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平成22 年度第1 回沖縄県・沖縄県医師会連絡会議

常任理事 安里 哲好

去る5 月24 日(月)、県庁3 階第1 会議室に おいて標記連絡会議が行われたので以下のとお り報告する(出席者は以下のとおり)。

出席者:宮城会長、玉城副会長、小渡副会長、
       真栄田常任理事、安里常任理事
       稲田常任理事(以上、医師会)
       奥村部長、宮里保健衛生統括監、
       當間福祉企画統括監、川久保参事
       平医務課長(以上、県福祉保健部)

議 題

1.県医療対策協議会(県地域医療対策協議 会)の活性化について(情報提供)
(県医師会)

<提案要旨>

来る6 月4 日(金)に開催される九州各県保 健医療福祉主管部長及び九州各県医師会長合同 会議では、本会より標記の提案を行っている。

平成19 年4 月より改正された医療法では、 都道府県に医療対策協議会の設置が義務付けら れ、都道府県が中心となってへき地を含む地域 の医師不足や診療科の医師偏在への対応策を協 議するほか、医師不足地域への医師派遣調整や 医師確保対策を定める重要な会議となってお り、一層の活性化が望まれる。

そのためには、九州各県行政の主管部及び県 医師会が中心となり、各委員の協力を得て、医 療対策協議会の益々の活性化と人事配置等の調 整能力の強化が望まれる。また、同協議会を踏 まえた医師確保・医師派遣等に対する予算・補 助執行等を関係機関へ公表いただくなど、情報 の共有と透明性を推進すると同時に、それらの 施策を実行するための財源確保をも積極的に要 望していただきたい。

ついては、標題について事前に情報提供する とともに、沖縄県地域医療対策協議会の今後の 展開についてお伺いしたい。

<医務課の回答>

沖縄県における地域医療対策協議会の開催状 況は、平成21 年度は1 回実施し、平成22 年度 は2 回の実施を予定している。

当協議会は、「沖縄県地域医療対策協議会運 営要綱」に定める

(1)医療提供体制の整備状況に関すること

(2)地域医療を担う医師の養成・確保に関す ること

(3)医療機関の機能連携の推進に関すること 等について検討しているところである。

今年度においては特にこれらのことに加えて、

(1)初期臨床研修医の確保、研修の質の向 上、研修医の募集定員に関すること

(2)医師派遣等推進事業を活用した離島・へ き地への医師派遣に係る調整等について協 議を進めていきたいと考えている。なお、6 月に第1 回目の協議会を開催予定している。

<主な意見等>

□当県は離島医療が永遠の課題であるので、同 協議会を活性化し、それらの課題解決に向け て取り組んでいただければ幸いである(県医 師会)。

□構成員について、県内の医療を行っていくた めには県立病院、民間病院、大学病院の協力 が不可欠であるので、大学のメンバーを制限 するのではなく、きちんと配慮いただきたい (県医師会)。

■委員は全体で16 名で、琉球大学から病院長 や医学部長をはじめ5 名を委員としている (福祉保健部)。

□医師派遣等推進事業の調整はどうなっている のか。3 研修病院群の後期研修相互乗り入れ を検討しているので、窓口がどこになってい るのか不明なので、いつでも協議できるよう な会議がある事が必要。県が音頭を取ってい ただくとスムーズにいくのではないかと考え る(県医師会)。

■平成18 年度に行われた医師確保検討委員会 では、まずドクターバンクを設置することに なったが、情報が迅速に共有化出来れば、 様々なところから医師の確保が可能となるの で、ドクターバンクの充実について検討して いきたい(福祉保健部)。

□シミュレーションセンターの設置を通して、 共有したディスカッションが出来るようにな った。県立病院の窓口がよく分からないの で、有機的に行う必要がある(県医師会)。

■昨年度は、事務的な手違いがあり琉大への離 島派遣事業に対して非常に迷惑をかけた。そ のような中で予算が切られたので、今後は情 報を密に提供できるよう努めていくのでご指 導お願いしたい(福祉保健部)。

2.沖縄県内における日本紅斑熱、腸管出血 性大腸菌症による溶血性尿毒症症候群 (HUS)の患者発生等について(情報提供)
(福祉保健部医務課)

<提案要旨>

1.日本紅斑熱

本年3 月南部保健所管内在住者が、日本紅斑 熱と診断された。本県での感染例は過去には報 告がない。発疹等があり、刺し口があった場合 には本症を疑うことも必要。

現在、男性は回復。国立感染症研究所ほかリ ケッチア専門家が4 月下旬に本島北部の山野で 野ねずみを捕獲し、ダニの調査を実施したが、 現在のところ病原リケッチアの検出はない。

2.腸管出血性大腸菌症による溶血性尿毒症症 候群(HUS)

本年4 月下旬から中部福祉保健所管内保育施 設において連続して2 例のHUS 疑い患者(い ずれも3 歳男児)が発生。

5 月17 日現在、HUS 患者3 例。

1 例目:回復し、退院。

2 例目:腎不全のため、長期の透析治療を
       行っていたが、尿が出て透析中止。
       回復に向かっている。

3 例目:現在も入院中であるが、透析治療
       もなく回復見込み。

関係者検便0157 ・ベロ毒素陽性者3 名(患 者除く)/185 件。現在までのところ新たな感 染者は出ていない。感染源については調査中。

3.麻しん、風しん等(平成22 年5 月20 日現在)

麻しん 0 件(疑い例: 13 件)

風しん 0 件

水痘情報:北部 水痘注意報:中部・南部

流行性耳下腺炎警報:南部 流行性耳下腺線

注意報:宮古

流行性角結膜炎警報:北部

<主な意見等>

■今回の腸管出血性大腸菌症による溶血性尿毒 症症候群は、発症率が高く特別な菌ではない かのとの疑いもあったが、適切な治療によ り、患者3 名は快方にむかっている(福祉保 健部)。

□同一施設内でおこっているのか(県医師会)。

■同一施設内でおこっているが、疫学的に、保 育園内の食事からの発症ではないことがわか っている。誰かが持ち込みそれが感染してい る(福祉保健部)。

■各市町村に対し、注意喚起文を送付した(福 祉保健部)。

3.平成22 年度全国高等学校総合体育大会 の救急医療体制について
(福祉保健部医務課)

<提案要旨>

平成22 年度全国高等学校総合体育大会が別 紙のとおり平成22 年7 月28 日(水)から8 月 20 日(金)まで県内各地で開催される。

大会開催にあたり、期間中の関係者の救急患 者発生に備えて、医務課から同大会県実行委員 会に対し、救急告示病院の名簿について提供 し、同大会実行委員会事務局から救急告示病院 に対し、協力依頼をしているところである。

大会期間中は、選手・役員等58,000 余人を はじめ大会に参加する方がおよそ10 万人とい われており、救急患者の発生も増加することが 予想されるので、県医師会においても、会員の 皆様に対し救急医療体制に万全の体制で臨んで いただくことを呼びかけて下さるようお願いし たい。特にはしかが心配である。

<県医師会回答>

本会では、地区医師会に対して各市町村から 依頼がきたら対応していただきたいと依頼して おり、既に、各地区医師会も理事会等で協議し て全面的に協力することになっている。個々の 競技種目と執務する時間の調整を行い、医療救 護要員の穴が開かないよう調整していきたい。 今後、各市町村との連絡をつめていく。

はしかについては、特に予選に出る生徒は、 かなりの選手は接種が済んでいると思われる。

<主な意見等>

■医師会や、はしか0 プロジェクト等から依頼 があり、教育庁と協議して前倒しで接種を薦 めており、接種しないと予選に出さないこと にしている。熱中症もかなり多いと思われ る。大規模な食中毒が起こらないよう努めて いきたい。(福祉保健部)。

□前大会の症例の発生状況、マニュアルがある とよい(県医師会)。

□日射病の発生予防が最も大事。総体事務局で も参加される家族に通知してもらっている (県医師会)。

□開会式等は、県医師会理事の病院から派遣す ることになっている(県医師会)

4.保健所医師の採用について
(福祉保健部福祉保健企画課)

<提案要旨>

平成22 年度の定期人事異動において、保健 所に配置する医師2 人の欠員が生じている。

昨年来、保健所医師として適当な人材に関す る情報収集に当たってきたところだが、これま で採用には至っていない。

そこで、この度公募を行って適当な人材を求 めることとしたので、ご子息、知人、友人等の 情報があれば、ご協力をお願いしたい。

なお、募集要項等については、関係課との調 整を行い、近日中にホームページに掲載してい く予定である。

<主な意見等>

■昨年まで保健所医師の明確な定員枠がなかっ た。近年の状況を鑑み、定員化した方が良い という事で定数化を行った。そのような中 で、宮古および中央保健所において2 名の欠 員が生じている。医師不足の影響により応募 がないのが現状である。医師会の皆様のご子 息、知人、友人等の情報があれば、是非お知 らせいただきたい(福祉保健部)。

□定員化したから欠員が生じたのか、今まで就 いていた人が辞めたのか(県医師会)。

■これまで保健所内で必要性を感じて、それぞ れの保健所に人員が配置されていた。しか し、辞職に伴う欠員が生じたので、定員を明 確化しようという運びになった。なかなか、 公衆衛生を希望する若い医師がいないのが現 状である(福祉保健部)。

□年齢制限はあるのか(県医師会)。

■次の公衆衛生を担う医師の養成もあって、出 来るだけ若い医師を希望する(福祉保健部)。

□各研修群に情報提供するのも良いと思う(県 医師会)。




印象記

安里哲好

常任理事 安里 哲好

「県医療対策協議会(県地域医療対策 協議会)の活性化について」は当会から 提案した。医務課の回答の中にもあるよ うに、(1)医療提供体制の整備状況に関 すること。(2)地域医療を担う医師の養 成・確保に関すること。(3)医療機関の 機能連携の推進に関すること等について 検討する同協議会は、沖縄県の保健・医 療・介護にとって、最も重要な協議会で ある。例年、年度末の多忙な時期に、報 告事項のような承認事項のような協議会 を開いていた印象を与えていたので提案 した。同協議会(構成員名簿を参照)と 県医師会で行われている地域医療臨床研 修委員会・臨床研修病院長等会議とをリ ンクさせて、相互に情報交換をしながら 連携を取り、共に知恵を出し合い創意工 夫をして行ったら、「離島診療所の医師確 保」や「小児科医・産婦人科医の育成・ 確保」の積極的支援が可能になるし、さらに、日医が切望している「地域医療研修ネットワーク」 の具現化が日本で最初に実践されるのではと、強く心に念じている。同協議会は、しばらくは年 に3 〜 4 回開いてもらい、委員にも積極的に議題を提案してもらいたいものだ。

「沖縄県内における日本紅斑熱、腸管出血性大腸菌症による溶血性尿毒症症候群(HUS)の患 者発生等について」の情報提供が福祉保健部医務課よりあった。小生は中部地区医師会の担当も しているが、各福祉保健所より感染症の状況を各地区医師会にも伝達しているのだろうかと気に なる点もあるが、ほとんどが終息しつつあり安堵している。

「平成22 年度全国高等学校総合体育大会の救急医療体制について」の報告があった。大会期間 中は、選手・役員等58,000 余人をはじめ大会に参加する方が10 万人と推測されている。熱中 症・日射病、食中毒、また沖縄の高校生からはしかが感染しないよう前倒ししての接種や前年度 大会の事例を検討して対策のマニュアル化が望まれる。全会員が協力して無事滞りなく遂行され、 素晴らしい大会になるよう推進して行きたいものだ。

「保健所医師の採用について」の依頼が福祉保健企画課よりあった。宮古および中央保健所に おいて2 名の医師の欠員が生じており、次の公衆衛生を担う医師の養成もあって、できるだけ若 い医師を希望するとの事。沖縄県における大きな問題は、肥満・メタボ・糖尿病と予防しうる感 染症等の対策であろう。かような背景において、保健所医師の活躍は救急医療と等しく或いはそ れ以上に重要な役割を担っていると考える。志しのある医師の応募を期待する。

最後に、福祉保健部より福祉保健部行政機構図の紹介があった。いつも、福祉保健部の何方と 相談・交渉をすれば良いか戸惑うことがあり、また、会員にとっても必要な情報ではと思い掲載 した。