久場整形外科医院 久場 長毅
東日本大震災から既に6 カ月、沖縄戦や原爆 を思わせる大惨事で被災された方々に心から哀 悼の意を捧げるとともに沖縄県医師会がいち早 く編成して救援に送ったスタッフの方々に頭の 下がる思いである。
私ごとだが大正、昭和一桁生まれ、とよく云 われ何か特別枠にはめられた様で抵抗を感じる が、健忘症状、体力の衰えなど身体機能の低下 に気がつけば自分が高齢者社会の一員である事 を改めて納得せざるを得ない。
近年、医師に対する社会の逆風は強く医師倫 理の欠如が叫ばれ不親切、儲け主義等新聞紙上 で叩かれる事があるし、一般の人も新聞、雑誌 等でかなりの医学知識を得る時代であり、大量 輩出した法律家は食を得る為に医療事故を探し 回っていると聞く。また学校教師と供に医師に も免許更新制度の導入も叫ばれている、導入さ れたら年齢的に私は多分更新する事は出来ない であろう。医師は生涯勉強して最新の医学知識 を習得すべきとして日医は生涯教育制度を導入 して生涯掛けて勉強する必要があると叱咤激励 している。それに応えたいと思う。
毎日の様に医学関係の郵便物が届く。日本医 師会誌、所属学会誌二つ、県医師会報、地区医 師会報、日経メディカル、薬品会社の発行雑誌 等これらの雑誌をすべて為になる雑誌であるが 全部読んでいたら毎日の診療時間はほとんど潰 れるであろう。大かたは緒言、結論を読んで終 わる。時にはメモしておく。しかし県医師会報 と地区医師会報は出来るだけ丹念に読む事にし ている。
医学部卒業の50 年前にタイムスリップした として当時と比べ現在の医学を考えると隔世の 感で医学が日進月歩である事を実感している。 それに専門分野が更に細分化し、とても追いつ いて行けない。自分の標榜科さえ診察術、手術 手技にはついて行けない。脳の退化を実感しつ つもう少しもう少しと老体に鞭打っている。
その昔、学位取得の為に大学の教室に入局し てこき使われながら技術を習得したが近年の医 師は学位よりも専門標榜資格つまり技術を取得 する為に勉強している。大変結構な事だと思う 反面、医師の地域偏在と過重労働を招いたとも 云われている。大学の医局から地方病院への出 張問題が発端となったと思うが厚労省は今後ど う対処するつもりだろうか、医学部を増設して も簡単ではないと思う。
毎月集まる医師の模合で他科の先生に自分の 専門以外の事を聞くチャンスがあり診療に役立 って大変有難いと思っているが、老医の私にと っては県医師会報の生涯教育コーナーは他科の 深く研究された最前線の新しい知識を得るのに 大変役立っている。執筆される先生方の大変な ご努力の賜物であり、大変有難い事と思ってい る。同時に日医の目指す医師生涯教育制度の自 己教育研修の単位が取得出来る事で大変有意義 である。感謝している。ご執筆される先生方に 心から敬意を表する次第である。県医師会は今 後ともこのコーナーを継続して頂きたいと思っ ている。