沖縄県医師会 > 沖縄県医師会の活動 > 医師会報 > 5月号

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編集後記

このたびの東日本大震災にて被災された皆様、 関係の皆様に、心よりお見舞い申し上げますと ともに、一日も早い復興を祈念しております。

この原稿を書いている時点で、東日本大震災 発生から1 ヵ月経過いたしました。マグニチュ ード9.0、最大震度7 という国内の観測史上最 大の巨大地震は、10m 以上の大津波を引き起こ し、東日本の沿岸部を中心に甚大な被害をもた らしました。7 日には震度6 強、11 日には震度 6 弱の余震による土砂崩れで死亡者も出ており ます。9 日19 時現在、死者は1 万2,915 人、行 方不明者は1 万4,921 人に及び、今後行方不明 者は大幅に増える可能性があります。計15 万 3,680 人が避難所暮らしを続け、震災関連死疑 いも282 人に上っています。

このような有事に沖縄県医師会がどう対処す べきかが問われています。一方、このような災 害時であっても直接被災していない沖縄県にお いては、通常の医療・経済活動を着実に達成す ることも大切と思います(「粛々と行う」と書 こうとしましたが政治家の誤用で悪い印象をう けるので控えます)。

沖縄県医師会報5 月号は内容が盛りだくさん です。全てについて言及することは出来ません ので、皆様には是非熟読をお願いいたします。

トピックス1.「第32 回産業保健活動推進全国 会議」(金城忠雄理事)事業仕分けにより、産 業医の専任義務のない従業員50 人未満の小規 模事業場で就労する労働者(日本の労働者の6 割)を対象に無料で産業保健サービスを行う地 域産業保健センターの集約化と財政支援削減と いう評価が下されました。日本医師会として地 域産業保健センター事業の改善を働きかけてい ます。またメンタルヘルス不調者の増加に伴い 国は47 都道府県にメンタルヘルス対策支援セ ンターを設立し積極的に取り組む姿勢を見せて いるとのことです。

2.「予防接種講習会」(宮里善次理事)海外で 承認され広く使われているワクチンが未承認で 使えない、公的負担で接種できるワクチンが少 ない。これまでワクチンを巡る日本の状況は海 外から大きく後れ、日本は「ワクチン後進国」、 「はしか輸出国」と揶揄されてきましたが、ワ クチン行政も転換期を迎え、23 年末までには 子宮頚癌ワクチン、ヒブワクチン、小児用肺炎 球菌ワクチン摂取を促進する事業が実施される ことになりました。ワクチン後進国からの脱却 が望まれます。詳しくは宮里理事の印象記をご 参照下さい。

3.「東日本大震災医療支援報告」(名桜大学 出口宝先生)3 月11 日に発生した東北地方太 平洋沖地震は東日本を中心に甚大な被害(東日 本大震災)を引き起こしました。沖縄県医師会 災害救助医療班第一陣の臨場感あふれる報告記 をご覧下さい。現時点(4 月12 日)では第5 陣 が活動しています。

4.「移植医療について考える県民との懇談会」 (玉井修理事)心臓移植が必要な心筋症や先天 性心疾患はわが国では毎年20 名以上の子ども に発症していると推定されます。一方、わが国 では子どもの心臓移植が行えない状況にあった ため、患児の一部は米独豪などに渡航して、脳 死下臓器提供による心臓移植手術を受けてきま した(渡航心臓移植)。しかし、本来その国の 子どもに移植すべき心臓を外国人に移植する渡 航心臓移植の問題点が指摘されてきました。 2008 年イスタンブール宣言により、外国人へ の移植医療が困難な状況になり、2010 年5 月 のWHO 総会にても渡航移植の自粛を求める指 針か採択されました。2010 年7 月17 日施行の 改正臓器移植法により、ようやく15 歳未満の 子供からの脳死移植が法律的には可能になりま したが、今でも日本において十分な移植医療は 行われておりません。諸問題点につき、移植コ ーディネーター、ドナーの家族やレシピエント の方たちの実際の声を聞き今後の移植医療の道 筋が見えてきたようです。

今回の東日本大震災では、政府・東電の対応 に世界から厳しい批判が向けられています。そ の一方で、世界中の国から大きな支援を頂き感 謝の念に堪えません。日本の、そして日本人の 復興力を信じています。頑張ろう日本。

広報委員 金谷文則

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