沖縄県医師会 > 沖縄県医師会の活動 > 医師会報 > 10月号

台中市医師公会親善訪問

去る7 月19 日(土)から21 日(月)までの 3 日間の日程で、宮城会長をはじめとする21 名 が台湾を訪問し、姉妹会である台中市医師公会 との交流親善を図った。

台中市医師公会と本会は平成16 年の2 月に 姉妹会を締結し、以後相互に訪問し友好を深め ているところであり、本来は昨年本会が台中市 医師公会を訪問する予定になっていたが、昨年 は本会の担当で全国医師会勤務医部会連絡協議 会が開催されたため、日程の調整がつかず、こ の度の訪台となった。

初日の意見交換会では、台湾中央健康保険局 中区支局の陳明哲局長より、台湾における医療 保険制度の現状についてレクチャーを受けた 後、種々意見交換を行った。

その後、懇親会に移り、両医師会関係者全参 加者による記念撮影、台中市医師公会の会員で 構成する医師ジャズバンドによるアトラクショ ン行われた後、台中市医師公会の高大成理事長 による歓迎のご挨拶、本会宮城信雄会長の挨 拶、台中市医師公会の巫永徳顧問による乾杯で 開宴となり、2 年ぶりの再会に会場は大いに盛 り上がった。

なお、懇親会では高大成理事長、宮城信雄会 長より、以下のとおり挨拶が述べられた。

<T.懇親会>

懇親会は、来賓の台中市衛生署顧問、衛生局 長、台中市議、台中市医師公会役員等57 人、 本会から21 人の計78 人が参加し、私どもは熱 烈な歓迎を受けた。

台中市医師公会高大成理事長挨拶
高大成理事長

皆様今晩は。本日は 宮城会長をはじめ、沖 縄県医師会の役員の皆 様並びに奥様方ようこ そ台湾を訪問していた だき、大変うれしく心 より歓迎申し上げます。 再び皆様方に再会し、懇親会を催す事が出来この上なき喜びでございます。

何分にも制限された時間内ではありますが、 皆様にご満足いただける歓迎会となります様、 心よりおもてなしさせていただきたいと思い ます。

現在、全世界が原油高騰に伴い、物価上昇に 歯止めがつかず、一般市民の生活に大きな影響 を及ぼしています。台湾においても同様であ り、その中で医療界も更に厳しい状況に置かれ ています。政府は健康保険財政問題を市民の負 担(健康保険料増額)をさけ、私達医療関係者 に診療報酬20 %〜 32 %カットなど大幅な削減 を進めている状況にあり、多くの病院・医院が 厳しい経営に陥っています。

この様な政府の政策が医療の向上・質を低下 させ医療事故などの危険を高め、国民への安 心・安全な医療提供が困難になっています。

日本の医療環境においても、少子高齢化に伴 い健康保険財政の問題・医療制度の改革など大 きな問題を抱えておられる事を知りました。

こうした同じ悩みを抱える医療人として、姉 妹会を通して時間が許す限り意見交換を出来る 機会となれば幸いでございます。

又、今回私達の医師会雑誌「台中医林」に、 日本の医療制度・保険に一ついて詳しく掲載し ていただきありがとうございました。台湾の健 康保険制度が始まってから13 年であり、まだ まだ多くの改革が必要であります。日本の歴史 の長い保険制度を学ばせていただき、今後の台 湾の医療・保険制度の参考にさせていただきた いと思います。

最後になりますが、沖縄県医師会のご発展 と、本日ご参加いただきました皆様方のご健康 を祈念し、台中医師会を代表いたしまして歓迎 のご挨拶とさせていただきます。

沖縄県医師会宮城信雄会長挨拶
宮城信雄会長

台中市医師公会の皆 さん今晩は。本日はお 忙しい中、大勢の先生 方並びにご夫人の皆様 にご出席いただき、懇 親の場を設けていただ きましたことを厚く感 謝申しあげます。

又、昨年は、高理事長より姉妹会相互交流の ため台湾訪問のお誘いを受けたところでありま すが、生憎、本会会務の都合上、国政選挙や沖縄県医師会館建設の準備、又、全国医師会勤務 医部会連絡協議会の沖縄開催が控えていたこと から断念させていただきましたことを、ご了承 いただきたいと思っております。

さて、近年我が国は、バブル経済の崩壊と共 に少子・高齢化の進展等も相俟って、国の財政 が逼迫し、その財政再建策として国による骨太 の方針が示され、社会保障費については2007 年から2011 年の5 年間で1 兆1 千億円削減する ことが求められ、大幅な医療制度改革等により 医療環境は非常に厳しい状況におかれています。

又、医師の卒後臨床研修医制度等の改変によ り医師不足が深刻な状況に陥り、産科、小児科 では救急医療の問題をはじめ、地域によっては 科の閉鎖等切実な問題が生じております。更に 医師の診療報酬もこれまでマイナス改定が続 き、本年久々に診療報酬本体は0.38 %のプラ ス改定にはなりましたが、医療費ベースではマ イナス0.82 %となり、政府の医療費抑制策に より良質な医療提供体制が損なわれ、地域住民 への安心・安全な医療提供体制が大きく揺らい でいる状況にあります。

このような状況の中で、国においては特に死 亡率の上位を占めるがん、脳卒中、心筋梗塞の 死亡原因となるメタボリックシンドローム対策 に着目し、予防に重点をおいて諸施策を講ずる ことにしております。

私ども医療関係者としても制度の改変による 対応に苦慮しているところではありますが、会 員はもとより、中央の日本医師会とも連携をと りながら国民医療、地域医療が円滑に推進され るよう全力で取り組んでいるところであります。

現在、このように医療問題が山積する中で、 本会では会員の拠点となる「沖縄県医師会館」 の建設作業を進めているところであり、本年落 成の運びとなっております。完成の暁には是 非、高理事長にもご来沖いただきたいと思って おります。

医療は生命を守る崇高な職務であり、国を隔 ててもその崇高な医師の理念は変わらないと思 います。本日、台中市医師公会との交流をとお して、それぞれの医療状況を把握し、情報を共 有することにより、より良い医療の選択肢が広 がるものと確信しております。

今後とも姉妹会として台中市医師公会との交 流の輪を深げ、地域住民の健康に寄与していき たいと願っております。台中市医師公会の更な るご発展、皆様のご健勝を祈念しご挨拶といた します。





<U.意見交換会>

台湾中央健康保険局中区の陳明哲局長より、 「全民健康保険の現状と概要」と題して講演が あった。

「全民健康保険の現状と概要」
中央健康保険局中区支局長 陳明哲
陳明哲

台湾は人口密度が高 く、65 歳以上の高齢者 が占める割合は10 %を 超えており高齢化社会と なっている。国内総生産 は1 人当たり16,000 米 ドルで、国内総生産に占 める保健医療支出は6.1 %となっている。







出生率9 %、死亡率6 %、乳幼児死亡率 4.6 %、国民の平均寿命では男性が74.9 歳、女 性が81.4 歳となっている。健康目標(2006 年)は表2 のとおり。

医療機関は診療所が17,738 機関、病院が 542 機関、ベッド数は111,973 となっており、その内民間の医療機関が大多数を占めている。

台湾の医師は大部分が専門医としての免許も もっており、病院でのサービスはほとんどが専 門医によって行われている。患者は病院の選択 が自由であり、転院も強制されない。また、病 院の外来診療が非常に多い。台湾では、衛生署 (台湾における中央の保健機構)による病院評 価システム(有効期限3 年)が行われており、 評価が高ければ政府からの医療補助が多くなる と共に、評価成績によって国民からの信頼も厚くなる。

台湾における保険制度は、1950 年の労働保 険からスタートしており、続いて58 年に公務 員保険、85 年に農業従事者保険、90 年に低収 入世帯保険制度が開始され、95 年にはそれま で保険の対象外であった老人と子供も含める全民健康保険(皆保険制度)が始まった。

全民健康保険では、「誰もが平等な医療を受 けられること」を基本理念とし、その上で保険 者、患者、医療機関の三者間で財務バランス、国民の全員加入、医療の質の向上を図っている。

保険の行政組織としては、衛生署が管轄する 中央健康保険局があり、その保険局が管理する 10 の部署がある。さらに台北支局をはじめと する6 支局と、高雄総合外来センター、台北総合外来センターがある。また、診療報酬認定委 員会では徴収した保険料の分配役を担ってお り、健康保険争議審議委員会では健康保険に関 するトラブルを処理している。

全民健康保険の特徴として、国民全員が加入 しなければならない「皆保険制度」であり、そ の中には、4 ヵ月以上居住する外国人も含まれ る。国が運営する単一保険者であり、保険料は 政府、雇用者、被保険者から徴収され、政府が 業務経費を拠出している。生まれてから死ぬま で、歯科、漢方も含めた総合的な医療をカバーしている。また、患者負担金も実施されている。

皆保険制度のため保険料は合理的で、被保険 者の給与の4.55 %が保険料となっており、誰 もが平等に医療を受けられる。また、給付が広 範的で費用の控除が取扱易い。更に行政費用が 低いにも関わらず民衆の満足度は高く、各国よ り見学に訪ねてくる。

弱者(原住民、55 歳以上の者、低収入者、 退役軍人など)に対しては、補助制度が設けられ、医療保障によって平等な医療が受けられる と共に、政府が介入することにより医療費の分 割払いも可能としている。

重病患者の割合は3.13 %(約70 万人)であ るが、総医療支出の27.11 %を占めている。

全国の一人あたりの医療支出は20,126 点と なっているが、がん患者一人当たりの医療支出 は128,534 点である。

保険料は所得によって分けられ、収入が低い者程低く設定されている。

総医療費に占める経費コストの割合は保険制 度が導入された95 年に3.31 %だったのに対し、 2003 年では1.76 %に落ちていることから効率 的な運用がされている。

国民は健康保険に対する満足度が高く、96 年には77 %以上の高い支持率を得ている。

国際的な評価も高く、イギリス経済誌、アメ リカハーバード大学誌、ABC ニュースなどでも同制度等が取り上げられると共に、各国より 厚生長官、専門家が研究のため来台している。 アメリカハーバード大学の教授も「全民健康保 険」は以前より施行していた、ドイツ、日本、 韓国よりも優れていると評価している。

2006 年における全民健康保険の加入者は 99 %に達しており、保険医療機関として契約 している医療機関は91.45 %を占める。

保険料収入は3,670億元あり、政府(25%)、 雇用者(37 %)、被保険者(38 %)という内訳 になっている。

総医療費の内65 %が外来診療を占め、35 % が入院医療費となっている。

台湾ではかかりつけ医制度が無いため年間の 一人当たりの診療回数は多い(06 年は13.82 回)

なお、近年の保険財政は支出の成長率が収入の成長率よりも高くなっており、94 〜 96 年時 点で収入と支出が逆転し、赤字の状態となって いる。しかし、保険料を上げることは直接選挙 に響くため、政治家はこれを躊躇している状況 であったが、保険局が総額予算制度を導入し赤 字拡大の歯止めをかけた。

そのため、95 年時点で、実際の医療費総額が当 初予想されていた総額より大幅に押さえられた。

現在、直面している問題として、1)財務のア ンバランス、2)保険料の公正の是正、があり、 GDP に占める給与所得が57 %に過ぎない現状 において、今後、保険料の引き上げが課題とな っている。

また、短期対策として公共衛生の支出は公務 予算に帰還すると共に、タバコ健康税等を導入 し、浪費を減少させ、自主改革を促していく。

●質疑応答

高大成理事長

今の説明にあったように確かに制度的には良 いかもしれないが、実際にはそれは医者の犠牲 によって成り立っている。以前は1 ヵ月の収入 は100 万ぐらいあったが、現在は20 〜 30 万位 である。それでも医者として国民に貢献出来て いることを考えればそれで良いかもしれない。 しかし生活が以前とは変わっていることは確か である。

Q 玉城信光副会長

患者さんが診療をうけた場合、その場での自 己負担があるのか?

A 高理事長

一律の低い料金を負担しており、1 割も無い。

国民も出来るだけ安い医療費を望んでおり、 医療費を上げようとすればすぐ怒る。

だから医療費を上げようとする政治家は選挙 で落ちる。

結局、私達だけが犠牲になっている。

A 廖仁元理事長

入院した場合でも自己負担は1割ぐらいである。

Q 宮城信雄会長

GDP に占める医療費が6.1 %となっている が、OECD 加盟国の平均が9 %である。

現在、日本は8 %で、イギリスに追い越され て22 位になった。以前イギリスが医療費を抑 制したために医療崩壊が起こったが、台湾は 6.1 %でよくやっており、やはり先生方の犠牲 の上に成り立っていると思う。

保険料を払うのは国、雇用者、被保険者とい うことだが、サラリーマン以外の自営業、農民 等はどうやって保険料を算定しているのか。

A 廖元理事長

農業従事者は農協を通して健康保険に加入す る。自営業者などは区役所のような所が設けて いる保険に加入することになる。

しかし、現在はかなりの収入があるにも関わ らず、安い保険料しか払っていない人が多いこ とからこれを変えていくことが課題である。

医療費が6.1 %というのはおかしいが、中々 変えられない。なぜかというと3 〜 4 年で立法 院や市長、総統の選挙があるが、政治家はお金 が足りないことは分かっていながら、保険料引 き上げを訴えると落選するから絶対に口に出さ ない。

Q 小渡敬副会長

医療費がどんどん上がって総額予算制にした ということであるが、実際に予算額を上回って しまった分はどうなるのか?

A 高理事長

以前は1 点1 元だったが、総額予算制になっ てから約0.9 元となっている。

※ 1 点に対する金額が変動する

Q 小渡副会長

日本では医師会が医療のことを色々考えてや っているが、その割には医師会の発言に対して 国民の支持が無いが、台湾ではいかがか。

また、医者の社会的地位はどうか。

A 廖元理事長

台湾では医者に対する国民の支持は日本より もっとひどい。

A 高理事長

台湾の医師会は力が無い。行政に対して発言 出来ない。

政治家も医者の数を見て馬鹿にした状態である。

台湾は中国に管理されて以来、医者の地位は どんどん落ちている。というのは、中国人はあ まり人の命を重視しない。日本が台湾を管理し ていた頃は、医師の地位は高かった。今は頑張 るしか無い。

Q 玉城副会長

日本では、病院で働く医者の過労死等が問題 となっているが、台湾でも今のお話のように押 さえ続けられると更に状況が厳しくなるのでは ないか。

A 高理事長

台湾では医療機関は1 ヵ月の内4 日間は休ま ないといけない。以前は年中無休だった。

(総額予算制のため)働いた分だけ収入にな るということにならなくなっている。

Q 安里哲好常任理事

人口が台湾全体で2,300 万人で、ベッド数が 11 万となっているがこれは急性期病床なのか、 それ以外も含んでいるのか。

A 廖元理事長

急性、慢性両方が含まれている。

Q 簡聰池先生

今の台湾において、今の保険制度に満足して いるのは、国民と大病院だけである。開業医等 は苦しんでいる。先ほどの説明にもあったが、 世界各国から見学に来るが、実際に台湾の保険 制度を見て、この制度を導入したら大変なこと になるとみんな恐れている。

これからどういう対策を取る考えか。

A 陳中央健康保険局中区支局長

この制度が医療援助と医師の犠牲・貢献が 無ければ成功し得なかった。この場をお借りし て感謝の意を申しあげる。この制度を導入した 背景は国民の需要によるものであり、どんな保 険でもそうだが財務のバランスが大事である。 保険料の引き上げはどの政党で口にしないのが 現状であるが、前の内閣の時に2 回目の健康保 険制度を導入する方針があった。その保険料の 計算基準は給料に基づく計算では無く、総収 入に基づく計算されるものであった。今のとこ ろ現在の政府がこれを導入するかどうかは分か らないが、台湾の保険の未来は明るいと信じて いる。

Q 玉城副会長

チャンスがあればお互いに交流出来ないかと 考えているが、医学会は開かれているのか。

A 廖元理事長

台湾では専門医制度となっており、それぞれ 各学会で3 〜 5 年ごとに更新することになって いる。それまでに学会で発表を行ったり、講習 を受けたりしないといけない。そのため、総合 的な医学会は行っていない。それぞれ専門の学 会に任されている。

開業医も医師免許をもっていれば開業出来る という訳ではなく、開業する地域の衛生局に申 請書を出さないといけない。その許可証は6 年 間有効で期限がきたら更新しないとならず、そ の際に研修を受けないといけない。そのため、 医師会でも月に1 回講習会を開催している。

台中市医師公会交流会 印象記

玉城信光

副会長 玉城 信光

7 月19 日から21 日まで沖縄県医師会と姉妹医師会締結をしている台中市医師公会を訪問し意見 交換や親睦をはかった。

久しぶりにパスポートを作ったのである。真新しいパスポートを手に7 月19 日午前9 時45 分那 覇空港国際ターミナルへ集合した。宮城会長夫妻をはじめ事務局をいれ総勢21 名のツアーであ る。チャイナエアラインで11 時45 分に出発し、12 時10 分台湾到着。所要時間は?時差が1 時間 あり、1 時間25 分の旅である。福岡より近い。チャイナエアラインの機内販売でたくさん売れて いるものがあった。大きな紙袋に台湾の人がたくさん詰め込んでいるものがある。タバコである。 アメリカ産やマイルドセブンが飛ぶ様に売れていた。

空港には高理事長らの出迎えがあった。台中市から2 時間ほどかけて迎えにきてくれたのであ る。頭の下がる思いがした。

現地時間の午後5 時から長栄桂冠酒店(エバーグリーン)で台中市医師会との意見交換会がも たれた。あらかじめ当会より

1.台湾の保険制度はいかがですか。公的保険の普及度はどうですか。
2.香港では公的病院の勤務医をしながら開業などもできるようですが、台湾ではいかがでしょうか。
3.医師会医学会は開催されていますか。

との質問を投げかけておいたので、それへの回答として中央健康保険局中区支局の局長:陳明哲 先生がパワーポイントを使用し説明してくれた。

台湾の人口は(2006 年)で2,278 万人、保健医療支出は国内総生産(GDP)にしめる割合は 6.1 %と日本の8.0 %より低くなっている。国民の平均余命は男性が74.9 歳。女性が81.4 歳である。

社会保険の歩みとしては1950 年に労働保険、58 年に公務員保険、85 年に農民保険、90 年に低 収入世帯保険、95 年から全民健康保険になった。

全民健康保険の特徴は「皆保険制」、国が運営する単一保険者、保険料は政府、雇用者、被保険 者の3 者で負担する。診察時の自己負担は1 割以下だという。

陳先生は行政の立場で国際的な評価が高いと述べているが、総額予算制を導入して が上昇すると診療報酬を10 %以上カットなど医療機関の収入を減らす様になっている は高く評価するが医師の側の負担で成り立っている保険制度の様で台中市医師会の先 不評であった。政権選挙で医療費の増額を主張する政党がないとのことであった。
(このレクチャーの内容は35 ページに掲載)

3 番目の医学会の質問に関して、台中市に医学会があれば沖縄県医師会医学会との交流を図ろ うとの思いがあったが、台湾では専門医制度がしかれており、各々受講単位が決められていて、 数年に1 回更新しなければならないと述べられた。専門医の講習のみで沖縄県のような全科に渡 る医学会はないとのことである。時間がなくて2 番目の質問は割愛した。

その後歓迎パーティーになり、台中市医師会のメンバーによるサックスホンの演奏があった。喜 納昌吉の花や骨まで愛してなど日本の歌の演奏をして頂いた。

大変おいしい中華料理のコースを堪能した。お隣の席には前理事長の廖先生ご夫妻がおり楽し く話をさせて頂いた。廖先生が広島大学の出身とわかったので、年令を伺ったところ私の妻の兄 と同じ年令であった。兄のことを知っているかと訪ねたところ、大学時代の親友とのことである。 台湾に来てまでも世の中の狭さに驚いたものである。

2 次会は大カラオケ大会で盛り上がった。台中市の先生方は元気である。酒も強く宴会にも強 い、そのエネルギーに圧倒されてしまった。

翌朝は高先生方のお見送りを受けホテルを出た。台中市内の観光で植物園に行った。大きな温 室である。熱帯植物がたくさんあるが、ガイドさんの案内ですごい植物園のように思えた。とこ ろが沖縄の熱帯ドリームセンターの方が規模や内容で優れていた。沖縄のどこにでもみられる様 な熱帯植物であった。昼食に杭州料理のコースを頂いた。中華料理のコース3 食目である。食後 台北に向かい、台湾民主記念館(中正紀念堂)で蒋介石の像の前に立った。沖縄ツーリストのか りゆしウェアを何枚か見かけた。沖縄からもっとも近い外国である。同会場で長毛象の展示会が あり夏休みのために子供たちで溢れていた。マンモス展である。どこの国でも子供のために親は 必死で行列を作っていることがわかり昔の自分と重ねてしまった。

台北101 展望台にあがった。あまり高いところは好きではないが、現時点での世界1 の展望台 からのパノラマは壮観であった。台湾に行くことを子供たちにも話してあるので、お土産を探す のに苦労している。101 の売店で息子夫婦にお揃いのマグカップを買った。世界1 の香りがする であろうか。

ホテルチェックインはかの有名な圓山大飯店である。昔のホテルではあるが歴史の重みがあり、 落ち着いたホテルであった。朱塗りの柱が高くロビーを押し上げている。正面には大きな階段が あり、楊貴妃でも降りてきそうであった。

夜は台北市内で北京料理のコースである(4 食目)。おいしく食べるのではあるが、帰りの飛行 機が重くないだろうかと心配しながら食するのである。

翌朝食は軽めにしたが、台湾で初めてのラーメンがあったので食べた。豆板醤のにおいと味の するラーメンで台湾の匂いが立ちこめていた。台湾の匂いのもとが豆板醤だと気づいたのである。

衛兵が微動だにせず守っている荘厳な忠烈祠へいった。大変暑い日であったので衛兵も汗が目 に入りまっかな目をして開けていた。ちょうど午前9 時衛兵の交代式の時間である。あまりに暑 いので日向に出ずに門の陰に隠れていたところ、衛兵の交代は門の前で行われ一番近くで見るこ とが出来た。たくさんの写真を撮ったのだが、那覇市医師会のチャリティー写真展へは出品でき なかった。

次いで故宮博物館へいった。大勢の人がいた。大変感動したのは説明のヘッドホンを使うので あるが、観光の集団ごとに周波数が割り当てられていて、隣の説明は聞こえない様になっている。 台湾の進んでいる一面を見た。

昼食は飲茶のコースである(5 食目)。たくさんの中華料理を食べた。沖縄に帰ってから、今後 のことを考えることにして、満足するまで食べてしまった。台湾ビールもたくさん飲ませて頂い た。飽食と台中市医師会との楽しい交流会であった。

飛行機の中では寝る間もなく那覇空港に到着してしまった。次回は冬にする様に妻からの伝言 である。

台中市医師公会との交流会に参加して 印象記

安里哲好

常任理事 安里 哲好

平成20 年7 月19 日より3 日間の日程で、宮城信雄会長ご夫妻、稲冨洋明前会長を始め総勢21 名で、台中市医師公会との交流会に参加するため、平成16 年2 月20 日に台中市医師公会との姉 妹提携を結んでから、3 回目の訪問となりました。台北国際空港に到着すると、高大成理事長ご 夫妻、廖仁元理事長ご夫妻、事務局の皆様の熱烈なる歓迎を受け、訪問団一同心を熱くすると同 時に再開を喜び会いました。当初の企画では、台湾の新幹線で台中市に行く予定でしたが、乗り 継ぎが多く、専用のバスを使用したのは適切(便利で、風光明媚な地域も自由に行けて)であっ たと思います。台中市に行く途中、午後のティータイムとして、フルコースの台湾料理をいただ き、すでに心身共に充実。

夕方は、台中・長栄桂冠酒店にて、台湾中央健康保険局中区支局の陳明哲局長より、「台湾にお ける医療保険制度の現状について」の講演と活発な意見交換がありました。保健医療費が国内総 生産(GDP)の6.1 %であること、外来も入院も医療費は総枠制で、国・行政が如何様にも管理 (?)できる状況にある印象を受けました。国民の健康保険に対する満足度は高く、かつ国際的評 価も高いと報告していました。一方、フロアーから、比較的低い総医療費と低い国民の保険料の 背景には、医療従事者のかなり厳しい負担の状況があり、特に診療所医師の奮闘・犠牲の下に、 国民皆保険制度と医療の質そのものが保持されており、診療所医師の収入も以前に比べ半分以下 になった現状の厳しさを激しく主張していました。患者自己負担増を伴う医療費増に対して、国 民は強く反対し、賛同する政治家は選挙で落ちると言う、主権在民意識の強いところであること を感じました。台湾の医師会は政治的に力がなく、行政に対しても発言できず、政治家も医師の 数(投票数?)を見て、それ程評価されていないとの意見も聞かれました。医師免許も6 年に一 回の更新でそのための研修会を頻繁に受けなければならなく、専門医の更新も5 年前後で、120 単 位の研修・講習を受けなければならないとの事、また、専門医の更新を継続しないと開業が継続 できないとも語っていました。近未来において、日本における抑制的医療制度改革や医療費総枠 制の方向にならないよう、医療現場の厳しさを国民に訴え、政策を進めていく政治家・行政に強 く主張していかなければ、日本においても、厳しい状況に進んでいくことになるのを垣間見た気 がしました。熱い、激しい、生の意見交換は本文を参照ください。

夜は、台中市医師公会主催の歓迎パーティーがあり、医師公会員(医師)による、サックスを 中心とするジャズバンド演奏があり和やかな楽しいひと時を過ごしました。ほとんどの先生方が 楽器を始めて2 〜 3 年目とのこと。あまり上手なので、楽譜読めるのですかと聞きますと、楽譜 はなく1,2,3 と数字が楽譜になり、音の長さは傍線で示していますと語っていました。巫永徳 顧問(85 歳)を始め先輩方の多くの方々は日本語が上手で、その中で、花城先生、平良先生は同 級生ですよ、元気でいらっしゃいますかとお尋ねになられていました。二次会は、男性はカラオ ケ・逍遥閣へ、ご婦人方はエステ・マッサージと二手に分かれて夏の夜長を楽しみました。

2 日目の午前は台中市近隣観光、午後は台北市内観光に加えグルメ三昧で、特に、昼食の杭州 料理は味に深みがありいまだに舌に残っており、もう一度訪れたいと心に記しています。夜の北京料理(北京ダック)も印象深いものとなりました。台北市の世界一高い台北101 の展望台から のパラノマは感嘆の一言です。宿泊は台湾一のホテル圓山大飯店で、フロアーの天井が高くその 造形の素晴らしさと、正面に飾ってある芳しく華やかな蘭の花に圧倒されと同時に、壮大な気分 になりました。3 日目の午前は戦士を奉った忠烈祠における衛兵の交替式と故宮博物院(これま で、何度か訪れたがいつも工事中であった)の世界に誇る多くの素晴らしい芸術・工芸品を堪能 することができました。DFS でのショッピングの後、名物の飲茶とワイン・紹興酒・台湾ビール を食し身も心も幸せになり、帰路につきました。

2 日目の早朝の見送りも含め、台中市医師公会の高理事長ご夫妻を始め多くの方々の心からの おもてなしを受け恐縮すると同時に感謝しています。台中市医師公会の益々の発展と当会との更 なる交流を祈念して、報告とします。



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