議会は実りのある会議であった。

当県からの提案として1.沖縄県は医事紛争対策講演会の開催、2.医療に携わる各種団体と共 同による講習会の開催、3.実際の医事紛争事例をもとに医師のみの講習会の開催を行っている が、各県はどのような取り組みをしているかお伺いをした。

九州各県とも医療安全講習会を行っており、郡市医師会単位でも行っている県もあった。福岡県は郡市医師会の医事紛争担当者会議も開催しており、沖縄県でも参考になると思われる。

医療安全モデル事業として転倒防止の対策などの事例発表を行いディスカッションしている県もある。

警察などとも定期的に懇談を行い、情報交換をおこなっている県もあり、参考になると思われる。

リピーター医師に対する指導に関しては各県とも研修会への参加を促してはいるが、指導は難 しいという回答である。沖縄県医師会が直接指導していることに対して私自身は高く評価されて よいと考えている。

次のテーマはADR(裁判外紛争解決手段)の活用を日医は推進するのかとの質問に対し、各県 は現在の医事紛争処理のシステムで代用できているのではないかとの話が多かったが、第3 者を いれた透明性のあるシステム構築は必要ではないかとの日医の回答である。茨城県が行っており、 大変よい評価を受けているので沖縄県も参考にして、県内の同様の解決方法を探る必要があると 思われる。

医療事故調査精度について日医の考えを伺った。日医高杉常任理事がスライドを使用して、ミニ講演を行った。

民主党政権になり、この問題に対する議論が下火になっているが、日医としては医療事故調査 制度の創設に向けて提言をまとめてきた。医療界、医学会が一体的に組織・運営する「第三者的 機関」による医療事故調査をおこなう。医師法21 条の改正を行う。ADR(裁判外紛争解決手段) の活用を推進する。患者救済制度を創設する。(過失、無過失を問わず医療に起因する有害事象に ついて、患者救済制度をもうける)

以上のようなことが高杉常任理事から提案された。この制度がしっかりと設立されたなら、医療の安全に対し大きく寄与すると考えられる。

それまでの間は現在の医療安全対策をさらに進化させ、皆で医療の安全に取り組んでいくこと が大切だと思われる。

沖縄県の事例勉強会は各県より評価頂いたのでさらに推進していくことの大切さが確認された。

蛇足ながら、協議会の後の懇親会で横倉副会長に宮城会長、私で来年度の日医治験センターの 予算に沖縄県の治験の現状を報告し予算の獲得をお願いした。糖尿病の国際治験、COPD の国際 治験と実績をもとに来年度の予算獲得をしたいと思っている。