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宮城信雄会長3 選、新執行部誕生
−第190 回沖縄県医師会臨時代議員会−

去る2 月25 日(木)午後7 時30 分から本会 館において標記代議員会が開催された。

はじめに、代議員会の正副議長の任期が去る 1 月末日をもって満了したため、仮議長に野原 俊一代議員が選出された。野原仮議長より定数 の確認が行われ、定数59 名に対し、49 名が出 席し、定款34 条に定める過半数に達しており、 本代議員会は有効に成立する旨宣言された。続 いて議長選出が行われ、新垣善一代議員(中部 地区)が選出されると共に、新垣議長の下で副 議長の選出が行われ、副議長に長嶺信夫代議員 (那覇)が選出された。

以上、議長、副議長の選出の後、宮城会長よ り今回の会長選立候補にあたって下記のとおり 所信表明があった。

その後、議長より議事録署名人として比嘉靖代議員、平良豊代議員が指名され、早速選挙に 入った。選挙は本会役員・裁定委員、日医代議 員・同予備代議員いずれも定数内の候補者で、 投票によらず選出された。

また、顧問委嘱の件について議事が行われ、 引き続き、伊豆見元俊先生、宜保好彦先生、花 城清喬先生、比嘉国郎先生、桑江朝彦先生、稲 冨洋明先生に委嘱することが承認された。

なお、選出された本会役員・裁定委員、日医 代議員・同予備代議員は右記のとおり。

宮城信雄会長所信表明

皆さん今晩は。平成21 年度会計年度も押し 迫り、本会役員の任期もあと一ヶ月を残すとこ ろであります。平成18 年4 月に稲冨前会長の後 を引き継ぎ、2 期4 年間「地域に根ざした活力ある医師会」を目指して会長職を務めさせて頂 いております。会員各位のご支援・ご協力を得 て滞りなく会務を円滑に進めることが出来まし たことに対して厚く御礼を申し上げます。引き 続き、次期役員として会長に立候補することに いたしましたので、立候補の所信表明を行い、 会員ならびに地区医師会役員皆様方のご支援・ ご協力をお願い申し上げたいと思います。

現在、医療を取り巻く状況は悪化の一途を辿 ってきており、正に混迷の時代を迎えておりま す。平成13 年に小泉政権が誕生し、「聖域なき 構造改革」を掲げ、命も例外ではないとして、 構造改革を断行いたしました。

その結果、産業、経済、医療などあらゆる分 野が混乱に陥り、格差社会が生じております。

特に医療分野は医師不足、小児科、産科医療 の崩壊、救急医療の疲弊、医業経営の悪化など が起こり、地域医療は崩壊の危機に瀕しており ます。

そのようなことから、地域医療再生は国の喫 緊の重要課題として前政権でも取り組まれよう としておりました。このような中で、昨年の総選 挙において民主党が圧倒的多数で政権を獲得い たしました。これまで自民党政権下では、社会 保障費を機械的に年間2,200 億円削減する政策 を採ってまいりましたが、医療費を抑制するの ではなく、質の高いサービスを効率的、効果的、 安定的に供給できるようなシステムを作ること を期待され、民主党政権が誕生いたしました。

しかしながら、民主党がマニフェストで掲げ た、社会保障の最重要課題として医療崩壊を阻 止するための財源が確保されておりません。ま た、医療費をOECD 加盟国の平均まで大幅に 引き上げることをマニフェストに掲げ、我々も それに期待をしておりました。10 年間にわた って自民党政権下では診療報酬が引き下げられ ましたが、今回の診療報酬改定ではネットで 0.19 %上がっており、それに対する評価は個々 で違うと思います。しかしながら、この0.19 % の内、薬価の改定が予想以上に大きく、それを 改めて計算し直すと僅か0.03 %のアップにし かならない試算となり、ほとんどゼロベースと なることがわかります。残念ながら診療所は結 果的にはマイナス改定になっておりますが、財 源が不足しているためにアップが出来ず、そう いう意味では、安定的な財源を確保するための 施策を考えなければならず、個人的には消費税 しかないと考えておりますが、現政権下では4 年間消費税を上げないと明言しておりますので、2 年後の診療報酬がどうなるか注視してい かなければなりません。

今度の選挙以降変わったことに、中医協から 日医の代表が外されたことがあげられます。今 まで自民党を応援してきた医師会に対しての見 せしめではないかと思われますが、それに関し ては、強く抗議したいと考えております。“コ ンクリートから人へ”と命を守る政治の実現を 提唱する鳩山政権には是非責任ある医療政策の 実現に取り組まれることを期待すると共に、県 医師会の地域医療の推進について安心・安全な 医療が提供できるよう九州医師会連合会、日本 医師会との連携を密に図りながら、進めていき たいと考えております。

一方沖縄県では、去る1 月25 日に沖縄県振 興審議会が開催され、2030 年の沖縄県の将来 像を描く長期構想として「沖縄21 世紀ビジョ ン」を取りまとめております。その中で、医療 福祉が充実した県民の幸福度が高い社会の構築 を目指すことが謳われております。県医師会と しましても、県民の保健・医療・福祉の向上を 目指し、その実現に向けて積極的に参画してい きたいと考えております。また、沖縄県と沖縄 県医師会は定期的に会議を持っております。さ らに、沖縄県医師会は様々な委員会に参加して おりますが、その中で医師会の意見をいままで 以上に提言していきたいと考えております。

医師会業務につきましては、一昨年の12 月 に当会館が出来上がりました。その結果、学術 をはじめ地域医療の拠点として活動が活発に行 われております。今後とも、当会館を基軸とし た会員の学術活動、組織作りを進めていきたい と考えております。

また、平成22 年度の事業については、現在 計画を取りまとめている最中でありますが、事 業計画を刷新し最重要課題に地域医療の再生を 位置づけ、県行政、琉球大学医学部、各地区医 師会関係者と密接な連携をとりながら事業に取 り組んでいきたいと考えております。

この事業では、地域医療再生基金が創設さ れ、2 つの医療圏に計50 億の予算が出る予定 です。その計画の段階から沖縄県医師会は参画 して色んな提言をしてきており、この度それが 取り上げられ実現の運びとなっております。

琉大におけるシミュレーションセンターもそ の一環であります。

また、県内には3 つの臨床研修グループがあ り、いずれも非常に評判が高く、多数の研修医 が沖縄にきておりますが、3 年目以降に関して は残念ながら2 割から3 割の方が沖縄を出て行 く状況となっております。それに関しても、3 つの臨床研修グループが一緒になって専門研修 が県内で出来、全員が沖縄に残ってもらえるよ うな方策をとっていきたいと考えております。

病診連携や、病病連携については、言葉だけ では無く、連携パスを作りながら、それぞれの 機能を生かした連携を図っていきたいと考えて おります。それぞれの地区で脳卒中、糖尿病の 連携パスが出来てきておりますが、それを県内 で統一していきたいと考えております。また、 医師の養成では女性医師が多数を占めつつあ り、女性医師が働きやすい環境づくり、あるい は医師会としては、女性医師バンクを設けて事 業を展開していきたいと考えております。

また、臨床研究、治験事業も県医師会として 取り組んでおりますが、これも推進していきた いと考えております。

新型インフルエンザの際には保健行政と協力 をしながら、迅速に対応をとってきたつもりで ありますが、それが中々会員に伝わらなかった というご批判があったことから、今後は連絡、 広報に関しIT を利用した体制を構築していき たいと考えております。

医療政策については、当然政党や政権に提言 をしていきますが、政党や政治家から干渉され ることについては、断固として批判をしていき たいと考えております。これまでの4 年間で培 った経験を生かし、会員や沖縄県の地域医療の 向上のために努めていく所存でありますので、 皆様のご支援ご協力をお願いして私の所信表明 といたします。

ありがとうございました。

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