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沖縄県立北部病院 病院長 上原 哲夫 先生

上原哲夫先生

本島の陸続きの僻地、北部地区 医療圏への多大なる御支援の 程、宜しくお願い致します。

Q1.この度は、沖縄県立北部病院院長へご就 任おめでとうございます。院長に就任され て、今の率直な感想と今後の抱負をお聞か せください。

4 月に院長に就任して数ヶ月がたちましたが、 前任地の宮古病院副院長職とは違い、組織の長 としての重責を日々感じているところです。ま ずは現状の把握として、隣接する病院の訪問を 開始して、先日愛楽園の訪問でほぼ終えたとこ ろです。陸続きでありますが、僻地医療として の役割が大きいと感じております。地区医師会 からの歓迎会も済ませ、地区医師会病院との医 療の機能分担等も協力しながら、地域医療の発 展に尽くしたいと思います。

Q2.北部地域は離島を含めた広範囲であるた め、救急医療体制の安定化には大変ご苦労 をされていると思います。また、医師確保 (内科、産婦人科、小児科)、生活習慣病対 策等多くの問題があると思いますが、現状 と今後の課題についてお聞かせください。

救急医療は本院の北部地区医療圏の役割の中 で大きな比重を占めるものであります。特に救 急室経由の重症患者さんの入院は当院の生命線 と考えております。現在内科の指導医クラスの 欠員があり、金曜、土曜の内科の当直を中部病院や南部医療センターからの応援でカバーして います。そのため内科医の労働負担の軽減のた め、夜間10 時から翌朝の8 時まで、歩いて来 れる(Walk In)軽症の内科の患者さんは、医 師会病院のご協力により引き受けてもらってい ます。研修医の指導を含めた入院患者さんの治 療には指導医の増員が不可欠でありますので、 8 月に見学で来院される内科医にも期待してい ます。

産婦人科医は、3 月まで1 人でしたが、4 月 に2 人体制、7 月より3 人体制になりましたが、 業務内容の検討等を行いながら、徐々に拡大で きればと思っています。2 箇所の近隣の開業の 先生方との連携を密にしながら、ハイリスクの 患者さんを受けるには4 人体制まで持っていけ ればと考えていますが、次年度の琉球大学や中 部病院からの応援を大いに期待しているところ です。産婦人科の発展に伴って新生児等の小児 科医の増員もこれからの問題です。現在の5 人 体制での当直等の時間外勤務は年間700 時間を 越えますので、6 人体制が望ましいところです。 また北部地区の3 人の小児科医のご支援を受 け、準夜帯の救急室の診療にも参加していただ いていることにも感謝しています。

生活習慣病対策等は、前述のように内科医不 足のところもあり困難な問題でもありますが、名護市との連携のもと特定検診についての対策 等の協議が始まったところです。

Q3.平成21 年度から始まった地域医療再生計 画で北部病院は電子カルテの導入と、県医 師会あげての糖尿病・連携パス、脳卒中連 携パスの運用開始が始まりますが北部病院 の取り組みについてお聞かせください。

地域医療再生計画の事業の中で、当院も電子 カルテの導入を推し進めていますが、今年度3 月までには導入できればと思っています。その 中で糖尿病や脳卒中の地域連携パスの運用を予 定していますが、電子カルテの機種選定や導入 のノウハウ等これから忙しくなることが予想さ れます。

Q4.この度の東日本大震災では、貴院も災害 支援を行ったと伺っております。北部医療 圏域での災害対策と貴院の役割について、 上原先生のお考えをお聞かせ下さい。

このたびの東日本大震災で被災された皆様に 謹んでお見舞い申し上げますとともに、1 日も 早い復興を祈念いたします。当院のDMAT の 一員も支援に参加いたしましたが、北部地区で の災害対策の基幹病院としての役割について考 えて見ますと、あのような想定外の災害が起こ った場合にどのように対応できるのか今一度、 県や市町村とともに見直す必要を感じておりま す。今までの防災訓練等は多くても100 人以内 での医療機能の検討のような感じがいたしま す。また職員の多くが中南部からの遠距離通勤ですので、時間帯によっては機能の半減、役割 の分担確認等課題が多いと思われます。

Q5.県医師会に対するご要望がございました らお聞かせください。

県医師会の2 次の地域医療再生事業、確保困 難な地域への産婦人科医の派遣事業には大きく 期待しているところです。陸続きではあります が離島のように医者の確保が困難な地域であ り、多くの皆様方のご支援をお願いいたします。

Q6.最後に日頃の健康法、ご趣味、座右の銘 等がございましたらお聞かせ下さい。

体を動かすことで健康を保ちたいなあと思っ ていますが、通勤等の時間が多くなり毎日の運 動はマンションの階段を上り下りするくらいで しょうか。学生時代は準硬式野球、現在はゴル フを楽しんでいますが、暑くて遠のいていま す。時々三味線を弾いたりもしています。国費 留学生を目指していたころは、“忍耐、努力” をかざして頑張っていましたが、還暦を迎える ような年になってくると生きていることの楽し みを孫たちと分かち合っています。現場では週 1 の乳腺外来と、手術場に入れる喜びを大事に し、若い外科医の成長に少しでも役立ちたいと 朝の回診を楽しんでいます。

この度は、インタビューへご回答頂き、誠に 有難うございました。

インタービューアー:広報委員 石川清和