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九州医師会連合会諸会議

(1)九州医師会連合会常任委員・九州各県医師会次期日医代議員協議会(日本医師会長選挙立候補予定者演説会)

真栄田篤彦

常任理事 真栄田 篤彦

去る3 月6 日(土)、福岡市のホテル日航福岡 において、九州各県の現会長、次期会長並びに 次期日医代議員が一堂に会し標記協議会が開催 された。当協議会では、4 月1 日に実施される日 本医師会役員選挙における九州医師会連合会の 対応について協議を行うと共に、日本医師会次 期会長選挙立候補予定者の演説会が行われた。

協議の内容については、本協議会に先立って 開催された九州医師会連合会常任委員・次期会 長合同会議の内容と重複するので、割愛するこ ととし、演説会の概要にについて報告する。

演説会には、既に立候補を表明している、現 職の唐澤人先生(東京都)、茨城医師会長の 原中勝征先生、京都府医師会長の森洋一先生 が参加し、事前の抽選による順番に従い各候 補者の演説が行われた。演説の概要は以下の とおり。

(1)森洋一先生(京都府)

現在、厳しい状況であり、医療再生も困難な 状態であることはご承知のとおりである。医療 再生のキーワードは「希望」「改革」「信頼」だ と思っている。

医療改革を行うに当たっては理念が必要であ る。現在、いろんなところで議論されつつある が、理念が薄らいでいる気がしている。

税収が7 〜 8 兆円減少し財源確保に苦労して いる中での今回の診療報酬引き上げは致し方な いと考える。診療報酬引き上げの問題はいろん な要因があり、会長選の争点にはしてはいけな いと考えている。今後、医療費財源の確保を議 論する際は、しっかりとした理念に基づいた医 療政策を立てなければならない。

私どもは、一昨年から「社会保障立国論」を 提唱し、日本の外需を主導の経済体制から脱却 し、社会保障の医療・介護分野をしっかり手当し、国民の安心安全を守って行くことを主張し ている。そうすることによって、国民に明日へ の希望を与えることとなり、又、医療・介護従 事者の雇用が増え、内需拡大に結び付き、外需 主導の経済構造の変革をもたらす事になると考 えている。

私は、このような理念に基づいた政策を示 し、医療政策会議で検討し、日医のグランドデ ザインにも反映させ、工程表をつくり具体的に 取り組んで行く所存である。この私の取り組み は、日本医師会16 万5 千人の全会員と27 万人 の全医療従事者が一緒なってやっていかなけれ ばならない。その取り組みは、国民のためであ り、国民の声を背中に受けて国に働きかけなけ ればならない。

マスコミは、唐澤先生は自民党より、原中先 生は民主党支持、森は中間で政治に対して距離 を置いていると報じているが、私はそのことに ついて一言も申しあげていない。国民のための 医療制度をしっかりと訴えて、国民の声を背に 政治に訴えていくことが大切だと思うし、我々 が国民から信頼を得て活動していくためにも政 権に左右されてはいけないと考えている。

また、日本医師会と都道府県医師会のあり方 として、双方向性のあるフラットな関係でない といけないと考えている。上意下達ではなく、 連携を取ってそれぞれの意思を尊重したい。又、 社会の変革はスピーディーであり、それに合わ せ日医としても対応して行きたい。

地域医療を担っているのは都道府県医師会で あり、都道府県医師会の意見をくみ上げ国に働 き掛けていきたい。そのためには日本医師会の 改革が必要である。

政治に左右されるのではなく、国民を守る強 い日本医師会にしていきたい。

(2)原中 勝征先生(茨城県)

医療政策、理念は三人殆ど相違がないと思う ので、本日は具体的な事項を3 点申しあげたい。

1)医師会問題

今、一生懸命働いている会員のやるせない気 持、どんどん官僚の労働者状態になっていく私 達の気持ちを、誰が、何処で受けとめ、どう改 善されていくのか、今、全く見えてこない。日 本医師会は会員一人一人のためにあり、日本医 師会がその気持ちをくみ取り解決していかなけ ればならない。

2)医療費について

社会保障費の中で、医療は政治と切り離すこ とはできない。医療崩壊は医療費の削減が原因 であり、医療崩壊を改善するには医療費を確保 しなければならないと言う事を共通認識とすべ きである。

医療費亡国論が言われて以来、まず、医療供 給を無くそうと、医師の定員が減らされ、病床 数が減らされ、中小病院が無くなった。有床診 療所においては、その機能は終わったと位置づ けられ、1 日の入院費が2,300 円に激減された。 これで有床診療所は生き延びられるわけがな い。あきらかに医療費による医療機関潰しであ る。このような問題を察知できなかったのも日 本医師会である。

今も医療費の値上げは叶っていないが、2, 200 億円削減は完全撤廃した。診療報酬改正 で、診療所から病院へ回って行くことになって いるが、中小病院には回らない。マスコミ等で 取り沙汰されている患者のたらい回し等、政策 医療として税金が投入されるべき医療に診療所 の費用を移したに過ぎない。こういう事は止め させなければならない。その他にリハビリも問 題等、医療内容ではなく、お金が先に出てくる ことは止めさせなければならない。

3)会長になったら

私が会長になったら、民主党と日本医師会の 協議会を設置する。診療報酬点数早見表を見て 分かるように、やたら分厚くなって複雑になっ ている。これは官僚主導の結果である。先ず は、これまでの自民党、官僚がつくった医療政 策をゼロにして、将来の医療はどうあるべきか を、日医の専門的見地から政策を提言し、それ を政治家が受け入れられる組織をつくり、目の 前の事だけを問題にするのではなく、将来、日本が今のような生活をどう保つか、また、国民 皆保険をどう守っていくかを考えなければなら ない。

(3)唐澤人先生(東京都)

新医師臨床研修制度の開始、福島県大野病院 事件等がきっかけとなり、医師不足、偏在問題 が表面化した。そのような中、小泉政権より推 し進められた医療費削減政策と相俟って、医師 不足、偏在が顕著となり、小児医療、産科医 療、救急医療現場が疲弊し地域医療の崩壊が始 まった。

そこで、私は危機感を持って現況を改善すべ く種々取り組みを展開した。ようやく昨年にな って毎年の削減は止めよという風なことになっ ていたが、秋には政権交代が起こった。国民 は、生活の安定、安全、絆というものが、経済 優先、産業優先の中で失われていたことに気づ いた。従って、国民の意思によって政権交代が 起こったと言うことである。

私どもは、医師になった時に、終生医師とし て過ごす誓いをたてたはずであり、それを途中 で医師を辞めることは無念である。しかし、女 性医師の場合それが起こっている。また、勤務 医もバーンアウトし進路を変える人もいる。或 いは、挫折し命を落とす医師もいる。

この厳しいせっぱ詰まった状態を改善しなけ ればならない。日本医師会を建て直し、正しい 道を歩むべく、国民と医療を担当する者全員が 力を合わせ、日本の新しい医療をつくっていか なければならないと考えている。そのために、 皆様方の力をお借りして全員参加型の日本医師 会をつくりたい。