皆様に気軽に話しかけられ、好意を持たれる部長でありたいと思います。
Q1.この度は、福祉保健部長ご就任おめでと うございます。部長に就任されてのご感想 と今後の抱負をお聞かせいただけますでし ょうか。
このたび福祉保健部長の辞令を受けました宮 里です。医師会会員の皆様には、昨年までの統 括監職の時にも大変お世話になっていますの で、あえて自己紹介するまでもないと思います が今後ともよろしくお願いします。
部長就任の感想・抱負ということですが、あ まり力みかえった感想・抱負などはむしろもた ず、祖父の口癖だった「誠シヨー、誠ソーレ、 ナンクルナイグトゥ」の言葉を信じて、ただ誠 実に課題に立ち向かっていこうと考えています。
部長になって変化したことといえば、統括監 のころまでは気軽にいろいろお願いされるまま に行動していました。しかし、部長就任直後、 日程管理をしている職員から、今後は絶対に、 勝手に日程を入れることはやめてくださいと強 く言われました。部長職は一般行政職のトップ としての最終責任を負う立場ですから、仕方な いのかもしれませんが、少しばかり皆様にご迷 惑をかけるかもしれません。その辺の所はご理 解ください。
Q2.この度の大地震において、県では「東日 本大震災沖縄県支援対策本部」を設置して おりますが、どのような支援を行っている のでしょうか。
3 月11 日は全国の人が、テレビで伝える映像 がかつての東宝映画でも見ているように感じら れ、現実に起こっていることが実況映像で伝え られているとはなかなか信じられなかったので はないでしょうか。
その日、私は午後4 時近くまで議会対応をし ていました。20 分の休憩があり部屋に戻ると 職員が全員立ち上がってテレビを見ておりまし た。どうしたのか聞いたところ、東北地方で大 地震が発生し、大津波が襲っているとのことで した。テレビで流れている映像は信じられない 気持ちでしたが、これは議会対応ができる状況 ではなく、今後求められる被災者支援の計画を 検討しなければと考え、委員長に出席不可の連 絡をしてもらいました。
4 時過ぎには、知事から対策本部会議を開催 するから参加するよう指示を受けました。その 会議で知事から、医療保健部門の支援を最大限 行えるよう命じられました。早速DMAT を組 織している病院の方々、赤十字、医師会、市町 村(保健師確保)へ手分けして調整連絡を行い ました。赤十字は独自派遣ルートで対応するとのこと、また、徳洲会DMAT は福岡で九州チ ームのバックアップ要員として福岡で待機する とのことでした。
医師会でも被災地の医師会と調整のうえ独自 に派遣するとのことで、夜7 時過ぎから緊急会 議をもちできるだけ早く派遣すると決まりまし た。必要物資等の準備で一番の課題は雪国仕様 の車両確保でした。そのことでもたもたしてい たところ、医師会は「独自ルートで車の確保が できた。明朝東京へ出発する。ただガソリンの 確保等ができないので県で準備してほしい」と 連絡があり、東京事務所の方々に頑張ってもら いどうにかご要望に対応でき、岩手に出発する ことができました。
急性期が過ぎると必ず精神科の問題が出てく ると容易に考えられましたので、精神病院協会 の先生方に相談しました。県に全面的に協力し て同会として支援していくことを決めていただ きました。
その他、看護協会の方々も全国組織のライン で要員を派遣していると聞いています。おそら く沖縄から一日あたり40 人以上の保健医療関 連の方々が、支援に入ったと思われます。改め て医師会はじめ沖縄の医療人の善良な心根に感 動しました。心から感謝します。
もう一つご紹介したいことがあります。多く の方々が現地へ行きました。私の心配はもう一 つ出てきました。被災地支援で救急医療を中心 に沖縄自身に問題が発生しないだろうかとの懸 念がありました。そのため、DMAT を組織して いない那覇市立病院の方々には特別にお願いし て、手薄になるであろう地元の救急医療機能の バックアップのためぜひ普段以上に頑張ってい ただきたいとお願いしました。病院には現地に いきたいとの強い希望もありましたが、沖縄で 頑張っていただきました。本当に感謝します。
距離・気候の要因で多少出遅れになった感も ありますが、どうにか頑張り合格点をつけられ ると思います。連休に私も現地に入りました が、岩手県の部長さんから感謝の言葉がありま した。
Q3.沖縄県の長寿復活や地域医療の充実、医 師確保事業等福祉保健部が抱える課題や今 後の展望についてお聞かせください。
沖縄の平均寿命は、伸び率は鈍化しています が男女とも延び続けています。しかしながら、 私が言うまでも無く肥満・糖尿病等が県民健康 問題の大きな課題です。そしてこれは県民の中 で健康状況の二極化をうき立たせているように 見えます。不健康な生活を送っている県民をど う導くか大きな問題だと考えています。
上記のことも大きな課題ですが、福祉保健部 にはさらに多くの課題があります。その主なも のを箇条書きにします。
1.医療職者の研修機能の更なる向上(琉球大学のシミュレーションセンター、看護協会研修センター等の整備事業成功)
2.県立病院の健全経営のしっかりした道筋をつける
3.地域医療を担う医師の適正配置の仕組みづくり
4.新たな沖縄振興計画の実現のための国との調整
今回、代表的事項を列記しましたが、その他 にも課題山積です。皆様のご支援をいただき一 歩一歩解決に向けて努力したいと思います。
Q4.本会や日本医師会に対するご意見・ご要 望がございましたら、お聞かせください。
会への要望というより、行政として県から皆 様への情報提供という点で反省することが多々 あると考えており、ぜひ改善に努めたいと考え ています。正直に話し合い、皆で解決策を模索 することこそが、遠回りのようで実は解決への 一番の近道だと思っています。
ただ一点、医療事故へいかに対応すべきか、 あるいはクレーマーをどうするかとか、医療現 場を守る仕組みづくりの前進ため、大きな国民 議論を喚起していただきたいと希望しています。
Q5.最後に日頃の健康法、趣味、座右の銘等 がございましたら、是非お聞かせください。
実は、私は19 歳のころから脊椎管狭窄症で、 両足膝下は絶えずしびれて歩行にも困難を感じ ることがある情けない状況です。それで出勤な どは多少無理をしても歩くことに勤めていま す。これが唯一の健康維持のための努力です。 しかし、体重にも気をつけているのですが、な かなか適正体重を維持することはできていない ため反省しております。
趣味は、歌うことと友人と碁を打つことで す。医師会の囲碁大会にはほとんど参加してお り、そこで知り合った先生方にはいつもかわい がっていただいております。
座右の銘ではありませんが、先日南部医療セ ンター院長の大久保先生が「緒方洪庵の医戒」 について研修医に話しておられました。久しぶ りに読み直してみました。医師としての戒めが 12 の項目について述べられているのですが、現 実の自分と照らしてなかなかできることではな く、忸怩たる思いにかられます。しかし、一つ だけ8 番目の「衆人の好意を得んことを要すべ し」は到達可能の努力目標になるのではと思っ たりします。いろいろ至らぬことがあり、会員 の皆さんをはじめ県民にご迷惑をおかけするこ ともあるかもしれません。ただただ誠実に、皆 様に好かれる部長でありたいと思っております ので今後ともよろしくお願いします。
この度は、インタビューへご回答頂き、誠に 有難うございました。
インタビューアー:広報担当副会長 玉城信光