常任理事 大山 朝賢
左から、瀧下修一先生、佐藤良也先生、須加原一博先生
去った6 月4 日(水)ラグナガーデンホテル (羽衣の間)で、新・旧琉球大学医学部長・附 属病院長の慰労会と激励会が催された。琉大前 医学部長の坂梨又郎生体制御医科学(薬理学) 教授は所用で欠席されたのは大変残念でした。 しかし、瀧下修一琉大附属病院前院長、佐藤良 也新医学部長、須加原一博新病院長はご出席さ れ、主催側の宮城信雄沖縄県医師会長の挨拶で 幕びらきとなった。
挨 拶
宮城会長は挨拶で 「本県における琉球大学 医学部並びに同附属病 院の役割は非常に大き く、医学教育は元より常 に県民に対し最新の医 療を提供並びに地域医 療の構築にご尽力頂い ております。さらには東南アジアを主とする諸 外国との学術交流及び保健・医療協力にも積極 的に取り組まれ、国際性豊かな医学部として着実に発展を遂げております。」と琉大を高く評価 した。そして歴代医学部長、同附属病院長等の たゆまぬ努力をたたえながらこの度退任される 両先生の在任中のご活躍を披露された。「この度 医学部長をご退任されました坂梨先生におかれ ましては、平成16 年の医学部長ご就任早々、独 立行政法人制度導入に伴う大学の組織改革に取 り組まれており、自主性、独自性を発揮すべく その運営にご尽力されると共に、併せて、卒後 臨床研修制度にも取り組まなければならず、正 に初物づくしの中で、その重責を担ってこられ ました。瀧下先生におかれましては、平成16 年 4 月から附属病院長の重責を担われると同時に、 本年3 月までの4 年間、沖縄県医師会執行部の 一員として本会会務の運営並びに事業の推進は もとより、本会と琉球大学医学部との橋渡し役 を担って頂きました。会務では学術高揚の発展 に大きく貢献されると共に、勤務医問題担当理 事として、昨年10 月に開催いたしました、全国 医師会勤務医部会連絡協議会の開催にご尽力い ただいており、おかげを持ちまして全国から380 名余の参加者を得て無事成功裏に終了しており ます。ここに改めてお二方のこれまでのご苦労に対し、衷心より深甚なる敬意と感謝の意を表 する次第であります。」
会長はさらに佐藤良也新医学部長及び須加原 一博新病院長に対して「この度、医学部長にご 就任されました佐藤先生におかれましては、寄生 虫学、免疫学をご専門とされ、長年マラリアな どの寄生虫病を対象とした感染防御免疫の研究 に従事されております。先生は、国際的な各種 公衆衛生プロジェクトにも参画され、その指導力 は高い評価を受けており、今後は医学部長とし て強力なリーダーシップを発揮していただけるも のとご期待申しあげます。また、病院長にご就任 された須加原先生は、これまで本会の代議員、 広報委員会委員として幅広いご識見の下に、会 務運営にご尽力いただくと共に、昨年本県で開 催されました全国医師会勤務医部会連絡協議会 においては、シンポジストとしてご参加頂きまし た。更に、今年の4 月からは瀧下先生の後任とし て沖縄県医師会の理事にご就任頂いております。 先生には、大学と医師会のパイプ役を担って頂 き、県下の医療福祉の向上にご尽力お願い申し 上げる次第であります。」と挨拶された。
続いて伊波輝美県福 祉保健部長より「坂 梨・瀧下両先生のご在 任中の実績は枚挙にい とまがありません。医 学生に対して離島医療 体験を実習の一環とし て行う『RITO プロ事 業(離島医療人養成教育プログラム事業)』を 推進されますと共に、『沖縄県地域医療対策協 議会』において、本県の中長期的な医師確保対 策に道筋を示して頂きました。また、本年2 月 には琉大病院が『都道府県がん診療連携拠点病 院』として厚生労働大臣の指定を受けるなど、 医療の高度化にご尽力賜りました。本県におけ る保健・医療・福祉の向上のために、多大なご 指導・ご協力をいただきましたことに重ねて感 謝申し上げます。新たに就任されました佐藤・ 須加原両先生におかれましては、医師の確保や 医療提供体制の充実など重要課題の解決に向けて、豊富な経験と優れた指導力を発揮していた だくことにより、沖縄県の医療行政が充実する ものと期待しております。」と挨拶がなされた。 このあと瀧下先生、佐藤先生及び須加原先生の 順で挨拶がなされた。
瀧下修一前病院 長(第三内科教授) は国立から法人化 してまもない琉大病 院の土台を支えな がら県医師会理事 としてほぼ毎週県医 師会理事会に出席 されていた。昨年 10 月の本県で行われた勤務医部会総会の準備、 実行等は大変だったと思います。激励会場、羽 衣の間のヒナ段でのご挨拶で瀧下先生が「前回 は古謝先生(元第2 外科教授、瀧下先生の前の 琉大病院長で県医師会理事)が“この席”にお られ、早く(私も)その席に坐りたいと感じて おりました」は本音だったと思います。4 年間 の琉大の病院長及び県医師会の理事、大変おつ かれさまでございました。
佐藤良也新医学 部長(熱帯寄生虫 学教授)はご自分が 医学部長に就任して はじめて困難な課題 が山積みしているこ とを実感してきたこ とを述べられた。そ の1 つとして、舛添 厚労相が配慮した医師不足に対する地域枠の学 生数の受け入れの件では2 名としたことに対し 次の様に述べられた。「早速文科省からは宿題 がきて沖縄県は2 名増で良いのか?という話が ありました。確かに2 名については、県との調 整があってそのようになりましたが、当然2 名 増で今の問題解決に繋がるか疑問であります が、私自身これから色々なことを考えて、一般学生の中の5 人でも10 人でも地域枠として特化 していくとか、あるいは現在の学士入学で3 年 次編入の学生5 人を受け入れておりますが、こ の学士入学の学生を地域枠に特化するといった ことをこれから医学部独自で考えていきたいと 思います。こういうことをやってきて感じます ことは、地域医療に特化した学生を育てていく ときに、大学が出来ることというよりもやはり 「地域医療とは何ぞや?」ということを実際の 地域医療の現場で働いておられる先生方から学 生に教えていただくことにより、学生のモチベ ーションも作られていく部分が大きいと思いま すので、今後このプログラムがスタートしまし たら、できるだけ学生については地域の医療機 関の中で、育てていただくようにこの場を借り てお願いをしたいと思います。」
須加原一博新病 院長(麻酔科学教 授)が最後に立ち 上がって「瀧下先 生が(琉大病院の) 経営の基盤を作ら れておりますが、基 盤は出来たんです が、これからはどう しても経営は赤字になる予定です。それを覚悟 で私も引き受けましてこれをどうしたら良いか と考え、やはり大学の存在意義を沖縄県におい て示す以外にないのではないかと思っておりま す。それも医師会あるいは病院との連携をより 強く結び、お互いに補完しながら、沖縄に立派な大学病院あるいは研修プログラムを作ってい くことで解決していかなければ私も途中で首に なるのではないかと恐れているところです。今 後は、医師会あるいは県立病院、大学病院にお いて3 つの研修プログラムがありますが、その 中で150 人という全国一の研修医がきてます し、後期研修医も全国3 位に残っていますけれ どもそれでも医療問題が起きていることはやは り解決しなければならない大きな問題があるの ではないか。その一つが大学と医師会、あるい は3 つのプログラムを一緒にして、後期研修ま でやりたいと思うようなプログラムを作れば何 とか近々の問題も解決していくのではないかと 考えておりますので、誠心誠意努力していきた いと思っております。」と強い決意を述べられ た。お二方の今後は大いに期待出来るものと確 信致しました。
坂梨・瀧下両先生のさらなるご活躍、佐藤・ 須加原両先生のこれからのご活躍とご出席の 方々を含めたご健勝を祈念し、新垣善一沖縄県 医師会代議員会議長により乾杯がなされ懇親会 へと移っていった。