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第121 回日本医師会臨時代議員会

常任理事 安里 哲好

平成21 年10 月25 日(日)、日本医師会館に おいて標記代議員会が開催されたので、その概 要を報告する。

定刻になり、石川議長から開会、挨拶が述べ られた後、受付された出席代議員の確認が行わ れ、定数354 名中、出席349 名、欠席5 名で過 半数以上の出席により、会の成立が確認され た。その後引き続き、石川議長より議事録署名 人として、松田尚武代議員(福井県)、高杉敬 久代議員(広島県)が指名され、議事が進行さ れた。

唐澤会長 所信表明

唐澤会長の所信表明で概ね以下のことを述べ られた。

本年9 月、国民の意思による政権交代が実現 し、新政権が発足した。そして、鳩山首相は、 「これからは、経済に加えて、環境、平和、文 化などによって国際社会に貢献し、国際社会か ら信頼される国を作っていかなければならな い。日本が果たせる役割は小さくない」とし、 「日本に暮らすすべての人々が、誇りをもって 生活を送れる、新しい国家の形を提言していき たい」と強い意欲を示している。

日本では、行き過ぎた市場原理主義によって 格差が拡大し、医療崩壊ともあいまって、国民 は大きな不安に怯えている。しかし、新政権 は、この苦難を乗り越えて、「友愛の社会」を 実現しようとしている。そして、さらに、国際 平和、低炭素社会に向けた貢献も果たそうとし ている。

ひるがえって、日医はどうか。私は本日、ま ず、これまでの反省から始めなければならない。

日医は、自主独立の専門職種からなる学術団 体である。医道の高揚に努め、国民にとって最 善の医療を目指して、政策提言を行ってきた。 そして、政府与党である自民党の厚生労働関係 議員に働きかけ、国民が安心できる医療、国民 の幸せを支える医療の実現を目指してきた。さ らに、過去の絆から、先の総選挙においても、政策実現のためのアプローチを変更するには到 らなかった。

しかし、現実には、総選挙で政権が交代し た。新内閣は、総選挙での勝利の要因のひとつ として、「政治へのやりきれない不信感、従来 型の政治・行政の機能不全への失望とそれに対 する強い怒り」を挙げている。私は、この言葉 をそのまま、重大に受け止めている。

日医は、これまで、政権与党としての自民党 を支持し、提言をしてきた。しかし、二大政党 を中心に、しのぎを削る中で、医療の現場を預 かる医療提供者として、国民が安心できる医療 を目指しているからには、自民党だけではな く、他の政党の多様な価値観を認める包容力が 欠けていたことは否めない。

あらためて、今こそ、国民の思いをより強く 受け止め、国民の側に立って、「国民の生命と 健康を守る」という原点に立ち返り、活動して いく所存でいる。

10 月20 日、厚生労働省から、全国民の中で の低所得者の割合を示す「相対的貧困率」が公 表された。資料によると、2007 年の調査で 15.7 %という高い数値が示されている。

また、日本の完全失業率は5 %を超えて推移 し、深刻化している。その結果、経済的困窮や 窓ロ負担の重さのため、受診を控えるケースが 増えているのではないかと推察される。

日医は、国民が経済的負担を心配することな く、いつでも医療機関にかかれる社会を取り戻 さなければならない。そのために新政権に訴え たいことは次の2 点である。

第一に、外来患者一部負担割合を引き下げる こと。特に、子育ての心配をなくし、少子化対 策を支援するため、0 歳から義務教育就学期間 中の子どもの外来医療費は無料化すること。そ して、義務教育修了後の現役世代については、 現在の3 割負担を2 割負担に引き下げ、70 歳以 上は一律1 割負担にすること。

第二に、診療報酬の大幅かつ全体的な引き上 げである。産科・小児科・救急医療の充実、病 院勤務医の先生方の過重労働緩和を最優先課題 としたい。

国民にとって、切れ目のない医療を受けられ ることこそが安心につながる。そのためにも、 退院後の受け皿、在宅医療、診療所への通院な ど、身近な医療機関が健全に存続していかなけ ればならない。

新政権は、社会保障費削減の撤回、医療費の 増加を掲げており、日本の医療、特に地域医療 にとって一筋の光が差し込むという期待が感じ られる。われわれ日本医師会としても、国民の 思いに寄り添い、国民の生命と健康を守る責任 をまっとうする決意をいっそう強くした。

そして、「医の本道」に立ち、正しい方向性 を持って、あらためて医療現場の問題を整理 し、国民生活を支えるためのあるべき医療につ いて、現場の担当者として提言していきたい。

本日は、各代議員から執行部に大変有意義な ご質問をいただている。議長先生の議事進行に 従い、縷々ご説明させていただきたい。本日上 程している6 項目の議案について、何卒、慎重 ご審議のうえ、ご承認賜りますようお願い申し 上げ、挨拶とする。

会務報告、代表・個人質問

唐澤会長の所信表明に引き続き、竹嶋副会長 から平成21 年4 月から現在までの会務報告が 行われた後、各ブロックからの代表・個人質 問、会長の所信表明、会務報告に対する質問が 行われた。

執行部に対する各ブロックからの質問は、代 表7 題、個人14 題であった。その中で「政権 交代における日医の対応と執行部の責任」につ いて、「中医協委員選出」について、「医師不 足、偏在問題」「勤務医から代議員選出」等は ブロック及びフロアーからの関連質問として複 数の質問が挙がった。

主な質問及び回答は以下のとおり。

○新政権への対応と執行部の責任について

民主党を中心とする新政権下で日医が発言の 場を得るのは難しく日医の医療政策への影響力 が著しく損なわれることになる。日医を救う道 は現執行部が総辞職することであり、会長の英 断を望むとの質問に対し、唐澤会長は、世界の 先進国で、2 大政党なる政党がある国で、政権 交代が行われて医師会の執行部が全員退陣したという国はどこにあるのか。正々堂々と日医は エビデンスに基づいた医療政策を提言し、しか も国民の思いに沿った医療政策を掲げてこれか らも戦っていくと答えた。

また、唐澤会長が日医連委員長として8 月の 衆議院選挙を総括する中で、「政権交代を予測 していなかった」としたことを取り上げ、退陣 を迫られた事に対しては、日医連が政治の方向 性を予測する責務があることを認める一方、 「エビデンスがなかった」とし、日医連として 方向性を出すまでに至らなかったことに理解を 求めた。その上で「医師会活動は、聴診器を持 って患者の診療に当たるのと同様、自分にとっ て医の本道である」と強調。「医の本道をどこ まで歩めるか。とても到達していないが、私は 私の道を進みたい」とし、「同意してもらえれ ば、誠心誠意、身命を賭して日医のために頑張 る覚悟でいる」と述べた。

政策提言についての質問に関しては、現実問 題として、新政権と充分なパイプがないことは 否めない。是非先生方のご協力をお願いした い。今あらためて振り返ると、現場の医師、国 民、患者の思いを、必ずしも十分に受け止める ことができていなかった。その結果、政策の発 信が限定的なものになったことを反省したい。 その上で、あらためて国民の医療を守るため、 その責任を果たす決意を一層強くしている。

新政権に対する提言については、日医が揺ら ぐことのない政策を持ち続けること、それを明 文化すること、そして国民や政界に共有しても らうことが肝要。そのために、これまでの「グ ランドデザイン」を進化させ、新政権に理解を いただくための「日本医師会の提言」を取りま とめていると述べた。

○中医協委員選出について

中医協委員に日医執行部から選出されないの ではないかという問題について、中川常任理事 は、「露骨な日医外しだ」と激しく抗議し、ま た厚生労働大臣が一方的に任命することは、 「医師・歯科医師・薬剤師を代表する委員」と 規定する社会保険医療協議会法に明らか反する ものであり、今回の中医協人事は明らかに報復 人事とし、代議員に「政権に屈服することなく、一致して頑張ろう」と呼び掛けた。

また、竹嶋副会長は、厚労省は明日(26 日) にも中医協委員を発表する予定であり、その上 で中医協委員が発表されれば、きちんとした声 明を出す準備をしていると述べた。

同問題に関しては、会場の代議員から、中医 協委員を誰が務めようが日医として診療報酬改 定の議論にかかわり、2010 年度診療報酬改定 のプラス改定を勝ち取るよう徹底的に主張して いくべきとの意見があった。

○医師養成・適正配置について

医師不足、偏在の解決には一定の規制も必要 ではないかとの質問に、竹嶋副会長は、各方面 から自由開業制・自由標榜制の見直しに対する 意見が出されていることは承知している。しか し、それは、現在の医師の不足・偏在問題が深 刻であるがゆえと考えており、やはり、医師の 不足・偏在問題の根本的な解決策は、これまで もずっと主張してきたが、医療費の大幅な引き 上げによる地域医療の再生、底上げ、全体を上 げていくということを日本医師会としても訴え ていると述べた。

また、岩砂副会長は、日本医師会は、医師数 増加に向けて、医師の偏在を解消しつつ、医師 数を1.1 〜 1.2 倍にすることが妥当と考える。 そのためには、1)財源の確保2)一貫した教育制 度の確立の下での医師の質の確保・向上B医師 養成数の継続的な見直し―が必要。民主党マニ ュフェストでは、OECD 平均の人ロ当たり医 師数を目指し医師養成数を1.5 倍にするとして いる。日医は医師養成数を1.5 倍にすることに 賛成だが、仮に現時点で医師養成数を1.5 倍に したとしても、1.1 倍になるのは6 年後、1.2 倍 になるのには12 年もかかる。併せて医師養成 数は環境変化を踏まえて継続的な見直しが必要 だと考えている。

医師不足・偏在問題の本質的な要因が1983 年の医療費亡国論に端を発する医師数の制限・ 削減と、医療費抑制政策にあることは言うまで もない。OECD 加盟諸国と比べて、わが国の 対GDP 比医療費が低く、人口当たりの医師数 も最も低いレベルであることは周知の通りだ。 医師不足・偏在問題を根本的に解決し、地域医療を崩壊から救うためには、医療費の大幅引き 上げと医師数の増員が不可欠である。

自由開業医制は、医師のプロフェッションと しての規範、プロフェッショナル・オートノミ ーや、初期診療と専門医への紹介の実践を含む 生涯教育とともに、医療のフリーアクセスと表 裏一体の関係にある。疾病の早期発見・早期治 療をはじめ、わが国の優れた医療成績を守るた めには、医療のフリーアクセスの堅持は必要不 可欠だと述べた。

○医師会改革のための勤務医の代議員増につ いて

会員の半分は勤務医でありながら、勤務医の 代議員は1 割弱であり、勤務医の意見を反映す る体制であるとは言えない。また、若手医師の 意見も届いていないとして、代議員の勤務医枠 設定を求める質問に対し、宝住副会長は、勤務 医をめぐる厳しい労働環境を考えると、勤務医 が積極的に医師会活動にかかわることが困難な のが実情だと思うが、全国の医師会で勤務医が 医師会活動に参画しやすい環境を整えることが 必要と考えている。現在、会内に「医師の団結 を目指す委員会」を設置し、若い世代の医師や 勤務医を取り込んで、全員参加の医師会にして いくための方策を検討してもらっているところ である。

勤務医の代議員枠設定の問題については、こ れまでも代議員会で質問をいただいているが、 日医は開業・勤務の別、診療科や所属機関の属 性の違いを越えたすべての医師を代表する団体 であり、属性に応じた人数枠といったものを設 けず、現行の選挙によって代議員を選出するこ とが公平な方法であると認識している。

しかし、勤務医の置かれている状況を考える と、全国の勤務医部会活動のさらなる推進を図 っていただくとともに、各地域の実情に応じた 個別・具体的な取り組みを通じて、勤務医の意 見が反映されるように活動の場を広げていただ くことで、勤務医の先生方が医師会活動に参画 しやすくなり、その実績を基に地域の医師会の 代議員、さらには日医代議員として活躍してい ただくということが、基本になるのではないか と考えている。代議員の選出は、都道府県医師 会に委託しているので、多くの勤務医を代議員 に選出されますよう各都道府県でご配慮いただ きたい。

また、代議員の勤務医枠等の問題は、今後、 会内の「定款・諸規程改定検討委員会」で検討 していきたいと述べた。

当日は、その他に「健康保険制度の一元化」 「地方厚生局の指導監督について」「看護職員の 養成について」等の質問があった。

議 事

議事については、下記の6 議案が提示された。

第1 号議案から第4 号議案まで一括上程さ れ、宝住副会長よりそれぞれ提案理由の説明が 行われた。

なお、議事進行の都合により第1 号議案から 第4 号議案までは決算委員会を設置して当委員 会に一括審議を付託することが提案され、賛成 多数で承認された後、決算委員15 名が議長指 名され、別室にて審議が行われた。

その後、決算委員会の井上雄元委員長から委 員会審議結果報告を受け、表決を行ったところ 賛成起立多数で原案通り承認された。

第1 号議案平成20 年度日本医師会一般会計 決算の件

第2 号議案平成20 年度医賠責特約保険事業 特別会計決算の件

第3 号議案平成20 年度治験促進センター事 業特別会計決算の件

第4 号議案平成20 年度医師再就業支援事業 特別会計決算の件

引き続き、第5 号議案と第6 号議案が一括上 程され、宝住副会長よりそれぞれ提案理由の説 明が行われた。決算と同様予算委員会を設置し て当委員会に一括審議を付託することが提案さ れ、予算委員25 名が議長指名され、別室にて 審議が行われた。

その後、予算委員会の蒔本恭委員長から委員 会審議結果報告を受け、表決を行ったところ賛 成起立多数で原案通り承認された。

議事内容は下記のとおり。

第5 号議案日本医師会会費賦課徴収規定一部 改正の件

収支が厳しい状況である。改善策の一環とし て会費賦課徴収規定の一部改正について提案し たい。

1)会費減免高齢会員の年齢引き上げ(80 歳→ 83 歳)。

・平成22 年3 月31 日現在、従前の会費減免 の年齢基準を満たしている者は従前の規定 による。

・日医への財政効果は年6,000 万円強の増収 で、3 年後は約2 億円の増額となる。

・施行期日は平成22 年4 月1 日とする。

2)出産育児減免を設ける。(女性会員・育児休 業取得・未取得を問わない)

・対象期間は、出産した日の属する年度の翌 年度1 年間。

・会費収入への影響は、対象者である39 歳 以下の女性会員5,470 名がすべて申請した 場合、通算減免額は約1 億5,570 万円と見 込んでいる。

・施行期日は平成22 年4 月1 日以降の出産 を対象。

第6 号議案日本医師会会費賦課徴収の件

日医医賠責保険料は日医会費と一緒に徴収しているため、保険料の引き下げに伴い日医A 会 員の会費を引き下げる提案である。

 ・引き下げ額 年間 A 1)会員 4,000 円、 A 2)(B)・A 2)(C) 1,000 円

 ・施行期日は平成22 年4 月1 日とする。

議長提案 財務委員会の設置について

「財務委員会の設置について」議長から提案 があり、委員会設置の趣旨について今村常任理 事から説明が行われた。

従来、予算・決算の審議については、代議員 会にて予算・決算委員会を設置し審査を付託し てきたが、審議時間が充分でないこと、本会議 と委員会が同時進行のため、委員が本会議の議 論に参加できないことなどが問題となっていた。

また、新公益法人制度移行後は、定款変更案 において、予算は理事会の承認事項かつ代議員 の報告事項とする内容が示されており、予算へ の代議員会の関わり方が希薄になる。

よって、予算・決算委員会を統合して新たに 「財務委員会」とし、代議員会閉会中でも財務 に係る審査を適宜行われるようにする。なお、 任期は代議員の任期とする。

説明の後、特に異議なく委員会の設置と議長 指名で15 人の委員について承認された。

(九州ブロック:松永啓介(佐賀)、松田峻 一良(福岡))

印象記

安里哲好

常任理事 安里 哲好

代議員354 名中349(98.6 %)の出席のもと、臨時代議員会が進められた。出席率はいつもこ の様に高いのか、今回の政権交代後の日医の姿勢や唐澤会長は次期会長への立候補を表明するの か、立候補する際の衆議院選挙の総括と医療政策実現のための新民主党政権との折衝・交流をど の様に展開していくのかの考え方を聞きたいと思い出席したのか。

議事は一般会計決算をはじめ他3 事業の会計決算であった。平成21 年3 月現在の日本医師会の 資産は268.6 憶円(現金21.4 憶円、積立金88.3 憶円、土地建物等・その他の固定資産158.7 憶円)、負債は18.6 憶円(流動負債5.6 憶円、退職引当金等の固定負債12.9 憶円)、純資産は249.9 憶円である。一般会計以外の3 事業(医賠責特約保険事業特別会計8.8 憶円、治験促進センター 事業特別会計14.3 億円、医師再就職支援事業特別会計1.6 億円)は補助事業で年度内の事業費の 執行が行われているようだ。実質的な事業は一般会計で表され、平成20 年度の収入は153.6 億円、 収支は155.6 億円で、年間1.9 憶円の減であった。詳細は報告書を参照いただきたい。

代表質問は7 題、個人質問は14 題あり、その中身を見ると、今後の日医の在り方や政権交代後 の日医の対応について等が7 題、健康保険制度・診療報酬改定が5 題、医師不足・医師の偏在等 が3 題、集団的個別指導2 題、その他、公益法人化、看護職員の養成、医療安全調査委員会設置 法案(仮称)の法制化の可能性、介護認定については各々1 題であった。

中医協委員選出についての質問があったが、そこでは中医協の新メンバーについての明確な説 明はなかった(10 月25 日)。一方、10 月27 日(火)の新聞に中医協の人事について、これまで 3 人いた日本医師会の執行部メンバーが外され、代わり、京都府医師会副会長と茨城県医師会理 事の2 人と山形大学医学部長1 人が入っていて、日医の推薦も受けていず、かつ前もって、日医 への相談も無いようである。新聞報道によれば、10 月26 日午後5 時の時点でも、人事について日 医側に示していないようだ。言うなれば、日医執行部は中医協の人事については、国民と同時に 知ったとも言えよう。かような状況下で、新政権に期待し、日医の提言が医療政策としてどの様 に進められて行くものだろうかと危惧している。

唐澤会長は、「医の本道」の求心はいまだ半ばで、正しい方向性を持って国民生活を支えるため のあるべき医療を進めるために、次期も望みたいと立候補の意志を述べていた。自民党だけでな く、他の政党の多様な価値観を認める包容力に欠けていたと反省し、新政権に医療政策を提言し、 かつ、外来患者一部負担割合を引き下げる事と、診療報酬の大幅かつ全体的な引き上げを訴えて 行きたいと所信表明をなされていたが、今後、新政権の民主党を支持すると言う発言は聞き取れ なかった。

一方、新政権の立役者の一人である茨城県医師会長原中勝征氏は次期日医医師会会長に立候補 すると述べていた。会長が変わる度、全執行部が変わり、初めからの出直しは、日医にとって大 きな損失であるとの意見もあり、また、自主独立の専門職種からなる学術団体である日本医師会 は政治の場から距離を置くのも一つの考えであると言う意見の代議員も居たが、その事は可能だ ろうか。日本医師会としての組織の脆弱、組織の瓦壊は一番懸念するところだ。

医師会長が変わる度、執行部が変わり、基本的な考えが変わり、予算編成が修正され、始めか らの出直しになると、大変なエネルギー浪費に成ると同時に、精神的な痛手を癒すのと融和の回 復に時間を要する。一方、政権交代の度に、会長が変わり、同じ事を繰り返すのも大変なことで あり、我々医師会の本来の趣旨から逸脱する。多くの会員の英知を結集し、この難局を乗り越え ていきたいものだ。我々の本来の仕事は国民・県民・地域住民の健康と生命を守ることであり、 今一度原点に戻り、地域において保健・医療活動に専念し、それを通じて医療の在り方を国民と 新政権に問いたいものだ。

台風にも右往左往された一日であった。これまで、一度も沖縄の地理的条件に不便を感じた事 はなかったが、台風だけは別の様な気がする。宮城会長は頻繁なる県外出張にも関わらず、台風 にて一度もスケジュールの支障をきたしたことがないとのこと。小生は東京に来る度に傘を購入 しており、この度は無事帰れるかと心配していた。帰路は、各人の多くが別々だったが、後日、 無事予定通り帰沖できたことを単純に喜び合った。

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