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平成21 年度第6 回沖縄県・沖縄県医師会連絡会議

常任理事 安里 哲好

去る3 月25 日(木)、県庁3 階第1 会議室に おいて標記連絡会議が行われたので以下のとお り報告する。

議 題

1.沖縄県周産期医療ネットワーク協議会の 活動への理解と支援について(県医師会)

<提案趣旨>

沖縄県周産期医療ネットワーク協議会では、 母体搬送や新生児搬送が円滑に行えるようシス テム構築している。特に、毎朝関係病院の空床 情報を確認し、FAX 連絡網で情報を共有する ことにより円滑な搬送に繋げている。

さらに、同ネットワーク協議会では、那覇市 医師会の協力を得て「新生児蘇生法講習会」を 実施しており、今後全県下での開催を企画して いる。同講習会は、出生時に順調な胎外呼吸循 環に移行できない新生児に対する標準的な新生 児蘇生法の理論と技術を習熟することにより、 児の救命と重篤な障害を回避し、新生児死亡率 の改善を目指している。

これらの事業はネットワーク協議会の献身的 な活動により保たれているが、日常の勤務に加 えて同事業を実施することは負担過重となって いるものと思われる。

全国的にも、母体搬送が円滑に推進されない 県が多く見られる中で、同ネットワーク協議会 の活動は、評価されるべきものと考える。

沖縄県においても、沖縄県周産期ネットワー ク協議会の活動へのご理解とご支援をお願いし たい。

<国保・健康増進課回答>

沖縄県では、県立中部病院、南部医療センタ ー・こども医療センターに総合母子医療センタ ーを設置し、那覇市立病院、沖縄赤十字病院の2 箇所を地域周産期母子医療センターとして指 定し、更に琉球大学の周産母子センターを含め て、産科医療機関の連携のもと、県内の周産期 医療体制が推進されているところであり、関係 者の皆様に心から感謝申し上げる。

また、周産期医療ネットワーク協議会が行っ ている、周産期空床情報の確認と情報提供は、 県内の母体搬送、新生児搬送を円滑に進める上 で重要であり、ネットワーク協議会のご活躍に 対し、敬意を表するとともに感謝申し上げる。

県が平成22 年度中に策定を予定している周 産期医療体制整備計画の中で、周産期医療情報 センターの設置について検討していきたいと考 えている。

同ネットワーク協議会が企画している「新生 児蘇生講習会」については、関係機関と連携し ながら、周産期医療関係者の技術の向上が図ら れるよう支援していきたいと考えている。

<主な意見等>

□周産期医療情報センターの設置を検討してい るとの回答であったが、具体的にはどこに設 置する予定なのか(県医師会)。

■県庁内に設置し、ホームページ等を活用し て、空床状況等を把握し情報提供するなど、 検討している(国保・健康増進課)。

□当協議会を運営していくにあたり、財政的な 支援は可能か(県医師会)。

■周産期医療体制整備計画のなかで、運用方法 等は検討していくが、財政的な支援は現況で は難しい(国保・健康増進課)。

□那覇市医師会では、毎日、関連病院より空床 状況を情報提供してもらい、それをまとめ て、関連する産婦人科、小児科、内科等に情 報提供している。那覇市医師会の負担は大き い。また、「新生児蘇生講習会」については、 各地区医師会が協力運営していくことになっ ているが、沖縄県においても、当活動への積 極的な支援をお願いしたい(県医師会)。

■具体的な運用等に関しては、現場の先生方や 関係機関と十分に検討し、改善していきたと 考えている。ご協力宜しくお願いしたい(国 保・健康増進課)。

2.介護サービス情報公開制度について (県医師会)

<提案趣旨>

1)本情報公開制度はその制度自体に問題があ ることは論をまたないが、現実的には法に基 づき施行されている為、県での対応はできな い。一方、手数料は各県の条例で決められて いるが、各県でかなりばらつきが見られる。 公表事務手数料、調査事務手数料、共に県福 祉保健部で決定していると思うが、これまで 価格決定についての協議が持たれたことはな く、本県は全国平均価格よりも高く、九州で 一番高い価格設定となっている。今後、適正 な価格となるように検討をお願いしたい。

2)また、本情報公開制度は、本県では県社協 に委託されているが、その調査方法において も行政の監査まがいの指導を行う調査員がい るようである。県は社協に対して適正な調査 がなされるように指導をお願いしたい。

3)本情報公開制度は「利用者が介護保険サー ビス事業所を適切に選択する為の判断材料と する」ことが本来の目的であるが、はたして どの程度の利用者が活用されているか疑問で ある。本県における本制度利用の状況をご教 示いただきたい。

<沖縄県回答>

1)平成21 年4 月より、介護保険制度施行規則 の一部が改正され、調査体制が「2 名以上」 から「1 名以上」に減員されたこと等に伴い、 本県では、平成21 年度から調査手数料を、 「4 万円」から「2 万8 千円」に減額するとと もに、公表手数料を公表事務の効率化に伴 い、「1 万2 千円」から「1 万1 千円」に減額 している。

手数料の積算項目の人件費及び事務費等の固定的な経費は、各県共通ですが、本県は島 嶼県であることから調査に係る旅費コストが 多額であること及び対象件数が少ないこと等 が相まって手数料金を押し上げる要因となっ ている。

なお、県では、事業所の負担軽減のため調 査を毎年ではなく2 年に1 回とすることを国 に要望できないか九州各県と協議したいと考 えている。

2)本県では、3 つの指定調査機関(社会福祉 法人沖縄県社会福祉協議会、特定非営利活 動法人介護と福祉の調査機関おきなわ、株式 会社沖縄タイム・エージェント)が介護サー ビス情報の調査を行っている。

なお、調査に当たる調査員には、研修等を 通して調査の目的を指導しているが、今後と も、事業者に誤解を与えることの無いよう適 宜指導していく。

3)国が取りまとめた都道府県別の情報公表セ ンターホームページへのアクセス数(平成20 年7 月分調査)では、本県は、全国平均を上 回っており、九州では、最もアクセス件数の 多い県である。(公表対象事業所数当たりの アクセス数全国2.32、沖縄2.72)

<主な意見等>

□情報公表制度は医療は無料で介護は有料とい うことは理解できない。本制度が任意であれ ば良いが、義務ということであれば国が責任 をもって行うべきである。

料金については、本県が島嶼県であること から料金が高いという理由は納得できない。 長崎県も同様に島嶼県であるが本県よりも低 い料金となっている。

宮古、八重山にも社協はあり、そこが対応 しているのであれば調査員の旅費等も抑えら れると考える(県医師会)。

■昨年6 月の議会において平成21 年度の手数 料の変更を行った。下げ幅としては13,000 円となっており、九州各県よりも頑張ったつ もりである。

本価格においても指定調査機関のうち1 か 所は赤字となっている。事業所が増えれば調 査機関の収益が上がり、そうなれば単価も下 げられると考えている(高齢者福祉介護課)。

□一つの事業母体は、近隣に二つ三つの事業所 を抱えている。調査員は少しの時間で複数の 調査を行える。そのような状況にある中、調 査料金が1 事業所39,000 円というのは高いと 考える。また、調査機関に株式会社が入って いるため収益ということになる。そういうと ころは外してはどうかと考える(県医師会)。

■内部の有識者会議で調査団体を選定してい る。株式会社であるから収益を上げていると いうことではない。

本制度は全国的な制度であり、我々として は、調査を毎年ではなく2 年に1 回とするこ と等、国に対し改善を申し入れていきたいと 考えている(高齢者福祉介護課)。

□いずれにせよ、改善を要望する(県医師会)。

3.小児救急医療電話相談事業(# 8000) の実施について(福祉保健部・医務課)

<提案趣旨>

平成22 年度において、地域医療再生基金を 活用して小児救急医療電話相談事業(# 8000) を実施する。

# 8000 の実施方法について県医師会のご意 見、ご協力を願いたい。

# 8000 事業計画

・電話相談は、原則として地域の小児科医師 が対応

(小児科医師による支援体制があれば看護 師等で応対可能)

・実施時間中における相談件数を把握し、基 金終了後の事業実施の資料を得る

・平成22 年度予算総額1,500 万円 地域医療再生基金を活用

365 日、午後7 時から翌朝午前8 時(13 時 間実施)

【内訳】電話相談事業委託料 1,150 万円
     事業周知広報委託料 350 万円

<主な意見等>

□当件については、本会理事会において検討した 結果、関係者(県立病院、看護協会、沖縄県 医師会)による委員会を構成し検討する必要 がある。早急に委員会委員の人選を行い、導 入時期について検討し、回答する(県医師会)。

■導入時期については、議会において、7 月ま でには導入すると回答した。7 月までに導入 できるようご協力をお願いしたい(医務課)。

4.各医療機関における「特定健診受診率向 上のためのポスター」の掲示等について (協力依頼)(福祉保健部国保・健康増進課)

<提案趣旨>

特定健診の受診率については、平成20 年度 で市町村国保が27.5 %、被用者保険も約40 % 程度で、低い状況となっている。

市町村国保の状況を調べたところ、未受診者 のうち約42 %が、通院治療中の方となっている。

県では、医師会のご協力をいただき、「通院 中の方も特定健診を受診しましょう」とのポス ターを作成した。

ついては、同ポスターを各医療機関に掲示し ていただき、通院患者に対する特定健診の受診 勧奨についてご協力をお願いしたい。

<主な意見等>

■市町村国保で言うと、通院患者の受診がある と受診率が53 %位まで上がると考える。また 主治医も特定健診受診を勧めやすいと考える。

特定健診と診療を同時に実施することにつ いては、玉城副会長や玉井理事からもご教示 いただき、現在課題を整理しているところで ある。

本ポスターはA3 サイズ程度となっている ので、医療機関の受付等に掲示いただき、受 診勧奨に努めていただければと考える(国 保・健康増進課)。

□診療のデータを特定健診として使用すること は可能か(県医師会)

■可能だが、診療のデータを特定健診データと して提供する方法は医療機関に負担がかか る。特定健診として実施すれば当該データは 国保連合会に提出することで自動的に各市町 村に振り分けられるが、診療データを特定健 診データとして扱うためには医療機関が各市 町村にデータを提出していただく必要がある (国保・健康増進課)。

■受診率向上のためにも是非ご協力をお願いし たい(福祉保健部)