常任理事 幸地 賢治
沖縄県医療推進協議会(加盟28 団体)主催 の標記県民集会が去る8 月1 日(金)午後7 時 30 分より、ロワジールホテル那覇において、加 盟各団体より約700 名が参加して盛会に開催さ れた。
当県民集会は、社会保障費年2,200 億円削減 撤廃を求め、全国医療推進協議会(会長:唐澤 人日本医師会長)の活動と連動して開催され たものである。
当日は、当医療推進協議会の神村武之副会長 (沖縄県薬剤師会長)代理の松山朝雄沖縄県薬 剤師会常任理事より開会の挨拶が述べられた 後、主催者を代表して当医療推進協議会の宮城 信雄会長(沖縄県医師会長)は概ね以下の通り 挨拶を述べた。
挨拶:宮城 信雄
(沖縄県医療推進協議会会長・沖縄県医師会長)
医学医術の進歩、国 民の医療ニーズの増大、 そして急速な高齢化の 進行等の社会構造の変 化を勘案し、しかるべ き医療サービス水準を 維持していくことを前 提とすれば、わが国の社会保障費が一定の規模 で増大していくことは明らかである。
しかしながら、財務大臣と厚生労働大臣は来 年度も既定の方針に沿って、社会保障費2,200 億円削減することに合意し、先般の閣議におい て来年度の概算要求基準が了承された。
長年にわたる社会保障費の伸びの抑制が、医療崩壊を顕在化させると共に、平等であるべき 医療に地域格差をもたらしたことは明らかであ る。この機械的抑制が続く限り、救急医療体制 の弱体化、産科・小児科を中心とする医師不 足、介護分野における恒常的人材不足等の問題 は決して改善されない。
日本はすべての国民が公的保険に加入し、い つでも、どこでも医療機関を受診することが可 能である。世界的に見ても決して高くない医療 費水準で、もっとも公平・平等な医療制度を維 持し、医療に対する国民の絶大な信頼を得てき た。しかし、国民の生命・健康をあずかる医療 関係者は、安全で安心な医療サービスの提供の みではなく、その財源も含めた確固たる医療提 供体制の構築に向けても、最善を尽くす責務が あると考える。
国民が社会保障に対して不安を抱いている今 こそ、政府に間違った方針の反省を促し、社会 保障費の機械的抑制の撤回という明確な方針転 換を図るよう、国民とともに強く要望していく ことが最も重要だと思っている。かかる状況に 鑑み、私共は、国民生活の基盤である「安全で 安心な医療」を守るべく、「社会保障費2,200 億円削減撤廃」を求める国民の声を政府に届け るよう沖縄県でも行動を展開したいと考え、本 日「地域医療崩壊阻止のための沖縄県民集会」 を開催した。
ついては、本日の県民集会が所期の目的を達 成すべく、ご支援ご協力賜りますようお願い申 しあげ挨拶とする。
その後、県内若手お笑いコンビ「ゆうりきや ー」による、厳しい医療現場の実態を表す風刺 劇が行われた。
続いて、宮城会長から当県民集会開催の趣旨 説明が行われ、「政府の社会保障費削減継続に より、医師不足、看護師不足、産科、小児科、 救急医療の荒廃等、地域医療が崩壊に陥った現 状」について詳細な説明があった。
意見表明では、参加団体を代表して沖縄県婦 人連合会会長の大城節子氏、沖縄県老人クラブ 連合会副会長の山田君子氏のお二人が以下のと おり意見を述べられた。
ゆうりきやー
意見発表:大城節子氏
(沖縄県婦人連合会会長)
福田総理大臣は「国 民ひとり一人が安心し て暮らせるようになっ たと実感できる社会を 実現する」と発言して おられます。
しかも、救急医療や 医師不足解消が重要課題であるとも云っておら れますが、社会保障費削減路線は撤回されず、 毎年2,200 億円を機械的に削減すると云われ、 びっくりしています。
そうなりますと、医療費が大幅に削られ「救 急で受け入れてもらえない」「お産ができない」 「夜間診てくれる小児科医がいない」等々の問 題が生じてくるのは明白だと思います。
特に、地域の中核病院で働く医師の状況は過 酷で、外来と病棟の診察、手術、夜間の救急ま でこなし、当直を含めて36 時間連続勤務も珍 しくないと伺っています。このことは、もちろ ん県内でも起こりうることだと思います。
救急医療や、医師不足解消が重要課題と云わ れた福田総理や厚生労働省の施策は一体どうな っているのでしょうか。国民の目に見える対策 を示して貰いたいものです。
社会保障費抑制、つまり2,200 億円の削減 は、医療を後退させ、ひいては国民医療に不安を与えることになります。病気は高齢者のみで なく誰にでも罹るものです。つまり「病気は人 を選ばず」のたとえです。
年間、2,200 億円の社会保障費を削減し、国 民を不安におとしめるより、道路財源や各省庁 の天下り等無駄に使用される税金を、社会保障 費に充てることにより、福田総理の云われる 「国民ひとり一人が安心して暮らせるようにな ったと実感できる社会の実現」となると確信し ます。
皆様と共に、「地域医療崩壊阻止に向けて」 声を出して頑張ります。
意見発表:山田君子氏
(沖縄県老人クラブ連合会副会長)
政府は医療費適正化 の名目の下に、病院、 診療所等の診療報酬の 抑制を2 年毎の改定の 度に行ってきました。 これと併行して患者の 自己負担増と、給付制 限を実施してきました。そして、さらに社会保 障費を毎年2,200 億円削減しています。
日本の経済の伸びとは反対に日本の医療費の 支出は下がっているのが現状です。政府は、何 が何でも医療費を抑えようとしています。そん な理不尽なことがあるのでしょうか。
我々、高齢者にとって、病院、診療所はライ フラインの大切な頼りとするところであり、健 全な運営存続が必要不可欠です。しかし、その 大切な医療機関や病床の閉鎖が続発し、高齢者 にとって大きな不安です。
政府は、政策の失政を高齢者に押し付けよう としています。加齢と共にいろいろな病気が大 なり小なり出てきます。どうしようもない事象 です。このような政府のやり方は淋しくて切な い思いがします。この病気とこの体をどこかに 投げ捨てたい衝動にかき立てられます。
私たちの願いは、病気にかかったときは、運 営のしっかりした医療機関で適切な給付を受け て老後を過ごしたい。誰しも思うごく当たり前 の願いです。私たちも大事な医療費を有効に使 う為の知恵をもっと勉強していかなければなら ないと思っています。政府も無駄な財源支出を なくし、国民の医療や福祉を守ろうとする姿勢 を国民に見せて下さい。信頼できる政府づくり をまず考えて下さい。日本から医療崩壊危機と いう言葉をなくすよう努めて下さい。
その後、決議に移り、当医療推進協議会高嶺 明彦副会長(沖縄県歯科医師会長)から国や関 係機関に対し「社会保障費年2,200 億円削減撤 廃」を求める決議について提案があり、満場一 致で決議案が採択された。
最後に、当医療推進協議会大嶺千枝子(沖縄 県看護協会長)より閉会の挨拶が述べられ、会 の幕を閉じた。
会場を埋めつくす県民集会参加者