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「ダメ。ゼッタイ。」普及運動(6/20 〜 7/19)、
国際麻薬乱用撲滅デー(6/26)に寄せて
−薬剤師会における薬物乱用防止への取り組み(方針)について−

柴田忠佳

沖縄県薬剤師会・学校薬剤師会会員
(前日本薬剤師会中央薬事情報センター)
柴田 忠佳

はじめに

「ダメ。ゼッタイ。」普及運動は、「国連薬物 乱用根絶宣言」の支援事業の一環として行われ ています。本運動は、官民一体となって、国民 の薬物乱用問題に対する認識を高め、併せて 「国際麻薬乱用撲滅デー」の周知を図りながら、 内外における薬物乱用防止に資するために行う ものです。本運動には、日本薬剤師会並びに日 本学校薬剤師会も後援団体として参加しており ますが、今回はこれに関連し、「日本薬剤師会 学校薬剤師活動方針」の中に規定されている 「薬物乱用防止啓発活動」の主な内容を紹介し ながら、薬剤師会における薬物乱用防止への取 り組み(方針)についてご報告します。

1.日本薬剤師会 学校薬剤師活動方針につ いて

日本薬剤師会は、昨年、今後の学校薬剤師の 活動を明確化した「日本薬剤師会学校薬剤師 活動方針」を策定しました。これは、学校薬剤 師の活動を支援するために、日本薬剤師会職種 部会の中の学校薬剤師部会を中心に、都道府県 薬剤師会(学校薬剤師部会)、支部薬剤師会 (学校薬剤師部会)、並びに学校薬剤師が取り組 んでいくための具体的な活動方針を作成したも のです。

活動方針の策定にあたり、日本薬剤師会(学 校薬剤師部会)では学校薬剤師活動を基本的に 以下の二つに分類しました。

1)学校保健法施行規則第25 条及び22 条の二に 基づく学校薬剤師としての職務の充実と徹底

2)社会的要請に基づく学校薬剤師活動の拡大と 充実

このうち「社会的要請に基づく学校薬剤師活 動の拡大と充実」の中に「薬物乱用防止啓発活 動」が提示されています。

2.薬物乱用防止啓発活動について

学校教育において、薬物乱用防止に関する薬 剤師の果たす役割が期待されています。薬剤師 (薬剤師会)が小・中・高等学校及び学校保健 委員会と連携を図り、児童生徒及び教職員・ PTA をはじめとする学校関係者を対象とする 薬物乱用防止啓発活動を積極的に実施(支援) することとされています。

具体的には、学校薬剤師、支部薬剤師会(学 校薬剤師会)、都道府県薬剤師会(学校薬剤師 会)、日本薬剤師会(学校薬剤師会)それぞれ の立場において、以下のような方針が示されて います。

2-1.学校薬剤師

(1)授業等へ講師として参画し、次の項目を中 心として講義をする。

  • 1)喫煙防止
  • 2)飲酒の影響
  • 3)シンナーの害
  • 4)覚せい剤・麻薬・大麻等の薬物乱用防止等

(2)次のような機会をとらえ、薬物乱用根絶運 動に参加・協力する。

  • 1)6.26 ヤング街頭キャンペーン
  • 2)国連支援募金

2-2.支部薬剤師会(学校薬剤師会)

1)市町村教育委員会、薬務主管部局、警察関係 等と連携を図り、学校薬剤師の教育現場にお ける薬物乱用防止啓発活動に対し資料を提供 する等、環境整備に努める。

2)薬物乱用根絶運動に協力するとともに、学校 薬剤師への研修を実施する。

2-3.都道府県薬剤師会(学校薬剤師会)

1)都道府県教育委員会、薬務主管部局、警察関 係等と連携を図り、学校薬剤師の教育現場に おける薬物乱用防止啓発活動を支援する。

2)支部薬剤師会(学校薬剤師会)が行う研修を 支援する。

3)講師となる学校薬剤師を支援する。

2-4.日本薬剤師会(学校薬剤師会)

厚生労働省、文部科学省、(財)日本学校保 健会、(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センター 等関係機関との連携を図り、学校薬剤師が薬物 乱用防止啓発活動に積極的に参画できる環境を 整備する。

おわりに

薬物乱用の問題は世界的規模で広がりを見 せ、日本においても例外ではなく社会問題とな っています。特に、この問題に対する青少年の 関与が拡大していることは、大変深刻な状況に なっております。これまでの学校における薬剤 師の活動は、学校保健法に示された「学校環境 衛生」の分野が中心でした。しかし今後は、こ の分野は勿論のこと、薬学教育6 年制がスター トした今、日本薬剤師会(学校薬剤師部会)で は、多様化する社会的要請に基づく薬剤師の活 動の重要性をより強く認識し、その中でも重要 な課題の一つである薬物乱用防止への取り組み を、関係各方面と連携を図りつつ積極的に進め ていくことを活動方針に掲げております。