常任理事 安里 哲好
去る3 月13 日(木)、県庁3 階第3 会議室に おいて標記連絡会議が行われた。
<提案要旨>
沖縄県は、平成20 年度予算で「救急医療用 ヘリコプター活用事業」として、5,600 万円 (1/2 は国の補助)の予算を確保されている。
新聞報道によると、沖縄県では、関係者によ る運航調整委員会を発足させ、運航マニュアル 等を整備し、早ければ年内の運航開始を目指す とのことだが、沖縄県は、調整委員会の開催時 期・委員構成、どのような運用形態を考えてお られるのか等、お伺いしたい。
なお、現在、本県では、民間2 病院(浦添総 合病院、北部地区医師会病院)が独自に「ドク ター・ヘリ事業」を実施し実績をあげており、 地域住民の評価も得ているところである。
併せて、ヘリコプター等添乗医師等確保事業 による夜間のヘリコプター搬送との整合性を図 っていただきたい。
<福祉保健部回答>
平成20 年度から予定している。「救急医療用 ヘリコプター活用事業」は、国の補助を受けて 実施するもので、運航範囲は、本島北部地区を はじめ、沖縄本島全域及び周辺離島を対象とし ている。
なお、出動要請基準や自衛隊による急患空輸 との連携などについては、国、県、市町村、医 師会及び消防機関等から構成する「運航調整委 員会」において協議することとしており、開催 時期については、5 月頃を予定している。
<質 疑>
○医師会:県内の既存のドクター・ヘリを運航 している病院はどうなるのか。北部地区医師会 が補助金の支給について署名活動をしているが、 何らかの方法、例えば、医師会が窓口になると かで2 ヶ所に支給できるようにはできないか。
○福祉保健部:県としては、委託事業としてで はなく、補助事業とすることにしている。従っ て、現在、救命救急センターでドクター・ヘリ 事業を行っている医療機関が対象となり、浦添 総合病院を想定している。同院は、本島周辺離 島をカバーできる中間地点にヘリがあり、条件 に沿うと考えている。
○医師会:直にヘリポート持っている北部地区 医師会病院や琉大病院はどうなるのか。
また、地域の声として名護市長が「北部地区 医師会病院のドクター・ヘリ事業を対象とする よう」要請があったと思うが、都道府県知事の 裁量権はないのか。
○福祉保健部:南北大東と夜間搬送はヘリ添事 業で、昼間はドクター・ヘリ事業で対応したい と考えている。浦添総合病院は、沖縄電力の土 地を利用して救急病院の近くにいけるようにな っている。
北部地区医師会の署名活動については聞いて いるが、救命救急センターでなくてはいけない という基準があるので、補助事業の対象になら ない。
現段階では無理。2 機目の考慮にはなるかも。 北部地区医師会病院の指定(救命救急センター)の問題もない。認定を受けておらず基準的 に難しい。
○医師会:国が運用基準について、日本医師会 の委員会に聞いたら“弾力的運用”ができるの ではとのことであったがどうか。
○医師会: 2 機を運用していける方法はない か。あるいは別の事業で対応できる方法はない か検討いただきたい。
○福祉保健部:要件に関しては、厚労省と5 月 から調整が始まる。
<提案要旨>
災害時により傷病者が短時間に集団的に発生 した場合、沖縄県地域防災計画に基づき、県 は、(社)沖縄県医師会等に対し、医療班の派 遣を要請することとなっており、医療班の派遣 が円滑に実施される上で、協定を早期に締結し たいと考えている。
つきましては、平成20 年2 月15 日付け沖医 発第1116 号による貴会の意見(下記5 点)を 踏まえ、沖縄県としては、医療事故への対応の 必要性をもりこんだ修正案を策定したので検討 方お願いしたい。
※医師会から修正・追加要望意見を提出した 5 点
1)医療救護活動中に、負傷・疾病にかか り、または死亡した場合の扶助額について 沖縄県の医師の平均賃金等を参考基準に適 正な額となるよう修正いただきたい。2)訓 練への参加費用は参加者負担ではなく沖縄 県の負担としていただきたい。3)二次災害 の場合も補償することを盛り込んでいただ きたい。4)医療紛争への対応について盛り 込んでいただきたい。5)沖縄県の指示によ り救護活動を開始するのでは遅滞が生じる ので、医師会の行動を制限しないように変 更いただきたい。
<本会回答>
次回理事会にて検討のうえ、回答する。
<質 疑>
○医師会:補償額は、あとで文書で通知する のか。
○福祉保健部:職業・経験等を踏まえ検討する。
<提案要旨>
沖縄県では、県民の行動目標(行動指針)と して、「チャーガンジュー9 か条」を作成した。 「健康おきなわ2010 推進県民会議」をより広範 で多くの関係機関や関係団体が参加できる「チ ャーガンジューおきなわ応援団」へ発展改組 し、より効果的に県民の健康づくりを支援する 仕組みづくりなど「アクションプラン推進協議 会」を設置することとしている。平成20 年に 開始されるアクションプランの取り組みつい て、県としては、引き続き県医師会のご理解・ ご協力を得て「健康・長寿沖縄」の維持継承に 向けた取り組みや連携を要請したい。
<県医師会回答>
特に異議なく協力要請を了解した。
<報告要旨>
ヘリコプター等添乗医師等確保事業の円滑な 実施を図るため、「ヘリコプター等添乗医師等 確保事業運営会議及び急患空輸の今後のあり方 会議」において協議を重ねた結果、県、離島市 町村、協力病院間で本年3 月下旬に協定を締結 することになった。協定書の内容は、実施主体 の明確化や、各機関の役割分担等を明記した内 容となっている。
協力協定書に参加する病院は、県立中部病 院、浦添総合病院、県立南部医療センター・こ ども医療センター、沖縄赤十字病院、沖縄協同 病院、豊見城中央病院、南部徳洲会病院となっ ている。なお、琉球大学医学部附属病院と那覇 市立病院は参加しないことになった。
<医師会回答>
もっとよりよいものとする意識を持ってやっ てもらいたい。20 年間変わっていない。事故 が2 件も起きてからの対応では遅い。きちんと した対応をお願いしたい。
印象記
常任理事 安里 哲好
ドクター・ヘリ事業は医療制度(救命救急センターを要する施設であることの要件)の中のみ で、実施されて行くことが絶対条件であろうか。それとも、地域の実情や地理的背景を加味して、 地方の最終責任者である県知事の裁量権の中で施行される可能性の余地は無いのか。この度、北 部地区医師会病院のドクター・ヘリ事業への参画に際し、地域医療活動の現状と医療制度、そし て県行政的判断と地域住民の市長を中心とする知事への嘆願、加えて参議院議員島尻氏による国 会での質問と舛添厚労大臣の答弁へと展開している現状を鑑み、地域医療の必要性は粘り強く訴 えていくことの大切さを痛切に感じているし、そのことが我々の役目でもあろうと思慮する。
沖縄県と県医師会における災害時の医療救護に関する協定書(修正案)の締結に関しては県理 事会で再度内容を吟味し回答することになった。災害時の管理体制とスムーズな連携、そして効 果的医療救護が実施されるよう希望すると同時に、災害医療救護における二次災害時の補償や災 害・疾病者との医事紛争においても、適切な対応が望まれる。
「健康おきなわ21」行動計画(アクションプラン)推進への協力要請については地区医師会の 協力を経て、いかに具体的に実施して行く事が課題であろう。
離島からの急患を空輸するヘリコプター等への医師等の添乗に関する協力協定書の締結につい ては参加する病院に敬意を払いたい。今回、参加を断念した病院は次回の参加を切に希望する。