第109 回九州医師会総会・医学会及び関連行事
Ⅲ．第109 回九州医師会総会・医学会
日 時：平成21 年10 月31 日（土） 午後1 時～
場 所：ホテル日航福岡（都久志の間）
第109 回九州医師会総会
昨年の熊本県において開催された九州医師会 総会以降、九州ブロックにおいてご逝去された 会員241 名に対し黙祷が捧げられた。
九州医師会連合会長挨拶 （横倉福岡県医師会長）
晩秋の絶好の季節の中、ここ福岡市におきま して多数の会員の皆様をお迎えし、第109 回九 州医師会総会・医学会を開催できますことは、 福岡県医師会として誠に光栄な事であります。
また、本日はご多忙にも拘わらず日本医師会 会長唐澤祥人先生、福岡県知事麻生渡様、福 岡市長吉田宏様をはじめ、多くのご来賓の皆 様にご臨席を賜りましたことに深く感謝申し上げます。
総会開会にあたり九州医師会連合会長として 一言ご挨拶を申し上げます。
さて、鳩山首相は今週開会した第173 回臨時 国会の冒頭の所信表明演説において、「財政の みの視点から医療費や介護費をひたすら抑制し てきたこれまでの方針を転換し、質の高い医 療・介護サービスを効率的かつ安定的に供給で きる体制づくりに着手する」と表明されまし た。このことは、社会保障の財源確保とともに 私共医師会が常に主張し続けてきたことであり ます。
我々医師は、長年にわたり、地域医療を守 り、国民の医療・福祉の充実と向上に、たゆま ない努力を重ねてまいりました。
どの様な政権になろうとも私共の信念と使命 感は、揺るぐものではありません。
福岡県で生まれ育った貝原益軒は「心を静 かにし、身を動かすをよしとす」と述てべおり ます。
この言葉を胸に留め、引き続き、私共は国民 へのより良い医療提供体制の構築の実現に向け て努力してまいる所存です。
そして、九州医師会連合会は、日本医師会と ともに、国民の医療に携わる若い医師が夢を失 わず、未来に希望を持ちながら医療に携わる事 が出来るように、一致団結して活動していかな ければならないと思います。
本日は、本総会終了後に医学会を開催いたし ます。
特別講演には、最近注目を集めております万 能細胞につきまして、大阪大学大学院医学系研 究科消化器外科学教授森正樹先生から「万能 細胞の臨床展開―がん研究における最新の知見 ―」と題してご講演いただき、次に「日本の家 族」をテーマに福岡市総合図書館長の植木とみ 子先生からご講演をいただいた後、女優として ご活躍中の檀ふみ氏の総合司会による対談を企 画しております。
少子・高齢、核家族化など、社会の基本とな る家族環境も大きく変化してまいりました今 日、こちらも大変興味深い対談になるかと存じ ます。
明日、11 月1 日日曜日は福岡市内および近 郊におきまして、8 つの分科会、9 つの記念行 事が開催されます。分科会にて生涯学習を研鑽 されるもよし、記念行事に参加され、青空のも と体力を確認されるもよし、福岡の晩秋を満喫 していただければと存じます。
最後に会員の皆様の更なるご活躍とご健勝を 祈念いたしまして、ご挨拶といたします。
来賓祝辞
唐澤祥人日本医師会長
第109 回九州医師会連合会総会が麻生福岡 県知事、吉田福岡市長さまはじめ多数のご来賓 ご臨席の下にこのように盛大に開催されるにあ たり、日本医師会を代表して一言お祝いのご挨 拶を申し上げます。
わが国の国民皆保険制度は全ての国民に対 し、いかなる医療をも普遍平等に提供すること を可能にした保障制度であります。世界に冠た るわが国の公共財として国民福祉の原点である と考えており、本制度こそが国民一人ひとりの 生命や健康にとって安全、安心と信頼の社会シ ステムの根幹を担っていると言っても過言では ありません。この国民皆保険制度と地域医療提 供体制とによって支えられてきたわが国の社会 保障制度を恒久的に堅持していくと共に、より 一層充実させていくことは地域の医師会をはじ めとした医療関係者のご努力なしには不可能で あり、全ての医師会に課せられた社会的責務で あると認識しております。そのため日本医師会 と致しましては、今後とも国民の健康と福祉の 向上のため、国民にとって真に必要な医療政策 の提言とその実現に向けた施策に積極的に取り 組んで参る所存であります。
民主党政権誕生に対して、その政策を是とす るものの、個々の政策において是々非々で臨む 決意をしております。是は是、非は非として積 極的に取り組んで参ります。九州医師会連合会 の先生方におかれましては、一層のご理解ご協力を賜りますよう切にお願い申し上げます。さ て、九州医師会連合会におかれましては、毎年 総会が開催され、地域の実情を踏まえ医療に関 わる種々の問題について熱心に検討されてこら れました。その長い歴史と共に、確かな実績と 着実な成果をあげられていることは大きく評価 されるものであります。また、本日から開催さ れます九州医師会医学会は今回で109 回を数え 歴史と伝統ある医学会であります。本医学会を 生涯教育の場として会員の皆様が各分科会の参 加等を通じて研鑽を積まれますことは地域医療 の充実発展に多大な貢献をもたらすものと確信 しております。今回の連合会総会・医学会並び に各分科会が一層実り多いものとなりますこと をご期待申し上げますと共に各種記念行事を通 じて会員の皆様が大いに親睦を深められますこ とを併せて祈念申し上げます。
続いて引き続き、麻生福岡県知事、吉田福岡 市長よりそれぞれ来賓祝辞が述べられた。
宣言・決議
慣例により議長に横倉九州医師会連合会長が 選任され、横倉議長進行のもと、宣言・決議 （案）について協議が行われ、異議なく原案ど おり承認された。
なお、宣言・決議の送付先等については担当 県に一任された。
次回開催当番県医師会長挨拶
次回担当県である鹿児島県医師会の米盛会長 より、来たる平成22 年11 月13 日（土）、14 日 （日）、鹿児島市の城山観光ホテルをメイン会場 として開催するにあたり、多くの先生方のご参 加を賜りたい旨の挨拶があった。
宣 言
我が国では、永年にわたる医療費抑制政策に より、本来目指すべき社会保障の充実が等閑 （なおざり）となり、国民医療は綻びを生じ、 崩壊の一途を辿っている。
このような医療崩壊の危機的状況であって も、我々医師の使命は、国民の生命と健康を守 ることである。
国民が等しく安心してよい医療が受けられる 医療制度を構築し、すみやかに医療再生をはか るため一致団結して努力するとともに、いかな る状況の下でも、国民の生命と健康を守ること に最善をつくすことを、我々九州医師会連合会 の総意として、ここに宣言する。
平成21 年10 月31 日
第109 回九州医師会連合会総会
決 議
我々九州医師会連合は、政府に対し、次の事項 を強く要求する。
一、国民皆保険制度の堅持
一、社会保障の充実と質の高い医療・介護の ための財源確保
一、社会保障費削減政策の完全な撤回と、診 療報酬上基本診療料の大幅増額
一、医業税制の確立と控除対象外消費税の 解消
一、勤務医、女性医師の就業環境の改善、 整備
一、医師不足、偏在の解消
一、准看護師養成制度の堅持と助成の拡充並 びに三層構造の堅持
一、医療安全の確立と医療の不確実性の国 民への周知以上、決議する。
平成21 年10 月31 日
第109 回九州医師会連合会総会
第109 回九州医師会医学会
特別講演
万能細胞の臨床展開
－癌研究における最新の知見－
大阪大学大学院医学系研究科
消化器外科学教授 森 正樹
万能細胞を使った研究と現在の動向そして癌 との関わりについて講演が行われた。
基調講演
身の上相談に見る日本の家族～百年の変遷
福岡市総合図書館長 植木とみ子
現代の家庭を新聞紙上での身の上相談を例に あげ、百年前と同じような相談が多く、制度は 変わっても人の心はなかなか変わらないもので あることを過去と現在を結びつけながら講演さ れた。
基調講演の後、「日本の家族」について対談 が行われた。
家族の中でお互いが尊敬し、それぞれの立場 を理解しあい、思いやる事が大事であることと、 コミュニケーションの大切について語られた。
対談者
- 檀 ふみ（総合司会）
- 植木とみ子（基調講演講師）
- 家守千鶴子（福岡県医師会理事）
- 森 正樹（特別ゲスト）
印象記
常任理事 幸地 賢治
九州医師会連合会臨時委員総会での横倉会長の挨拶は、やはり政権交代と新型インフルエンザ が話題の中心であった。民主党政権下でも国民の側に立った医療を推進して行きたいと述べた。翌 日唐澤会長の講演を聴かせて頂いた。医療の現状が厳しい時期である事は十分に理解できたが、民 主党との関係など具体的な動きは見えてこない。いずれも政権交代というまだ経験した事のない 事態にどう対応して良いかが見えず、具体的な行動がとれない苛立たしさと戸惑いが感じられた。
特別講演は大阪大学消化器外科教授・森正樹先生の万能細胞（幹細胞）に関するご講演であっ た。癌細胞にも幹細胞があって、放射線治療や制癌剤が効きにくく、時に休眠状態となり十数年 二十年もしてから癌細胞として働き出す事があると述べられた。癌幹細胞が制御出来ないと癌は 治せないと言う事になるらしい。
最後に壇ふみさん司会による対談「日本の家族」があった。時間がなくて聞けなかったが、前 日の懇親会に参加しておられたので、ネームプレートの裏側にサインをして頂いた。距離は50 セ ンチ位まで接近して、まじまじと観察してしまいました。とても笑顔の柔和な日本風の美人であ りました。これで、すっかり理事という役得を感じてしまった自分が、とてもいじましい。