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RS ウイルス感染症を巡る最近の話題

沖縄県病院事業局病院企画監
安慶田 英樹

【要 約】

RS ウイルス感染症に関する教科書は、従来、次のように記載されていた。

『RS ウイルスは気道感染症の病原ウイルスである。温帯地域では冬に流行する。 ウイルスに感染し、幼若乳幼児は細気管支炎・肺炎など下気道炎を生ずる。一生を 通じて再感染を繰り返すが、再感染の度に症状は軽症化する。臨床現場では臨床診 断に頼らざるを得ない。ワクチンは未開発であり、治療は対症療法を行う。』

一方、医学医療の進歩により次のような加筆が必要になっている。

『沖縄県では3 月と7 〜 8 月にピークがみられ、本土と流行期が異なっている。高 齢者のCOPD の急性増悪、肺炎、心不全の増悪の原因となり、高齢者の死因として 注目されている。RS ウイルス迅速診断キットが開発され、臨床現場での診断が容 易になった。ヒト化抗RS ウイルスモノクローナル抗体が開発され、早産児・先天 性心臓病児などを対象に流行期の予防投与が行われ、入院率の低下などの効果が認 められた。

ここでは、RS ウイルス感染症を巡る最近の話題を紹介したい。

1 病原体

Respiratory Syncytial Virus(以下RSV と略す)は、急性呼吸器感染症を引き起こし、 培養細胞に特徴的な合胞体(syncytium)を作 ることから命名された。RNA ウイルスであり パラミクソウイルス科に属している。そのなか でニューモウイルス亜科に分類され、さらにニ ューモウイルス属に分類されている。ウイルス 表面のエンベロープにはG 蛋白とF 蛋白の主要 な抗原が発現しており、生体は二つの抗原に対 し中和抗体を産生する。RSV はG 蛋白の抗原 性の違いからA とB のサブグループに分けら れ、さらに各グループ内に複数の遺伝子亜型が 認められている。A とB および複数の遺伝子亜 型が毎年、同時に流行すること、また、異なる サブグループ・亜型に対し抗体が中和能を示さ ないことが報告されている。この遺伝子亜型 (変異)の臨床的および疫学的な意義はまだ結 論が得られていない。

パラミクソウイルス科には小児のcommon disease の病因である麻疹、ムンプスのウイル スなどが分類されている。ニューモウイルス亜 科のもう一方の属にメタニューモウイルス属が あり、2001 年発見されたヒト・メタニューモ ウイルスが分類されている。このウイルスは RSV に分類上近いだけでなく、臨床像も類似 している。ヒト・メタニューモウイルスは現 在、研究室レベルでしか検査を行えないが、今 後、臨床の場でRSV との鑑別が必要になると 考えられる。

2 疫学

温帯地域では毎年の冬に流行し、感染力が強 く、乳幼児は出生後、最初の冬に約半数の乳児が感染し、2 回目の冬までにほぼ100%が感染 を受けると報告されている。

全国規模で行われた我が国の疫学調査の最近 の報告を紹介する1)

北海道から九州まで全国8 地域の20 医療施 設で2002 年9 月から2 年間、入院・外来を問 わずRSV 感染症が疑われた3 歳未満児を対象 に調査が行われた。診断はRSV 迅速診断キッ トを用いて行われた。

その結果、RSV の流行は全国で地域間の差 が少なく、2 年とも9 月に流行の兆しが見られ、 10 月にほとんどの地域で流行が始まり、ピー クは12 月か1 月にあり3 月から4 月まで継続し たと報告している。流行時期はどの地域におい ても平均気温が低下する時期に重なっていた。 湿度の影響は認められなかった。

一方、熱帯や亜熱帯では気温の下がる雨期に 流行が見られ、赤道周辺では季節性がなく一年 中発生すると報告されている。

2002 年4 月から2004 年9 月までの3 歳未満 の入院患者を対象とした沖縄県からの報告で は、3 月と7 〜 8 月に流行のピークが認められ た2)。日本本土と流行時期が異なり、むしろ台 湾の流行との類似性が指摘された。沖縄県の RSV の流行パターンが以前からの傾向なのか、 最近始まったものか興味深いが、過去の調査デ ータが無く不明である。今後、流行の推移に注 目する必要がある。

関連する話題としてインフルエンザの夏期の 流行に関して言及したい。インフルエンザ迅速 診断キットが2001 年秋から普及した後、沖縄 県における夏期のA 型インフルエンザ流行が 2005 年以降3 年続けて報告され、注目されて いる。著者らは県衛生環境研究所との共同研究 で、92 年12 月から97 年3 月まで年間を通して インフルエンザを含めた「かぜ症候群」の原因 ウイルスの疫学調査を行った3)。その調査期間 中、B 型の散発的な発生が年によってみられた が、A 型、B 型ともインフルエンザの夏期の流 行を認めなかった。著者らは沖縄県におけるイ ンフルエンザの夏期流行は、2005 年以降出現 した事象であると推定している。地球温暖化の 影響という仮説があるが、原因は不明である。 RSV の夏季の流行との関連も興味深い。

RSV の罹患年齢は、免疫がない乳児で一回 の流行で約半数が罹患し、2 歳までにほぼ全員 が罹患するとされる。初感染時には下気道炎を 呈する頻度が高い。一方、経胎盤性の移行抗体 は一定程度の防御効果があり、生後4 〜 6 週ま での重症感染は少ない。再感染は一生を通じて 認められ、小児期には一回の流行あたり10 〜 20%に再感染が見られる。再感染を反復するに 従い、症状は軽症化する。成人の再感染率は小 児より少ない。

性比では男児が1.5 倍高い。保育園など集団 生活をおくる乳幼児は、初感染の時期が早く、 再感染の頻度も高い。通常、家庭にウイルスを 持ち込むindex case は、再感染によりRSV の 上気道炎を発症した年長の兄弟である。

潜伏期間は4 〜 6 日。ウイルス排出期間は通 常3 〜 8 日であるが、乳児や免疫抑制患者では 3 〜 4 週の長期に及ぶ。

ヒトが唯一の感染源である。感染経路と対策 は後述する。

3 発症機序

細気管支炎の病態について記述する。RSV 感染により上気道炎を生じた後、1 〜 3 日で下 気道に炎症が進展する。感染した気道上皮細胞 は傷害を受け、同時に種々のケモカインを活性 化し、様々な炎症細胞が集簇する。炎症細胞は ケミカルメディエーターを産生・放出して細胞 傷害を引き起こす。その結果、上皮細胞の壊 死・脱落、粘液の分泌亢進と気道粘膜の炎症性 浮腫を生じ、元来細い乳幼児の気管支〜細気管 支は容易に狭窄・閉塞を来たし、さらに末梢肺 組織の過膨張と虚脱を生ずる。

一方、炎症性サイトカインの動態の研究か ら、RSV 下気道炎の病初期における主要な病 態はtoll like receptor を介した自然感染免疫 であり、自然免疫応答は炎症を惹起するもの の、最終的には下気道炎からの回復や軽症化に関係すると考えられている。また、細胞障害性 T 細胞が感染細胞を攻撃し、抗体は中和作用を 示し、獲得免疫も回復と再感染防止に機能して いることが示されている。

4 臨床像

臨床像を表1 に示した。初感染の乳幼児は細 気管支炎やウイルス性肺炎などの下気道炎を呈 する。再感染を反復するに従い、病像は軽症化 する。クループや気管支炎も見られる。上気道 炎は年長児や成人に見られる。

細気管支炎の症状・経過は次の通りである。 初感染の乳児の30 〜 40%が下気道炎を呈し、 基礎疾患のない乳児の場合は1 〜 3%が入院に 至る。咳、鼻汁などの上気道症状が2 〜 3 日続 いた後、炎症が下気道、特に細気管支まで波及 すると咳が増強し、多呼吸(60 回/分以上)、 呼気性喘鳴、陥没呼吸などの努力性呼吸を呈す る。重症例ではチアノーゼを認める。通常、2 〜 7 日間、38 〜 40 ℃の発熱が続く。聴診上、 笛声音(wheeze)、水泡音、呼気延長を認め、 胸部X 線写真では、air trapping による肺過膨 張と無気肺による小斑状影、肺門から拡がる線 状・網状の間質影の増強を認める。

細気管支炎は、対症療法により1 〜 2 週で軽 快する。一方、細気管支炎で入院した乳児の5 〜 10%は人工換気療法が必要になる。

ウイルス性肺炎は、肺胞を含めより広範囲 に炎症が波及している状態であるが、細気管 支炎と病態・症状が重なっており、鑑別は困難 である。

RSV 感染症の高リスク群として、早産児、 慢性肺疾患児、血行動態に異常のある先天性心 疾患児、重症複合型免疫不全症などの免疫不全 症、臓器移植患者などが指摘されている。新生 児の肺胞数は成人の10%以下であり予備能が少 なく、早産児では肺の未熟性に加え、移行抗体 の欠如など免疫能の未熟性も危険因子になる。 先天性心臓病では心機能の低下に加え、肺高血 圧、肺うっ血、低酸素血症が存在し、RSV 感 染が重症化する。

2 ヶ月未満の乳児は時に無呼吸を生ずる。生 後6 週未満や早産児にリスクが高い。咳、鼻汁、 発熱など上気道症状を認め、酸素飽和度の低下 や周期性呼吸を示し、経過中に無呼吸を呈す る。上気道症状を認めないこともあり、乳幼児 突然死症候群との鑑別が必要なケースもある。 2 〜 3 日以内に細気管支炎、肺炎に進展するケ ースもある。治療には、人工換気療法が必要で ある。無呼吸の病態生理は充分には解明されて いない。一方、回復後に反復することはない。

中耳炎の合併も見られる。培養やP C R (Polymerase Chain Reaction)を用いた検査 によると、RSV 単独による中耳炎と肺炎球菌 など細菌との混合感染によるものが報告されて いる。

国内疫学調査の中の臨床像に関する部分を紹 介する1)。RSV 感染が疑われた3 歳未満児での 調査であり、診断名とRSV 陽性率の関係を見 ると、細気管支炎と診断されたケースでの RSV 陽性率は67.9%と高く、肺炎で33.1%、 気管支炎で32.8%、上気道炎で8.3%であった。 一方、RSV 陽性であった3 歳未満児の診断名 は、気管支炎38%、細気管支炎25.7%、肺炎 18.2%、その他16.1%、上気道炎2%と報告さ れ、3 歳未満のRSV 感染では下気道炎が多い ことが示された。

最近、RSV 感染が乳幼児に限らず、高齢者 の慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪、喘 息や慢性心不全の増悪に関与していることが報 告され、注目されている。Falsey らは入所施 設の高齢者の5 〜 10%が1 年間にRSV に罹患し、うち10 〜 20%が肺炎を合併、2 〜 5%が死 亡し、全米の65 歳以上では毎年RSV 感染によ り約1 万人(インフルエンザA の場合、同じ世 代で年間3 万7 千人前後死亡)が死亡している と報告している4)

5 診断

診断は症状、患者年齢、疫学情報、身体所 見、画像所見、検査結果などを基に総合的に判 断する。

ウイルス学的診断は従来、ウイルス分離と血 清学的診断で行われて来た。一般的にウイルス 分離は臨床現場で簡便には行えない検査であ る。とりわけ、RSV は凍結融解で死滅しやす い不安定なウイルスであり、検体採取後速やか に処理する必要があり、検査が行いにくい。血 清学的診断は補体結合反応、酵素抗体法、中和 法により行われるが、RSV の場合、臨床上の 価値は高くない。ペア血清が必要なこと、乳幼 児で抗体の上昇が見られないケースがあるこ と、年長児・成人の再感染において有意な抗体 上昇を得られない場合があることがその理由で ある。

RSV のウイルス学的診断には上記のような 制約があったが、近年、酵素抗体法や免疫クロ マト法によるRSV 抗原検出キットが発売され、 迅速診断が可能になった。標的抗原はエンベロ ープのF 蛋白である。RSV は不顕性感染と潜 伏感染がないと見なされており、急性気道感染 症の患者からウイルス抗原が検出された場合、 RSV 感染と診断可能である。検体には鼻咽頭 分泌物を用いる。

現在、RSV 迅速診断キットは、数社の製品 がある。イムノクロマト法を利用しており、反 応時間は約15 分である。保険適応は従来、3 歳未満の入院患者であったが、その他の年齢層 にもハイリスク群の患者がいることより、適応 の拡大が望まれる。

初期の製品はウイルス分離を基準としていた が、最近はPCRを基準として迅速診断キット の感度・特異度を算出している。メーカーによ る相違、鼻腔吸引液・鼻腔ぬぐい液など検体に より相違があるが、感度・特異度は75 〜 95% の範囲にある。また、リアルタイムPCR 法に よる定量的な検討では、ウイルス量が少ない病 初期は偽陰性を示すことが認められており、注 意が必要である。使用に当たり、迅速診断キッ トの特徴を理解しておく必要がある。

6 治療

治療は対症的に行う。低酸素症に対しては加 湿酸素を用い、適応があれば人工換気療法を行 う。また、脱水症を呈するため、輸液が必要に なる。

アルブテロール吸入により症状の改善が認め られた場合は、反復して吸入を行う。アルブテ ロールが無効な場合は、エピネフリン吸入を行 い、効果があれば反復する。ステロイドは効果 が認められていない。RSV 感染が喘息発作の 誘因となっている場合は、喘息の治療目的でス テロイドを用いることに支障はない。アミノフ ィリンは効果がなく副作用のリスクもあるた め、使用しない。

抗菌薬は、中耳炎など細菌感染を二次的に合 併した場合に使用する。

後述するパリビスマブは、治療上の効果を示 す明白な証拠はないため、治療には用いない。

7 予後

RSV 下気道炎で入院した乳児の死亡率は、 2%とされている。死亡例はほとんどが未熟児、 先天性心疾患、慢性肺疾患、神経筋疾患、先天 性免疫不全症の患児などのハイリスク群の患者 である。年齢にかかわらず、重症な免疫抑制状 態にある患者がRSV 肺炎に罹患した場合の死 亡率は、50%と極めて高い。

乳児期に典型的なRSV 細気管支炎を発症し た患児の3 分の1 から2 分の1 は、その後、反復 性喘鳴が認められる。Reactive Airway Disease(RAD)と呼ばれている。RSV 下気道 炎がアトピー型喘息を発症させるかについては 疑問があり、本来有しているアトピー体質をRSV 感染が顕在化させたという考え方が優勢で あるが、RAD の病態は明確ではない。一方、パ リビズマブを投与した早産児を2 年間追跡投与 した結果、投与群では繰り返す喘鳴(1 日以上 持続する喘鳴が1 年間で3 エピソード以上)が 対照群に比し半減し(13%対26%)、パリビズ マブによるRAD の防止効果が報告されている。

8 予防

【院内感染予防策】感染経路は接触感染と飛沫 感染であり、侵入門戸は鼻と眼である。RSV は環境表面で数時間、ヒトの手で30 分以上、 感染性を保持する。医療従事者の手指や、汚染 された機器などを介した接触感染が院内感染の 主要な感染経路であり、適切な感染防止対策の 実施が肝要である。標準予防策に加え、接触感 染および飛沫感染予防策を実施する。ガウン、 マスクを着用し、衛生学的手洗いを行う。場合 により、グローブや速乾性手指消毒液を用い る。患者は個室に収容するか、同室に集めコホ ート看護を行う。

【受動免疫】パリビズマブ(商品名シナジス) は遺伝子組み換え技術を利用し米国で開発され た抗RSV ヒト化モノクローナル抗体である。 RSV のエンベロープのF 蛋白に特異的に結合 し、サブグループにかかわらず感染性を中和し、 宿主細胞への接着・侵入を阻止する。98 年の報 告では、未熟児や慢性肺疾患を有するハイリス ク児に、パリビズマブをRSV 流行期に予防的 に月1 回計5 回投与した結果、入院率が10.6%から4.8%へと55%減少した等の効果が認めら れた5)。我が国では2002 年秋から使用され、海 外の報告と一致した結果が得られている。パリ ビズマブの適応を簡略化して表2 に示す6)7)。予 防投与であり、流行初期から流行期を通して月 一回筋注で投与する。疫学の項で述べたが、本 土では冬の流行期の投与で対応可能であるが、 沖縄では流行時期が異なっており流行に合わせ た県独自の対応が必要になっている。

【ワクチン】ワクチンは実用化されていない。 1960 年代、米国でホルマリン不活化ワクチン が使用された。抗体は誘導されたが、接種後の 自然感染で接種者の方が非接種者よりも疾患の 増悪が観察されたため、中止された。原因は十 分に解明されなかった。現在、弱毒生ワクチン の経鼻接種や、妊娠後期の妊婦へのFG 蛋白合 成ワクチン接種などの臨床試験が米国で行われ ている。パリビズマブは高価であり、ワクチン に比し費用対効果は良くない。安全で効果的な ワクチンの開発が期待される。

参考文献
1)青木知信、他:本邦におけるRS ウイルス感染症の疫 学。日本小児科学会誌112 : 1068-1075、2008
2)佐々木尚美、他:沖縄におけるRS ウイルスの流行状 況と臨床像。日本小児科学会誌110 : 668-673、2006
3)大野惇、安慶田英樹、古波倉正照他:沖縄県におけ る過去5 年間のインフルエンザウイルスの分離状況。 沖縄県衛生環境研究所報31 : 57-68 1997
4)Falsey AR, et al : Respiratory Syncytial Virus Infection in Elderly and High-Risk Adults. New Engl J Med 352 : 1749-1759 2005
5)The Impact-RSV Study Group : Palivizumab,a Humanized Respiratory Syncytial Virus Monoclonal Antibody, Reduces Hospitalization From Respiratory Syncytial Virus Infection in High-risk Infants.Pediatr 102 531-536 1998
6)パリビスマブの使用に関するガイドライン作成検討委 員会: RS ウイルス感染症の予防について。日本小児 科学会誌106 : 1288-1292、2002
7)中澤誠、他:先天性心疾患児におけるパリビズマブの 使用に関するガイドライン。日本小児循環器学会雑誌 21 : 60-62、2005




著 者 紹 介

安慶田英樹

沖縄県病院事業局病院企画監
安慶田 英樹

生年月日:
 1951年 8月30日

出身地:
 沖縄県 那覇市

出身大学:
 九州大学 1976年卒

略歴
 1976年 九州大学医学部卒
 1976年 九州大学医学部附属病院
 1986年 福岡市立こども病院・感染症センター
 1992年 沖縄県立那覇病院
 2006年 沖縄県立南部医療センター・こども医療センター
 2007 年沖縄県病院事業局
 現在に至る

専攻・診療領域
 小児科 小児感染症、小児総合診療

その他
 読書、Walking、Swimming




Q U E S T I O N !

問題:RS ウイルス感染症に関する記載の中で 正しいものを選択してください。

  • RSウイルスは気道感染症を惹起し、主 な感染経路は飛沫感染である。
  • 抗RS ウイルスモノクローナル抗体(シ ナジス)は、症状の有意な改善が認められ ないことから治療には使用されない。
  • RSウイルス感染症は2 歳未満で重症化す るが、その他の年齢層ではリスクがない。
  • RSウイルスの流行期は、地球規模で見 てもインフルエンザと同様に気温の低下す る冬に限定されている。
  • RSウイルスによる細気管支炎に対し、気 管支拡張作用を有するアミノフィリンは有 意な改善効果が認められている。

CORRECT ANSWER! 10月号(vol.44)の正解

1.論文:新生児脳低温療法について

問題:新生児脳低温療法について正しいものを 一つ選んでください。

  • A.出生直後であれば重症脳室内出血に有効である。
  • B.出生直後であれば髄膜炎に有効である。
  • C.超低出生体重児にも行なわれる。
  • D.直腸温を30 度以下に冷却して管理する。
  • E.2 次性神経細胞死の防止を目的とする。

正解 E.

解説

新生児脳低温療法は新生児仮死に続発する低 酸素性虚血性脳症に適応がある。

脳室内出血や髄膜炎、未熟性の強い児には行 なわない。

脳温度を34 ℃前後に保つことで2 次性脳神 経細胞死を防止する。

2.論文: CT ガイド下肺生検と肺腫瘍ラ ジオ波凝固療法

問題:間違っているのはどれか。

  • 1)CT ガイド下肺生検の合併症で最も頻度が 高いのは気胸である。
  • 2)CT ガイド下肺生検の正診率は、90 %程度 である。
  • 3)肺腫瘍ラジオ波焼却術は、高温により腫瘍 の壊死を起こさせる。
  • 4)肺腫瘍ラジオ波焼却術は、通常全身麻酔下 で行われる。

正解 4)