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平成22 年第2 回マスコミとの懇談会
「小児救急電話相談事業(# 8000)」について

玉井修

理事 玉井 修

今回のマスコミとの懇談会は7 月5 日から開 始された# 8000(沖縄県小児救急電話相談事 業)について取り上げました。以前逼迫する小 児救急の現場についてマスコミとの懇談会で取 り上げたところ、沖縄県だけが# 8000 事業を 行っていないという事に関してマスコミから 様々な質問がありました。# 8000 事業は小さ なお子さんをお持ちの保護者の方が、夜間の急 な子供の病気にどう対処したらよいのか判断に 困った場合、電話相談に応じるというもので す。# 8000 事業が小児救急を救う切り札にな るとは考えにくいのですが、まずはやってみな いとその評価は出来ないと思い今回沖縄県医師 会でこの事業を立ち上げる事になりました。# 8000 事業を正しく理解して頂き、県民に上手 に利用して貰いたいという願いを込めて今回マ スコミとの懇談会に取り上げました。

懇談内容

挨 拶

宮城信雄会長(代読:當銘正彦理事)

みなさん今晩は。

本日は、お仕事でお 疲れの中、ご参加頂き ありがとうございます。

さて、本日は「小児 救急電話相談事業(# 8000)」をテーマとして 懇談会を開催させていただきました。

この電話相談事業は、小さなお子さんをお持 ちの保護者が、子どもの急な病気にどう対処し たらよいのか、また、病院の診療を受けたほう がいいのか判断に迷った時に、電話による相談 ができる事業です。

これまで全国で沖縄県のみ、実施しておりま せんでした。

本県では救急患者が県立病院などを受診でき る態勢が既に整っていることから必要性が少な かったことが主な理由ですが、保護者の不安を いち早く取り除くと共に、病気の子どもに適切な対処が迅速に行えるよう、本県でも今年度よ り実施されております。

本日は、同事業を開始するにあたってのこれ までの経過、意義、相談件数、今後の課題等に ついて本会の玉井担当理事から説明させて頂く と共に、同事業において実際に相談を受けてい る看護師を代表して奥平沖縄県看護協会長に、 実際どのような相談内容があるのか、また、ど のような手応えを感じているのかお話を伺いた いと思います。

沖縄県の未来を担うこども達の健やかな成長 のため、是非とも忌憚のないご意見、ご質問を 頂きますようお願い申し上げ、甚だ簡単ではご ざいますが、挨拶に代えさせて頂きます。

懇談事項

「沖縄県小児救急電話相談事業(# 8000)」について
理事 玉井修

【その準備段階】

沖縄県からの委託事業として沖縄県医師会が # 8000 事業を立ち上げてみないかというお話 しがあり、今年度の4 月になってから、県と小 児救急を実際に行っている医療機関、県立病 院、大学病院などの県内小児救急の代表に集ま って頂き# 8000 事業に関する会議を行った。 小児救急が逼迫している状況において# 8000 事業を行っていないのは沖縄県のみであり、こ の# 8000 事業のみで事態を打開できるとは思 えないが、救急の現場では年間6,000 件の電話 相談に応じているという問題もあり、# 8000 が何らかの救急医療現場の助けになる可能性が 議論された。他府県の現状として、東京コール センターを利用し24 時間対応を可能としてい る県も10 数県あるが、あまり利用率も高くな く、この事業はやはり県民の手でシステム構築 を目指すべきとの論調であった。しかし、今ま さに逼迫している小児科医への新たな負担を強 いるシステムとならない様にする必要もあり、 さりとて電話相談の質的な部分を疎かにはでき ないという観点から、この相談事業は他府県と 同様に、看護師がまず電話相談を受け、判断に困った場合医師に相談できる体制を整備する事 になった。時間帯は事前調査で相談件数が集中 すると考えられた午後7 時から午後11 時まで とし、医師の負担軽減のため出来るだけ多くの 小児科医師のエントリーを集める事となった。 この段階で沖縄県看護協会が積極的に事業参加 の姿勢を示して頂いた事は何よりも心強かった (スライド1)。

スライド1

スライド1

【事業開始に向けて】

実際の事業開始に向けて、まずマンパワーの 確保が大切であった。# 8000 事業の主旨を説明 した手紙を作成し、事業参加を沖縄県医師会の 小児科会員に呼びかけた。これに対し最終的に は看護師が約30 名、医師が60 名のエントリー があり大変嬉しかった。相談員によって、対応 がまちまちにならない様、また看護師の判断の 拠り所となれるように# 8000 相談対応マニュア ルの作成にかかったが、この作業は非常に困難 を極め、最終的にはかなり分厚いマニュアルに なってしまった。電話相談記録表は実際の相談 内容を1 件ずつ記録し、それを集計し事業全体 を評価出来る事とした。また1 日5 件の追跡調 査を行い、実際に電話相談のあと救急病院に行 ったのか、それとも家で様子を見ていたのかな どの調査を行う事となった。事業の告知につい てはポスターを印刷し(スライド2)、新聞各社 にも告知記事の掲載を行ったが、予算の都合上 なかなか思うに任せず、いまだに告知不足の感 がある。今後今回のようなマスコミに対してしっかり説明し、扱って貰える様な試みも必要で あろう。マンパワーはある程度集まり、事業の アウトラインも固まった。しかし、6 月の説明 会でも問題になった訴訟問題に発展した場合の 補償に関しては、この電話相談事業そのものが 医療行為ではなく、あくまでも電話相談事業で あるという観点から補償契約をなかなか保険会 社と結べず、関係各位に大変な苦労をしてもら った。改めてこの事業を開始するにあたって大 変な苦労をした県医師会の渡嘉敷園子課長、看 護協会コーディネーターの志茂さんに感謝した い、# 8000 事業全体の概要模式図を示す(ス ライド3)。

スライド2

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スライド3

スライド3

【7 月5 日始動】

そしていよいよ、# 8000 事業は平成22 年7 月5 日午後7 時から本格的に運用された。実際 に動き出してみると細かい問題が生じ、その都度調整を行いながら何とか運用できている。9 月上旬までの実績を紹介してみたい。

まずは全体の件数であるが、これは徐々に相 談件数が増えている(スライド4)。曜日ごとの 差はほとんど無く、ほとんど何も告知していな いにも関わらず相談件数は着実に伸びている。 1 日4 時間、電話1 回線では25 〜 30 件が限界 であろうが、多分インフルエンザや感冒が流行 する時期になれば確実にパンクしそうな勢いである。受付時間帯による相談件数はほとんど差 がない(スライド5)。地域別ではやはり人口の 密集する南部地域からの相談件数が多く、県外 というのは県外観光客からの相談である(スラ イド5)。年齢別でみると3 歳未満の相談件数が 非常に多く、予想通りの結果になった(スライ ド6)。相談者は母親が圧倒的に多い。相談内 容は予想通りに発熱の相談が多いが、薬物誤飲 や異物誤嚥、転落や外傷など非常に広汎に渡っ ている。あらゆる可能性を考 えて分厚いマニュアルを作っ たのは、やはりよかったと思 う(スライド7)。対応内容は 様々であるが、患児が痙攣発 作を起こしているなど重篤な 状態を想像できる電話相談の 場合もあるが、母親の不安が 強い場合なども救急病院受診 を促している。電話1 本で重 症度の確実な判断は難しく、 不安の訴えが強い場合などは 救急病院受診を促すという基 本方針は# 8000 事業の滑り 出しの時に看護協会との充分 な打ち合わせを行い、さらに 6 月の応援医師に対しての説 明会の時にも理解を呼びかけ た。できるだけ早い時間帯に 救急病院受診を促すという事 も# 8000 事業の重要な役割 と思われる。看護師からのド クターコールは約10 %で、 これは他府県の割合とほとん ど同じである。標本調査の結 果は、結局救急病院受診した のは31 %で、その他は翌日 の小児科受診26 %、結局家 庭で経過観察が43 %という 結果になった(スライド6)。 救急病院への受診抑制という 観点からするとこれがどの程度の効果があるのかはすぐに判断は出来ない が、実際に標本調査の為に電話をかけている県 医師会の事務局に聞くと、標本調査に応じてく れた方々は概ね好意的で、「とても助かった」 等という声がよく聞かれるという。少なくとも 県民には喜んで頂ける事業である事だけは間違 いなさそうである。

スライド4

スライド4 1日の相談件数の推移

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スライド6

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スライド7

スライド7

○司会(玉井) それではここで、当事業の 運営にご尽力頂いている沖縄県看護協会から、 奥平登美子会長にご参加頂いておりますので、 一言ご発言頂きます。

○奥平登美子会長(沖縄県看護協会)

奥平登美子会長

♯ 8000 については、 当初、県立病院の小児 科医から全国で実施さ れているが沖縄県だけや っていないことから、も し実施するとしたら応援 できるかという話を持ち かけられ、私は、専門職能団体として支援でき ることはやりますという話をしていました。

今年、地域医療再生基金の予算が取れたこと から、県医師会が沖縄県から委託を受け、看護 協会が協力することで事業が始まりました。

私も現場にいたときに救急に来る患者さん の7 割以上は小児だということを分かっていた ので、これを何とか出来ないか常々考えていま した。

この電話相談に協力してもらえる人をリスト アップする際、意図的に小児病棟・小児外来で 勤務している者、OB で小児看護のエキスパー ト、看護系大学の看護基礎教育で小児看護を教 えている者に声をかけて40 名に協力してもら っています。

本日は、実際の相談内容について、当協会看 護コーディネーターの志茂から説明させていた だきます。

質疑応答

○司会(玉井) マスコミのほうから何かご 質問ありますでしょうか。

○玉城(琉球新報)

玉城(琉球新報)

♯ 8000 が開始されて すごく喜んでいる1 人 です。これまでの70 日 間の結果を見て感じた のが、電話をしてすぐ に救急に行ってくださいとアドバイスしたのが18 %で、計算すると 134 件ぐらいになります。そのまま放っておい たら重症化してしまった事例ですよね。これだ けでも非常に♯ 8000 の意義はあるなと感じま した。

質問ですが、沖縄県はファーストコールをナ ースがとって、バックでドクターがつくという 態勢で、とても効率でいいなと思ったのです が、全国的にはこの態勢は多いのでしょうか。

○司会(玉井) ほとんどそれです。

他府県では5 年前から始まっているところも あります。大分県などがそうですが、最初はド クターがとっていたんです。ところがドクター が疲弊して実際的ではないということで、ま ず、ファーストコールはナースが受けて、必ず ペアでドクターがついているという態勢であれ ば構わないということで厚生労働省もOK を出 しています。

○玉城(琉球新報) 1 年前に医療センター を取材したときには、救急室は大変な状況で電 話対応に追われていたのでびっくりしたんです が、その後は救急室の電話は減っていますか。

○當銘(医師会) 必ずしも無くなったわけ ではないのですが、だいぶ減ってはいます。か つては救急センターのナースが、1 日多いとき は40、50 件ぐらい電話相談でふりまわされて いたのですが、最近はだいぶ楽になってきてい ると聞いています。

○司会(玉井) ドクター側から実際に、現 場は少し楽になったとかということはないですか。

○屋良(那覇市立病院)

屋良(那覇市立病院)

小児科は現在、閑散 期ですので、1 年を通さ ないと、多分、その判 断は難しいのではない かと思います。看護師 さんに聞くと、何も変 わりませんよというこ とは言っていました。基本的には救急の現場の 看護師さんの電話対応の煩わしさが少なくなっ てくるのは、間違いないと思いますので、それだけでも効果があるかなと考えています。た だ、この3 カ月では何とも言えないですね。全 体に患者さんが減っていますので、当然、電話 も少ないです。

○司会(玉井) まだ評価する段階ではない のかもしれません。

背中を押してあげるというのも大事な役割で す。夜遅い時間に救急の深夜帯に行くよりも、 できるだけ人的にも機械的にも態勢が整ってい る時間帯に行きなさいと促してあげるところも あります。これも実は、♯ 8000 の役割のとて も大事な部分です。

○宮城(NHK)

宮城(NHK)

具体的に今までどう いう相談があったのか 具体例を示していただ ければと思います。

例えば、判断に迷っ てドクターに電話した 例、すぐに救急を受診 してくださいといった例、119 番通報したほう がいいと判断した例がどんなものがあったかと いうことと、これぐらいは地元の近くの近所の おばさんに聞いたらいいのではないかと思われ るような困った相談について具体的に教えてい ただければと思います。


○志茂(看護協会)

志茂(看護協会)

判断に困った例では、 血尿があるんですと言 われて、その血尿の具 合がわからないんです ね。お母さんが言うに は、新潜血、本当に血 液なのか、オレンジ色 なのかがわからない。私たちも電話で受けてい るので限界がありますので、どうしてもやっぱ り不安になるんです。でもお子さん自体は元気 である。水分も摂っているんだけれどもとおっ しゃるんですが、脱水も懸念されているところ だし、お母さんがかなり若年ということもあっ たので、不安も強いだろうということもあって、ドクターコールをしました。本人はぐった りしてないのでとりあえず様子をみていいです よということでしたので、それをお伝えしたと いう例があります。

すぐに救急を進めた例では、喘息発作が起こ っているんだけれども、お母さんたちが喘息発 作に慣れていて、かなり呼吸が少なくなってい るんだけれども、いつまで様子をみていいかと いうお話をされるんですが、電話口で呼吸状態 を聞いていても、ちょっとこれは急がなければ いけないという判断があって、すぐに救急に行 ってくださいというお話をさせていただいた例 があります。

あとはテーブルの角にぶつかって4cm ぐらい 顎の下があいているんだけれども、傷跡を残し たくないので処置をしたくない、救急じゃなく ても治せる方法はないかという問い合わせがあ ったんですけれども、それについてはちょっと 傷の状態が見えない。それと傷の跡を残さない というのは、そのまま様子をみて、それは私た ちのほうでは判断ができないということと、あ と、お母さんが一番なぜ傷を処置をしたくない のかというのが疑問だったので、それをお尋ね すると麻酔をさせるのが嫌だということでした。 そのリスクが怖いというお話があったので、そ れについては麻酔を必要とする処置が必要なの かどうか、その判断も一度受診をしていただい てから相談してくださいというお話をして、受 診していただいたというケースがあります。

あと、119 番をした件数というのは、今、3 件ぐらいあります。1 件はボディソープを飲ん だという2 歳ぐらいのお子さんがいたんですが、 どなたもそばにいない。車を運転して行くにも ちょっと難しいであろうということもあって、 かなりの興奮状態で落ち着かないということ で、相談員はそれについては呼んでくださいと いうお話をしたということでした。

あとは、まさに痙攣をしているお子さんがい て、ぴくぴくしてどうも変なんだけれども、病 院へ行こうかどうかという相談があり、それは 痙攣ですということで救急車を呼んでください というお話をしたというケースがあります。

あとは股関節の脱臼か、骨折か、電話口から すると多分、脱臼だと思うんですけれども、足 が曲がっているのでどうしたらいいかと。この 子は前にも肘内症で救急車を呼んだことがある というんですが、多分、位置関係だと思うんで す。お家の土地関係で救急病院までが遠いとい うこともあったらしくて、とりあえずそれにつ いては動かないので、動かしてしまって逆に重 症化になってしまうというか、それ以上悪くな ったら困るという判断で、救急車を呼んでくだ さいというお話をしたケースです。

あと、困った相談では、「お子さんのほっぺ たが昼間から赤いが熱は無く、本人は元気なん だけれども、これは今救急へ行くべきか」とい うお話をされるとか、「熱が出ているんだけれ ども、クーラーを26 度にしてくださいと育児 書に書いてあると。私たち親でさえも寒いんだ けれど、この室温でいいのかどうか」という話 をお父さんが前の日にやってきて、次の日に 「♯ 8000 に電話相談したら、きのう28 度ぐら いまで様子みていいですよと言われたので、き ょう28 度にしたんですけれども暑いんですよ、 きょうはどうしたらいいですか」という相談だ ったので、「26 度から28 度の幅をもたせて、お 子さんもお母さんたちも心地いいところで調整 していただいて構いません」というお話をした ケースがありました。その家族についてはご両 親で連続4 日電話してきたケースなんです。最 初は発熱、次は室温の調整、さらにお母さんか ら4 日目は高熱がいつまで続いたらまた病院へ 行かなければいけないかという判断のところで といったケースもあるんです。

本当に緊急でというよりも、子育て支援みた いな電話相談のほうが割に多いなというのがあ って、それは相談員もみんな感じていることか なと思います。

○宮城(NHK) 今、このシステムで対応 できるのが1 日20 件ぐらいを想定していると いうことでしたが、ちょうど電話が殺到してし まって、最大で待ち時間がどれぐらいあったのかということと、あと、私も子育てはよくわか らないんですけれども、子供の熱が出るのは深 夜帯が多いということは聞いたことがあり、今 後、本当の深夜帯にこういう相談を拡大してい くことを考えているのか、それともそうすべき なのか、そうすべきではないのかという判断に ついて教えていただければと思います。

○司会(玉井) まず、現在1 回線ひいてい るんですが、多分25 〜 30 件ぐらいは聞けると 思っています。実際は予算も限りがあり、マン パワーも限りがあります。

実は、この事業を始めるにあたっては、最初 の時点で東京の業者にお願いをしてはどうかと いう話まで出ていました。長崎県が東京の業者 にお願いしています。そこでは24 時間対応で やっています。ただ、この件を議論したとき に、やはり♯ 8000 は沖縄県でやっていこうと いうことになりました。

やはり電話したときに、同じ訛りがある県民 が答えるほうが良いということになり、自前で 育てていこうということでやっています。

今後の課題としては、24 時間対応できれば 理想です。そうなるためにはもっと人間が必要 で、もっと予算が必要です。ドクターの数をも っと増やさないといけない。やれることからや っていこうというのが今の現状だと思います。 まだまだ十分ではないというのは我々も自覚し ておりますが、30 件になったら多分頭打ちで しょうから、こうなると多分かからないという 電話が殺到するのではないかと思います。

現在のシステムでは、相談の間、向こうから かかってきているかどうかはわかりません。実 際に電話している間は、シーケンサーが「今、 相談を受けておりますので、後でもう一度かけ てください」と言っているだけです。だから何 人待っているのかというのは全然わかりません。

○宮城(NHK) 最後にご相談なんですが、 先ほどいろいろなストーカーとかのケースがあ るということで、この事業をおこなっている住 所を明らかにしないということでした。医師、 看護師の方のお名前も名乗らないというスタン スというのは非常によくわかって、それで皆さ んも安心してこういうサービスができるのはい いことだとは思うんですが、その上で、私たち もぜひこの制度の意義等を今後も伝えていきた いと思うので、やはりきちんと視聴者に伝える ために、1 回ぐらいはデモ撮影というんでしょ うか、場所を特定できないようにした上で撮影 させてもらえないでしょうか。本当は実際に電 話を受けている様子を撮影出来ればそれが一番 いいと思うんですが、それが難しいのであれ ば、実際に電話を受けている様子を撮影できた りする機会の場をつくっていただければと思う のですが。

○司会(玉井) この♯ 8000 事業では、相 談員の看護師の皆さんに対してのセキュリティ をどう守るかということを最優先にして動かし ているところでありますので、今まで取材に関 しては頑なに拒否をしてまいりました。

今後も基本的にはその場所について明らかに するということはしないつもりではあります が、取材に関しても対応できる部分というもの に対しては、我々も協力していかないと、十分 な告知もできないし、理解も得にくいところで はあります。何も悪いことをしているわけでは ありませんので、何らかの工夫をしてお互いに 歩み寄ってやっていければと思います。またゆ っくり相談させてください。

○赤嶺(沖縄タイムス)

赤嶺(沖縄タイムス)

相談内容のところで その他の部分が結構多 いんですけれども、これ が先ほど志茂さんがお っしゃった子育て関係 の部分のものが多いの かどうか、具体的にど ういうものがあるかというのを教えてください。

○志茂(看護協会) いろいろあるんです が、例えば2 カ月のお子さんがいるということ でお子さんの相談かと思ったら、母親が熱を出 しているが母乳を与えてもいいかどうかという 相談もあります。

あと、先ほどのほっぺたが赤いという相談も そうですし、現在入院中の子供が発熱をしてい るんだけれども、今起こしてまで薬を飲ませる かどうかという相談なんですね。発熱が心配と いうよりも、薬を与えなければいけないかどう かという相談になるので、お母さんの不安は、 今与えるべきかどうかなので、私たちの区分け はその他にさせていただいています。

あとは、片ほうの目のかゆみがあって腫れて いる。充血、目ヤニがある。さてこれは一体ど こへ行ったらいいんだろうかという相談もその 他という扱いにしております。

あとは、1、2 週間ぐらい前から足がふらふ らして目線が上下をすることから、これは何の 症状ですかという話をされていて、いろいろ話 を聞くと、ちょっと精神的に不安定ではないか ということで、この方には受診を勧めてはいま す。そういう相談もその他という部類に入れて います。

あとは発熱の逆で低体温の子がいるというこ とで、その子もまたその他という扱いにしてお ります。

あと、水痘と診断されたんですが、お風呂に いつからいれていいかどうか。体を拭いていい かどうかという相談があるので、これは病気と は別なのでその他の部分に入れています。

○赤嶺(沖縄タイムス) あと、♯ 8000 に 関しての全国との比較なんですけれども、例え ば追跡調査とかというのは全国でもやっている んでしょうか。

○司会(玉井) 多分、ほとんどやっていな いと思います。

そういうこともあって、沖縄県は実際、今 後、続けていくか判断するデータの一つとし て、追跡調査を行っています。

毎日ランダムに選んで5 件かけており、全国 的にもかなりいいデータが出るんじゃないかな と思っております。

○赤嶺(沖縄タイムス) ナースの数なんで すが、全国と比較して大体同じぐらいなのか、 それとも特別多いのでしょうか。

○司会(玉井) システムによって非常に違 います。例えば福岡県だったら、3 つの大学病 院で交代でやっています。あと、大分県では2 〜 3 の大きな病院で交代でやっている。という ことであれば、ドクターもあまり多くないし、 ナースもあまり多くないわけです。沖縄県みた いなシステムは、それほどは多くないと思いま す。沖縄県は看護協会さんが、小児救急を経験 したことのあるベテランの看護師さんを30、 40 人ぐらい集めて、さらに沖縄県医師会も小 児科を専門としていらっしゃる先生方を中心 に、開業医も併せて60 名プールしています。 こういうシステムというのは、全国でも珍しい でしょうから、ドクターの負担を軽減するため にも、トライアルケースとして実施していま す。ただ、これを運用するのは大変です。

○大城(エフエム沖縄)

大城(エフエム沖縄)

まだ運用して間もな いという状況で、デー タがあがってくるのは これからだと思うので すが、やはり小児科の エキスパートの先生が 直接電話をとって、そ こでお父さん、お母さん方の生の不安の声とい うのもあがってきていて、実際に本当はお医者 さんや薬局の人のお話をしっかり聞いていれば、 電話もかけずに済んでいたという内容も少し見 受けられるというお話でありました。現場の生 の声の情報とか、そこからデータから浮かび上 がってくる情報といったものを、先生方や、私 たちマスコミを含めて情報を共有する場という のは、今後、設ける予定はあるのでしょうか。

○司会(玉井) もう少し♯ 8000 がちゃん と動くようになってくれば、ある程度皆さんにい ろんなことを話せることがあるかもしれません。

小児を守る環境整備と言いますか、いろんな 冊子もみんなで勉強会をしてみたり、お母さん 同士で勉強会をしてみるというような都道府県 もありました。そういった形で小児救急を守ろ うという地域の意識が持ち上がっていくということを大いに期待する1 つの試みでもあるとい うことになります。

○佐久本(琉球放送)

佐久本(琉球放送)

私の友人も那覇市立 病院で小児の看護師を やっているんですが、 ♯ 8000 ができたけど、 やっぱりほとんど変わ らず忙しさは変わらな いようで、しかも知ら ない人が多いというので嘆いていました。

私たちはテレビ局なんですが、何らかの形で 実際の対応の様子というのを放送で紹介できた らと思います。視聴者の方が見て「あ、こうい うふうに対応してくれるんだ」と分かってもら えるように、工夫しながらテレビのほうでも実 際の対応の様子を紹介していけたらなというふ うに感じています。

追跡調査をされているということなので教え てほしいのですが、♯ 8000 についてどうやっ て知りましたかというようなことを聞かれたり していますか。

広告広報がなかなかできていないという中 で、かけてくる方というのはどういうふうにキ ャッチしてかけたのかなと思うのですが。

○司会(玉井) 実は聞いていません。実際 にほとんど何の告知もしていないんです。ポス ターを約3,000 枚作成して、やっと学校と医療 機関に配布したぐらいです。ですからほとんど 知られていないというのは、おっしゃるとおり です。もっと告知して、県民にもっと理解して もらえれば、もっと育っていくのかもしれな い。そういうことも期待しながらやっていま す。なにしろまだまだ十分な告知はできていま せん。まだ知らない人が多いと思います。です から少しずつやり方を工夫しながらやっていき たいと思います。

○佐久本(琉球放送) 今後の追跡調査の中 でどうやって知りましたかという質問項目を1 つ設けていただければと思います。

もしかしたらRBC のニュースで観ましたと いう声もあるかもしれませんので、ご検討お願 いいたします。

○城間(南部地区医師会)

城間(南部地区医師会)

私は7 月に担当とな りましたが、問い合わ せはゼロ件でした。(電 話での受け答えだけな ので)電話口で判断を 誤ったらいけない、と いうことで担当の前夜 から緊張して、マニュアルの隅から隅まで目を 通しました。(小児の病気に慣れている)小児 科医ですけど非常に緊張しました。担当の23 時が過ぎた時にはさすがにどっと緊張が解け て、それからゆっくりとお酒を飲みました。

ところで先日、鳥取の開業医が化膿性髄膜炎 を見逃したということで訴えられて、損害賠償 として約7,600 万円を請求されたそうです。結 局、不十分な問診が誤診を招いたということで 裁判に負け、廃業に追い込まれたそうです。こ のケースは発熱・嘔吐で受診された40 代の男 性だったようですが、子供の場合はもっとわか らないと思います。発熱があって吐いていた ら、この頃流行っているウィルス性胃腸炎をま ず考えます。普段でも発熱ですこし吐いて、ち ょっとぐったりしている子供はたくさんいます からね。こういったケースを電話相談されたら どうしようかなと、最近この判決を知ってから 精神的に萎縮しています。(発熱・嘔吐があれ ば)やっぱり救急に行かせたほうがいいんじゃ ないかな、とも思っています。我々開業医にと っても医療機関にとっても、あの判決は萎縮医 療につながるものでありました。小児救急医療 を前進させようというところで、非常に足を引 っ張られるような判決だったと思います。

○司会(玉井) 真栄田先生はバックアップ ドクターのバックアップドクターなんですね。 どういうことかというと、ドクターが急な用事 でできないときには真栄田先生ということで、 これまでに先生は7 回か8 回ぐらいやっている かと思いますが、如何ですか。

○真栄田(医師会)

真栄田(医師会)

スタートしてみて、バ ックアップする先生方も 意識がまだまだ十分じゃ ないのかなと思っていま す。ただ、最近は二巡目 するようになってから は、担当の先生方は責任 をもって7 時前のナースコールもしっかり対応し ているようです。最初の一巡目までは担当である けれども、忘れていたとか、ちょっと携帯の電話 から離れていたというようなタイミングのずれと かもありました。しかしながら、バックアップの バックアップですから、やはりいないときには僕 が責任をもつということで約束しておりますの で、その間、城間先生と同じように7 時〜 11 時 まではきっちりと携帯をそばに置いて緊張はして いました。そういう意味での連携は大事です。

先ほどご指摘のように、バックアップのドク ターの顔が見えないので、看護協会の皆様方と 医師会のバックアップドクターと、機会があれ ば顔合わせて、フェイス・トゥ・フェイスでコミ ュニケーションがとれるような形でいけば、もっ ともっとナースもドクターにコールしやすくなる かもしれないし、また、応える側もナースの顔を イメージしながらその症状を聞いて適切な回答 ができるんじゃないかなと思っております。

また、スクリーニングの形でナースコールの ナースが回答した後の疑問点が出たら、どんど ん僕と玉井先生で、その日その日で早めに正し い回答をするようにということで、トレーニン グもしながら継続しておりますので、これから もっともっとスムーズにこの♯ 8000 事業が進 展していくと期待しております。

○當銘理事(医師会) 統計資料のグラフを 見ると、800 件と必ずしも母数は多くはないので すが、約7 割の児が救急受診をその日にやらなく て回避できていますね。ですから、先ほど受診を 後押しすることも非常に重要なことだという発言 がありましたが、夜間救急に行かなくてもよい7 割の患者を出すことができたというのが、一番に 大きな成果だと思います。コンビニ化の予防、こ れが♯ 8000 の最大の目標、目的だとは思います が、ぜひそれとセットとして考えて頂きたいの は、コンビニ化を防ぐためには日ごろから各家庭 の親が子どものかかりつけ医をもっていて、何か あった場合にはそのかかりつけ医と相談できるよ うな体制をもっていれば、夜中から救急室にわざ わざ出かけるような必要は無くなる訳です。です からぜひ♯ 8000 をつくったから、それをどんど ん利用しなさいということではなくて、この♯ 8000 という電話事業は、かかりつけ医へと結び 付ける手段としての役割も大きな目的であるとい うことをわかっていただきたいと思います。

○屋良(那覇市立病院) 今後の提案なんで すが、先ほどマスコミの方から非常にいい質問 があったんですが、追跡調査と、どういうアド バイスをしたかというのを対応させないと、標 本調査の結果が生きないと思います。

というのは、本当に電話相談した人が救急病 院に行く気があったのか、よく聞くと意外と最 初から行く気はなく、不安、悶々としたものが あって電話して安心したかったという方が結構 いると思うんです。その人たちがどういう気持 ちで電話したのかというのと、それからどうい うアドバイスをして、その人たちが実際対応さ せて9 時までに行ったのかとか、そういうもの を対応させないと、このデータが生きないのか なと、非常にいいデータですので、そこまでや ってほしいなと思います。

もっといいデータを出すのであれば、実際ど ういう病院へ行ってどういう処置を受けたかど うか。そこまではなくてもいいと思いますけれ ども、そういうふうになったら非常にいいデー タかなと個人的に思っております。

○司会(玉井) 個人票は全部管理していま すので、結構大変な作業になるかとは思います がそういう加工はやろうと思ったら可能だと思 います。

それでは、これでマスコミとの懇談会を閉会 させていただきます。

皆さん、今日はどうもお疲れさまでした。