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琉球メディカル昆虫同好会

小林竜司

安立病院 小林 竜司

緑蔭随筆を依頼されたので趣味の昆虫採集、 飼育について書きたいと思います。

今から4 年ほど前に当時3 歳の息子が親戚か らもらったオキナワカブトを飼育していまし た。沖縄にカブトムシが生息していたかな?と ネットで調べると野外品のオキナワカブトは珍 しく、ほとんどがヤンバルでしか採れないとの ことでした。ホームセンターでは本土カブトが 売っていますが種が異なり、オキナワカブトは小型でキュウキュウと鳴くのが特徴です。当 初、私は興味がありませんでしたが子供とのコ ミュニケーションを図るため採集と飼育を始め ました。これがきっかけとなり昆虫の採集、飼 育が現在の私の趣味となりました。

それから息子と近所の公園に捕虫網を持って 採集に行きましたが、バッタぐらいしか採れま せんでした。山の方にも足を運びましたが、ハ ブが怖くて草むらには入れませんでした。あち こちの木を見て回りましたが、しばらく何も採 れない日々が続きました。そのうち知人から夜 にヤンバルに行って外灯の下を探せば採れると いう話を聞き、家族でドライブを兼ねてヤンバ ルまで昆虫採集に行くことにしました。

名護まで高速を使って1 時間、ヤンバルの山 まで1 時間、片道約2 時間の長い行程でした。 そこで主にダムや外灯の下を探しました。努力 の甲斐があって、その年はオキナワヒラタクワ ガタ、オキナワノコギリクワガタ、オキナワカ ブト、リュウキュウコクワなどを採集すること ができました。かなり遠かったのですが、家族 での採集はとても楽しいものでした。それから 夏場のヤンバルへのドライブは家族行事となり ました。

最近では近くの公園でオキナワヒラタクワガ タやノコギリクワガタが採集できるようになり ました。以前、知人が採れるようになるまで3 年近くかかったと話していました。私も同じよ うに約3 年近くかけて採れるようになりまし た。採集には場所はもちろんですが、気温や湿 度、草木などいろいろな要因が絡んできます。 時間帯としては早朝や夜間に行くことが多いで す。夏場の発生が多い時期なら昼間でも採集す ることができます。今後も続けていきますが、 大型の個体を採ってみたいものです。余談です が、フィールドではハチやハブなど危険な生き 物も多いため、十分に気をつけるようにしてい ます。

また実際に自分で採集した個体から卵を取 り、幼虫から成虫へと累代することもできまし た。それは購入した個体を飼育するよりも、と ても楽しいものでした。幼虫から成虫になるま での期間は種類によって違いますが、半年から 2 年近くかかります。マット交換、夏場の温度 管理などいろいろ考えなければいけないことが 多いです。結構難しいものですが、試行錯誤し ながら飼育を楽しんでいます。

少し前に琉球メディカル昆虫同好会の存在を 知り入会しました。この会は蝶や甲虫などに詳 しい先生方の集まりです。印象としては蝶が専 門の方が多いように思いました。そこで諸先生 方から外国(東南アジアや南米)で蝶やコーカ サスオオカブトなどを採集した体験談や石垣島 や西表島など離島での採集話を聞き、とても興 味が惹かれました。外国での昆虫採集はスケー ルが大きく面白い話しでした。仕事が忙しく長 期の休みはなかなか取れませんが、いつか私も 沖縄本島以外で採集旅行に行きたいと思ってい ます。

昨年8 月に南部医療センターにて琉球メディ カル昆虫同好会主催の昆虫展を開催しました。 蝶、ハナムグリ、カミキリ、カブトムシ、クワ ガタムシなどたくさんの標本を展示しました。 私はドイツ箱ひとつのみの提供でしたが、標本 作成は結構大変でした。また日曜日の1 日だけ でしたが、蝶の標本作成や外国産のカブトム シ・クワガタムシの展示を行いました。おまけ として、採集してきたクワガタムシ約50 匹の 無料配布を行いました。子供達がたくさん集ま り、大成功でした。

沖縄の甲虫に興味を持ったのは、本土のもの とは異なる種類が多いからです。特にクワガタ ムシに関して言えば、「日本には8 8 種類 (39+49 亜種)が生息しており、その内トカラ 諸島以南の琉球列島には35 種類(17+18 亜種) が分布しています。琉球列島の面積は日本全体 の約1 %です。狭い面積に日本のクワガタムシ 全種類の約40 %が生息していることになりま す」(沖縄のクワガタムシより抜粋)。大陸の移 動に伴い、現在のような琉球列島が形成され島 に残された種が色や形など独自の進化をとげた と考えられています。沖縄は亜熱帯であり、いろいろな昆虫が存在して面白いと思います。採 集者にはかなり恵まれた環境です。今後も趣味 として昆虫の採集、飼育を行い研究してみよう と思います。

最後になりましたが、2006 年の秋に希少種 であるオキナワマルバネクワガタ野外品のメス を採集することができました。難しい種ですが 累代して飼育中です。今年の秋には成虫がみら れるものと思います。

(参考文献:沖縄のクワガタムシ下地幸夫著) 追記: 2008 年7 月26 日(土)〜 8 月30 日 (土)の期間、南部医療センター1 階ギャラリ ーにて昆虫展を行います。

オキナワノコギリクワガタ67mm
2008 年6 月30 日自己採集品

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