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九州医師会連合会平成21年度 第1回各種協議会

去る9 月26 日(土)、ホテル日航福岡において開催された標記協議会(医 療保険対策協議会、介護保険対策協議会、地域医療対策協議会)について、 以下のとおり報告する。

1.医療保険対策協議会

理事 平安 明

挨 拶

○福岡県医師会 池田副会長

本日の医療保険協議会は大きくわけるとレセ プトオンラインの件、個別指導の件、医療保険 に対する改善点・要望となっている。

私はこの協議会を日医の意見を聴くだけでは なく、我々の生の声を日医へ届けることが大切 であると考えているので、出来るだけ議論を深 めていただきたい。

○日医・藤原常任理事

政権が交代し、自民党政権ではある程度先が 読める部分もあったが、日医としてもまだ方向 性が見えないところである。中医協についても、 民主党の方向性がもう少しすると見えてくるの ではないか。このような中、本日は白紙の状況 でお話するところもあると思うが、しっかり九 州ブロックの意見を聞きたいと思う。これから 良くも悪くも改定が始まる。私が中医協委員と して引続き残れるかどうかは分からないが、 我々としては粛々と業務を進めて参りたい。

協 議

(1)レセプトオンライン請求について (鹿児島県)

平成21 年5 月29 日付で日本医師会から、レ セプトオンライン請求完全義務化への「対応指 針」が示された。本会でもこれに基づき、義務 化スケジュール期限に関わらず「当分の間」本 指針に従うよう会員への指導を行っているとこ ろではあるが、具体的に助成内容、例外措置に ついて示されない限り、会員の不安は払拭でき ない。

また、特に診療所の会員から、オンラインシ ステム導入にあたって、初動の段階からのアド バイスを求められるケースがよくあり、本会で は医師協同組合を通じてORCA 業者等を斡旋 して対応しているところである。

各県の現況と会員への対応についてご教示い ただきたい。

また、オンライン請求への対応への困難なため に廃業を考えておられる会員への対応につい て、日医への相談状況、また補正予算による助 成の見通しについてご教示いただきたい。

今回の通知と相前後して事前でオンライン化 した医療機関もあり、公平性を保つためにも補 正予算の助成対象範囲の拡大を国に求めていた だきたい。

(2)レセプトオンライン請求に伴う代行送 信について、各県医師会の対応について お伺いしたい。(大分県)

2010 年4 月からレセコンを導入している医 療機関については、レセプトオンライン請求が 義務化される見通しとなっている。2009 年4 月の400 床以下病院に対する国の対応を見てい ると、決して楽観はできない状況と思われる が、各医療機関で電子化されたレセプトデータ を医師会として取りまとめてオンライン送信 (代行送信)することについて、各県で検討さ れているかどうかお伺いしたい。大分県では、 郡市医師会単位で代行送信が可能となるように 検討中である。

(3)レセプトオンライン請求義務化について (熊本県)

日医は「レセプトオンライン請求完全義務化 への対応指針」を去る5 月29 日発出しました が、県医師会でもその主旨に沿って郡市医師会 及び会員へ積極的に広報しているところです。 しかし、義務化への期限が迫るなか、会員への 漠然とした不安や混乱もみられ、日医の対応に 不満の声もある。

熊本県では「代行入力」は別問題として、県 と各郡市医師会間にIP − VPN を構築。会員は 電子媒体のレセプトを郡市医師会から県医師会 へ送信し、それを審査支払機関へ「代行送信」 することで会員の負担軽減を検討している。

各県医師会には「代行入力」、「代行送信」や 400 床未満のオンライン請求未届け医療機関に 対する「状況届」への対応についてご意見を伺 いたい。また、この問題の「最新情報」につい て日医の見解をご教示願いたい。

(4)代行入力について(福岡県)

レセプトオンライン義務化スケジュールによ ると、本県では、来年3 月末までにおよそ 2,700 件のレセコン使用医療機関が期限を迎え ることになる。日医では、対応指針を示されと ころであるが混乱が予想される。この間に、レ セ電に移行出来ない医療機関には、更なる例外 規定や助成が示されない限り、代行入力が必須 となる。

支払基金が代行入力機関として挙げられてい るが、早急な納得いく内容での決定が望まれ る。各県の代行入力に関する現状及び日医の見 解をお伺いしたい。

(5)レセプトデータの電子化に伴う保険審 査について(大分県)

2010 年4 月にオンラインレセプト請求が殆 どの医療機関に対し義務化されるのに伴い、請 求項目を医療機関間で突合することが容易にな ると思われる。

前回改定の際に問題となった「主病は一つ」ルールが現実のものとして復活する可能性はな いか、中医協における動きなどあれば日医の情 報を伺いしたい。

上記の5 題については一括協議された。

<各県の回答状況>

レセプトオンライン請求完全義務化について は、各県とも日医の「対応指針」に沿って対応 しているが、会員の多くは例外措置、補正予算 の助成対象等がなかなか示されないことに対 し、不安を抱いている状況である。

オンラインシステム導入の相談については ORCA を斡旋するところや、個々の状況に応 じて対応しているところなど各県で対応はマチ マチである。

代行送信については、長崎県と熊本県が県医 師会で実施予定のほか、大分県では郡市医師会 単位での代行送信を検討中、福岡県では3 箇所 の郡市医師会が準備中となっている。本県でも 会員からの要望があれば検討する地区があると して報告した。宮崎県は国保連合会と契約を結 び、連合会から代行送信を行っている。その他 の県では今のところ予定されていない。

代行入力については長崎県で対処することが 決定しているものの、支払基金もしくは連合会 へ委託することが現実的と考えている。その他 の各県については、その業務内容から対応は考 えていない状況である。

レセプトデータの電子化に伴う保険審査につ いては提案県の意見と同様であった。

○日医・藤原常任理事コメント

5 月29 日に竹嶋副会長名で“対応指針”の 通知文書、8 月27 日には唐澤会長名で“補正 予算”に関する通知文書を送付しているところ である。

レセプトオンライン請求義務化の阻止、また 手上げ方式に変えることはなかなか困難な状況 であり、日医ではそのようななか、最善と思わ れる方法で進めてきた。この度、新政権を担当することになった民主党のマニフェストには 「原則」と記されているが、その内容がどのよ うなものかまだ分からない。また平成21 年度 補正予算で計上されていたオンライン化支援策 の補助金291 億円についても今後のどのように なるのか不明である。

<追加意見>

◆沖縄県:選挙前に厚労省が本年4 月から対象 となる400 床未満の病院に対してオンライン勧 奨の文書を8/28 付に送付されている。この中 ではオンライン請求でないと診療報酬が支払わ れないとなっているが、事前に情報提供等はな かったのか。

また政権が混乱している中で、医療機関では 日医からの次の指針を待っている状況だと思う が、何か情報があればご教示いただきたい。

○日医・藤原常任理事コメント

平成21 年4 月からオンライン対象となって いる400 床未満の病院に対し、8/28 付に勧奨 文書が送られているのは事実である。オンライ ン開始届が未届けとなっている106 医療機関に 送付された。衆議院選挙目前にこのような文書 が流されたことに対し、日医は厚労省に厳重注 意したところである。厚労省としては「オンラ イン開始未届の医療機関に対し、あくまでも締 め切りの注意喚起の文書を流しただけであり、 淡々と事務手続きを進めただけ」との説明があ った。また、4 病協にも確認したところ「了承 している」とのことであった為、日医も了承し た。診療報酬が支払われないことに関しては、 今後もそのようなことがないよう新政権に対し 働きかけていく。

日医の方針が会員に見えないということにつ いてはお詫びしたい。しかしこれまでの方針は ある程度明確ではないかと考える。日医として は、今までの交渉を引き続き行っていく予定だ が、しかし、民主党が手上げに切り替えるのな ら、それに越したことはないと考える。レセプ トオンラインに対する民主党の考え方がまだはっきりしないところであり、もう少し時間をい ただきたい。

◆大分県:中央と地域の情勢に乖離があると感 じられる。来年の4 月からレセコン有の病院、 診療所が義務化の対象となる。今回出された8 月の通知が引っ掛かる。診療報酬の請求は医療 機関にとって根幹に関わるものであり、早く結 論を出していただきたい。

○日医・藤原常任理事コメント

22 年から義務化となるレセコン有の病院、 診療所に対する期限の猶予については、現実的 には間に合わない。“手上げ方式に”というこ とであれば今までの交渉を捨て、イチからの交 渉となる。全国各地で話を聞くと今までどおり の交渉を進めて欲しいとの声もあり、対応が難 しい。

(6)九州厚生局による個別指導について (沖縄県)

指導・監査が地方厚生局に移管し新たな年度 を迎えたが、指導内容や対象の医療機関の選定 等に何らかの変更はみられたか、各県の現在の 状況を伺いたい。また、該当患者名の通知時期 についてどの程度進捗しているのか、日医から ご教示願いたい。

当県では、これまでのところ概ね指導内容の 変更はない。九州厚生局沖縄事務所、県国保増 進課、県医師会による定例連絡会を年に3 回程 度開催しているが、その中で厚生局内での決定 事項等を情報提供してもらうことになってい る。指導内容について指導医療官は、「平準化 できるものはやるし、出来ないものも当然あ る」と、概ね現状を維持するといった趣旨の発 言があった。

対象医療機関の選定理由については、「指導大 綱による」としか示されていなかったが、今年 度の指導で「情報によるもの」に関して、指導 に至った経緯について九州厚生局沖縄事務所側 から説明があった。今後も同様に選定理由を提 示するのかどうかは不明だが、当県としては九 州厚生局沖縄事務所の対応を一応評価している。

持参カルテの件数や該当患者名の通知時期に ついては、九州をはじめ全国的に早めの通知を 行うように要望されているところだが、厚生局 の各県事務所レベルでは「全国的に検討され、 上からの指示があればその通りになると思う」 という程度の答えしか得られない。厚労省への 働きかけや現状等、日医からご教示願いたい。

(7)新規開業(開設)医療機関への指導に ついて(熊本県)

従来新規開業医療機関については、開業年度 に1 回集団指導が行われてきた。熊本県では平 成20 年4 月より毎月4 〜 5 医療機関の個別指 導が行われるようになった。指導内容は返還も 含めて、高点数医療機関の個別指導と全く同じ 方法で行われている。

熊本県医師会では、21 年4 月より新規開業 医療機関に対して指導前に協議を行っている。 各県での指導状況と対応は如何されているかお 伺いしたい。

上記の2 題については一括協議された。

<各県の回答状況>

各県とも九州厚生局の指導方法・指導内容に は大きな変更はなく、選定方法についても「指 導大綱」に基づき実施されているとのこと。

しかし新規指定医療機関に対する指導につい て、佐賀県では九州厚生局に変わった平成20 年10 月から従前より実施されている集団指導 に加えて個別指導が開始され、鹿児島県でも従 来の集団指導から個別指導に切り替えたいとの 要望があることから、各県からは厳しいところ に平準化されないか危惧されるとの意見が一様 に出された。

また担当県である福岡県より、現在、該当患 者名が指導日の前日に通知され、指導対象医療 機関では過重な負担がかかっていることから、 九州厚生局に対して「余裕をもった通知」にしていただくよう要望書を提出したとの報告があ った。

<追加意見>

◆沖縄県:各県の意見を拝見すると新規指導 等、厚生局に変わり厳しいところにシフトして いるように感じる。鹿児島県のように新規の集 団指導だけで済んでいるのなら、それに合わせ てもらうよう九州ブロックとして提案してはど うか。

◆鹿児島県:選定理由について高点数や院内・ 院外処方を分けているのか等、全く教えていた だけない。日医から要望できないか。

また、高点数になる高度医療、放射線を行っ ているところをなぜ整形に含めるのか、その辺 りについても問い合わせていただきたい。

◆大分県:新規指導の場合でも返還させられ る。厚生局に申し入れてもよいのではないか。

また、新規の先生方向けには保険診療の研修 会等を開催した方がよい。

○日医・藤原常任理事コメント

厚生局になったことで、行政側と医師会の今 までの良好な関係が崩れたとの話を聞いた。厚 労省の原前課長と話をした際、「社保事務局か ら厚生局に変わっても指導体制は変わらない」 と表向きはそう言っていたが、実際のところは 体制も強化されつつあるようである。このよう な意見が地方から上がっていることから、日医 では厚労省室長と交渉し、ご承知のとおり1 月 30 日に内かんを出させた。内かんは「これま での経緯にも十分留意しつつ、懇切丁寧な説明 に努めて調整すること」としている。行政はこ のような通知を非常に重んじるので、その後、 全国各地のトラブルは収まってきているものと 思われる。

平準化の件についてだが、該当患者名の通知 時期について厚労省と相談したところ、当初は 強行的な態度で「前日通知」を譲らず交渉が長 引いていたが、交渉の結果、「3 日前」で纏まり つつある。7 月に厚生省幹部が交代し、また今回の政権交代等により結論がまだ出せていない が、このままいくとある程度納得のいく返事が 得られると思う。

新規指導については「教育的指導に留める」 ように、また返還については「明らかな計算間 違いだけとし、診療内容に立ち入ったものは返 還しなくてもいい」ように、厚労省へ申し上げ ている。この件について厚労省のトップは、あ る程度了解しているが、末端まで行き届いてい るのかは分からない。各県でそれぞれの厚生局 に適切に伝えていただきたい。

また、個別指導に関するアンケート調査を実 施したところだが、結果については厚労省に使 われる恐れがある為に公表は出来ないのでご了 承いただきたい。

個別指導の選定について、個別指導は4 %で 実施されているが、その選定は「情報提供」を 優先し、次に「高点数」となる。高点数につい ては平均点数の1.5 倍以上を一つの目途とするよ う厚労省との交渉中である。該当患者名の通知 時期と同様、追って連絡があるものと思われる。

(8)特定疾患療養管理料の算定について (佐賀県)

特定疾患療養管理料は、その対象疾患の構成 上、慢性疾患の診療を評価する算定項目であ る。診療所の場合、月2 回を限度として225 点 /回を算定することとなっているが、現実には、 月1 回のみ受診し、長期(28 日程度)の処方 となっている患者が多い。

これは、大学病院などの慢性疾患に対する長 期処方も誘因となっていると考えられる。

計画的管理は、月1 回でも十分に行っている ため、月1 回の受診であっても、450 点を算定 できるよう改正すべきである。

中医協での検討経緯並びに日医の見解につい て、お伺いしたい。

<各県の回答状況>

各県とも概ね提案県と同様の意見。

厚労省の「主病は一つ、主治医は一人」の考え方については、是正すべきとの意見が出さ れた。

<追加意見>

◆佐賀県:制度の問題よりも長期投薬の問題で ある。

◆福岡県:以前に1 回で算定していたことがあ る。その時には月に2 回受診した患者さんから 1 回目と2 回目で料金が違うので、分けて欲し いとの要望があった。今と違って長期処方が無 い時代の話ではあるが。しかし、1 回にするこ とにより弊害も出てくるように思われる。

◆熊本県:診療科によって月1 回、2 回の考え 方は異なると思う。小児科の場合、コンプライ アンスの問題がある。

○日医・藤原常任理事コメント

「月1 回算定」の要望については、全国的に も同様な意見が多い。私も同感と言いたいとこ ろだが、以前に1 回を2 回にした経緯があるこ とから、余程の決意と根拠がないといけない。 本来なら長期処方が緩和されたときに手当する べきだったと思う。今回、外来管理加算の時間 要件が見直される方向であるが、それと併せて 「月1 回算定」について全体の総意ということな ら中医協で申し上げたい。しかしながら、実際 に1 回になった場合に「算定が出来なくなった」 等、苦情が上がらないか心配なところもある。

また、「複数疾患の場合には点数を上げてく れ」との意見についてだが、それこそ「1 つの 疾患、1 つの主治医」を押しつける恐れがある ので、よく考えて進めなければならない。

(9)有床診療所入院基本料の引き上げにつ いて(佐賀県)

有床診療所は、入院機能や訪問診療など地域 医療において重要な役割を果たしてきたが、昨 今の医療制度改革の中で、低い入院基本料、不 合理な医療区分等の設定により、無床診療所化 を余儀なくされている。

また、在院日数の短縮化、療養病床の削減・再編、介護療養病床廃止など、国は受け皿とな る施設を未整備のまま入院から在宅へと誘導し ている。

地域での療養を継続するためには新たな制度 を創るのではなく、従来の有床診療所の病床を 活用することが、地域住民の利便性、ひいては 医療費・介護費の節約にも繋がる。

有床診療所入院基本料を引き上げるととも に、複雑な病床区分や制約を設けず、急性期か ら慢性期、終末期に至る医療が自由に行える病 床として位置付けることが必要と考える。

日医の見解について、お伺いしたい。

<各県の回答状況>

各県からも提案県と同様の意見が挙げられた。

○日医・藤原常任理事コメント

有床診の入院基本料の引き上げについては従 来から言われていたが、実際には条件が整わな いため見送られてきた。しかし、有床診療所が 激減し医療の連携が上手くいかなくなったこと から、あらためて有床診の意義が見直されてい るのが現状である。厚労省も有床診の重要性を 認識し始めている。有床診に対する意見を取り 纏める為、日医では検討委員会や、都道府県医 師会担当理事連絡会を開催している。また日医 の中にワーキンググループを作ってもらった。 意見の集約は難しいが「病院と診療所の概念が 違う」や「激減したから手当てしてくれ」とい う言い方ではなかなか通らない。中医協で提案 するには根拠が必要であるので、もう少し意見 を集約したい。現状は追い風だと思うので、中 医協でも認めていただけるのでないか。

<追加意見>

◆佐賀県:

有床診療所が経営できる点数をちゃんと付け るべき。地方の中小病院についても同様であ る。その辺についても日医はしっかり検討して 欲しい。

○日医・藤原常任理事コメント

社会保障審議会の医療部会・医療保険部会 において有床診療所の意義を唱え、今の窮状を 訴えている。今回の改定の大きな柱の一つであ り、その意気込みを感じて欲しい。

(10)外来管理加算の「時間要件見直し」に ついて(沖縄県)

外来管理加算については、去る1 月に開催さ れた次期診療報酬改定の要望事項に係る協議会 において、「概ね5 分を超える時間要件の撤廃」 を次期診療報酬改定に対する最重点要望項目の 一つとして取り纏め、九州ブロックから日医へ 提出している。

日医では外来管理加算の見直しに係る影響額 が当初想定されていた額を遥かに上回り診療所 が大きな打撃を受けていることから、中医協に おいて期中改定を含め早期に見直すよう求めて いるところだと思うが、現状についてご教示い ただきたい。

<各県の回答状況>

各県からも提案県と同様の意見が挙げられた。

○日医・藤原常任理事コメント

この件については、中医協では嫌がられるく らいに主張しているが、奥が深く単純な話では ない。ご存知のとおり2008 年の診療報酬改定 の際に、診療所から病院への財源移転分400 億 円を捻出する為の一つとして外来管理加算が含 まれた。当初その影響額は240 億円とされた が、日医調査によると700 億円強、社会医療調 査においても1,172 億円の影響額となり当初の 予想額をはるかに上回っている為、期中改定を 含め早期の見直しを求めているところである。 今回、民主党のマニフェストにも「5 分要件撤 廃」が記されおり、また中医協の診療報酬検証 部会でも「今回の見直しはあまり意味がなかっ た」とのニュアンスで取り纏められており、次 期改定の際には見直されるものと考えている。

(11)診療報酬改定等について(宮崎県)

衆議院選挙結果を受けて、来年度の診療報酬 改定や中医協の今後について、現状と日医の方 針を伺いたい。

<各県の回答状況>

各県からも提案県と同様の意見が挙げられた。

大分県からは地域医療再生を実現する為の 全体的な底上げを主張して欲しいと要望が出 された。

○日医・藤原常任理事コメント

20 年度の改定時の答申の附帯意見となって いる八つの項目がある。初・再診料、入院基本 料、DPC 等、この辺が中心的なことになると 思う。その中でも初・再診料が大きなウェイト を占めるが、前回と同様、大きな圧力がかかっ ているのが病診各差の是正である。社会保障国 民会議や財政審議会の中でも、今の入院と外来 の割合を6 対4 から5 対5 にしようとする大き な動きがあり、そのようななかで次期改定に臨 むことになるが、少しぐらい診療報酬が上がっ たとしても、この流れが止められるかどうかは 非常に微妙な情勢である。中医協の中では「し っかり議論する」との雰囲気が感じられず、そ のようなところで病診の格差の是正が行われる ことに対し強く危惧している。理論武装をして キッチリ訴えていこうと考えているが、これが 一番の大きな問題であると思う。今日出された 意見についても個別に具体的なものがあるの で、それについては対応していきたいと思う。

(12)「ジェネリック医薬品希望カード」に ついて(長崎県)

協会けんぽでは、ジェネリック医薬品の使用 促進の一環として、患者のジェネリック医薬品 の希望を医師や薬剤師に伝えやすくするためと して、「ジェネリック医薬品希望カード」を作 成し、ホームページからのダウンロード及び全 国の支部窓口等で配布することとしている。本 県では、7 月現在県内4 箇所の社会保険事務所の窓口で配布しているのみだ、8 月には被保険 者への医療費通知に同封し配布予定であるとの ことである。

また、他の保険者でも同様に配布及び作成の 検討がなされており、きちんとした説明がなさ れないままこのような動きが推進されれば、窓 口での混乱は益々増加するものと思われる。

九州各県における状況及び対応方法等につい てご教示頂きたい。

<各県の回答状況>

各県でも協会けんぽや市町村国保等、各保険 者からジェネリック医薬品希望カードが配布さ れているとの報告があった。国はジェネリック の良い点ばかり伝えようとしているが、問題点 についても患者さんに対し十分説明する必要が あるとの意見が挙げられた。

<追加意見>

◆佐賀県:県はただ“安い”ことに関心を持 ち、医療費を下げることしか考えていない。実 状を示すべき。

◆鹿児島:個別指導の際に、指導官からジェネ リックを使用するようにとの話があるが、全国 的な流れか。

◆熊本県:「こういう薬があるが、どう考えて いるか」等、指導官が誘導している。裁量権に 踏み込んでいるようで若干不安に感じる。

◆佐賀県:佐賀では「ジェネリックをどれくら い使っているか」との質問があった。

◆沖縄県:指導ではそのような話は出たり出な かったり、まだ曖昧な状況。

怖いのはテレビのコマーシャルでの周知であ る。国民が当然の権利として要求してきた場合 に、リスク等の情報については医療側が示さな ければならない。現状は保険者側(支払側)に 押されているように思われるので、もう少しジ ェネリックの善し悪しについて、日医から分か り易くPR すべきではないか。

○日医・藤原常任理事コメント

後発医薬品に対する信頼性が十分でないない か、国がその使用促進を進めるのは2,200 億円 削減がベースにあったからである。また、20 年 度改定から療担規則に「後発医薬品の使用を考 慮すること」が書き込まれたのは非常に大きな ことであった。

日医が先発品・後発品について中医協で確認 したところ、担当官は「厚労省で承認したもの であり品質、有効性、安全性は同等である」 「副作用を生じた場合は医薬品副作用被害救済 基金の対象になる」と言い切っている。

先ほど指導の場において後発品に関する話が 出るとのことであったが、よく国公立に実施さ れる特定共同指導においても、後発品を使用す るように言っているようである。日医からも後 発品促進というなら、国公立から積極的に使用 すべきとの話をしている。

後発品の使用状況調査については中医協の検 証部会で調査しているところだが、医師は後発 品の使用について協力的との結果が出ている。 アンケートでは変更不可の欄に医師の署名がな いのが65.6 %となっている。薬局における対応 では「変更不可の署名が無い」「患者が先発品 を希望しない」にもかかわらず、後発品に変え ていないのが74.8 %となっており、後発品の使 用促進が進まないのは薬局にも問題がある。

医師の処方権の確保については、後発品不可 の場合は署名することで拒否出来るので、あく までも医師の判断で行うべきものである。

国の目標は「24 年度までに後発医薬品の数 量シェアを30 %以上」となっているが、療養 担当規則がこのような経済的な理由により改定 されるのは不本意であり、廃止に向けて主張し ていきたいと思う。

(13)薬価修正について(長崎県)

以前から抗てんかん薬として『エクセグラ ン』という薬があり、100mg で38.5 円の薬価 が付いている。

最近、同薬がパーキンソン病に有効であることが証明され、適応が拡大されたが、この際、 新たな薬として名称も『トレディーフ』と改め られた。しかし、何故かエクセグランの1/4 量 の25mg にも拘わらず1,085 円(100mg 換算で 4,340 円)という高薬価となっているのは納得 できない。

医療費の削減が叫ばれる中、どうしてこうい う理解しがたい事が行われるのか、決定の経緯 について日医にご教示頂きたい。

<各県の回答状況>

各県からも提案県と同様の意見が挙げられた。

○日医・藤原常任理事コメント

薬価の決め方に関わることになるが、今回、 新薬として申請されたことによるものである。 この薬は開発されたのが20 年前であり、非常 に古く、安くなっているが、新しい効能が出て きたということでこのようなことになった。新 薬の価格は、その開発並びに販売に係るコスト 等について、企業側の開発意欲をそがないよう にそれなりの算定方式があって然るべきもので あるが、今回の件については中医協でも問題提 起された。新薬の価格を決める類似薬効比較方 式、原価計算方式について薬価専門組織で現在 検討されているところであるが、その方向性は 中医協の中で今後出てくるものと思われる。

最後に、オンライン請求の中で規制改革会議 はなくなったとの話があったが、厚労省のメン バーは全然変わってない。まだ規制改革会議と 同じような動きがあることを覚えておいていた だきたい。

印象記

平安明

理事 平安 明

平成21 年9 月26 日、ホテル日航福岡において九州医師会連合会平成21 年度第1 回各種協議会 が開催された。

今回の会議は、8 月末の衆議院選における自民党の歴史的大敗、民主党への政権交代後の協議 会となったため、事前に用意した各県回答の確認や協議よりも政権交代後の中央の情勢がどのよ うになっているのかということに関心が集まりがちであったが、日医の藤原常任理事のコメント の多くは「まだ政権交代後で政策的な話し合いの場がもたれていない」「具体的なことはこれか ら」との内容であった。

事前に用意された議題は13 題であるが、(1)レセプトオンライン関係(2)九州厚生局による 指導関係(3)診療報酬関係(4)その他、にまとめて協議された。

まずレセプトオンライン関係については、民主党もまだはっきりとした方向性を示していない ため日医も現在フリーズした状態とのことである。

レセプトオンライン請求については、病院、診療所で対応の違いはあるが、そもそもオンライ ン請求が何のために必要とされているのかを考えた時に、医療機関にとってのメリットはほとん どない。元々審査支払機関や国が情報の集約化、効率化等のために導入しているものであること から、本来医療機関に負担の無いように導入すべきである。さらに、個人の医療情報がどのよう に扱われるか不明確なことからも、オンライン請求は義務化するべきでない、あるいは電子媒体による請求であれば事足りるのではないか、等々様々な意見が出された。藤原常任理事は「日医 の見解は以前と同様であり基本的には方針ははっきりしているので、現在は新政権の動きを見る しかない」とのコメントであった。

日医は早期に新政権との話し合いを持っていただき、“対応指針”の次の手を示す必要があろ う。とりあえず会員の皆様にはレセコン業者等に煽られて慌てて動くことがないように、医師会 と情報交換しながら対応していただくのがよいかと思われる。

九州厚生局の指導関連だが、社会保険事務局から厚生局に移管後、各県とも今のところ指導内 容に大きな変化はないようである。

しかし、新規開業の医療機関の指導に限ってみても、佐賀では昨年10 月から今までなかった新 規指定医療機関の個別指導が開始されており、鹿児島は集団指導のみであったものを個別指導に 変更したい旨の申出があったそうである。鹿児島は立会等の問題で見送りとなったそうだが、何 れにしても厚生局に移管後、どうやら厳しい方向で平準化されていくような印象を受けざるを得 ない。

藤原常任理事は新規開業の個別指導については「保険指導の意味合いで行うものなので返還金 は明らかな計算間違いだけにすべきで、そのことは厚労省の上の方はある程度納得していると思 う」旨述べていた。そうであれば全国的に統一した上で指導を行ってほしいが今のところ各県毎 の対応に委ねられており、ちなみに当県では算定要件を満たしていないと見なされると返還金を 命じられており、保険指導とはかけ離れたペナルティーではないかと感じている。

次期診療報酬改定については、初・再診料、入院基本料、DPC 等が主に議論されていくと思わ れるが、中医協委員の一部の任期が10 月に切れ、日医からの委員が再任されるか分からないの で、今後の中医協の状況も予測がしづらいとのことであった。

また外来管理加算の問題では藤原常任理事から「5 分要件の見直し」の期中改定が困難になっ たことが伝えられたが、民主党は5 分要件については撤廃の方針なので何れにしても次期改定で は少なくとも見直しはされるだろうとのことであった。

今回の会議では、政権交代後の民主党との具体的な話し合いがまだとのことで、日医からは様 子見的な発言が多かった。日医には早めに新政権との話し合いの場を持っていただき、必要な医 療を維持していける医療政策実現の一翼を担っていただきたい。