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第111 回沖縄県医師会医学会総会

玉城清酬

広報委員 玉城 清酬

「沖縄県医師会医学会総会が変わります。」 名嘉村医学会長の巻頭の挨拶で述べたように今 回の医学会総会は大きく変わった。内容を凝縮 した日曜日だけの1 日開催となった。土曜日の 午後も診療されている多くの施設の医師が参加 できるように、効率的な運営のために県医学会 で検討され、県医師会で決定されたとのこと。 例年、土曜日の特別講演、シンポジウムと日曜 日の講演、ポスターセッションと2 日間であっ た。それが日曜日1 日だけとなった。

開催プログラムも医学や医療全般に関わる問 題をテーマにし、全会員が参加し易いようにと いう意図で、シンポジウムのテーマを「沖縄県 におけるがん対策の現状と今後」と設定、「沖 縄におけるがん対策」、「がん診療拠点病院にお けるがん対策について」、「がん診療における病 診・病病連携について」、「沖縄県の緩和ケア」 とその道の専門医のシンポジストの発表が行わ れた。期待以上の素晴らしい内容であった。今 回、改革的なことを考え司会をされた先生方 も、かなり素晴らしい進行をされた。どんなに 最高のシンポジストを揃えてもその内容の良し 悪しは実は司会者の腕による。今回、個人的見 解であるが2 人の司会者は最高であった。周到 な準備をされていたと思われる。

その根拠の一つが、今回医学会総会参加者全 員を対象にしたアンケートである。特に時間ぎ りぎりで入場した先生方は「何かこれは?面倒 くさいな。」と思われたかもしれませんが、そ れがまた、シンポジウムで生きてきた。今まで にない発想力であった。あっという間にアンケ ート結果の発表があった。特筆すべきは「先生 自身は、毎年いわゆるがん検診を受けていらっ しゃいますか?」という質問に、なんと69 % の先生が「いいえ」と答えてしまっている。特 定健診の受診率向上を目指す医師会の先生としては深く反省すべき内容である。今、私も深い 反省をしているところである。

特別講演、「日本の医療を考える」、私ごとき の論評は大変失礼と思われる。一言でいえば最 高に面白かったでしょうか。聞いた人しか分か らないと思います。宇沢先生が日本の医療を考 えてテーマどおりに話されたどうか分からなく なるほど、彼の人間性を含め深い内容でした。

その後のミニレクチャー(ランチョンセミナ ー)、ゆっくり食事を摂りながらと思っていた が、「認知症の地域連携クリニカルパス(脳の 健康手帳)の利用について」は、恥ずかしなが ら私は全然知らなかった内容であり大変勉強に なった。確立した実践的な内容、というよりは 既に実践化されている内容に対しての啓蒙的な 内容であった。多くの先生方が勉強になったと 思われる。

「PET 診療の現状」、結局PET で何がわか るの?は、分かりやすい最高の画像診断を供 覧、説明された。興味深い内容にて私も思わず 質問させてもらった。

さて、ポスター・セッションは、午前中から ポスターの提示・閲覧をできるようにされてい るようであったが、実際は午後に照準を合わせ ゆったりしたスタートだった感じである。

しかし、ポスターセッションは例年のごとく 熱い討論であり素晴らしかった。私自身専門分 野での、ぜひご紹介したい素晴らしい発表もあ り、ご報告したいのであるがあえて割愛させて 頂く。

今回、立場上、周辺環境も気になり少し調べ てみた。まず、メイン会場の外側、いつものよ うに事務関係の方が気を使い、完璧な対応をさ れていた。気になるのはトイレ、やはり品の良 い先生方の集団ですので時間の経過ともに汚く なっていくことはなかった。さて、会館外、全 ての関係者の方が気にされるのがやはり駐車 場。これだけの学会であるのでやはり大変だっ たようである。午前中はまだ余裕があったよう であるが、午後から予想どおり駐車場は満杯となり周辺地域への協力を要請。予想どおりに動 き大きな混乱は無かったと聞いている。

今回は、多少の問題があったかもしれない が、全体的には、非常にいい学会であり個人的 には最高の学会だと感じている。

関係者の皆様、本当にお疲れさまでした。

医学会長挨拶

名嘉村博

沖縄県医師会医学会長 名嘉村 博



第111回 沖縄県医師会医学会総会開催に際して

沖縄県医師会医学会総会が変わります。

例年、12 月の沖縄県医師会医学会総会は、 土曜日の特別講演、シンポジウムと日曜日の講 演、ポスターセッションと2 日間の日程でした が、今回より日曜日の1 日間の開催になりまし た。他の学術集会が以前より多くなったこと、 土曜日の午後でも診療されている施設が多数あ り参加に支障をきたしている医師も多いこと、 また効率的な運営の必要性から、県医学会で検 討のうえ県医師会で決定されました。

開催プログラムも変わり今回の医学会では、 医学や医療全般的にかかわる問題をテーマにし 全会員が参加し易いようにしたシンポジウム、 特別講演を午前中に、その後、ランチョンセミ ナーとしてミニレクチャーを昼食時に開催しま す。ポスターセッションの発表・討論が午後に なります。ポスターの掲示・閲覧は8 時半から 16 時35 分まで実施し、いつでも閲覧できるよ うにしました。従来参加が少なかった終了後の 懇親会は廃止になります。

沖縄県医師会医学会は他府県にはないユニークな学術集会です。

沖縄県医師会医学会は、県医師会に参加す るほぼすべての医学や医療領域を網羅する専 門領域の分科会から構成される沖縄県医師会 の学術団体です。今回新たに沖縄県プライマ リ・ケア研究会の参加が県医師会で承認され 参加分科会は21 分科会となりました。会員も 開業医、病院、大学勤務医だけでなく保健・ 福祉領域に関わる県の行政職の医師を含めて 健康や福祉に関わる県内の医師の大多数が参 加しております。このような形の学術集会は他 県には類がありません。本土に比較して戦後 極端に医師の少ない時代に実地医家、勤務医、 行政のすべての医師が専門を問わずに医療を せざるを得ない状況で医療の向上をめざして 生まれた学術集会です。諸先輩医師のご苦労 と献身的な活動の賜物です。このようにハン ディキャップとも言える状況で誕生したのです が医師が増え学会も専門分化が強くなりつつ ある昨今では逆に各専門が一堂に会する学術 集会は生涯学習や専門以外の医師との懇親な どの機会としてますます存在意義が高まって いるとも言えます。

現在は、明治維新以後に確立し戦後でも生 き残っていた社会の基本構造が大きなうねり で変革している時代です。マスメディアでは不 安をあおり将来への悲観論が大勢ですが現在 ほど今までの膿が是正されている時代もなく将 来は今以上に悪くなることはないと楽観して います。6 月の特別講演でウイルスでも組織で も生き残るのは強いから、良いからではなく変 化に対応するからだとする内容のお話がありま した。医学会も今までの良い面は残しつつ何 らかの変革が迫られているとも言えます。いつ も参加していただている先生方に加え研修医 や若手の医師の積極的な参加と活動を期待い たします。

会頭挨拶

當山護

第111回沖縄県医師会医学会総会会頭
當山 護


名嘉村沖縄県医学会長のご指名によりこの 度、第111 回沖縄県医学会会頭をお引き受けす る事になりました。有難く拝命し、且つこれ迄 の会頭や執行部の足跡を汚す事無く、つつがな く職を勤めさせて頂く所存です・・・が、ある 年令に近づきつつあるのかなぁ〜とも実感して おります。

歴史を紐解く迄もなく、先人達の築き上げた 業績は立派なものがありますが、この機会にこ れからの県医学会、並びに生涯教育のあり方に 一部私見を述べ、会頭としての挨拶にかえてみ たいと思います。

生涯教育は日医の3 大目標のひとつでありま す。医者として日頃学ばなければならない事は 多々あり、多くの方々が努力の最中でもありま す。学ぶ事を怠ったらその時点ですぐに医者と しての資質を問われる昨今でもあります。その 意味で日医の柱は大切であり、これ迄県医学会 の果たしてきた役割は大きく、関係各位に感謝 の念を表しておきます。

但し、近年の学会や専門医集団の勉強会、地 方会は一時期の比ではなく、毎週、毎夜の如く に開催されていると云っても過言ではなく、且つ インターネットの普及は各家庭に迄入り込み、 我々が学ぶチャンスが多くなっていると同時に息 が詰まるようなスピードで事は進んでおります。

そのような中で日医の示す生涯教育の自己申 告制のあり方、学会毎の専門医・認定医の統一 性のなさはどうにかならないものかと考えま す。時代のスピードが早過ぎ対応が後手勝ちに なりますが、医師集団の組織自体が肥大・肥満 化し小回りが効き難くなっているのが気にかか る所なのです。

繰り返しますが、県医学会のこれ迄の業績は 申し分のない所であります。・・・が然し、一 方で本学会は研修医や若い研究者発表の練習の 場ではないかとの声も漏れ聞こえ、その声に対 し私は「おやおや」とも感じています。今時の 若い医者は古い医師よりはるかに勉強家で知識 も豊富であるからです。ただ経験が乏しいだけ ではないかと思うのです。古い医師を批判する つもりはありませんが、ベテラン医師の経験も 尊く、そのような経験こそ医療には大切な力と なりますのでどうぞ本学会を単なる若い医師だ けの研修の場だけにするのではなく、積み上げ られたご経験を沢山我々にお教え頂きたいと思 います。若い人も経験のある医師も参加する事 が本会の特徴であり、これ迄育てて下さった先 人達の願いでもあると思うからです。

数年前から発表形式がポスター発表となりま した。ミニレクチャーも一部加わり、開業医コ ーナーも増えています。それぞれに小さな進歩 が垣間見えるのは喜ばしいと思いますし、恐ら く数年後にはe-Poster 方式にもなるであろう と考えます。然し、各科・各部署でこじんまり 感がみえます。細部化されてしまった専門性の 医学・医療の見直しは必須であり、細部化され た医療であるからこそ新しい他科の専門技術を 覗いてみたい衝動に駆られます。発表者の一部 からも他科の先生にこそ聞いてもらいたい報告 内容であるとの声もあります。

ひとつひとつの報告は重要で恐らく演者の方 の発表準備は大変であった事でしょう。半日で 消え去るにはもったいないポスター展示は山ほ どにありそうですし、幾等スピードのある時代 となっても尊い発表は逆に永久に残す努力と工 夫が必要な時代であります。聞く人、聞かせる 医師、お互いを生かす糧がそこに横たわっているのです。

東大、宇沢弘文先生の日本の医療制度のお話 しには興味を湧きます。日本の医療が公的制度 で成り立ち、その制度にどっぷり浸かってしま って身動きの取れない我々がいるからです。

将来的に維持できる公的制度を今後も構築し ていくと日医は主張しますが、ややもすれば受け 身で保守的(?)な行動になりがちです。患者 さんの要求は高度となり、高齢化はさらに進みま すが、果たして本当にこれからも医療が安全・安 心を維持出来るのでしょうか?学問と医療がバ ランス良く成り立つ為の公的財源はどこにあるの でしょうか?となりますと日医の主張に少し疑問 が残りますし、具体的施策を世に示して頂きた いと思います。この問題の解決は医療人や厚労 省行政のみの枠組みでは限度があると思っており ます。即ち医療行政のみの法整備や解決ではな く、どのような国作りが必要で生活の質が補償 されるかを問われている事になります。

医療の改革は必要ですが、国のあり方と国民 の合意なくして成り立たない部分は多く、その 点を含め今回、講演内容をじっくりお聞きした いと思っています。

駄文な挨拶の最後に!

名嘉村医学会長は私の無呼吸症の主治医であ ります。私の命は彼の手の中にあるようなもの ですが、医者として患者としても私自身は優等 生ではない事を知っております。然し、平々 凡々とした一人の医師の立場としても気軽に学 べる本医学会は素晴らしいものがあり、この機 会を大切にし、多くの医師や医療従事者の日々 の努力に患者として感謝しつつ筆をおきます。

特別講演

「日本の医療を考える」

宇沢弘文

日本学士院会員、東京大学名誉教授
宇沢 弘文



日本の国民皆保険制度はもともと、すべての 国民が斉しく、そのときどきに可能な最高の医 療サービスを受けられることを社会的に保障す るという高邁な理想を掲げて発足した。社会的 共通資本としての医療を具現化するものであっ た。しかし、理想と現実の乖離は大きかった。 その乖離を埋めるために、医師、看護師を中心 とする医療に関わる職業的専門家の献身的な営 為と医療行政に携わる人々の真摯な努力がつづけられてきた。

病院の物理的条件も医療設備も必ずしも満足 できるものではなかった。日本の医師、看護師 など医療専門家の人口当たりの人数は極端に少 なく、その経済的、社会的処遇も、諸外国に比 較して極めて低く、また勤務条件も過酷であっ た。しかし大多数の医師、看護師たちは高い志 を保って、患者の苦しみ、痛みを自らのものと して、献身的に診療、看護に当たってきた。日 本の国民医療費はGDP 当たりでみるとき、い わゆる先進工業諸国の間で、最低の水準であ る。OECD 諸国全体のなかでも最低に近い水 準にある。しかし、日本の医療はどのような基 準をとっても、最高、ないしは最高に近いパフ ォーマンスを挙げてきた。国民の多くはこのこ とを高く評価し、医師、看護師を始めとして医 に関わる職業的専門家に対して深い信頼と心か らの感謝の念をもってきた。

この理想に近い状況は、中曽根政権に始まり、とくに小泉政権の下で強行された度重なる 冷酷な医療費抑制政策によって維持しつづける ことが極めて困難になってしまった。日本の医 療はいま、全般的危機といっていい状況にあ る。かつては、日本で最高水準の医療を提供し ていたすぐれた病院の多くが経営的に極めて困 難な状況に陥っている。とりわけ地方の中核病 院の置かれている状況は深刻である。数多くの 医師、看護師たちは志を守って、医の道を歩む ことが極めて困難な状況に追いやられている。 この危機的な状況の下で、2008 年4 月1 日、 医療費抑制をもっぱらの目的に掲げて、後期高 齢者医療制度が発足した。この制度は、75 歳 以上の老人全て、それに65 歳から74 歳までの 障害をもつ老人を加えて、他の公的医療保険制 度から完全に切り離して、また地域的にも分断 して、それぞれ独立に運営し、保険料は個々の 保険者の経営的観点に立って決められている。 しかも後期高齢者一人一人が、これまで扶養家 族として保険料を支払う必要のなかった老人 も、それぞれ個別的に保険料を支払わなければ ならない。療養の給付についても、医療的基準 を無視して、ひたすら医療費抑制の観点からさ まざまな、極めて恣意的、反社会的な、ときと しては信じられないような制約的条件が課せら れている。そして被保険者資格証明書の制度が全面的に取り入れられ、数多くの「後期高齢 者」たちが無保険者となることは必至である。 社会的共通資本としての医療を具現化するとい う高邁な理想を掲げて、1961 年発足した世界 に誇るべき日本の国民皆保険制度は、その完全 な崩壊への決定的な一歩を歩み始めようとして いる。

市場原理主義の日本侵略が本格化し、社会の ほとんどすべての分野で格差が拡大しつつあ る。この暗い、救いのない状況の下で行われた 2009 年8 月30 日の衆議院選挙の結果は、国民 の多くが望んでいるのは、市場原理主義的な 「改革」ではなく、一人一人の心といのちを大 切にして、すべての人々が人間らしい生活を営 むことができるような、真の意味におけるゆた かな社会だということをはっきり示した。しか し、新しい民主党連立政権の下で、果たして、 年金制度と医療制度を中心とする社会的共通資 本について、大多数の国民の信頼を回復し、す べての国民のすべての人々の人間的尊厳が守ら れ、魂の自立が保たれ、市民的権利が最大限に 享受できるような、真の意味におけるリベラリ ズムの理念に適った経済体制を再現することは 可能であろうか。しかし、新しい政権のこれま での医療政策を見る限り、この問題について極 めて悲観的にならざるを得ない。

シンポジウム

「沖縄県におけるがん対策の現状と今後」

(1)「沖縄県におけるがん対策−がん対策基本法制定後の動き−」
増田昌人

琉球大学医学部附属病院がんセンター長
増田 昌人



1.国の動き

2007 年4 月に施行された「がん対策基本法」 と同年7 月に閣議決定された「がん対策推進基 本計画(以下計画)」により、我が国のがん対 策はようやく本腰が入れられた。がん対策基本 法では、がん対策を総合的かつ計画的に推進す ることが謳われ、特に『がん医療の均てん化』 の促進が第一目標となった。がん患者や家族、 遺族や有識者を委員に含むことが義務付けられ たがん対策推進協議会が設置され、患者関係委員を中心に積極的な提言が行われ、その一部は すでに政策として実現されている。がん対策推 進基本計画では、全てのがん患者とその家族の 苦痛の軽減・療養生活の質を向上させること と、10 年以内にがん患者の死亡率を20 %減少 させることを二大目標としている。

2.沖縄県の動き

前項で述べたがん対策基本計画を受けて、 「沖縄県がん対策推進計画」が2008 年3 月に策 定された。本計画は、学会・シンクタンクの評 価では残念なことに下位にランクされている。

また、日本医療政策機構の調査によれば、 2007 年度の沖縄県のがん対策費用は1,990 万 円で、人口当たりの予算は全国で45 位、全国 平均の約1/10、最高位の島根県の約1/100 と なっている。

がん対策基本法の施行により国のがん予算が 倍増され、がん医療の均てん化が図られたが、 各自治体の取り組みには大きな差が認められ、 一部では逆に格差を助長しているという皮肉な 結果となりつつある。

3.沖縄県がん診療連携協議会

本協議会は、国が都道府県「がん診療連携拠 点病院」(本県の場合は琉球大学医学部附属病 院(以下琉大病院))に設置を義務付けている 組織で、沖縄県と地域拠点病院である県立中部 病院と那覇市立病院、そして琉大病院の4 者で 組織され、年4 回開催している。県医師会から は会長として宮城信雄先生、沖縄県政策参与と して玉城信光副会長が参加され、その他にがん 患者関係者、県内外の有識者、医療界を代表す る方にも入っていただいて、活発な意見交換を している。

協議会は下部に7 つの部会(1)緩和ケア部 会(緩和ケア研修会の企画・実施、緩和ケアチ ームの増加、緩和ケア外来の普及等)、(2)が ん登録部会(地域がん登録・院内がん登録を行 う施設の増加、登録データの解析等)、(3)普 及啓発部会(検診啓発、子宮頸がんワクチンの 啓発等)、(4)地域ネットワーク部会(各種が んの地域連携クリティカルパスの導入等)、(5) 相談支援部会(がん相談支援センターの普及と 啓発等)、(6)研修部会(医師向け早期診断の ための研修会やメディカルスタッフ向け研修会 の企画・実施等)、(7)がん政策部会(条例案 作成・県への予算案も含む政策提言等)が組織 されている。それぞれ10 人から20 人余りの県 内(がん政策部会は県外の有識者も入る)の専 門家が揃い、月1 回は会議 を持ち、また各地で活動を 展開している。これらの事 務局を琉大病院がんセンタ ーが一括して行っている(活動の詳細は協議会ホームページ(http://www.okican.jp/)参照)。

協議会及び部会の実績は、 (1)昭和63 年から行っては いるものの、国の定めた方 式になっていなかった沖縄 県地域がん登録を、協議会 の要望書により県が予算を付けて国の標準様式に改革した、(2)沖縄県に 対し地域医療再生基金事業に提言を行い、一 部が採用された、(3)来年4 月から厚労省の新 規事業『がん患者必携』の中の「地域がん情 報」の沖縄県版を先行して作成し、その内容が 国の標準様式に参考にされた、(4)5 大がんの クリティカルパスを先行して作成し、その内容 が本年4 月の診療報酬に参考にされたこと等で ある。

4.今後について

沖縄県のがん対策はまだ不十分であり、沖縄 県版『がん対策推進基本条例』の早期制定が望 まれる。今後は、患者/患者団体、議会、行 政、医療従事者、企業、メディア、教育等が一 体(七位一体モデル)となって、がん対策を推 進する必要があると考える。

5.最後に、医師会会員の先生方へは3 つのお願いがあります。

(1)『緩和ケア研修会』へのご参加をお願いします。

(2)『地域連携クリティカルパス事業』へのご参加をお願いします。

(3)『院内がん登録』及び『地域がん登録』へのご協力をお願いします。

それぞれの詳細は、協議会ホームページ(http://www.okican.jp/)をご覧ください。

(2)「がん診療拠点病院におけるがん対策について−できたこと、今後行うこと−」
上田真

沖縄県立中部病院乳腺外科部長
上田 真




沖縄県には県と地域拠点病院合わせて昨年まで4 施設、現在3 施設指定されています。

その拠点病院が行ってきたがん対策はその指 定要件と重なります。その中から抜粋して検討 します。「今後行うこと」については他の施設 まで広げます。

1.緩和ケア

「できたこと」:どの拠点病院にも緩和ケア チームがあり、緩和ケア研修会を開催していま す。緩和ケアチームは緩和ケア医、精神科医、 看護師、薬剤師、リハビリ、栄養士、MSW な どで構成されます。医師は指導者講習会等を受 講し、他の職種も緩和ケアの勉強会が増えてき ています。研修会は県内の緩和ケアに関わる人 たちが協力して開催しています。緩和ケアにつ いての理解と利用が医療者と患者・家族両者に 広まってきました。

「今後行うこと」:どの拠点病院 でも緩和ケア担当医は緩和ケア専門 医が専従するようにして、緩和ケア の質を高めることが必要です。他の 施設にも緩和ケアチームを作るよう に促します。緩和ケア研修会を全て のがん診療に携わる医師が修了する ことが今後数年間の課題です。

2.がん登録

「できたこと」:がん登録の項目が 策定され、拠点病院でがん登録が始ま りました。拠点病院以外では、県の協 議会の部会が勉強会を開催し20 数ヵ所の施設 でがん登録が始まっています。県のがん登録の 様式もこの標準様式に合わせられました。

「今後行うこと」:この1、2 年内に県立病 院でがん登録を始めます。数年内にがんを診療 する全ての施設でがん登録が義務化されると予 想されます。先行する拠点病院は患者の追跡調 査をしなければなりません。また患者・家族や 市町村にがん登録士が問い合わせしますので理 解が必要です。この周知のために、医師会や 県、マスコミの協力が必要ですし、法・条例等 の整備が必要と考えます。

3.放射線治療

「できたこと」:県内には那覇・南部地区と中部地区に治療装置があります。

当院では新規治療設備が今年より稼動しました。放射線治療医の常勤医が就任しました。

「今後行うこと」:当院の新しい装置は IMRT ができますのでIMRT の準備をしていま す。安全のため放射線物理士の配置が望まれま す。安定稼動のため定期点検費・維持費・修理 費が不可欠です。放射線治療に関する政策(ポ リシー)が全県的に必要と考えます。

4.チューマーボード

「できたこと」:どの施設でも様々な形態で開催しています。

「今後行うこと」:主治医・腫瘍内科・放射 線科・病理医などの医師と他の職種が集まり全 ての患者の診療について検討を行うのが本来のチューマーボードです。この本来のチューマー ボードにどれだけ近づけるかが課題です。

がん対策基本法の理念である「がん診療の均 てん化」のため県内の全ての施設や関連する 方々と協力していくことが必要と考えます。

(3)「がん診療における病診・病病連携について−沖縄県がん診療連携クリティカルパス運用にあたって−」
宮里浩

那覇市立病院外科 沖縄県がん診療連携協議会
ネットワーク部会 宮里 浩




平成18 年に制定されたがん対策基本法に基 づき、がん対策推進基本計画において、がん診 療連携拠点病院が設置され、5 大がんの地域連 携クリティカルパスを整備することが義務づけ られた。

沖縄県においては、がん診療連携協議会のも とに地域ネットワーク部会を設け、4 がん拠点 病院で共通の沖縄県統一のがん診療連携クリテ ィカルパスを作成することとした。

平成20 年11 月5 日がん拠点4 病院より各1 名、琉球大学医学部附属病院がんセンターより 2 名が参加し、第1 回の地域ネットワーク部会 が開催された。部会では拠点病院以外の5 大が んの診療を行っている施設でも利用可能な、沖 縄県統一のがん診療連携クリティカルパス(以 下、「連携パス」という。)を作成することを目 標に、5 大がんに関して、県内にて症例数の多 い病院の医師に参加していただき、平成21 年 3 月に連携パス作成ワーキンググループを発足。 厚生労働省科学研究費による地域連携クリティ カルモデル開発班(谷水班)、先進地域である千葉県の連携パス、各疾患の診療ガイドライン を参考に、5 大がん(胃癌、大腸癌、肝癌、肺 癌、乳癌)の地域連携パスの作成を開始し、約 14 回の会合を重ね、平成21 年9 月地域連携パ スが完成した。

パスの広報、意見聴取を目的に平成21 年12 月より宮古、八重山を含め、北部、中部、南部 地区にて計14 回の研修会を実施した。

平成22 年連携パス運用ワーキンググループ を発足し、各地区医師会代表者および4 拠点病 院の連携室担当者にも参加していただき、実際 の運用にあたっての問題点、広報活動などを含 め検討している。

沖縄県がん地域連携クリティカルパスは

  • 1)地域連携パス運用の手引き
  • 2)患者基本情報書
  • 3)共同診療計画表
  • 4)共同診療経過表
  • 5)私のカルテ

より構成されている。

患者さんに安心、安全で質の高い医療を提供 するため、かかりつけ医(一般病院、診療所 等)と専門医(がん診療連携拠点病院、専門病 院)、看護師、薬剤師等が患者さんの診療計画、 検査結果、治療経過を共有するためのツールと して活用されることを目的としている。

運用にあたっては、連携の意志がある地域の 全医療機関が使えるものとし、県内で共通のフ ォームで運用できるツールとすること。連携を 説明し同意を得ること緊急時の対応は、最終的 には専門医施設が責任をもって、調整すること を基本的コンセプトとした。

参加にあたっては、登録フォームに記載し、 それぞれかかりつけ施設、専門施設に登録をし ていただくこととなっており、平成22 年10 月 27 日現在、かかりつけ医45 施設、専門医14 施設の登録をいただいている。

本シンポジウムにおいて、沖縄県5 大がん地 域連携クリティカルパスを医師会会員の皆様へ ご紹介し、周知を図るとともに、運用も含めた 今後の課題について報告する。

(4)「沖縄県の緩和ケア −過去、現在、そして未来−」
笹良剛史

南部病院麻酔科医長 笹良 剛史





以前の話です。あまり自己主張しない患者 が、がんと診断がついたら、医師は家族を呼 び、治療方針を話しました。ショックを受けた 家族は真実を隠すことを要求する。患者には病 名をごまかして伝え手術や抗がん剤を行う方針 を立て、治療を行なう。患者は副作用に耐えな がら、先行きもわからず、内容を聞くに聞けず に治療を受け、転移、再発。効果がない状態に なっても、抗がん治療をやめるにやめられない。 長期入院化し治療に反応しない時期になると、 在院日数短縮も頭に浮かびながら、「もうやる ことがありません、ターミナルケアしかありま せん。」と医師から家族に引導がわたされ転院 がすすめられる。そして「ホスピスだと患者に ばれる」と家族にいわれ、同門の医師のいる他 の一般病院に転院。不安と後悔のなかで、「が ん」だからしょうがないと医者も家族もあきら める。転院先の病院で、痛みをとるには「モル ヒネを使うしかないが、使いすぎると呼吸抑制 等の副作用が起きるかもしれない」、と家族は 説明され、充分な鎮痛薬が投与されない。経口 摂取が少なくなると、IVH が開始される。全身 のむくみと腹水が増加するが、「点滴をしない と元気にならない」といわれ、続ける。患者は 孤独と不安と苦痛、倦怠感の中で絶望し口数も 少なくなくなり、「帰りたい」とだけいうように なる。入院も長くなり、小康状態となった時 に、「何かあったらつれてきて下さい」と退院 許可。翌日、激痛と呼吸苦を訴え救急車で搬送 され、その後に急な血圧低下、心肺停止。主治 医は不在で、救急担当医師に「どうしますか」 と聞かれ、家族は「できることは何でもやって 下さい」というしかない。CPR を、少し疑問 も感じながら研修医が一生懸命やる。家族は部 屋の外に出され、30 分後に「手は尽くしました が」と救急当直医から死を言い渡される。これ は一昔前の極端な作り話ですが、今ではうちあ たいする医師がいないことを願います。

以前の「ターミナルケア」は「絶望+死」で あり「希望」とは対極の意味で一般医師は用い ていた気がします。この10 年間で、多くの変 化が起きました。「ターミナルケア」という言 葉自体が書物、文献から消え、終末期に行われ る治療は「End of Life Care」といわれるよ うになりました。「緩和ケア」が病期の初期か ら行われるもので、患者の自己決定を尊重し、 「希望」を支え、QOL 向上のためにいつでもど こでも受けられるべきもの、としてより広い包 括的な概念で再設定されました。病気の説明に しても『ムンテラ』が『インフォームド・コン セント』に変わりました。心のケアとコミュニ ケーション法はがん診療医師の必須の技術とと らえられ、「患者さん本人に告知をしなかった 時代」から、「告知をしても予後を告げない時 代」、そして「告知」という言葉すら使わない、 臨床倫理学と心理学的EBM に裏打ちされた 『真実を医師が話し、患者が知る時代』に移っ てきました。伝統的な上から目線のパターナリ ズムが反省され、患者の目線、患者の視点、一 人一人の人生を大切にするNarrative based approach が重要視されるようになりました。 麻薬や鎮痛補助薬をWHO 方式で正しくしっか りと用いれば大部分の苦痛はコントロールでき るようになり、終末期の高カロリー輸液や経管 栄養が無益なことがEBM で証明され、終末期 輸液による合併症が予防できるようになりまし た。「安楽死」とは異なる、「終末期鎮静」のガ イドラインも整備され、医学的、心理的、倫理 的に矛盾のない苦痛のない終末期ケアの道標が 見えてきました。医師は絶対的な権威者から、 病院内や地域で患者を支えるための多職種医療チームの一員に変わりながらも、ますます重要 な役割を求められるようになっています。

診療報酬では1990 年にホスピスに対して緩 和ケア病棟基本料が保険算定され、2002 年に は、緩和ケアチームに対する診療加算が算定さ れるようになりました。平成19 年に「がん対 策基本法」が制定され、がん医療の均てん化が 目標としてあげられ、地域格差、施設格差を是 正し、いつでもどこでも質の高いがん医療、緩 和ケアがうけられるような体制を作ることにな りました。2010 年より麻薬性鎮痛薬使用の際 の患者への説明に対してがん疼痛緩和指導管理 料、がんの治療方針を看護師と一緒に患者と話 し合うことに対してがんカウンセリング料が新 たに設定されています。

このように様々なパラダイムシフト、制度変 革が起きていますが、最近2009 年の全国がん 遺族調査(J-HOPE Study)からは、全がん 死亡患者の約5 %を占めるにすぎないホスピス 緩和ケア病棟や在宅ケア施設では7 割以上の遺 族が症状緩和が充分であった、と答えているの に比して、がん拠点病院では約半数の患者遺族 が患者の苦痛の緩和は不十分であったと感じて いたとの結果が示されました。大多数の患者が なくなる急性期病院での緩和ケアは、未だ不十 分な現状であることがわかり、更なる改善が求 められています。

平成19 年6 月に策定された厚生労働省の 「がん対策推進基本計画」で、がん診療に従事 するすべの医師が緩和ケアに関する基本的な知 識、技術を身につけることが責務となり、全国 で「緩和ケア基本研修会」が開催されていま す。この緩和ケア基本研修会は末期医療に関わ る医師のみではなく、がん診療の予防、診断、 早期から末期までの治療、在宅療養のすべての 病期に関わる医師が対象で、1 疼痛、身体症状 の緩和、2 がん告知などのコミュニケーション スキル、心の問題の緩和、3 地域連携、療養場 所の問題の解決、等を学習する2 日間の参加型 ワークショップ形式の医師対象の研修会です。 平成24 年度まで、年数回、各医療圏でがん拠点病院が主催となり研修会が開かれ、これまで 大多数の参加者から有意義な学習であったとの 評価を得ています。全国で約10 万人の医師が 受講する予定の戦後最大規模の卒後教育プロジ ェクトとなっています。

沖縄県においても、沖縄県がん診療連絡協議 会が音頭をとり、琉球大学附属病院、県立中部 病院、那覇市立病院の3 拠点病院、北部地区医 師会病院、日本緩和医療学会(豊見城中央病院 共催)が主催し、H20 年度からこれまでに宮 古、八重山での開催を含み計11 回研修会を開 催いたしました。計291 名の医師がこの研修を 受講し、厚生労働省からの修了証書を受けとら れております。これは、研修修了者一人あたり のがん患者数でいうと全国で7 位であり、いい ほうですが、がん診療に関わるすべての医師が 研修をうける目標には未だ遠いと考えられま す。今後、県内各医療施設での修了者数と研修 必要者の実態調査を行ない、一人でも多くの医 師に受講していただき、緩和ケアの底上げをす る必要があります。

世界、日本、これからの沖縄の地域緩和ケア

緩和ケア先進国のイギリス、カナダ、オース トラリアでは、緩和ケアの対象はがん、AIDS のみではなく、認知症、慢性肺疾患、慢性心疾 患、神経難病などの非がん性疾患も対象になっ ています。緩和ケアを提供している病院や施設 は厳格な「質の評価」を受けており、患者の希 望に沿って病院、ホスピス施設、在宅ケアがバ ランスよく配置され、濃厚な緩和医療の提供が おこなわれています。最近では、遠隔地との地 域カンファレンスのための情報システムの整 備、死亡前2 週間の在宅24 時間常駐訪問看護 サービスなども導入されており、本邦と大きな 差があります。

本邦での緩和ケア提供体制については地域に よりかなりの差があります。がん拠点病院に緩 和ケアチームが設置され、院内の相談支援体制 も整いつつありますが、沖縄県内においては多 職種の専任スタッフを確保できず、緩和ケアチ ーム診療加算を算定できる施設がまだないのが現状で、専門スタッフの育成が急務です。県内 にはホスピス緩和ケア病棟が3 施設(オリブ山 病院、アドベンチストメディカル病院、独立行 政法人国立病院機構沖縄病院)ありますが、常 に飽和状態ですので、急性期病院や在宅での緩 和ケア体制の充実も求められています。

多くの国民はがんが治らないのなら可能な限 り自宅で過ごしたいと考えていますが、「在宅 ホスピスケア」はまだ一般市民には浸透してお らず、介護負担が大きいことや、医師からの説 明が不十分で在宅体制に不安があるために、患 者側から積極的に在宅終末期ケアを希望するこ とは沖縄県内では少ない現状です。退院前カン ファレンスも行われることはまだ少なく、特定 の在宅支援診療所への患者集中、丸投げ状態、 急変時のバックアップ病院の対応の問題もあ り、がん患者の円滑な病病連携、病診連携には 課題が山積しています。

どのような地域連携を作ればいいのか、日本 緩和医療学会が進めているOPTIM というプロ ジェクトでは鶴岡、長崎、柏−流山−我孫子、 浜松の4 地域が緩和ケア地域モデルとして選択 し、2013 年の地域連携、在宅ケア推進のガイ ドライン策定に向けて地域医師会やホスピス、 がん拠点病院を巻き込んだ地域介入研究が行な われています。

沖縄県内でも在宅支援診療所の数は徐々に増 加しており、浦添市医師会では在宅ネットワー クも立ち上がりました。がん患者サロンが作ら れ、市民運動も始まり、がん患者連合会が立ち 上がりました。医師同士の顔がみえやすく学閥 の垣根がなく、研修医教育が充実していて、狭 くて、情報交換しやすい沖縄ならではの「うち なー地域緩和ケアネットワーク」作りが期待さ れます。

がんに対する緩和ケアのモデルが、将来は非 がん疾患、高齢者医療にも適応できることは他 国で実証済みです。病気がどんなに進行して悪 い状態でも「沖縄では県全体がチームとなって あなたを支えますから、心配しないで。」とい えるように、そろそろ皆で病院、行政、職種の 垣根をこえて話し合いませんか?

ミニレクチャー

(1)「認知症の地域連携クリニカルパス(脳の健康手帳)の利用について
−医療と介護の円滑な連携と認知症の人とご家族の安心のために−」
城間清剛

城間クリニック院長 城間 清剛





65 歳以上の約10 人に1 人が何らかの認知症を 患っていると言われています。軽微な異常にも関わらずさまざまな愁訴で複数の医療機関を頻 回に受診したり不安発作等で度々救急受診した りする患者さんが実は認知症による症状の場合 があります。また定期受診している患者さんの 病状悪化の原因が、経過中に併発した認知症に よる薬の飲み忘れや重複服薬による場合もあり、 認知症の診療は、すべての診療科において欠か すことのできない疾患の一つとなっています。

各自治体では「かかりつけ医認知症対応力向 上研修会」の実施が求められ、沖縄県では平成 19 年度から研修会を開催し、212 名の医師が 研修を修了しています。かかりつけ医をサポー トするサポート医のフォローアップ研修も平成 22 年度から開催されており、フォローアップ 研修では、医療と介護、地域住民との連携の重要性が指摘され、認知症に対する取組の先進事 例の紹介がなされました。

認知症の診療には、かかりつけ医、専門医、 介護施設との情報の共有と円滑な連携が必要で すが、必ずしも十分な連携が図られていないの が実情です。

沖縄認知症研究会では、認知症の人とご家族 が安心して医療や介護サービスを受けられるこ とを目的として、認知症の地域連携クリニカル パスの作成に取り組み、一定の完成をみました ので、県医師会のご協力を頂き会員の皆様にご 紹介いたします。

クリニカルパスには、一方向型パスと循環型 パスがあります。脳卒中や心筋梗塞、大腿骨骨 折のパスでは、イベントから入院・手術などの 集中的治療、回復期リハビリ、在宅もしくは施 設等への一連の流れで治療やケアが行なわれ、 パスの成果として、治療の標準化、治療期間短 縮、費用低減などのアウトカムがあります。一 方、糖尿病などの慢性疾患では、かかりつけ医 での日常診療と一定期間毎に専門医療機関で精 密検査、教育入院、栄養指導等を経て、再び、 かかりつけ医のもとで日常の治療を継続してい くという、循環型パスが用いられます。循環型 パスのアウトカムは、情報の共有、円滑な連 携、検査等の標準化などが重視されます。

認知症の地域連携クリニカルパス(脳の健康 手帳)は、循環型パスに準じ、関係する医療機 関や介護施設等との情報の共有と円滑な連携、 および主治医意見書作成の際の参考情報、認知 症に関する平易な情報提供に重点を置いて作成 しました。他県の認知症クリニカルパスともっ とも異なるのは、パスに介護機関等も含めた連 携を取り入れている点です。認知症の診療とケ アにおいて、介護機関の役割は大きな位置を占 めており、医療と介護の連携をより積極的に図 ることが重要です。

脳の健康手帳の運用に際し、まず運用マニュ アルを参考に、ご家族に脳の健康手帳について ご説明いただき、ご家族もしくは医療機関、介 護施設職員にて関係機関の連絡先をご記入いた だき、ご家族に同意書面頁に署名をいただきま す。同意書頁の写しは、かかりつけ医、専門医 療機関、ケアマネージャー、介護サービス機関 の各施設で保存して下さい。

手帳には、4 大認知症の分類、認知症の治療 や検査、経過の概略、かかりつけ医および専門 医等での検査を記載する経過表の頁がありま す。主治医意見書作成の参考情報のために、ご 家族、介護機関、かかりつけ医、専門医の自由 記載欄も設けました。この他にご家族や介護機 関職員の観察による、患者さまの認知機能や生 活機能の症状チェック表があります。3 〜 6 ヶ 月毎に患者さまの症状をチェックしていただ き、治療薬の効果や症状経過の評価にご利用下 さい。このチェック欄も主治医意見書作成の参 考資料となります。手帳の他に、患者さまの現 在の病状を確認し今後の経過と介護サービス立 案の参考となるように、認知症の一般的経過表 とその裏に、4 大認知症の特徴や症状、治療や 介護のポイントについて一覧表として記載した 用紙を添付しています。

患者さまの病状変化に、かかりつけ医、専門 医、介護サービス機関との間で、円滑かつ迅速 な情報連絡を行なうための一案として、FAX による連絡票をご用意しました。認知症の患者 さまを、わざわざ医療機関までお連れすること はご家族にも介護施設職員にも、もちろんご本 人にも大きな負担となります。それを多少とも 軽減するため、簡便な内容に関しては、この連 絡票を用いて当面の対応を助言していただく と、ご本人はもちろん、ご家族や介護施設職 員、かかりつけ医、専門医のすべてに有益だと 思われます。患者さまの病状が不安定な際に は、連絡票での情報交換が頻繁になり、かかり つけ医や専門医にはややご負担になる場合もあ るかもしれません。しかし、ささいな相談にも 丁寧に応えていくことで強い信頼関係が構築さ れ、患者さまやご家族中心の医療を実践するこ とに繋がり、医療機関にもさまざまな形でメリ ットがあると考えております。

かかりつけ医認知症対応力向上研修会を通して、国が掲げる目標は「認知症になっても安心 して生活できる地域作り」、「誰もが安心して生 活できる地域作り」です。認知症の診療は、決 して人ごとではなく、安心して生活できる地域 作りのスタート地点です。

認知症の地域連携クリニカルパス(脳の健康 手帳)が、かかりつけ医や専門医療機関、介護 機関、ご家族、ご本人に有意義なものとして県 内各医師会で広く活用され、認知症の診療やケ アの一助となればと考えております。パスの今 後の改良のために皆様には是非、忌憚のないご 意見を沖縄認知症研究会までお寄せ下さい。現 在、県内の認知症に関する情報を掲載するホー ムページ(「沖縄の認知症ネット」www.ninchisho. okinawa-1.net)を作成中です。HP に は、沖縄認知症研究会がこれまでに作成した、 「認知症評価スケールバッテリー」その他の資 料がダウンロードできるように掲載していま す。パスと併せて、是非ご利用いただき皆様の 貴重なご意見をお寄せください。

(2)「PET診療の現状結局、PETで何が分かるの?
FDG-PET検査の利点・欠点、その特徴について」
西蔵盛由紀子

ちばなクリニック 西蔵盛 由紀子





PET 検査はがん診療においてなくてはなら ない検査になりつつある。2010 年4 月の診療 報酬改正にてFDG-PET 検査の対象疾患が拡 がり、早期胃癌を除く全ての悪性腫瘍が保険適 応となった。がん症例の病期診断や治療方針決 定の際にPET 検査はとても有用で、今後も検 査の需要が増えていくことが予想される。しか し、FDG は悪性腫瘍に特異的に取り込まれる物質ではなく、正常細胞にも取り込まれる。 FDG-PET は「糖代謝を反映した機能画像」 であり、その特徴を理解しておく必要がある。

FDG はブドウ糖によく似た構造をしており、 ブドウ糖と同様に細胞膜にあるグルコーストラ ンスポーターを介して細胞内に取り込まれ、 FDG-6-リン酸となって細胞内に留まる。代 謝・活動が盛んな悪性腫瘍細胞は糖代謝も亢進 しているものが多く、正常の細胞に比し数倍〜 十数倍多くブドウ糖を取り込むと言われてい る。FDG-PET 検査はそれを利用したもので、 病変の状態や転移の有無などを含め、一度の検 査でほぼ全身の評価をすることが可能である。 患者の体の負担も少ない。

その一方で留意すべきポイントもいくつかあ る。FDG の取り込みはブドウ糖と競合するた め、高血糖の状態ではFDG 集積が低下してし まう。脳実質・扁桃・心臓・腸管・生殖器など はFDG の生理的集積が目立つ臓器であるし、 FDG は尿中に排泄されるため腎尿路系には生 理的排泄が見られる。運動等の影響による骨格 筋への集積、褐色脂肪組織への集積が見られる こともある。また、炎症性疾患、術後性変化、 一部の良性腫瘍にもFDG 集積が認められ、こ れらの像は診断の際にピットフォールとなるこ とがある。

次に、PET 画像の解像度の限界や腫瘍の性 質による影響が挙げられる。現在のところ病変 が1 p程度の大きさであればPET による評価 が可能だが、1 pに満たない小さな病変につい ては悪性であってもFDG 集積が反映されない 可能性があり、評価困難なことが多い。また、 早期・高分化癌や、腫瘍の性質上FDG 集積が それほど高くない症例が存在する。早期の肺腺 癌、高分化肝細胞癌、印環細胞癌、粘液癌など がその例である。このような症例ではその他の 臨床情報と併せて判断する必要がある。

現在わが国では、P E T 検査といえば PET/CT が主流となっている。CT 画像を利 用して体内の放射能の減弱を補正することがで き、融合像を作成することで病変の部位判断が容易になった。ただしCT 上アーチファクトを 生じるような金属濃度(歯冠、ペースメーカ ー、人工関節、バリウム残存など)が存在する 場合はPET 画像でもアーチファクトの原因と なる。

以上のように、FDG-PET 画像には様々な 要素が影響している。その特徴をふまえたうえ で、従来の検査にPET 検査を組み合わせるこ とで利点をうまく活用し、より良い診療につな がれば幸いである。

一般講演演題・演者一覧

一般外科

1.巨大乳腺葉状腫瘍の2 例
浦添総合病院 外科 伊集院 駿

2.外傷性肝損傷後の仮性動脈瘤に関する検討
県立中部病院 外科 伊志嶺 徹

3.乳房MRI にて発見され診断に至った両側乳癌の一例
豊見城中央病院 外科 佐野 由紀子

4.巨大副腎偶発腫瘍として発見された副腎癌の1 例
県立中部病院 外科 田中 教久

5.難治性潰瘍を有するPAD ・DM 症例に対する治療経験 〜フットケアチームを立ち上げて〜
中頭病院 外科 矢田 圭吾

6.右深大腿動脈瘤の1 手術例
中頭病院 外科 浜比嘉 一直

7.外耳道腺様嚢胞癌に合併した成人発症の腸重積の一例
県立中部病院 外科 野坂 潮

8.胃石による腸閉塞の一例
県立中部病院 外科 青木 のぞみ

9.自然解除した成人発症小腸軸捻転症の一例
中部徳洲会病院 外科 土田 真史

10.胆管空腸吻合術後に、内ヘルニアによる絞扼性イレウスを来たした中部胆管癌の一例
那覇市立病院 仲本 正人

11.Press Through Package 誤飲による小腸穿孔の1 例
ハートライフ病院 澤岻 安勝

12.腹腔鏡下にイレウス解除を施行し得た食餌性小腸閉塞の1 例
豊見城中央病院 外科 島袋 伸洋

13.S 状結腸脂肪腫による成人逆行性腸重積症の1 例
南部徳州会病院 外科 佐々木 高信

消化器外科

14.水疱性類天疱瘡に伴う食道粘膜剥離の一例
南部徳洲会病院 金城 泰幸

15.当院における高齢者胃癌手術症例の検討
那覇市立病院 外科 比嘉 宇郎

16.腹腔鏡下胃腹壁固定術を施行した慢性胃軸捻転症の1 例
県立中部病院 外科 加藤 崇

17.当科における上部消化管の腹腔鏡手術
琉大医学部附属病院 消化器・腫瘍外科学講座 狩俣 弘幸

18.当院における腹腔鏡下尾側膵切除術の導入と術式の工夫
中頭病院 外科 砂川 宏樹

19.魚骨と思われる膵鉤部異物の1 例
浦添総合病院 消化器病センター外科 山下 智也

20.原発性小腸癌切除例の治療経験
中頭病院 外科 新垣 淳也

21.バリウムが原因と思われた急性虫垂炎の2 症例
豊見城中央病院 外科 安里 昌哉

22.Single Incision Laparoscopic Surgery を施行した虫垂粘液嚢胞腫瘍の1 例
ハートライフ病院 外科 宮平 工

23.横行結腸間膜平滑筋肉腫の1 例
県立八重山病院 外科 神田 幸洋

24.上腸間膜静脈の血行再建を要した横行結腸癌の一例
沖縄赤十字病院 外科 安藤 美月

25.S 状結腸癌による膀胱結腸瘻に後腹膜膿瘍を合併した1 例
ハートライフ病院 外科 花城 直次

26.大腸ファイバー通過不能直腸・結腸癌における口側大腸のPET による評価
豊見城中央病院 外科 城間 寛

肝胆膵

27.巨大肝腫瘍の2 切除例
南部徳洲会病院 外科(非常勤) 永井 基樹

28.肝右葉前上区域枝の分枝を考慮し系統的肝切除を施行した一例
中部徳洲会病院 外科 玉榮 剛

29.混合型肝癌の1 例
浦添総合病院 外科 本成 永

30.気腫性胆嚢炎の一例
沖縄赤十字病院 外科 清水 佐知子

31.胆嚢結石に起因した肝動脈瘤出血の1 例
中頭病院 外科 卸川 智文

32.胆嚢小細胞癌の1 例
県立中部病院 外科 伊江 将史

33.腹腔鏡補助下幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した2 症例
琉大医学部附属病院 第一外科 赤松 道成

34.腫瘍成分の乏しい膵Solid pseudopapillary neoplasmの1 例
浦添総合病院 消化器病センター外科 柿本 忠俊

35.膵頭十二指腸切除術後、腫瘍再発による慢性輸入脚症候群の1 例
県立中部病院 外科 横山 淳也

36.膵頭十二指腸切除術でなく膵部分切除にて救命し得た十二指腸癌の一例
与那原中央病院 外科 新垣 義人

37.Letton & Wilson 法を施行した外傷性主膵管損傷の一例
県立中部病院 外科 谷口 直樹

38.鈍的単独膵損傷の1 例
県立南部医療センター・こども医療センター 石井 翔

39.興味深い画像を呈した膵嚢胞の1 例
ハートライフ病院 西原 実

40.膵癌疑いにて手術施行し,術後自己免疫性膵炎と診断された1 例
県立南部医療センター・こども医療センター 高江洲 怜

感染症

41.日常診療にて診断した急性HIV 感染症の一例
県立北部病院 内科 関 雅浩

42.発熱と皮疹を主訴に受診、非典型の経過をたどった菊池病の一例
県立南部医療センター・こども医療センター 内科 新垣 かおる

43.本県2 例目のツツガムシ病の自験例の報告
中頭病院 内科 西平 守邦

44.沖縄本島で初めて発生し、確定診断に至った日本紅斑熱の一例
豊見城中央病院 岩間 秀幸

45.RS ウイルス細気管支炎の経過中に続発した敗血症性ショックの一例
中部徳洲会病院 新垣 朋弘

46.扁桃膿瘍に急性喉頭蓋炎を合併した症例
中頭病院 内科 飯田 智子

47.基礎疾患のない女性に発症した緑膿菌性肺膿瘍の一例
豊見城中央病院 呼吸器内科 大中 祐太郎

48.浦添総合病院外来患者より分離されたESBL の検討
浦添総合病院 呼吸器内科 山田 絵美理

49.Kocuria kristinae による敗血症の1 例
浦添総合病院呼吸器センター 杉山 賢明

50.百日咳に対するラシックス吸入
南部徳洲会病院 樋口 さやか

51.トルコ旅行後に発症したアメーバ赤痢の1 症例
県立南部医療センター・こども医療センター 堤 範音

消化器内科

52.rosuvastatin による高度肝機能障害を発症した1 例
県立北部病院 内科 真玉 英生

53.EUS − FNA にて診断できた後腹膜神経症腫の1 例
浦添総合病院 消化器内科 小橋川 嘉泉

54.内視鏡的胆管ステント留置による総胆管結石の縮小効果の検討
県立中部病院 山田 航希

55.薬剤性肝障害から劇症肝炎を来した一例
県立中部病院 内科 中山 泉

56.食道癌ESD 術後狭窄防止にステロイド局注が有効だった2 例
ハートライフ病院 外科 奥島 憲彦

57.当院における切除不能結腸直腸癌のKRAS 遺伝子変異の有無に対しての検討
浦添総合病院消化器病センター 内科 仲村 将泉

58.難治性の術後逆流性食道炎の1 例
ハートライフ病院 島袋 全志

59.A 当院で施行した超音波内視鏡下穿刺吸引組織細胞診(EUS-FNA)の検討
県立中部病院 知念 健司

60.C 内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)前に超音波内視鏡(EUS)を施行することで、診断的ERCP を回避することができるか?
県立中部病院 吉田 幸生

61.当院における胆汁培養中CMZ 耐性Enterobacterの動向
県立中部病院 内科 高橋 賢亮

62.当院における潰瘍性大腸炎入院患者の検討
豊見城中央病院 内科 眞喜志 知子

神経内科

63.炎症性疾患を背景とした非細菌性血栓性心内膜炎により脳塞栓症を発症した1 例
琉大医学部附属病院 循環器・腎臓・神経内科学 國場 和仁

64.嚥下障害を呈した水痘帯状疱疹ウイルス感染症の一例
県立中部病院 依光 映佳

65.痙攣重積後の可逆性後頭白質脳症候群(RPLS)を再発した一例
県立南部医療センター・こども医療センター 神経内科 新垣 若子

66.早期発見、治療により良好な経過をたどったFisher 症候群の1 例
中頭病院 呼吸器内科 石川 真

67.両側声帯麻痺を来たし緊急気管挿管された多系統萎縮症の一例
中頭病院 呼吸器内科 岡 和一朗

68.典型的画像所見を呈し,早期診断・治療を行えた脳静脈洞血栓症の1 例
中頭病院 内科 小崎 教史

69.痙攣発作を主訴とした肥厚性硬膜炎の一例
那覇市立病院 内科 玉城 昭彦

70.頚部痛で発症した結核性脊椎炎の一例
那覇市立病院 内科 佐久間 淳

71.高次機能障害を伴う小脳障害症例の検討
豊見城中央病院 小林 剛大

72.癒着性くも膜炎による慢性疼痛と足ジストニアの一症例
豊見城中央病院 神経内科 中田 知愛

73.パーキンソン病患者にうつ病は多いか
南部病院 神経内科 国吉 和昌

74.構音障害で発症した片側性前方型顎関節脱臼の1 例
琉大医学部附属病院初期臨床研修センター 田中 照久

脳神経外科

75.耳鼻科、脳外科共同によるolfactory neuroblastoma摘出術を施行した一例
琉大医学部附属病院脳神経外科 宮城 智央

76.腫瘍内出血を来した聴神経鞘腫の一例
琉大医学部附属病院 脳神経外科 長嶺 英樹

77.VEP モニタリング下に摘出した鞍結節髄膜腫の1 例
琉大医学部附属病院脳神経外科 外間 洋平

78.塞栓術を行い摘出した髄膜腫の一例
沖縄協同病院 脳神経外科 山城 啓太

79.筋間アプローチにて摘出したL2 神経鞘腫の一例
浦添総合病院 脳神経外科 原國 毅

80.後頭蓋窩に発生した血管奇形4 例の検討
浦添総合病院 脳神経外科 銘苅 晋

81.横静脈洞部硬膜動静脈瘻に対して対側アプローチで経静脈的塞栓術を行った一例
沖縄協同病院 脳神経外科 城間 淳

血液

82.POEMS 症候群様、先端肥大症様症状を呈した多発性骨髄腫の一例
沖縄医療生活協同組合 とよみ生協病院 西銘 圭蔵

83.パルス療法により急激な腫瘍崩壊症候群の進行で死亡したリンパ腫の一例
県立南部医療センター・こども医療センター 外間 亮

84.後天性血友病の2 例
沖縄赤十字病院 内科 親川 幸信

85.骨髄検査および肺生検にて診断がなされた血管内リンパ腫の一例
那覇市立病院 内科 内原 潤之介

86.空腸瘻経管栄養管理下で貧血亜鉛含有胃潰瘍治療剤投与中に銅欠乏性を来した一例
琉大医学部附属病院 第二内科 友寄 毅昭

形成外科

87.性同一性障害(GID)患者の当院における治療の現状と課題(第3 報)〜受診した202 例の分析から〜
山本クリニック 山本 和儀

88.当院で行っているシリコンインプラントによる乳房再建(その1)
クリニカいなみ 伊波 博雄

89.眼球後出血の1 例
県立中部病院 外科 田邊 太郎

90.取り下げ

91.当院に於ける顔面、にきび痕の治療
医療法人形成会 当山美容形成外科 當山 護

92.後頭部表皮嚢胞より発生した扁平上皮癌の1 例(epidermal cyst)
中頭病院 病理科 割栢 健史

整形外科

93.観血的整復を要した月状骨周囲脱臼の2 例
ハートライフ病院 整形外科 渡慶次 学

94.A 群連鎖球菌によるToxic shock-like syndromeの1 例
沖縄協同病院 佐々木 毅志

95.当院におけるリスフラン関節損傷の検討
南部徳洲会病院 整形外科 五日市 綾美

96.大腿骨近位部骨折治療困難例に対するCCHS の使用経験
豊見城中央病院 永山 盛隆

97.絞扼輪症候群に合併した内反足の治療経験
琉大医学部附属病院 整形外科 神谷 武志

98.腸骨骨折に対してCCS を用いた骨接合術を施行した2 例
豊見城中央病院 石原 昌人

99.Spring hook plate を用いた臼蓋後壁骨折の治療経験
ハートライフ病院 渡辺 美和

100.舟状骨遷延治癒骨折に対して保存的および観血的治療に超音波療法を用いた2 例
与那原中央病院 整形外科 高江洲 美香

101.肩関節ガングリオンに対して鏡視下徐圧術を行い復帰した水泳選手の1 例
与那原中央病院 整形外科 船越 雄誠

102.肩板断裂・大きな骨頭陥凹を伴った反復性前方脱臼に対し骨移植術を併用した鏡視下修復術を行った1 例
与那原中央病院 整形外科 金城 英雄

103.腰椎椎間板ヘルニア手術例MRI の検討−保存治療無効例−
ハートライフ病院 整形外科 新垣 勝男

救急

104.当施設シミュレーションセンターでの救急教育に対する取り組み
大浜第一病院 救急総合診療科 入江 聰五郎

105.ドクターカー運用における過去5 年間の活動状況とこれから
中部徳洲会病院 福井 美典

106.急性バルプロ酸中毒で血液浄化法が有効であった一例
中頭病院 岩田 はるか

107.当院救急外来で診断に至った肺塞栓4 例における診断プロセスの考察
大浜第一病院 救急総合診療科 松本 航

108.病歴から致死性不整脈を疑いBurgada 症候群と診断された一例
大浜第一病院 救急総合診療科 川口 英明

109.胃石嵌頓により小腸イレウスを惹起した透析患者の症例
沖縄協同病院 目々澤 遥

110.当院救急外来にて18G 針での骨髄輸液路確保により救命し得た成人の2 重症症例
大浜第一病院 救急総合診療科 平山 雄也

111.Marfan 症候群が疑われる若年男性に発症した大動脈解離の一例
豊見城中央病院 小居 浩之

産婦人科

112.妊娠中に肺動静脈瘻に対して動脈塞栓術を施行した1 例
琉大医学部附属病院 産婦人科 金城 忠嗣

113.子宮内膜症合併妊娠の疼痛コントロールに苦慮した一例
県立中部病院総合周産期母子医療センター産科 星野 香

114.羊水過多症で紹介された筋強直性ジストロフィー妊娠の3 例
県立南部医療センター・こども医療センター 産婦人科 與那嶺 尚絵

115.妊娠後期に心拡大を来たし、胎児卵円孔閉鎖・狭小化と診断された3 症例
県立南部医療センター・こども医療センター 産婦人科 荻原 章子

116.超低出生体重児の帝切時にニトログリセリン投与(緊急子宮弛緩法)する事の子宮切開法への効果について
県立中部病院 産婦人科 井上 格

117.産褥期に頚部腫瘤の縮小を認めた子宮頚部上皮内癌の症例
豊見城中央病院 産婦人科 當眞 真希子

118.男性化徴候をきたした卵巣ステロイド細胞腫瘍の一例
琉大医学部附属病院 環境長寿医科学女性・生殖医学講座 仲本 朋子

119.手術による摘出が不可能であるも放射線療法が有効であった成人型顆粒膜細胞腫を疑われた一例
那覇市立病院 平良 祐介

120.子宮留膿症の自然穿孔により汎発性腹膜炎を来たした一例
県立中部病院 産婦人科 上野 晃子

121.骨盤臓器脱に対するTVM 手術60 例の検討
沖縄協同病院 泌尿器科 嘉手川 豪心

一般

122.沖縄県がん診療連携協議会研修部会の活動報告
県立中部病 呼吸器内科 玉城 仁

123.沖縄県におけるがん臨床試験(治験)の推進に関する活動報告(第一報)りゅうきゅう臨床研究ネットワーク:がん臨床研究部会
琉大医学部附属病院 放射線科 戸板 孝文

124.沖縄の研修医教育にクリニカルシミュレーションセンターをどう利用するか?
県立中部病院 総合内科 尾原 晴雄

125.離島診療所からコンサルテーションされた整形外科的疾患に関する検討
県立中部病院 内科・プライマリ・ケア 西森 栄太

126.長期入院患者のカンジダ血症
県立北部病院 初期研修医 中村 弘

127.浦添市在宅医療ネットワークの構築とその現状
名嘉村クリニック 大浜 篤

128.在宅・施設における胃瘻カテーテル交換後の確認方法−ガイドワイヤーを用いた携帯型体外式超音波装置による画像診断
かじまやークリニック 金城 聡彦

129.最近、経験した筋内または筋間血腫の2 例
宜野湾記念病院 リハビリテーション科 平 敏裕

麻酔・ペイン

130.自発呼吸温存下でAirwayScope 挿管を行った2症例
中頭病院 河野 圭

131.当院における術前経口補水療法の取り組み
ハートライフ病院 麻酔科 佐久川 陽子

132.腹腔鏡下での長時間頭低位手術後に喉頭浮腫を起こした2 症例
琉大医学部附属病院麻酔科 日名 太一

133.甲状線種手術による神経障害性疼痛に星状神経節ブロックと抗うつ薬の併用が奏功した1 例
大浜第一病院ペインクリニック 太田 敏久

緩和

134.外来での緩和ケアで使用したプロクロルぺラジンによるアカシジア(静座不能症)の2 例
浦添総合病院 緩和ケアチーム 新里 誠一郎

135.当院における緩和医療への取り組み〜看取りカンファに関して〜
那覇西クリニック 上原 協

136.腹水濾過濃縮再静注法(CART)の2 例
国立療養所沖縄病院 緩和医療科 上原 忠大

呼吸器内科

137.器質化肺炎様の所見を呈した5 症例の検討
おもろまちメデイカルセンター 兼島 洋

138.環境調査を行い再発予防に努めた過敏性肺臓炎の一例
県立中部病院 呼吸器内科 後藤 愛子

139.薬剤性間質性肺炎のステロイド投与中に縦隔気腫を合併した一例
県立中部病院 内科呼吸器グループ 伊勢川 拓也

140.確定診断し得た夏型過敏性肺炎の一例
中頭病院 呼吸器内科 笹野 幹雄

141.室内温水プールが原因と考えられた過敏性肺臓炎の一例
豊見城中央病院 呼吸器内科 小波津 香織

142.肺胞蛋白症の1 例
国立病院機構沖縄病院 呼吸器内科 那覇 唯

143.体外式心肺補助装置を用いて救命し得た特発性びまん性肺胞出血の1 例
中頭病院 高橋 和成

144.淡明細胞型肺扁平上皮癌の一例
中頭病院 内科 日高 竜太

145.腫瘤内石灰化を呈した原発性肺癌の一例と、当院での5 年間の肺癌症例の検討について
県立中部病院 放射線科 渡口 真史

146.当院で経験したyellow nail syndrome の1 例
ハートライフ病院 呼吸器内科 喜久本 藍

147.内科的治療のみでは改善せず、外科的手術を要した難治性膿胸の一例−最近5 年間の当院における膿胸症例の検討を含めて−
県立中部病院 内科 長嶺 由衣子

148.肺腫瘍との鑑別をようした肺結核腫の4 例
県立中部病院 内科呼吸器グループ 篠原 正樹

149.気管支結核の1 例
国立病院機構沖縄病院 呼吸器内科 原 真紀子

呼吸器外科

150.9th. line 以降の既治療非小細胞肺癌に対してCPT-11 単剤+べバシズマブが奏功した一例
国立病院機構沖縄病院 外科 饒平名 知史

151.脳転移が疑われた右肺癌の1 切除例
中頭病院 外科 仲村 尚司

152.中縦隔に発生し嚢胞状を呈したカルチノイドの一手術例
国立病院機構沖縄病院 河崎 英範

153.重症筋無力症に対して単孔式胸腔鏡下拡大胸腺摘出術を施行した1 例
中頭病院 外科 大田 守雄

154.肺癌との鑑別が困難であった肺放線菌症の1 例
国立病院機構沖縄病院 外科 比嘉 昇

155.左鎖骨上窩に発生した腕神経叢由来の神経鞘腫の1 例
中頭病院 外科 大島 晋

156.ポリグルコール酸シート使用例における胸腔鏡下自然気胸術後再発例の検討
那覇市立病院 呼吸器外科 上原 忠司

157.難治性気胸に対しEndobronchial Watanabe Spigot(EWS)併用外科的治療が有効であった1 例
浦添総合病院 呼吸器センター 阿川 幸人

158.多発性ブラを伴った子宮間質肉腫の肺転移に対する胸腔鏡下手術の1 例
中頭病院 外科 喜瀬 祥啓

159.胸腔ねずみ(胸腔内結石)の1 例
中頭病院 外科 嘉数 修

内分泌・代謝

160.インスリノーマが疑われた一例
豊見城中央病院 糖尿病・生活習慣病センター 土井 生子

161.意識障害、血圧低下、発熱を主訴に救急室を受診した下垂体卒中の一例
県立中部病院 内科腎臓内科グループ 久保田 修司

162.高血圧を伴う偶発性副腎腫瘍からクッシング症候群の診断に至った一例
県立中部病院 総合内科 上原 由美子

163.低炭水化物食によるダイエット外来300 症例のまとめ − HbA1c 改善の視点から−
中部徳洲会病院 今西 康次

164.2 型糖尿病に抗インスリン抗体血症を認め、ステロイドの投与が著効した1 例
那覇市立病院 内科 玉城 啓太

165.ホモ接合体性家族性高コレステロール血症の1 例
琉大医学部附属病院 第二内科 尾崎 潤

166.低血糖発作を契機にインスリノーマと診断され、局在診断に選択的動脈刺激静脈サンプリング(ASVS)を要した1 例
琉大医学部附属病院 第二内科 難波 豊隆

膠原病

167.蛋白漏出性胃腸症を契機に診断に至った原発性アミロイドーシスの一例
県立北部病院 内科 富岡 淳

168.SLE 治療経過中に発症した成人発症still 病の1 例
豊見城中央病院 腎臓膠原病リウマチ科 北村 謙

169.当院における膠原病性肺高血圧症(CTD-PAH)の臨床学的検討
豊見城中央病院 腎臓膠原病リウマチ科 与那覇 朝樹

170.線維筋痛症か脳脊髄液減少症か?
おおうらクリニック リウマチ科 大浦 孝

171.PET-CT が診断に有用であった側頭動脈炎の一例
豊見城中央病院 腎・膠原病内科 喜久村 祐

172.両下肢筋力低下を主訴に来院されたANCA 関連血管炎の一例
県立北部病院 三宅 崇文

173.浮腫を契機に診断したRS3PE 症候群の1 例
那覇市立病院 内科 金城 健大

174.取り下げ

175.関節リウマチ治療中に大腿に発症したMTXLPDの一例
豊見城中央病院 村山 知生

腎・泌尿器

176.当院透析患者における週初めのHb 値の検討
豊見城中央病院 張 同輝

177.敗血症を契機に発症したと思われる尿細管性アシドーシスの1 例
沖縄赤十字病院医局 儀間 清悟

178.ACE 阻害薬とARB の併用は腎機能を保持する治療方法なのか?
首里城下町クリニック第一・第二 田名 毅

179.異なる経過を示したヘパリン起因性血小板減少症(HIT II 型)2 例
中頭病院 内科 名城 一臣

180.腎生検にて肉芽腫性間質性腎炎を認めた1 例
豊見城中央病院 腎臓・膠原病内科 小禄 雅人

181.腎腫瘍と術前診断された左副腎癌の1 例
南部徳洲会病院 泌尿器科 仲宗根 啓

182.当院におけるブラッドアクセスの管理 〜病診連携も含めて〜
中頭病院 外科 矢田 圭吾

183.小切開創根治的前立腺全摘除術95 例の経験
那覇市立病院 泌尿器科 呉屋 真人

184.当院での腎移植: 167 例の経験から学ぶ現状と将来展望
県立中部病院 外科 村上 隆啓

循環器内科

185.PCI 施行患者における高純度EPA 製剤の抗血小板凝集抑制作用について
大浜第一病院 大城 康一

186.突然の左片麻痺を主訴に来院した心脳卒中患者の一例
豊見城中央病院 循環器内科 城間 美咲

187.起始異常を伴った右冠動脈急性心筋梗塞の1 例
南部徳洲会病院 循環器科 嘉数 朗

188.カテーテルアブレーションで3D マッピングシステム(NavX)が有用であった3 症例
豊見城中央病院 循環器内科 親川 明香

189.基礎疾患のない若年女性に発症した心筋梗塞の一例
豊見城中央病院 循環器内科 須田 晃充

190.様々な症状を呈した心筋架橋の症例
与那原中央病院 中村 義人

191.急激な経過をたどったα-strepto coccus による感染性心内膜炎の一例
中部徳洲会病院 山本 芳樹

192.国内旅行で発症した肺梗塞の一例
那覇市立病院 真志取 多美

193.肺炎を契機に咳嗽失神を繰り返した一症例
豊見城中央病院 循環器内科 榮野川 清香

194.持続性心房細動に対するカテーテルアブレーション後の心機能改善効果
翔南病院 循環器科 大城 力

195.薬剤抵抗性の心室頻拍に対するカテーテルアブレーションの有効性について
翔南病院 循環器科 山城 啓

循環器外科

196.冠動脈バイパス術後遠隔期における大動脈基部拡大を伴う大動脈弁閉鎖不全症の一手術例
琉大医学部附属病院 胸部心臓血管外科学講座 前田 達也

197.重度肺高血圧症を伴う成人Scimitar syndromeの1 手術治験例
県立南部医療センター・こども医療センター 稲福 斉

198.当院における心臓血管外科手術部位感染(Surgical Site Infection:SSI)対策
県立中部病院 心臓血管外科 天願 俊穂

199.遠位弓部大動脈瘤に対しFrozen elephant trunk technique を併用し弓部大動脈人工血管置換術を行った症例の検討
県立中部病院 井上 学

200.大動脈縮窄症に合併した急性B 型解離性大動脈瘤の1 例
南部徳洲会病院 心臓外科 宮崎 洋介

201.複数機種デバイス使用による腹部ステントグラフト内挿術(EVAR)2 症例の経験
琉大医学部附属病院 胸部心臓血管外科学講座 戸塚 裕一

202.トロンビン注入療法により治癒傾向にある外傷性腋窩仮性動脈瘤の一例
中部徳洲会病院 外科 渡邉 零美

203.Alfieri 法による僧帽弁形成術を施行した1 例
牧港中央病院 達 和人

204.幼児期僧帽弁置換術後34 年目に再置換術を要した僧帽弁狭窄症(PPM)の1 例
琉大医学部附属病院 第二外科 神谷 知里

205.A 冠動脈バイパス術後遠隔期における連合弁膜症手術症例
琉大医学部附属病院 胸部心臓血管外科学講座 新垣 涼子

206.鼡径靭帯以下の多発性動脈病変に対する治療選択:特に自家静脈不足(不良)例に対する人工血管と自家静脈を用いたsequential bypass 術の成績
豊見城中央病院 外科・血管外科 佐久田 斉

207.予防的処置を十分に行ったにもかかわらず下肢静脈瘤術後に肺塞栓症を発症した一例
豊見城中央病院 外科・血管外科 大宜見 由奈

208.MRLymphangiography にて評価した下肢リンパ浮腫に対するリンパ管細静脈吻合の一治験例
豊見城中央病院 外科・血管外科 松原 忍