沖縄県医師会 > 沖縄県医師会の活動 > 医師会報 > 11月号

沖縄心身医学会の活動

近藤毅

琉球大学・精神病態医学講座 近藤 毅

平成23 年度において沖縄心身医学会総会は 第38 回目を迎えることとなります。ここで、 紙面をお借りし、本学会のこれまでの活動を支 えていただいた沖縄県医師会および会員の皆様 方にはあらためて深謝申し上げる次第です。

本学会は、bio-psycho-social-ethical-ecological な疾病理解に基づく全人的医療に軸足 を置き、その心身医学的な診方、考え方の普 及、学習、相互研修を目的として、1986 年に 沖縄心身医学協会(沖縄心身医学会の前身)と して設立されました。とくに、精神科医療との 相違を際立たせるために、学会の顧問や理事に 小児科医や内科医、会員に脳外科医、産婦人科 医、整形外科医、耳鼻科医などの各科臨床医に ご参加をただきました。1991 年、「沖縄心身医 学協会」設立満10 年の時点で、琉球大学医学 部保健学科精神衛生学石津宏教授(現琉球大 学名誉教授)を中心に、医師だけの構成員で 「沖縄心身医学会」が結成され、現在において も、大きく分けると後述する3 つの活動を中心 としております。

ひとつは、毎年1 回の総会とその後に行われ る特別講演またはラウンドテーブル形式の学術 講演会であり、心身医学領域に興味・関心があ り臨床面でもご活動されている様々な科の先生 にお集まりいただき、ご発表・ご討論をいただ いております。疾患の病態機序の解明や診断・ 治療技術の向上といった学問の進歩に伴い、医 学が年々専門化・細分化されていくのは宿命と もいえますが、我々が扱う対象が人間そのもの である限り、患者さんが「こころ」と「から だ」を持ち「社会」の中に一人一人の「人生」 を生きる存在である点は、いつの世においても 変わりはありません。心身医学的に治療を考え ることは、まさに全人的医療の観点をもたらす ものと確信する次第です。

二点目は、沖縄で開催される心身医学および 心療内科関連の学会や研究会等への協力・後 援・共催活動です。毎年開催される精神保健福 祉普及月間における市民公開講座への後援や講 師の派遣、沖縄心身医学協会の市民公開講座に おける共催や啓発講演への協力などの活動があ ります。また、2008 年10 月17 〜 19 日には沖 縄心身医学会の大宜見義夫理事を大会長として 第26 回日本小児心身医学会学術集会を沖縄で 開催し、2009 年1 月30 〜 31 日には、沖縄心 身医学会会長近藤毅を年会長として第48 回日 本心身医学会九州地方会を沖縄で開催する機会 を得ることができ、各方面からも好評を得てお ります。

第三点として、県内外の著名な第一線の研究 者等の招聘や国外の心身医学領域の研究者との 学術交流活動が挙げられます。とくに、国立台 湾大学医学院との学術交流は、前沖縄心身医学 会会長である石津宏名誉教授がレールを敷いて 下さり、毎年、沖縄と台北を交互に相互訪問し ての大学間合同シンポジウムを行いながら、学 術交流および友好を深めております。最近では、 2010 年8 月6 〜 7 日に心身医学関連領域におけ る学術交流会議を沖縄で開催しております。

上記の活動により、心身医学に特化した総合 的および全人的な医療の啓発と普及とともに、 会員への心身医療や最新の知識の習得・研鑽に 励んでいる次第ですが、家庭医、総合診療医を 志す若手医師が少しずつ増加している近況にあ り、益々本医学会が沖縄県の心身医学の発展に 貢献すべく努力してまいりたいと存じます。沖 縄県医師会および会員の皆様方におかれまして は、本医学会の趣旨にご賛同いただき、これま で同様のご指導・ご鞭撻を賜りますよう、何卒 宜しくお願い申し上げます。