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第39回沖縄県学校保健・学校医大会

真栄田篤彦

常任理事 真栄田 篤彦

今年6 月に開催した県医師会学校医部会常務 理事会では、去った3 月11 日の東日本大震災 の後を受けて学校安全の観点から「災害発生時 における学校現場の対応等について」を主題に して企画されました。

9 月4 日(日)に当大会が開催され、特別講 演で仲座栄三教授からは「津波の恐ろしさを知 り、それに備え、そして伝える」のテーマで、 特に被害者の多かった小学校と、被害者が殆ど 出なかった小・中学校とを比較して、ある小学 校では避難マニュアルに沿って対応をしたが、 あまりにも想定外の大津波に飲み込まれてしま い悲劇が発生してしまった。他方の小・中学校 では、津波に関する歴史からの教えを日頃から 身につけて地震の際は「てんでんこに」逃げる ということで無事に避難できたとのこと。各地 における過去の津波の到着地点には「ここより 下に家を建てないこと」という碑が見られ、こ れら歴史から学び、津波に対応していくことを 忘れてはいけないとのことでした。

また神谷大介助教からは、各種用語の定義 と、災害からどう守るのか、避けられない大災 害からは如何に被害を最小にしていけるのかと いう講演でした。

今回は学校安全のために「津波に関して」ど のように対応するかという具体的な内容であ り、学校現場の管理者である校長・教頭先生が 多く参加され、それぞれの地域特性の中での避 難対応に関して真剣に質疑がなされました。

宮里善次担当理事や多くの学校保健部会委員 の皆様方の適切なテーマ設定のおかげで、当大 会は例年にない多くの参加者及び多くの質疑応 答がなされました。

今後の学校保健活動の指針になれば幸い です。

第39 回沖縄県学校保健・学校医大会

日 時:平成23 年9 月4 日(日)10:00 〜 12:00
場 所:沖縄県医師会館3 階ホール
テーマ:「災害発生時における学校現場の対応等について」

<次第>

司会 沖縄県医師会常任理事 真栄田篤彦

1.開会
2.講演 「津波の恐ろしさを知り、それに備え、そして伝える」
     琉球大学工学部環境建設工学科 教授 仲座 栄三
     「災害から「いのち」を守る そして被害を小さく」
      〜事前の準備と避難行動〜
     琉球大学工学部環境建設工学科 助教 神谷 大介
3.質疑応答
4.閉会

『津波の恐ろしさを知り、それに備え、そして伝える』
―ハザードマップにみる被害想定と避難経路―
琉球大学工学部環境防災工学/海岸工学教授 仲座 栄三

琉球大学工学部環境防災工学/海岸工学教授
仲座 栄三



講演内容

2011 年3 月11 日に発生した大津波の猛威 は、テレビを通じて日本中に、そして全世界に 報じられた。これほどまでに詳細に津波の全容 が明らかとなったのは、恐らく人類の歴史の中 でも初めてのことでなかろうか? 地震対策そ して津波対策の先進国で、その先進地で、約2 万人もの犠牲が生じた。

現代にあって、これほどまでの犠牲が出たこと は、技術や科学というものに対する我々のこれま での認識を根底から問い直させるものである。津 波による被害の惨状は、筆舌に尽くし得ない。例 えるなら、まさに原爆投下後の惨状を見る様にあ る。ハザードマップにおける、浸水深や遡上高だ けでは津波の本当の恐ろしさは伝えられない。

人々が頼った科学的予測は、必ずしも今回の 津波被害を予測するものではなかった。確かな のは、歴史の教えであり、海抜高度であった。 人は、まず自らがいかなる所に生活しているか を知る必要があった。そして、日々の生活の中 で、津波に対する自発的な工夫が必要であった。 ほんの僅かな高低差が無事と惨事を分けた。

わずかな海抜高度の差が明暗を分けた

人の築いた物の全てを、津波は根こそぎ流し去った。備えのない人の経験知と技術は、津波の猛威の前になす術もなかった。 津波にとって、そこは海の中と同然であった。

町が全壊の中にあって「犠牲者ゼロの奇跡」 が伝えられている。その奇跡から我々が学ぶべ きことは、惨状の中にあっても、「間違いなく 我が子・我親は大丈夫」と信頼し合えるほど に、日々の生活の中で対策が出来ていなければ ならないということである。日々の生活の中で 便利帳として利用され、暗黙の中に脳裏に刷り 込まれていくような減災マップの開発と活用の 普及が急がれる。

沖縄からの発信:沖縄で開発された特許技術と大学における研 究成果の統合によるスーパー減災マップの開発

避難経路 那覇市仲井間小学校・中学校への適用例避難経路に ついての課題の抽出と対応

「災害から「いのち」を守るそして被害を小さく」
〜事前の準備と避難行動〜
琉球大学工学部環境建設工学科助教 神谷 大介

琉球大学工学部環境建設工学科助教
神谷 大介



※当報告はスライド原稿のみです。

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