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沖縄精神神経学会の歴史と現在

近藤毅

琉球大学・精神病態医学講座 近藤 毅

沖縄精神神経学会は、昭和55 年に発足した 沖縄精神神経科地方会をその前身とし、昭和 62 年の第8 回大会より沖縄精神神経学会と名 称を変更して現在に至っております。すでに、 平成23 年の開催で第32 回を迎えましたが、本 学会の運営にあたっては、これまで沖縄県医師 会をはじめとして多数の方々から有形無形の多 大なご貢献を賜ってまいりました。

第1 回は昭和55 年3 月14 日に沖縄県立医療 福祉センターにて沖縄精神神経科地方会の名称 で開催され、琉球大学附属病院精神神経科を事 務局とし、平安常良、世嘉良直、中山勲、久田 研二、佐久川肇(会長代行)の5 名の先生が世 話人となり、4 演題が報告されました。第8 回 (昭和62 年)より名称が沖縄精神神経学会に変 わり、開催時間枠を拡大するとともに一般演題 数も21 題と飛躍的に増加し、学会主催で「ア ルコール依存症をめぐる諸問題」をテーマに初 のシンポジウムも開催されました。その後も、 時宜に応じた精神医学的トピックを採り上げな がら特別講演またはシンポジウムを企画しなが ら、並行して毎年ほぼ20 前後の一般演題を提 供してきました。

第21 回(平成12 年)より、琉球大学医学部 精神神経科学講座小椋力が会長に就任し、同 年の年会は本学会史上最大の31 の一般演題を 数え、最新の学術的な研究報告や教育講演およ び特別講演も数多く盛り込まれるようになり、 第22 回(平成13 年)には前世界精神医学会会 長でWHO 精神保健部長を務めたジュネーブ大 学医学部Sartorius 教授を招来し、世界的な 視点から「精神神経疾患の予防」をテーマに特 別講演が行われました。第29 回(平成20 年) からは琉球大学医学部精神病態医学分野近藤 毅が会長に代わり、同年の年会から日本精神神経学会の精神科専門医制度における単位取得が 可能な学会としての指定を受けています。平成 21 年度からは日本精神神経学会の生涯教育研 修会を同時開催し、専門医研修に向けたプログ ラム内容の企画の充実を図り、平成23 年開催 の学会では新たに学会賞および奨励賞を制定 し、若手研究者を主な受賞対象の中心として優 秀な研究発表に対する研究助成を行うこととい たしました。

年会参加者は精神科医のみならず、コメディ カルおよび学生にも門戸を拡大し、一県単位の 学会としては毎年30 前後の演題数を持つアク ティブな学会として機能しており、沖縄県内の 精神医療関係者が一堂に会して、神経精神医学 領域の幅広いテーマを活発に議論する場となっ ています。発表報告は、精神生理学、精神科画 像診断、精神薬理学、社会精神医学、心理・精 神療法、精神科治療学、精神科リハビリテーシ ョンなどの学術分野に加えて、沖縄県における 特徴的な精神医療の現状と対策についても討議 が持たれるなど、実に多岐にわたった内容の濃 いものとなっています。また、沖縄精神神経学 会年会の一般演題、シンポジウム、教育講演、 特別講演の発表抄録は九州神経精神医学雑誌に おいても毎年掲載され、その歴史的軌跡を記録 に残してきました。ここ数年の年会参加者も 100 名前後を数えるなど規模の拡大がみられて おり、学会賞制定の動きと連動して発表内容も 専門学会や全国学会に出してもおかしくないよ うな水準の高い研究報告もなされており、アカ デミックにもおおいに刺激を受ける学会となっ てきました。

精神医学を専門とされる方々はもちろんのこ と、本分野にご興味・ご関心のある会員の方々 のご参加をお待ち申し上げております。