てるや整形外科 照屋 勉
沖縄県医師会の広報委員会にて、『随筆』の コーナーに、広報委員一人一稿の話が持ち上が りました。(やはり、掲載原稿が少ないため、 会報発行にあたり若干苦労しております。会員 の皆様、何卒ご協力の程お願い申し上げます!) いろいろ考えた末、以前、新聞に投稿した小生 の拙文を多少デフォルメして再度投稿させて頂 きたいと思います・・・。タイトルは、『食 育のすすめ〜パートU〜』・・・。二番煎じを お許しください・・・。
今、「食育」がブームである。平成17 年7 月 に制定された食育基本法によると、「知育・徳 育・体育」の基礎に「食育」があるとされてい る。さらに、一歩進めてメンタルケアを含めた 「気育」も重要と、小生は考えるのである。沖 縄県南部の「具志頭小学校」・「具志頭中学 校」は、「食育」のモデル校に指定されたため、 ファーストフードに慣らされた子供達にスロー フードを勧めたり、バランスのとれた食事や朝 食の重要性を指導したり、食事中のマナー(お 箸の持ち方etc)や食材の歴史などを話し合う 機会を設けたり、料理体験・農業体験を実施し たり、『食』を通してより良く子供達を育てて いこうという校内研修の真最中である。『望ま しい食生活ができる児童生徒の育成〜学校の食 育指導の充実と学校・家庭・地域の連携を通し て〜』というテーマを掲げた八重瀬町食育検討 委員会においても、様々な職種の委員よって質 疑応答がなされ、忌憚のない意見交換が行われ てきた。家庭・学校・地域のさらなる連 携・・・。培ってきた「食育」という活動の継 続・・・。八重瀬町を挙げて、待った無しの 「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群) 対策」・・・。まだまだ、現実問題として、難題山積ではあるが、先日の八重瀬町食育検討委 員会においてこのような「最終提言」がなされ たのである。
以前、テレビの番組で、“「食育」のスペシャ リスト服部幸應先生”が五つの『こ食』につい て話をされていた。まず、『孤食』〜子供だけの 朝食(31 %)。孤独な食生活で栄養バランスも崩 れ、精神面での弊害も顕著になるのである。塾 帰りの車の中でコンビニ弁当というのは考えも のである。次に、『個食』〜同じテーブルで各々 違うメニューの料理を食べると、協調性のない 子供が増えるとのこと。やはり、“大皿料理でみ んなでワイワイ”が一番なのである。『固食』〜 自分の好きな物だけ固定して食べる。「ばっかり 食べ」は味覚障害になりやすいのである。『粉食』 〜ラーメン・うどんなど粉を使った食事が多く なると、栄養バランスはやはり悪くなるのであ る。最後は、『小食』〜無理なダイエットも、カ ルシウム不足による骨粗鬆症の問題だけではな く、拒食症など精神面への悪影響も計り知れな いのである。肥満は当然だが、やせ過ぎも長生 きできないようである。八重瀬町の「食育研究 報告書」や、「食育のすすめ通信:最新レポー ト」を見ても、1)栄養の偏り、2)肥満傾向(肥 満沖縄全国一〜羽田空港における沖縄行きの出 発搭乗口に並ぶ行列は肥満体の男性軍でいっぱ い・・・。あ〜、ウチアタイ・・・。)、3)集中 力の欠如、4)すぐにキレル心の問題、5)引きこ もり・不登校・いじめの問題、6)食品の安全 性・食料自給率の低下・食料の大量廃棄・・・ などなど「食育」をとりまく環境は一筋縄では いかない状況なのである。
ところで、『ダイエット』という言葉には、 「人生の指針」、「ライフスタイル」という意味 があるらしい。標準体重を意識して、総摂取カ ロリーを考えて、食事日記・体重日記をつけな がら、健康的に『ダイエット』していきたいと 思っているのであるが、これこそが最大の無理 難題なのである。『まごわやさしい!』・・・。 「ま」=豆類・豆腐など。「ご」=ごま・ごま油。「わ」=わかめ等の海藻類。「や」=野菜。 「さ」=魚。「し」=しいたけ等のきのこ類。 「い」=芋・こんにゃく等。子供達に話す時は、 『まご・たち・わやさしい!』・・・。「た」= (動物性)たんぱく質。「ち」=チーズ等の乳製 品。楽しい晩ご飯の食卓に、これらの食材がお かずの中にほど良くちりばめられているか否 か、是非確認して欲しいと思うのである。『大 食小食』・・・。大食漢はあまり長生きできな いので、長い人生から見ると結果的には小食で ある・・・。できることなら、「ヨーガリーの ガンジュームン」をめざしたいものである。
先日、「長寿世界一復活に向けたアクション プラン」にあたる「健康おきなわ21(素案)」 (表1)が提示された。素案は「健康おきなわ 2010」の改訂版である。栄養対策(食育のす すめ)、運動対策(貯筋のすすめ)、たばこ対策 (禁煙のすすめ)、アルコール対策(節酒のすす め)、ストレスマネージメント(笑いのすすめ)、 歯科保健対策(歯ブラシのすすめ)の六つの柱 をベースに「肥満対策」、「メタボ対策」の数値 目標が高らかに掲げられていた。生活習慣の指 標の目標値を2017 年までに達成する事ができ るのか、またまたさらなる下方修正が必要とな るのか、相当な覚悟を持った県民の意識改革が 求められているのである。PTA(家庭・学校) +C(Community :地域)= PTCA をキーワー ドに、行政、県医師会、地区医師会、各分科会 が一丸となって、県医師会宮城信雄会長が話さ れていた「慢心せず地道な努力をする県民運 動」を実践するまさにその時期にきているので ある。年をとっても鍛える事のできる唯一の臓 器である筋肉をさらに鍛え、「メタボ対策」に 加えて、「ロコモ(運動器不安定症)対策」も 続けながら、NNK(ねんねんころり)ではな く、PPK(ピンピンコロリ)と天寿をまっと うしたいものである。それにしても、4 〜 5 キ ロ程痩せてからでないと投稿してはいけない説 得力のない文章になってしまったことを、メタ ボ予備軍で「肥満」に悩む小生は深く反省して いる。自戒を込めて「食育」をおすすめしてい る今日この頃なのである。
表1