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第2 回地区医師会長会議

真栄田篤彦

常任理事 真栄田 篤彦

去る11 月5 日(水)、ロワジールホテル那覇 において標記会議が開催されたのでその概要に ついて報告する。

冒頭、宮城信雄会長から下記のとおり挨拶が あった。

挨 拶

沖縄県医師会長 宮城信雄

日常診療でお疲れのところ、ご出席いただき ありがとうございました。

当会長会議は各地区あるいは県医師会で問題 になっていることを取り上げて意見交換を行 い、一定方向に進めるべく開催しております。

世界ではめまぐるしく情勢が変化しており、 アメリカでは歴史上初めての黒人の大統領が圧 倒的な支持で当選しております。また、アメリ カを発端として株の大暴落が世界で起こってお ります。日本も例に漏れず一時株価が半分にな り、それと同時に円高も重なり日本の経済が危 ぶまれた時期もありましたが、現在は持ち直し つつあります。政局も1 年毎に総理大臣が替わ るという異常事態にありますし、選挙もいつに なるのか不透明な状況にあります。

このような中でわが国では、5 年間で1 兆1 千億円の社会保障費を削減する政策が断行さ れ、それにより今や医療界は非常に大きな問題 を抱えており、日本医師会はその撤廃に向けた 運動を展開しております。沖縄県でも8 月に集 会を開き、政策の見直しをするよう決議してお ります。舛添厚生労働大臣が来沖された際にも 直接決議文を手渡しております。

大臣としてもこれ以上の圧縮は無理だという ことを総理大臣に進言したようではあります が、残念ながら圧縮の撤廃はしないことを表明 しております。ただ、後期高齢者医療の問題や 年金の問題等で政府に対する批判がかなり強まっており、これを受けて年末の予算編成では手 当をするということを言っております。そのこ とについては、舛添大臣あるいは、総理大臣も 認めており、タバコ税の増税や石油税といった 道路特定財源を一般財源化して、社会保障費の 圧縮以上の予算を付けるということを言ってい ますが実際どうなるかは不透明であります。

近々選挙が行われると思いますが、基本的に 国民あるいは医師会が望むような医療政策を実 現できる国になってほしいと思います。

本日は、新会館に関することも含めて様々な 議題があがっておりますので、是非十分なご議 論をお願いしたいと思います。

議 事

1)会館建設にかかる件

1)会館建設工事進捗状況の件

真栄田常任理事から会館工事の直近の写真と 会館工事進捗状況について説明があった。

会館建設工事は幸いにも台風の影響がなく予 定どおり順調に進んでおり、会館の工事は終了 し、現在外構工事を進めている。工程会議は 39 回開催して本日を以て終了した。外構工事 は予定より遅れて11 月末までに終了する。

会館引き渡しは11 月12 日で、そして、落成 記念式典を12 月14 日に開催することで進めて いる。

1)会館の検査予定
  11 月7 日(金)→消防検査予定
  11 月10 日(月)→会館検査予定
  11 月20 日(木)→外構検査予定

2)会館の引き渡し→ 11 月12 日(水)

3)事務局の引っ越し→ 11 月21 日(金)〜 24 日(月)

4)新会館での業務開始→ 11 月25 日(火)

2)会館落成記念行事日程の件

12 月14 日(日)に開催することに決定し、 県外の先生方が当日に帰れるよう特別講演は 行わず、終了時間を早めに設定している。

3)会館パンフレットの件

式典当日配布するパンフレットの掲載内容等 について説明、同内容は医師会報へ掲載する予 定にしている。

4)会館落成新聞広告の件

式典当日(12/14)、琉球新報と沖縄タイム ス県内両紙に会館落成の広告を掲載することに しており、広告掲載のご依頼があった際はお願 いしたい。なお、取り扱いはワールド広告社が 行うことになった。

2)社会保険庁改編に伴う九州厚生局の組織 再編の件

平安理事より下記事項について、資料に基づ き説明が行われた。

  • ○社会保険庁の再編成〜地方厚生(支)局再 編について
  • ○九州厚生局再編の概要
  • ○九州厚生局の再編後の組織体制
  • ○国全体の指導監査体制
  • ○新設される指導部門の業務内容
  • ○地方厚生(支)局再編に伴う地方社会保険 医療協議会の移管について

<質疑応答>

○那覇市医師会 友寄会長

平成20 年10 月より九州厚生局へ指導業務が 移管されるということだが、集団的個別指導の 選定要件である「高点数上位8 %」及び一般的 個別指導の選定要件である「集団的個別指導終 了後、2 ヵ年後において高点数が見受けられる 上位4 %」は従来どおりか。

◆沖縄県医師会 平安理事

集団的個別指導の実施状況については九州各 県で異なっている状況である。

例えば福岡県では、高点数上位8 %で選定さ れる集団的個別指導を一度受ければ、その後5 年間については指導が免除されているようであ る。これに対して熊本県では集団的個別指導の 場において上位4 %の指導も実施される等、か なり厳しい指導状況となっている。また集団的 個別指導ではなく、講義形式の集団指導のみ実 施しているところもある。

このように各県においてかなりバラつきがある ため、現在、厚生局では各県の指導状況につい て情報収集を行い、今後の指導方法について検 討中であるが、本年度の指導については、指導 大綱に基づき従来どおり実施される予定である。

また九医連では、九医連医療保険担当理事連 絡協議会を随時開催し、九州厚生局の指導業務 に関する情報交換並びに意見交換を行う予定で ある。

○那覇市医師会 友寄会長

指導の件については、会員がかなり不満を持 っている。これ以上厳しい指導にならないよう 九州厚生局と調整していただきたい。

◆沖縄県医師会 宮城会長

指導方法は各県で異なるようである。現在、 九州厚生局は各県の状況について情報収集中で あり、今後の指導方法についてはこれから検討 されるようである。

本来指導は指導大綱に基づき実施されること から全国一律であるべきだが、実際はそのよう には行われていない。今後は指導方法が全国的 に平準化される方向になると思われるが、厳し い指導にならないよう医師会として注視してい く必要があると考える。

○中部地区医師会 安里会長

以前に地医協委員として総会に出席していた。

総会では保険医・保険医療機関の登録・指定 取消の案件等が協議され、事務局が協議の進行 シナリオをある程度決めている。地医協委員 (医科5 名)は、保険医・保険医療機関の診療、 請求内容等について適切に行われたかどうか医 療の専門的立場から判断を下し、場合よっては 取消処分案を否決してきた。今後は九州厚生局 の地医協総会において各県から選出された委員 により審議されることになるが、当該医療機関 の現状、現場の状況等について、これまでと同 じように委員に伝わるとは思えず、九州厚生局 事務局の考えるシナリオのとおり進められない か懸念される。

◆沖縄県医師会 宮城会長

これまでの各県毎に開催される地医協総会で は、たとえ事務局が取消処分案を出してきたと しても、医科委員がその判断に異議を唱えるこ とができた。例えば無診察診療は取消の対象と なるが、電話等の診療や、事前に指示を出して おけば看護師が投薬してもよいことに変わって きている。このような状況の中で、無診察診療 だから無条件に取消とするのはおかしいと問題 提起をし、採決した結果、取消案が否決された ことがある。今後は九州厚生局に地医協総会が 移管されることになる。今までどおり医科5 名 の審査員は選出されてはいるが、各県より1 名 ずつの委員構成となっている為、他県の案件に ついて慎重に審議されるかどうかが不安である。 また8 県からそれぞれ案件が上がってきた場合、 審議する件数が増えることが予想され、件数を こなすことに追われてしまい、正当な意見が言 えるのかどうかが心配される。事務局のシナリ オ通りとならないか危機感を持っている。

なお、本県より案件が上げられた場合は臨時 委員として総会に出席し、当該医療機関の状況 について説明を行うことになる。臨時委員も本 委員と同様、議決権を持っている。

○南部地区医師会 名嘉会長

ここ2 〜 3 年の間に取消案件が増えたのでは ないか。医療費抑制のためとも思える。

先ほど無診察診療が取消につながるとのお話 があったが、無診察診療のほかにも取消案件に つながるような情報があれば、会員へご教示い ただきたい。

◆沖縄県医師会 平安理事

ここ5 年間での取消事案は医科だけで2 件と なっている。

取消理由は不正請求が主である。

◆沖縄県医師会 真栄田常任理事

会員への周知については現在、「沖縄県医師 会、地区医師会、沖縄県医療安全相談センター へ寄せられた医療に対する苦情内容」に関する 冊子を作成し、施設長宛送付する準備を進めて いる。その関連資料として過去5 年間の医師に 対する行政処分の内訳と、本県における保険 医・保険医療機関の取消事案の概要(医科2件)を纏めてあるので、当該資料をご参照賜り たい。

◆沖縄県医師会 宮城会長

同冊子の関連資料に掲載されている取消事例 には、取消に当たる事項が詳細に記載されてい る。一見すると我々には納得できないことにつ いても取消に当たることがある為、各会員に対 し周知を図りたいと考えている。

九州厚生局の地方医療協議会で行われる保険 医並びに保険医療機関の取消については、今後 も注視していきたい。

3)沖縄県医師会旅費規程改正の件

真栄田常任理事より下記事項について、資料 に基づき説明が行われた。

会館建設に伴い本会が浦添市から南風原町へ 移転するため、本島内の会議旅費を改正した い。移転地が南部地域になるため、南部地区は 現在の5,000 円から4,000 円へ、中部地区は 4,000 円から5,000 円へそれぞれ改正したい。 その他の地区は現行どおりとする。原案どおり 了承され、施行は移転後(11 月25 日)に開催 される会議旅費から実施することになった。

なお、旅費規程の改廃については、理事会の 議を経て行うことになっており、第23 回理事 会(平成20 年10 月21 日開催)に於いて承認 された。

4)南部地区保健医療圏における「脳卒中」 の医療連携モデル(統一した様式の連携 パスも含め)の構築について

安里常任理事より下記事項について、資料に 基づき提案理由の説明があった。

脳卒中は予防、急性期、回復期、在宅期と切 れ目ない長期の管理を要する。各々の時期にお いて、専門的あるいは適切に対応する医療機関 が機能分化しながら医療連携をしていく地域完 結型医療の代表的疾患である。厚生労働省は平 成19 年度4 疾病5 事業ごとの医療体制の中で も、脳卒中を重点的に取り上げ、平成20 年度 より脳卒中地域連携パスの診療報酬加算をスタ ートさせている。

一方、9 月の福祉保健部・県医師会との連絡 会の中でも、南部地区保健医療圏における脳外 科領域の救急医療における医療連携の必要性に ついての提案がなされた。

また、去る9 月20 日に行われた九州医師会 連合会平成20 年度第1 回各種協議会の地域医 療対策協議会では、医療連携体制に関する協議 題が4 題あがり、九州各県の医療連携体制の現 状報告がなされた。なかでも、福岡県医師会で は福岡市医師会へ依頼し、福岡市医師会方式の 脳血管障害地域連携パスが構築された。佐賀県 では、全県下共通の脳卒中・地域連携パスを作 成し、本年4 月1 日より運用を開始していると の事である。

この様な背景を鑑み、那覇市医師会・南部地 区医師会・浦添市医師会の3 医師会を中心に、 約60 万地域である南部地区保健医療圏におけ る「脳卒中」の医療連携モデル(統一した様式 のパスも含め)を構築していただきたいが如何 かご協議いただきたい。

協議の結果、本会の担当理事である安里常任 理事を中心に関係者を集め、検討していくこと になった。

<質疑応答>

○那覇市医師会 友寄会長

那覇市医師会では、糖尿病に関しては進んで いるが、脳卒中に関しては進んでいないのが現 状である。なぜ、モデル地区を南部地区にした のか。

◆沖縄県医師会 安里常任理事

なぜ、南部地区をモデル地区にするかという のは、1)広い範囲であること、2)福祉保健部と の連絡会での議題にあがったこと、3)県民にと っても医療側にとっても良いことで、地域住民 に十分な寄与ができることである。

○浦添市医師会 山内会長

浦添では1 年半前から脳卒中の連携パスに取 り組んでいる。具体的な進め方を教えていただ ければスムーズに行けると思う。ただ、医療連 携に関する講演会を聴いているが、上から下ろすとうまくいかないのが現状との事である。

◆沖縄県医師会 宮城会長

医療連携パスの作成は、地域のみでなく専門 家を集めなければ難しい。

○南部地区医師会 名嘉会長

南部地区では、糖尿病の連携は出来上がって いる。しかし、脳卒中をどうするか検討してい るところである。また、t-PA の治療機関が限ら れており、南部地区のみでの対応は難しいので 広い範囲で対応することに関しては取り組んで いきたい。まずは、脳外科の医師を含めた検討 会を開催し、脳梗塞の急性期等、骨格を作って 慢性期や回復期等を進めたほうが良いと考える。

○那覇市立病院医師会 川野会長

市立病院では脳卒中パスはできており、後方 のリハビリ病院等へ移すことなども出来ている のでご参考いただければ幸いである。

○那覇市医師会 友寄会長

那覇市医師会では、病診連携会議というもの があり浦添、那覇、南部の医療機関で構成され ている。この会議で一度ディスカッションを行 い、必要があれば安里常任理事へ音頭を取って いただければと思う。

○琉球大学医師会 須加原会長

大学はあまり医師会として関わっていないの で、是非、脳卒中の連携パスの委員会へ加えて いただきたい。

5)会費等の早急な見直しについて

○北部地区医師会 鍛常任理事

診療報酬改定が減額される一方、経費は増加 する傾向にあり、医師会員の経営状態を圧迫 し、今後も更に悪化する可能性があるので、現 在の会費を以前のままの基準ではなく、何らか の会費の見直しについて検討頂きたい。また、 高齢の会費免除についても現在70 歳(北部地 区医師会)で、まだまだ診療できる元気な年齢 だから不公平さを感じる。併せて検討いただき たい。(県医師会は77 歳である)

◆沖縄県医師会 真栄田常任理事

全国的に各医療機関、特に診療所に於いては 危機的状況にあることを踏まえて、今後鋭意検 討していく予定である。具体的には平成21 年 度予算に向けて県医師会三役と常任理事で予算 編成委員会を設置して、会費についても検討し ていく方針である。その上で会費検討委員会で 検討していきたい。

なお、会館が11 月には完成し、今後、会館 の運営費、維持管理費が実際にどのくらいかか るか詳細が分かれば、予算の在り方、運営等に ついて分析して検討していきたい。

◆沖縄県医師会 宮城会長

寿会員は現役でバリバリ働いているのに一定 の年齢になったら免除になるので、それが疑問 になることもある。ただ長い期間会費を払い続 けてきてやっと免除になるという時に引き続き 払ってほしいとは言いにくい。各地区でも高齢 会員の見直しが必要になってくるので検討しな いといけない。平成6 年度に会費賦課対象を医 業所得割金額から医業総収入金額に改正した。 改正前は利益に応じて会費が決まったので、そ の年度に病院など設備投資により、赤字になっ たら会費が発生しないというおかしい状況があ り、改めたいきさつがある。そのへんについて は常に見直しが必要になるかもしれない。

6)各臨床研修プログラム群における研修医 と医師会員との懇親会の統一開催について

○南部地区医師会 名嘉会長

臨床研修医との懇親会は毎年県医師会と琉大、 或いは各地区医師会が独自で行っているのが現 状であるが、今後はより一層研修医に医師会を アピールし印象付けるためにも、各研修プログ ラム群に参加されている全研修医を対象とした 県医師会主催による懇親会の開催を要望する。

南部地区医師会では、今年度初めて、南部地 区の3 臨床研修病院との懇親会を開催した。

懇親会を開催することにより、研修医間の交 流や研修医と指導医との交流、専門研修への情 報交換等が交わされる。

初期研修医は毎年150 名と定着しつつある が、専門研修に関しては、今後本県に根付かせるためにも全県統一での開催をお願いしたい。

◆沖縄県医師会 須加原理事

本県の初期臨床研修は、県内3 研修病院群の 尽力により毎年約150 名の初期研修医を確保す るなど、非常に充実している。また、今年度の マッチング結果においても84 %と東京に次い で2 位であった。

今後、若い医師が本県に根付いていくために も専門(後期)研修のレベルアップや各研修病 院群の情報共有等が重要となってくる。

本会では、去る9 月25 日(木)に行われた 「第1 回地域医療臨床研修委員会」において、 本件について協議を行ったところである。

同委員会では、県医師会として交流会を開催 する事は、社会的アピールや県医師会の役割を 果たす意味でも非常に重要であるとの事から、 交流会を開催する事に決定した。

なお、現在のところ開催時期や形式等を含め 検討しているところである。

◆沖縄県医師会 宮城会長

各地区とも歴史的背景が異なり、一本化する のには時間がかかると思う。各地区の歴史 も考慮しながら開催時期や形式等を含めて統一 開催に向けて検討していきたい。

7)その他

○川平中部地区医師会副会長からお願いがあ った。

1)今年4 月から看護学校をスタートしたの で、学生の奨学金(個人に出資する)について 依頼文書を送付しているのでご協力頂きたい。

2)2 年前学債を購入頂いたが、集まりが悪 いので医師会としてもご協力頂きたいと要望 があり、宮城会長から全面的に協力していき たいと回答があった。

○友寄那覇市医師会長から准看入学資格は中卒 以上となっているため、色んな不利益が生じ ている。高等課程となっているために、高校 で奨学金を受けた人が本校の准看課程で、奨 学金を受けられないこと。また、准看で履修 した科目が上の学校に行くときカウントされ ないなどの影響があるので、入学資格を高卒 以上に改めることについて要望してほしいと 意見があった。それに対して担当の野原理事 から日本医師会の担当理事にも相談して検討 していきたいと回答があった。