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沖縄県医師会共済会解散について

照屋勉

理事 照屋 勉

平成22 年4 月より、沖縄県医師会共済会の担 当理事を務めることになりました照屋勉と申し ます。前任の幸地賢治先生の業務を引継ぐこと になりました。幸地先生のご尽力で既に代議員 会の承認も得られておりますが、これまで検討 されてきました沖縄県医師会共済会の解散につ いて、ご報告させていただきます。

沖縄県医師会共済会は、会員の相互扶助を図 ることを目的として昭和47 年7 月に設立され、 これまで37 年余の永きに亘り運営され会員の 福祉共済事業として寄与して参りました。

しかしながら、社会の変革等に伴い公益法人 をとりまく状況が著しく変化する中で、平成 20 年12 月1 日に公益法人制度改革関連法が施 行され、併せて平成18 年に施行された改正保 険業法等により、共済会積立金や給付金に関す る問題等が発生し、共済会の存続の必要性も含 めて協議することになりました。

これまで福祉経営委員会(2 回)で協議を行 い、地区医師会での協議結果等を踏まえ本会理 事会(平成22 年1 月12 開催の第27 回理事会) で解散することを決定し、去る3 月25 日(木) に開催された第191 回定例代議員会で協議の結 果、「沖縄県医師会共済会の解散」と「共済会 解散に伴う今後の会計処理」を決議致しました。

これまで共済会会員の先生方におかれましては、永年に亘り沖縄県医師会共済会の運営に多 大なご協力を賜り厚く御礼申しあげます。

今後は、第191 回定例代議員会の決議に基づ き、平成22 年度は別紙のとおり「沖縄県医師 会共済会解散に伴う今後の会計処理」により給 付事業、既納会費の還付に関する清算事務を進 めていくことにしておりますので、何卒ご理解 ご協力賜わりますようお願い申し上げます。

なお、傷病給付金・遺族給付金・災害給付金 については、平成22 年3 月31 日分までを対象 としておりますが、傷病給付金については、3 月 31 日保険事故発生までの受理分を180 日を限 度として支給することにしており、申請書の提 出については5 月30 日までに沖縄県医師会宛、 直接提出して下さるようお願い申し上げます。

又、本件につきまして、ご質問等ございまし たら、沖縄県医師会共済会(098− 888− 0087) までご連絡くださいますようお願い致します。

<参考>

※沖縄県医師会共済会規則(第2 条)

本会規則第2 条に「沖縄県医師会共済会 は、沖縄県医師会会員をもって組織し、A 会員 は全員本会に加入し、B 会員は任意加入とす る」となっており、C 会員の公務員の先生方 は、対象ではございませんので、ご了承下さい。

【別紙】

沖縄県医師会共済会解散に伴う今後の会計処理について

1.平成21 年度沖縄県医師会代議員会において、沖縄県医師会共済会特別会計は、平成22 年3 月31日をもって解散する。なお、解散に伴い平成22 年度は清算年度とする。

2.沖縄県医師会共済会規則を平成22 年3 月31 日をもって廃止する。

3.新規募集は、平成22 年3 月31 日をもって行わない。

4.会費については、平成22 年3 月分まで徴収する。

5.傷病給付金・遺族給付金・災害給付金については、平成22 年3 月31 日分までを対象とする。但 し、傷病給付金については、3 月31 日までの受理分を180 日を限度として支給する。(申請書提出 は、平成22 年5 月30 日までとする)。遺族給付金・災害給付金は平成22 年3 月31 日以後は支給 しない。

6.還付金並びに財産処分(平成10 年〜 21 年度既納会費等残余財産)については、下記計算式に 基づき還付する。

<会員への還付>

1)還付金(共済会規則第8 条):昭和47 年7 月1 日から平成10 年3 月31 日までの既納会費は、 無利子で全額還付する。

2)配分額:平成10 年4 月1 日から平成22 年3 月31 日までの既納会費は、下記計算式に基づき 配分する。

配分額計算式 平成10 年度以降既納会費×配分率−傷病給付金+災害給付金)

3)最終支給額:1)と2)の金額を最終支給金額とする。

  • (イ)共済会費を還付する場合の支給方法
  • (ロ)共済会費を還付した場合の正味財産の状況
  • (ハ)配分率の決定について

会員へ傷病給付金・遺族給付金・災害給付金等各種請求交付終了後、平成22 年10 月に残余 財産(正味財産)を確認し、計算式に基づき配分率を算定し、支給額を決定する。尚、配分率は 福祉経営委員会で協議を行い、理事会で決定する。

7.残余財産処分後の残余金は、沖縄県医師会に寄付する。

公益法人制度改革と共済会特別会計の問題点

(1)公益法人制度改革について

平成20 年12 月1 日公益法人制度改革関連法が施行され、これまでの社団法人・財団法人(民法 34 条の公益法人)は特例民法法人となり、平成25 年11 月30 日までの期間(5 年内)に、公益社 団・財団法人または、一般社団・財団法人への移行手続きを行わなければならず、移行期間終了まで に申請を行わなかった場合、または申請が許可されなかった場合はその法人は解散とみなされる。

(2)公益社団法人への移行と共済会特別会計との問題点

公益法人への移行は、公益認定法に基づく定款の変更と、公益認定法に規定する18 項目の基準 に適合する2 つの要件を充足しなければならない。その認定基準の主なものとして、1)公益目的事 業比率について、公益目的事業の事業費が当該法人全体で発生する費用の50 %以上を維持しなけれ ばならない。2)遊休財産について、目的の決まっていない財産(遊休財産)を持ちすぎてはいけな い。3)収支相償について、公益目的事業に係る収入がその事業の費用を超えてはならないこと等が 認定基準で示されている。

※公益社団へ移行する際の共済会特別会計の問題点

共済会特別会計の会費は、加入時点から平成10 年3 月31 日までの会費は規定で返すことが義務づけられている。しかしながら、平成10 年4 月以降の会費については、規定により返済しない ということになっており「積立金」として、使途目的のない「遊休財産」に該当する。

現在、共済会特別会計の積立金は2 億2 千9 百万円で、将来的には更に増加することになる。従 って、本会が将来公益社団を目指す場合、この財産は遊休財産の対象として公益事業に当てて処理 することになる。そうなると本来会員の先生方が、共済会事業として納めた会費を公益のために 消費することになり、共済会の目的外に積立金を処分することになるので、解散を含めて検討し ていく必要性が生じている。

(3)一般社団法人への移行と共済会特別会計との問題点

一般社団法人への移行は、一般法人法に基づき1)定款の変更と、移行登記を行った時点における 財産額(医師会が持っている総資産)を、計算上一定の期間において公益目的のために段階的に使 い切るよう2)公益目的支出計画を立てなければならない。

これまで公益法人として税制上の優遇等の恩恵を受けて積み上げた財産であるため、公益のため に使用しなければならないという考えから、期間は独自に設定し財産額を使い切るよう計画書を作 成し、毎年財産額の報告を行政にしなければならない。

※一般社団法人へ移行する際の共済会特別会計の問題点

一般社団へ移行した場合でも、会員の先生方への返済を目的としていない共済会の「積立金」 は、公益目的事業に充てて消費することになり、公益目的支出計画を作成し、これを消費する計画 を作成しなければならなくなる。従って、今回の公益法人制度改革において、共済会特別会計は、 公益社団、一般社団のいずれに移行しても「積立金」を目的外に支出しなければならないという 問題が生じることから存続させるのは困難であり、解散を視野に入れて検討を行う必要がある。

(4)保険業法関連と共済会特別会計との問題点

改正保険業法(平成18 年4 月1 日施行)は、根拠法のない共済会等について、新たな保険契約 者等の保護の施策として小額短期保険業制度を導入し、これまで根拠のなかった共済を法的に区分 することにより、規制対象となった団体は、保険業法上の「特定保険業者」と定義し、各財務局に 届出を行い小額短期保険業者として登録制にした。さらに、不特定の者を対象としていた保険会社 を免許制にした。このような動きは、本会のような根拠法のない共済会についても、改正保険業法 との整合性が求められるようになった。

さらに、本共済会のように1,000 人以下で規制の対象外となっている保険業法適用除外団体につ いては、行政当局へ届出の必要性はないものの慶弔見舞金等の給付が、「社会通念上その給付金額 が妥当なもの」として、10 万円以下とすることが指針で示された。

本会共済事業の給付金額は高く設定されており、指針に示された金額との整合性から、今後監督 官庁からの行政上の指摘がなされた場合、他の事業へ移管するか若しくは解散も視野に入れて検討 する必要となった。

(金融庁:少額短期保険業者向けの監督指針:一定の人的・社会的関係に基づき、慶弔見舞金等の 給付を行うことが社会慣行として広く一般に認められているもので、社会通念上その給付金額が 妥当なものは保険業には含まれない。

上記の「社会通念上その給付金額が妥当なもの」とは、10 万円以下とする。このように、保 険業法適用団体と除外団体(根拠法のない共済事業実施団体等)との整合性から金融庁の対応は 適用除外団体についても、同様な給付額で対応するよう指導をおこなうものと思われる。)