常任理事 安里 哲好
去る8 月11 日(水)、県庁3 階第1 会議室に おいて標記連絡会議が行われたので以下のとお り報告する。
<提案趣旨>
昨年発生した新型インフルエンザのワクチン 接種事業は、臨時応急的な措置として、昨年 10 月から、国を実施主体として予防接種を実 施した。
今年10 月1 日からは、新たなワクチン接種 事業が開始され、季節性のインフルエンザに新 型を含めた3 価ワクチンの予防接種となること に伴い、新たに接種協力医療機関の確保等が必 要となる。ご理解、ご協力をお願いしたい。
なお、医師会が実施する主な内容は下記のと おりである。
記
<主な意見等>
■まだ、案の段階であり、色々な問題が想定さ れる。県民に負担がかからないように問題点 等を協議し、混乱なく実施したいのでご協力 をお願いしたい(福祉保健部)。
□日本医師会において、感染症危機管理担当理 事連絡協議会が開催され、国からの説明があ った。当ワクチンの法的位置づけ等まだ決定 してないことがある。県医師会としても混乱 が起こらないように協力していきたい(県医 師会)。
<提案趣旨>
沖縄県小児救急電話相談事業(# 8000 事 業)は共働きの多い沖縄県の育児支援において 大変期待されている事業で、この7 月5 日から 本格運用が県医師会と県看護協会の協働によっ て開始されている。# 8000 事業は県民に対し て、その意義と目的を含めて充分な啓発が必須 であり、電話相談に対する正しい理解が県民に 得られなければ正しく理解されることも、県民 に正しく利用して貰う事も出来ない。
そのためには# 8000 事業の啓発、告知に対 してもっと予算措置をして頂き、事業を正しく 理解して貰うためのポスターや、パンフレッ ト、告知記事、告知番組などに予算を割けるよ うにして頂きたい。現在の年間補助金では充分 な告知活動ができない可能性があり、是非# 8000 事業に対する予算拡充をお願いしたい。
<福祉保健部回答>
同事業については、県医師会及び県看護協会 の協力により、県内の医師・看護師が相談に携 わる方法で実施することができ、ご協力に大変 感謝申しあげる。同事業の啓発・告知について は、現在のところ次のとおり実施しており、今 後も県医師会・県看護協会と調整しながら、パ ンフレットの作成等の必要な啓発・告知方法を 検討・実施していきたいと考えているので引き 続きご協力をお願いしたい。
1.平成22 年度の# 8000 事業の啓発・告知の実施・予定
2.平成23 年度啓発・告知の予定
原則として、平成22 年度と同様に引き続き 実施。より効果的な方法を県医師会・県看護協 会と検討する。新規の方法で予算を伴うもの は、地域医療再生計画での# 8000 事業の年間 予算額(1,500 万円)の範囲内で、22 年度限り の初期費用分を広報費に回すなどして、啓発・ 告知の予算増を工夫する。
今年度においても、予算措置が余っている部 分があるのでそれを活用しながらやっていきた い。できる形で医師会と調整していきたい。
<主な意見等>
□# 8000 事業の啓発は重要であり、是非予算 の拡充をお願いしたい(県医師会)。
<提案趣旨>
児童虐待の相談件数は引き続き増加傾向にあ り、沖縄県においても平成21 年と22 年に虐待 によって児童が死亡する事件が連続して発生す るなど、深刻な事態となっている。
虐待の未然防止や早期発見等のためには多く の機関の連携が必要であるが、特に医療機関に ついては、今後とも密接な連携を図るため、下 記事項についてご協力をお願いしたい。
記
1.啓発活動について
児童虐待の早期発見、早期通報等について、 医療現場における意識を高めていただくため、医 師会報等を通じた啓発の強化等をお願いしたい。
2.「医療機関用子どもの虐待対策マニュアル」 の改訂(更新)について
平成12 年3 月に作成した「医療機関用子ど もの虐待対策マニュアル」については、その後 の関係法令の制定、改正等を反映させるため、 内容の改訂(更新)、再配布を行うこととして いる。
更新作業は、児童相談所と県立病院を中心に 行うが、検討段階で県医師会等の意見を伺うこ とも想定しており、協力をお願いしたい。
3.「子ども虐待対策拠点病院」について
現在は公立病院のみであるが、民間医療機関 への拡大について、今後医師会等と調整を行いた い。なお、拠点病院には「こども虐待対策委員 会」を院内に設置していただくこととしている。
4.県要保護児童対策地域協議会の設置について
児童虐待対策等について、福祉、保健、医 療、警察、教育などの分野が連携して取り組む ことを目的に、県レベルでのネットワークの構 築を進めていくこととしており、県医師会につ いても関係機関としてご協力いただきたい。
<主な意見等>
□かかりつけの患者については、判断は容易で あるが、救急患者は判断しにくいのが現状で ある。また、報告してもその後の経緯までは わからない。もっと連携をしっかり確立する 必要がある(県医師会)。
■県立南部医療センター・こども医療センター では、虐待対策委員会を設置し対策を行って いる。他施設においても要綱を作成し、組織 的な対策を行っていただきたい(福祉保健部)。
□かつての児童虐待防止法に比べ、現在の法律 にはズレがある。新しい児童虐待防止法のポ イント等を明確にして本会に示していただき たい(県医師会)。
□「子供は親が育てるもの」という意識から、 国、県、市町村の地域単位で育てるという意 識で取り組まなければならない(県医師会)。
■市町村にも児童相談所の窓口を設置するとい うのが義務付けられており、相談を受け付け る体制は整っている。今回の件に関しても、 かなりの頻度で実務者会議が行われていたが、 設置にとどまり内容が充実していないのが現 状であった。今後は、積極的に運営がなされ るように対応していきたい(福祉保健部)。
■予防接種時の問診で、そのような視点では診 れないか(福祉保健部)。
□予防接種時に判断するのは、よほどの外傷が ない限り判断は難しい(県医師会)。
■児童虐待防止法が改正され、子どもの虐待を 発見しやすい立場にあるものは、疑い例でも 通報する義務があるので、ご協力お願いした い(福祉保健部)。
<提案要旨>
はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・ 指圧師の施術については、医療上当該施術が必 要とする症例や疾病について保険給付を行う対 象としており、支給適否の判断にあたっては、 医師の同意書又は診断書が必要となっていると ころであるが、近年、当該療養費の支給申請が 増加していることもあり、円滑な制度運営を図 る為、改めて制度について周知したいと考えて いる。
また、医師の同意書等については医学的所 見、病状経緯等から判断して交付されるもので あり、保険者は同意書発行の趣旨を勘案し、支 給適否の判断を行うこととなっているが、必要 に応じて保険者が同意医師に対し照会を行うこ ともあるので、その際の対応等について協力を 依頼したい。
制度の周知及び協力依頼についてはリーフレ ット等を県で作成後、県医師会を通じ保険医等 へ周知していきたい。
<主な意見>
■実際の数値として国保分では平成15 年度は 5 万2 千件であったが、平成19 年度には10 万件を超えた。また老人保健分では平成15 年度には512 件であったが、平成19 年度に は4 倍となった。あん摩・マッサージも同様 に増加している状況(福祉保健部)。
□はり・きゅうやあん摩・マッサージの保険請 求が伸びている。医療費の増大についてはよ く公表され、かなり批判的に捉えられている。 国は診療所の請求額を統計で出しているが、 その中にはり・きゅう等の医療費が含まれて いれば、診療所の実際の請求額より高くなっ てしまうがその辺の実態が知られているのか。 統計を出す場合には、はり・きゅう等につい て分けて公表されているのか(県医師会)。
□担当課は知っているか。集団指導等は実施し ていないのか(県医師会)。
■国保分については年報の中で、「その他」の 項目の中に補装具、柔道整復等とひとくくり にされている。老人医療費については、「は り・きゅう」、「あん摩・マッサージ」として 分けて表示されている。先ほど国保・健康増 進課長からの報告は、国保分は「その他」と して纏められた数字だが、老人分は個別の件 数である。
外来診療料に含まれるかどうかについて は、療養費は現金支給分として別々に統計が 取られているが、ただし整形外科の方で医療 上のマッサージを行った場合は外来診療料に 含まれる。独立して施術所を構えている分に ついては別々に統計が取られている。
指導については、はり・きゅうは基本的に 患者さんは一旦窓口で10 割分を支払した後 に、自己負担分を除く7 割分を保険者に請求 することになるので、保険者が支給の際にそ の是非を判断して支払うことになっている。 県による保険請求の適正等の指導は実施され ていない。今回は保険者で支給適否の判断を 行う際に、医療機関に照会を行うことについ ての協力依頼である(福祉保健部)。
□最近は系列化で本土から県内にたくさん入っ てきており、その分保険請求は増える。しっ かりやっているところもあると思うが、医療 機関が県から指導を受けるように、保険者は 施術所に実地指導に入りしっかり調べて欲し い(県医師会)。
■その点で、医療機関に対し保険者からの問い 合わせが増えるという周知と協力依頼である。 あとはこういうことが現在起きていることを 周知するためのものである(福祉保健部)。
□この件については、医師会でも最近話題にな っている。かなりの圧力団体になっており、 将来的にはレントゲンも撮ろうかという勢い である。そうなると完全に整形外科と競合す ることになり、全国的にも問題となってい る。施術所はものすごい勢いで増えているの で、いずれ国保財政を圧迫しかねない。医療 機関側には県による指導が入って大変厳しい ので、はり・きゅう等についてもしっかり保 険者が指導すべきである(県医師会)。
□保険診療をやるからには保険のルールに則っ て行うべき。同意書は3 カ月毎に発行とのこ とであるが、どの程度の頻度で発行されてい るのか。身近では同意書を発行しているとい う話をあまり聞かない。
また請求書もノーチェックだと思われる。 例えば右肩の疾病から始まり、左肩、左足と 継続して治療を続けるケースも有りうる。請 求書がどのような形でチェックされているの か。医療機関に関してはかなり厳しくチェッ クされる。病名が抜けていれば査定される し、或いは少しでもおかしな点があれば個別 指導、そして監査となるようなチェックシス テムが出来ているが、はり・きゅう等の場合 にはそれがまだ出来ていないのは問題である (県医師会)。
■先ほどの同意書の発行が把握されているかど うかについてであるが、被保険者からの初回申 請の場合、医師の同意書を添付することにな っている。それがないと保険給付が出来ないの でその時点で確認されることになる。また3 カ 月ごとに更新の場合、同意書のほかに口頭で の再同意でも良いとされている。口頭であれば 支給申請書の下の欄に再同意としてチェック をすることになる。それを支給申請の際に確認 している状況である(福祉保健部)。
□本人に代わり家族が「治療中」と言っても継 続になると思われるが、その辺のチェック機 能、制度に問題はないか(県医師会)。
□不正請求を無くすためには、保険者は急に件 数が増えた施設等を指導という形で直接チェ ックすべきである(県医師会)。
□同意書がもとめられた場合、医学的判断に基 づき交付する。
継続の為、3 ヶ月ごとに同意が求められて いるかどうかについて医師はチェックする。
同意書に関して保険者から問い合わせがあ れば対応すること。
上記の件を会員へ周知することについて、 医師会としても協力したい(県医師会)。
<提案要旨>
今年、5 月、国の国民健康保険法の一部改正 する法律により、都道府県は、国民健康保険事 業の運営の広域化又は国民健康保険財政の安定 化を推進するための市町村に対する支援の方針 (以下「広域化支援等支援方針」)を定めること ができるとされた。
これにより、市町村が運営する国民健康保険 事業に関し、都道府県単位による広域化を推進 することが必要であるとしている。
つきましては、今後、広域化等支援方針につ いて、市町村及び関係機関による検討会を設置 し意見交換を行っていきたいと考えております ので、ご協力をお願いします。
<主な意見>
■都道府県単位化の主体については、広域連合 になるのか、都道府県になるのか、まだ検討 中だが、広域化等支援方針は19 都道府県が 策定中である。本県はまだ策定していない。
国保の赤字が膨らむ中、賦課徴収をするの は市町村、地域保険という形で取り組むのは 都道府県ごとに進めるとして国が方針を示し ている。この件について貴会も検討会に加わ っていただき、医療機関側の意見を出してい ただきたい(福祉保健部)。
□国は広域化の方針を示しているが、本会では この件についてまだ検討していない。日医で は常任理事が高齢者医療制度改革会議に出て おり、広域化については特に問題ないとの意 見を述べている。運営主体についてはまだ結 論が出ていない状況とのことだが、国保財政 の維持に関しては、基本的には国の負担を増 やさないと成り立たないと考える。この辺を ハッキリさせないと、市町村から県に主体を 移しても変わらない。その意味では国の負担 金を増やすということを同時に書き込まない といけない(県医師会)。
■全国知事会社会文教常任委員会の委員長を務 める愛知県の知事も「財源の保証がないと何 とも言いづらい」として全く同様な意見であ った。しかし京都府や長野県など積極的に広 域化に取り組もうとする県もある。高齢者医 療制度改革会議では12 月頃に最終案を取り 纏める予定である(福祉保健部)。
□各市町村では、地域住民の健康関連事業を積 極的に実施しているところもあると思うが、 広域により地域の活動が停滞することになら ないか(県医師会)。
■昨年度から全国知事会において検討されてい るが、京都府等推進県においても気に掛って いるところは、市町村が身近な住民の健康、 保険料の徴収、相談等について広域化するこ とで、わざわざ広域連合や県まで足を運ぶこ とになり、手間がかかることにならないかと いう点である。やはり身近な市町村の役割は しっかりやらないといけない。そうしなけれ ば広域化しても意味がないことになる。
国保財政については、本県のように殆ど赤 字の市町村ばかりを集めて広域化してもあま り意味がない。やはり国の財源的な裏付けが ない限り国保財政はもたないというのが全国 の一致した意見である。全国知事会としては その意見を国の検討会へ提案している。最終 的にはその辺を整理したうえで、どこが担当 するべきかということになると思う(福祉保 健部)。
□結局は財源の問題である。基本的に赤字のも のを一つに纏めようが、バラそうが、赤字は 赤字である。財源論で言った場合、「一つに 纏めた方が効率化されてよい、しかしその分 サービスは低下する」と言うだけの話であ り、国庫が入らないと難しい。
また、広域化になると任せっきりで市町村 は努力しなくなる。
もう一つの問題は広域化した場合に保険料 にどう影響するのか。シミュレーションの結 果はどのようになっているのか(県医師会)。
■やはり上がると思われる(福祉保健部)。
□その方が問題である。余計に滞納が増えるこ とにならないか。県民一人ひとりの保険料に どのように影響するのか、その辺が大事では ないか(県医師会)。
□今後設置される検討委員会で保険料等の問題 についても議論し、公表しなくてはいけな い。その結果、広域はやめた方がよいとの意 見になるかもしれない(県医師会)。
■国は広域の方針であるので、反対するのは難 しい。今後どのような形で進めていくかの検 討となる(福祉保健部)。
□最終的には主体が広域連合となるのか、県に なるかの議論か(県医師会)。
■今回の計画ではその辺までは求められてはい ない。
どこが実施主体ということではなく、支援方 針の中身についての策定となる(福祉保健部)。
□保険料の徴収を市町村が一生懸命やっている が、それが県になると収納率が落ちるのでは ないか。また市町村によっては住民の健康管 理を一生懸命に取り組んでいる。予防、健康 政策等を実施することで医療費が抑えられる からである。それが無くなると住民としては 不幸である。その辺りで広域化に反対してい るところもある(県医師会)。
■そのような意見を含めて、今後意見交換の場 を設けたいと思うのでご協力をよろしくお願 いしたい(福祉保健部)。
平医務課長よりみだし看護学校の民間移譲に ついて説明があった。
県立浦添看護学校の民間移譲については、平 成18 年3 月に策定された「沖縄県行財政改革 プラン」に基づき、民間移譲に向けた取り組み を進め、平成20 年12 月、神奈川県内の「学校 法人湘央学園(理事長稲福全昌)」を選定した。 その後、平成21 年4 月に、知事は当該法人と 「譲渡に関する基本協定書」を締結し、平成24 年4 月1 日をもって移譲することにした。
その後、県と当該法人においては、移譲に向 けた調整等を順調に進めて、今般、養成所設置 者変更に関する国の指定及び、専修学校の設置 に関する県の認可等課題に対する見通しがたっ たことから、「看護学校の設置及び管理に関する 条例の廃止」を、県議会9 月定例会に提案する ことを検討しているので、県医師会においても 当議案に対するご理解とご協力をお願いしたい。
説明の後、安里常任理事から平成24 年4 月 の民間移譲後、在学生の取り扱いについて確認 があり、平課長から「在校生は転校という措置 を取り、卒業するまでは県立としての学費を据 え置く」との説明があった。但し、民間移譲 後、入学する学生については民間で定めた学費 を充てるとのことである。
また、小渡副会長から民間移譲に伴い、入学 定員の縮小がないか確認があり、平課長から 「定員数は同じである」との返答があった。ま た、県では民間移譲後の授業料の増額を考慮し て、昨年度、看護師等修学資金の貸与について 条例を変更したとのことで、新たに授業料(年 額70 万円を上限)としての活用も出来るよう になったとの説明があった。
最後に、小渡副会長から今後も定員を縮小す ることが無いようにと要請があった。
<提案趣旨>
新たな沖縄振興に向けた制度提言として、み だしのことについて提案を考えており、これに 対する沖縄県医師会の考え方を伺いたい。
[医療特区制度の導入について]
1 現状
2 課題
3 制度提言の内容
<主な意見等>
■メディカルツーリズムとか国策として導入す るという議論があり、現行制度の中では困難 な部分が多く、特区がよく話題になる。ただ 心配なのは、現状の医療の安定的な供給シス テムを破壊してはいけない。2 つの提案はハ ードルが低いと思っている。ご意見いただき たい(福祉保健部)。
□急遽提案があり理事会で協議したが、これは 大きな問題である。沖縄の医療の方向性、救 急医療、地域医療、県立病院、大学病院のあ り方などこれから模索して確立していかなく てはらない。そのような沖縄の医療の方向性 を模索する大事なときに、一番のエネルギ ー、マンパワーを持っていかなくてはならな いときに、この特区の問題はなかなか進まな いのではないか。特区の導入には、混合診療 とか制度上難しい問題がある。もちろん外国 の方が診療できないとかの問題には、個別的 に対応しないといけないが、特区を国に申請 することは結論としては時期尚早であると県 医師会としては考える(県医師会)。
■まだ素案の段階である(福祉保健部)。
■専門性の高い医師を招聘してはどうかとの提 案である。宮城県とか長野県とか、医療が崩 壊している県はどこの医師でもよいので招聘 したいと厚労省に申請したが却下されてい る。県内では、現在、ハワイ大学を中心とし て講師を招聘しているが、指導だけで治療は 禁止されている。特区であれば可能になる (福祉保健部)。
□話していることが矛盾している。医療ツーリズ ムは、あくまでも経済的なベースである。外国 の裕福層を呼び、高額な医療を提供しようと いうことが前提で、そのために世界中から優秀 な医師、機材を集めるということである。
旅行者が来て保険がなくて支払いできない ので何とかしようとして特区を作ることとは 全く違う。旅行者のために、優秀な外国人医 師が来るわけがない。旅行者が来て支払いで きない、請求できないというが、外国から来 るのに保険をかけてくるのはあたりまえであ って、普通我々でも外国に行くのに保険をか けていく(県医師会)。
■最初の提案が医療特区という名前でやったの で中身がない。特区という名前をつけるのは おこがましいかと思う。先日、民間の医療機 関の救急患者の支払いで困った例があったの で、何か対応できないかと考えた(福祉保健 部)。
□外国人が病気したら日本の保険でやるという のはおかしい(県医師会)。
■特区、いつも話題になる。医師も医師以外も 具体的にどういう規制を緩和することなの か。導入するにしても現状の医療制度を安定 させながらやらなくてはならない。特区は検 討しないという結論を出すのかどうか、包括 的な特区は医療に関しては作るべきではない と思うが、部分部分の解除はどの程度まで検 討できるのか、今回は素案として、ハードル が低いと思われる2 点について提案した(福 祉保健部)。
□非常に唐突、昨日提案があって理事会で検討 した。時期尚早である。高度な医療、高度な 技術の人をどうハンティングするのか、世界 中そんなにいるはずがない。臨床修練制度で 治療含めて2 年可能であり大学でもできる。 大阪はあと2 年延長することを要望してお り、国もやると言っているので、わざわざ特 区で申請しなくても現時点でもできるのでは ないか。中部病院が出来ないというのは確認 してもらいたい(県医師会)。
■臨床修練制度は、中部病院でも10 年前にや っていた。しかし、英検1 級を超えないとい けないとか、基準が厳しい(福祉保健部)。
印象記
常任理事 安里 哲好
福祉保健部は奥村部長以下各課の課長及び関係機関所長の出席があり、当会は宮城会長以下副 会長、常任理事の参加があった。議題は7 題あり、長時間の協議を要した。
「(1)平成22 年度新型インフルエンザワクチン接種事業(案)について」の協力依頼があっ た。この件については、国にて審議が継続しており、厚労省の方針がまだ決定していない現状で ある。きちっとした方向性を確認した後、診療現場に混乱が起こらないよう協力して行きたいと 述べた。
「(2)#8000 事業予算規模拡充に関しての申し入れ」は当会から提案した。平成22 年度の #8000 事業の啓発・告知の実施・予定について、1) 県医師会によるもの 2) 県の広報媒体の活用に よるもの 3) その他も含め、多くのキャンペーン活動を実施している現状報告があった。平成22 年 度の予算の一部を広報費に回すなどして、啓発・告知の予算増を工夫したいと述べていた。
「(3)児童虐待早期発見のための連携強化について」の協力依頼があった。地域の隣近所の 日々の生活における発症の予防から早期発見、救急病院における適切な判断と経過観察そして連 携(警察との連携・児童相談所との連携等)等、積極的に取り組んで行かなければならない社会 的な面も含め多くの問題を内包しており、可能な点から実施して行きたいものだ。
「(4)はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術における医師の同意について の制度の周知及び保険者からの照会等についての協力依頼について」について、医師の診断書・ 同意書の有効期限はおおむね3 ヶ月以内、3 ヶ月を越えて引き続き保険給付を行おうとする場合 は、改めて医師の同意が必要との事。また、必要に応じて保険者が同意医師に対しての照会があ る際の協力依頼であった。背景には、その領域の医療費の著しい増加にもあるようだ。
「(5)国民健康保険事業の広域化について」は都道府県単位に移行して行くと思われるも、疾 病の予防活動や健康保持増進そして特定健診・がん検診の受診率の向上等に中心的な役割を担っ ているのは市町村である現状が、どのように変化して行くか懸念するところである。
「(6)平成24 年4 月県立浦添看護学校の民間移譲について」は学校法人湘央学園が同年4 月か ら1 年生を迎えるが、在校生は転校という措置を取り、定員数は同じとのこと。経営的に安定し、 多くの素晴らしい看護師を輩出することを期待したい。
「(7)医療特区制度の導入について」について、新たな沖縄振興に向けた制度提言として提案 を考えており、医師会の意見を要望された。医療特区申請には莫大なるエネルギーと多くの医療 関係者の協力・同意が必要とされると考える。混合診療、新薬・医療機器の早期導入の問題、外 国人医師の公的保険診療、医療ツーリズム、現在の地域医療の保持・継続等、多くの難題がある。 一方、誰が旗を高く掲げ進んで行くのか、どこが実働部隊となるか、どこが支援部隊となるのか 等もあり、時期尚早であるとの県医師会の立場を述べた。個々の医療機関が外国人を対象に自由 診療(外国人を対象とした人間ドック等)をすることについての賛否については、県医師会は言 及していない。
今回の協議会で感じた事は、医療を取り巻く環境は日々の生活の現場から近未来へと、また、 医師を中心とした保健・医療領域も多職種の医療従事者との広い関わりの中で推進され多様化し ているようだ。