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南部地区医師会長 名嘉 勝男 先生

名嘉勝男先生
P R O F I L E
【学歴】
昭和41年 03月
糸満高等学校卒業
昭和41年 04月 琉球大学法文学部商学科入学
昭和45年 03月 同学同部同科卒業
昭和45年 10月 University of the East 医学部入学(Philippines)
昭和51年 04月 同学同部卒業
【職歴】
昭和51 年05 月
独協医科大学Externship
昭和52年 05月 沖縄県立中部病院研修医
昭和54年 04月 独協医科大学第一外科助手
昭和55年 06月 医療法人仁誠会名嘉病院勤務
昭和56年 03月 糸満クリニック開設
昭和61年 10月 特別養護老人ホーム朝日の家開設
昭和63年 01月 糸満西崎病院開設
平成05年 05月 老人保健施設サクラビア開設
平成10年 10月 身体障害者療護施設ソフィア開設
平成17年 05月 西崎クリニック開設
平成19年 04月 身体障害者更生施設ソフィア開設
【免許・資格】
昭和52年 06月
医師免許取得(医籍番号237469)
平成04年 03月 医学博士(琉球大学医学部)

先輩の先生方が築いてきた医 師会活動を次の世代に引き継 ぐのも私の使命だと思ってい ます。



Q1.この度は、南部地区医師会長就任おめで とうございます。名嘉会長は、昭和59 年から 24 年間にわたり理事、副会長として南部地区 医師会活動に携わってこられ、この度医師会長 として就任されましたが、これまでを振り返っ ての感想と今後の抱負をお聞かせください。

第47 回南部地区医師会定時総会で会長とし て当選を承認していただき、去った4 月1 日か ら南部地区医師会長に就任いたしました。昭和 59 年4 月、中村義清会長の就任の時に初めて 南部地区医師会の理事として執行部に参加させ てもらいました。開業して3 年目で非常に忙し い時代でしたが、理事会に参加して、同じ開業 医の悩みを聞いたり、医療界の色々な情報を聞 くのが楽しみでした。また、開業医は、診療所 で患者をみるだけが一番大事だと思っていまし たが、予防接種、学校保健、地域医療、医師会 活動などもたいへん重要であることを教えられ ました。当時の理事会の先生方は新進気鋭の先 生方がそろっていて、南部地区医師会はそれま で任意団体だったので、社団法人の設立に向け て中村会長を先頭に頑張っていました。昭和 59 年9 月29 日に社団法人が認可されました。 それから5 年後の平成元年2 月に医師会館用地 を取得しています。さらに5 年後の平成6 年に 真境名豊次会長の時代に医師会館及び附帯施設 「介護老人保健施設 東風の里」を開設しています。これまで24 年間執行部にいて、多くの 先輩の先生方が自分の診療時間を犠牲にして医 師会活動に頑張ってこられ、非常にご苦労され て南部地区医師会の礎を築いてきたのを見てき ました。南部地区医師会も若い開業医の先生方 が増えてきましたので、新執行部には若い先生 方も新しく4 人就任してもらいました。若い先 生方に医師会活動の重要性を認識してもらい、 これまで、先輩の先生方が築いてきた医師会活 動を次の世代に引き継ぐのも私の使命だと思っ ています。

Q2.医師会運営にあたりまして、「顔の見える 医師会」を理念として掲げられておりますが、 今後、新しく取り組んでいきたい課題について お聞かせください。

南部地区医師会はこれまでも各市町村と協力 して地域の医療、保健、福祉活動に参加してき ましたが、その割にはあまり顔が見えないとの 批判がありました。これからは、さらに積極的 に地域の活動に参加し、地域に根ざした信頼さ れる医師会を目指していきたいと思います。そ のためには、それなりの医師会の実力を付けな いといけませんが、幸い、若い理事の先生方が 非常にやる気になっています。今年4 月からス タートした特定健診・特定保健指導、後期高齢 者医療制度、また、沖縄県保健医療計画の基本 方針の中にも掲げられている、主要な疾病(が ん、糖尿病、脳卒中、急性心筋梗塞)の医療連 携体制の整備などは、これから医師会の出番だ と思われます。糖尿病に関しては、地域糖尿病 対策委員会を立ち上げ、担当理事を中心に、連 携体制の整備に着手しているところでありま す。糖尿病の連携体制が軌道に乗った後は、脳 卒中、急性心筋梗塞の連携体制も整備して行く 必要があると思います。

Q3.本年4 月から「後期高齢者医療制度」並 びに「特定検診・特定保健指導」と新しい制度 がスタートしましたが、ご苦労されているとこ ろがありましたらお聞かせください。

後期高齢者医療制度については、毎年増え続 ける高齢者医療費の保険財政を健全化するため に必要な制度でありますが、国の手法が悪かっ たと思われます。高齢者の保険医療制度を守 り、高齢者を優遇するべき制度が、年金から保 険料を天引きするとか、高齢者の保険料の値上 げなどで高齢者を差別していると捉えられまし た。医療機関側にも問題を生じさせました。後 期高齢者診療料については、1 人の患者を1 つ の医療機関が診ることで、フリーアクセスを阻 害するとか、高齢者の医療を包括化して主病名 で縛るなど、他医療機関との連携を阻害するの ではないかと危惧されました。全国の医療機関 でも算定しているところと、しないところが出 てきました。南部地区医師会でも後期高齢者診 療料算定については、理事会で慎重論が多かっ たのですが、会員の中には施設基準の届出用件 となっている研修会を開催するよう要望してい る方もいます。県医師会は、算定は「医療機関 の自主的な判断に任せる」と言っていますが、 研修会も開催しないで、自主的な判断に任すと いうことは、選択肢を奪っていると一部の会員 には思われています。全国で同じような診療体 制が早く出来ることを願いたいものです。

特定健診では、出来るだけ多くの診療所にも 参加してもらいたいと考えていましたが、健診 データーの電子媒体による提出から、暗号化、 請求までの一連の事務作業の対応に開業医は苦 慮しています。検査センターを持っている医師 会は、そこに健診の請求事務まで依頼している ようですが、南部地区は検査センターを持って いないので、民間の検査機関を利用している医 療機関の対応が問題になっており、那覇市医師 会の検査センターにカバーして頂くよう依頼し ているところであります。

Q4.南部地区医師会から本会や日本医師会に 対するご意見・ご要望などがありましたらお聞 かせください。

消費税の問題は以前から医師会でも取り上げ られてきましたが、その説明は診療報酬の中に 消費税分が含まれているとのことでありまし た。この説明にはほとんどの会員が納得してい ません。消費税は近いうちに上げないといけな い状況だし、きっと上がると思われます。消費 税が上がらない前に、診療報酬と消費税は区分 し、医療費はゼロ課税にして欲しいと思いま す。ぜひ県医師会からも日医に再三提言するよ う要望します。消費税が上がると、今でも厳し い医療経営がさらに厳しくなると思われます。

後期高齢者医療制度の修正案を日医は早めに 政府与党に要請し、高齢者の医療制度が安定し た制度となるよう積極的に働き掛けていただき たいです。

Q5.最後に日頃の健康法、ご趣味、座右の銘 等がございましたらお聞かせください。

定期的にやっているスポーツはゴルフです。 医師会、同級生、地域の愛好会のコンペには出 来るだけ参加するようにしています。楽しみな がら、運動をして、また、親睦を兼ねながらで きるので健康増進のためにも今後も継続して行 きたいと思います。以前はスポーツダンスをや っていましたが忙しくなり、しばらく休んでい ます。スポーツダンスも楽しみながら結構な運 動になりますので、また再開し続けて行きたい と思います。座右の銘は「人事を尽くして天命 を待つ」と言う言葉です。これまでの色々な自 分のやってきた事柄に全力で対応し、後はくよ くよせずに結果を受け入れるようにしています。

お忙しい中、ご回答いただき、誠にありがと うございました。

インタビューアー:広報委員 照屋勉