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バセドウ病

琉球大学医学部内分泌代謝内科（第二内科）教授
��須　信行

【要　旨】

1）び慢性の甲状腺腫があり、2）甲状腺ホルモン増加による症状（甲状腺中毒症状、 甲状腺機能亢進症状）、3）眼球突出のあるものをバセドウ病という。バセドウ病病因 物質はTRAb （TSH 受容体抗体）である。TRAb（TSAb）により甲状腺が刺激さ れ、1）甲状腺腫ができる。刺激された甲状腺は甲状腺ホルモンを過剰に分泌し、血 中甲状腺ホルモンが上昇し、頻脈などの2）甲状腺中毒症状がでる。これとは別に、 3）眼球突出、限局性粘液水腫などのバセドウ病特有の症状がある。

検査；血中甲状腺ホルモンは高値。血中TSH は低値。TRAb は96 ％で陽性。
診断；甲状腺腫、頻脈、眼球突出。血中甲状腺ホルモン高値。TSH 低値。TRAb 陽性。
治療；甲状腺ホルモン産生抑制

1. バセドウ病

バセドウ病は甲状腺の自己免疫疾患である。 甲状腺自己免疫疾患にはバセドウ病と橋本病が ある。バセドウ病では甲状腺機能亢進症、橋本 病では甲状腺機能低下症になる。甲状腺中毒症 は血中甲状腺ホルモンの増加である。甲状腺中 毒症には甲状腺機能が亢進するものと、低下す るものがある。甲状腺機能が亢進し、甲状腺中 毒症になるものの代表がバセドウ病である。1） び慢性の甲状腺腫があり、2）甲状腺ホルモン増 加による症状（甲状腺中毒症状、甲状腺機能亢 進症状）、3）眼球突出のあるものをバセドウ病と いう（図1）。1）甲状腺腫、2）頻脈、3）眼球突出 をメルセブルグ（Merseburg）の三徴という。

バセドウ病の病因は自己免疫により甲状腺刺 激物質ができることである。この異常甲状腺刺 激物質はB リンパ球がつくる抗体で、TSH 受容 体に対する抗体（T S H 受容体抗体： T S H receptor Ab ： TRAb）である。このTRAb は 甲状腺刺激抗体（thyroid stimulating Ab: TSAb）である。この甲状腺刺激物質TRAb （TSAb）は甲状腺を刺激し、甲状腺ホルモン生 成･分泌を促し、血中甲状腺ホルモンを増加す る。血中甲状腺ホルモンが増加すると、各臓器･ 組織に影響を及ぼし、頻脈、下痢、発汗過多な どの症状がでる。甲状腺中毒症、甲状腺機能亢 進症である。

亜急性甲状腺炎と無痛性甲状腺炎で甲状腺 中毒症になることがある。両者を破壊性甲状 腺炎という。甲状腺が破壊され、甲状腺ホル モンが血中に漏出するため甲状腺中毒症にな る。甲状腺機能は低下している。バセドウ病 と破壊性甲状腺炎を鑑別することが大切であ る。バセドウ病ではTRAb が陽性である。バ セドウ病では甲状腺機能は亢進している。

［病態生理］

1）甲状腺腫、2）頻脈（甲状腺中毒症状）、3） 眼球突出をメルセブルグの三徴という（図1）。 TRAb（TSAb）は甲状腺を刺激し、1）甲状腺 腫を作る。刺激された甲状腺は甲状腺ホルモン を過剰に産生・分泌する。血中甲状腺ホルモンが上昇し、頻脈などの2）甲状腺中毒症状がで る。これとは別に、3）眼球突出、限局性粘液水 腫などのバセドウ病特有の症状がある。

バセドウ病の病因は「B リンパ球が異常甲状 腺刺激物質、TSH 受容体抗体（TSH receptor Ab: TRAb）を産生する」ことである。こ のTRAb は甲状腺を刺激する甲状腺刺激抗体 TSAb である。TRAb は甲状腺を刺激し、血中 甲状腺ホルモン濃度を高め、甲状腺中毒症・甲 状腺機能亢進症を引き起こす。TRAb 産生は血 中甲状腺ホルモンにより抑制されない。バセド ウ病ではTRAb （TSAb）が甲状腺を刺激し、 血中甲状腺ホルモン産生を無制限に増加し、甲 状腺中毒症を引き起こす。

［臨床症状］

1）甲状腺腫、2）頻脈（甲状腺中毒症状）、3）眼 球突出をメルセブルグの三徴という（図1）。も っとも影響が大きいのは甲状腺中毒症状である。

1）び慢性甲状腺腫

ほとんどの例でみられる。甲状腺腫はび慢 性で、一般には左右対称である。右葉が大き いこともある。表面は平滑で、硬さは単純甲 状腺腫よりも硬く、橋本病よりも柔らかい。 聴診によりしばしば雑音を聴取する。猫喘を 触れることもある。

2）甲状腺中毒症状（甲状腺ホルモン過剰による 症状）

頻脈、発汗、体重減少などがあり、これら の症状は夏季に増悪する。

○全身症状　全身倦怠感、暑がり、微熱があ る。食欲が亢進しているのに体重減少があ る。しかし最近は食料事情がよいためか、 食欲亢進にともない体重増加を認めること もある。患者はいらいらし、神経質にな り、落ち着きがなくなる。

○循環器症状　心悸亢進を訴え、頻脈がみら れる。血圧は収縮期血圧が高く、拡張期血 圧が低くなり、脈圧が増大する。不整脈、 心房細動がみられる。心不全になることも ある。心房細動は高齢者で多い。

○消化器症状　食欲亢進、軟便、下痢がみら れる。

○神経・筋症状　手指振戦がみられ、四肢に 倦怠、脱力感あり、筋力が低下する。周期 性四肢麻痺、ミオパチーがみられることも ある。周期性四肢麻痺は20 〜 30 歳代アジ ヤ系男性にみられる。血清K 値は低値 （2.5 〜 3.5 mEq/L）。炭水化物過剰摂取 後、運動後、睡眠後、起床時に下肢の麻痺 がおこることが多い。

○皮膚　発汗過多になり、湿潤になる。

○骨　脱灰し、骨粗鬆症になり、病的骨折を おこす。

○性腺　月経過少、無月経となり、性欲は減 退する。不妊となる。

3）眼球突出、限局性粘液水腫などのバセドウ病 特有の症状

眼症状はバセドウ病に特徴的である。眼球 突出、眼裂拡大があり、眼光は鋭くなる。眼 球突出は10 〜 30 ％にみられる。Hertel 眼突 計で眼突度18mm 以上を眼球突出という。両側性であることが多い。またGraefe（眼球 を下方に移動させると眼裂が拡大し、上眼瞼 の移動が遅れる）、MÖbius（輻輳不全）など の徴候がみられる。

病歴、問診では、患者はいらいらし、神経質 で、落ち着きがない。せっかち。｢汗をかく｣、 ｢暑さに弱い｣、｢寒さに強い｣、｢軟便、下痢｣な どがある。食欲は亢進しているのに、体重は減 少する。

視診では、皮膚が甲状腺ホルモン過剰に敏感 に反応する。皮膚は湿潤。汗ばみ、しっとりと している。バセドウ病様顔貌になる。バセドウ 病では顔と眼に特徴がある。甲状腺腫と眼球突 出があればバセドウ病を考える。

自覚症状としては、いらいら感、暑がり、易 疲労感、体重減少など。

他覚的には、甲状腺腫と眼球突出。皮膚湿 潤。手指振戦。限局性粘液水腫。アキレス腱反 射亢進は診断的価値がある。

［頻度・性別］

女性に多い。男女比は1:3 〜 7。20 〜 40 歳 台に多いが、どの年齢でもみられる。頻度は不 明であるが、本邦での有病率は0.1 〜 1.0 ％で あろう。一般外来でみる甲状腺中毒症の頻度は 女性150 人に一人、男性600 人に一人であると いう^1）。橋本病による甲状腺機能低下症と同じ くらいの頻度であろう。

［バセドウ病発症］

遺伝的背景がある。H L A が関係する。 CTLA-4 の遺伝子多型が発症に関与する。遺 伝と環境は自己免疫性甲状腺疾患バセドウ病発 症、経過、寛解に重要な役割を果たす。バセド ウ病を親子、兄弟姉妹でみる。バセドウ病にか かりやすさが遺伝する。バセドウ病にかかりや すい遺伝的体質としてはある種のh u m a n leukocyte antigen（HLA）、cytotoxic T-lymphocyte associated molecule-4（CTLA-4）、 PD-L1 などが注目されている^2）。

［検査］

一般検査では、血清Chol の低下、Alk-Phos の上昇がみられる。周期性四肢麻痺がみられる 時には血清K は低下する。耐糖能異常がしばし ばみられる。

甲状腺の検査では、基礎代謝の上昇、甲状腺ヨ ード摂取率の増加がみられ、甲状腺シンチではび 慢性の甲状腺腫大が認められる。血中甲状腺ホル モン（T3、T4、遊離T3、遊離T4）は高値を示 す。血中TSH は低値あるいは測定感度以下にな る。下垂体TSH 分泌は低下し、TRH に反応しな い。バセドウ病原因物質TRAb は96 ％で陽性に なる。

［診断］

甲状腺腫、特徴的な甲状腺中毒症状、眼球突 出があれば診断は容易である。甲状腺機能検査 から診断する。血中甲状腺ホルモン（T4、T3） は高値を示し、TSH は低値あるいは測定感度 以下になる。TSH 受容体抗体（TRAb）は 96 ％で陽性になる。TRAb は甲状腺刺激抗体 TSAb であり、甲状腺を刺激し、バセドウ病の 原因になる。血清Chol の低下、Alk-Phos の上 昇がみられる。周期性四肢麻痺では血清K は低 下する。耐糖能異常をみる。バセドウ病診断基 準が提出されている^3）。

［治療］

甲状腺での甲状腺ホルモンの産生を抑制す る。治療の目標は薬を服用しないで正常状態 euthyroid を保つことである。これを寛解とい う。薬物療法、放射性ヨード療法、手術療法が ある。抗甲状腺剤にはメチルメルカプトイミダ ゾ− ル（MMI）とプロピルチオウラシル （PTU）がある。いずれも甲状腺内でのヨード 有機化を阻害し、甲状腺ホルモン生合成を抑制 する。TRAb を陰性化する。寛解をえる。

1．治療方針

A．治療の目的

　「寛解をえる」のが目的である。寛解とは 「薬を服用しないで甲状腺機能正常を保つ」ことである。

B．治療法の選択

　バセドウ病治療法には抗甲状腺薬（ATD） 薬物療法、放射性ヨード療法、手術療法があ る。薬物療法から開始する。ATD が使えな い例、寛解しにくい例では放射性ヨード療 法・手術療法で治療する。

1）抗甲状腺薬

甲状腺での甲状腺ホルモン産生を抑制する。 目標は服薬しないで甲状腺機能正常を保つこと である。これを寛解という。抗甲状腺剤 （ATD）にはメルカゾール（メチルメルカプト イミダゾール（MMI）［チアマゾール（thiamazole） ・メチマゾール（methimazole）］）と プロパジール（ プロピルチオウラシル （propylthiouracil: PTU））がある。いずれも 甲状腺内でのヨード有機化を阻害し、甲状腺ホ ルモン産生を抑制する。TRAb を陰性化する。 治療効果はMMI が優れる。MMI、PTU とも に副作用がある。PTU にはANCA 関連血管炎 がある。

（1）抗甲状腺薬の初期投与量

　重症で甲状腺ホルモンレベルを速やかに 正常化したいときはMMI 30mg で開始す る。軽症ではMMI 15 〜 20mg で始める。

（2）抗甲状腺薬の使いかた

　副作用は開始後3 か月以内に起こる。こ の期間は、原則として2 〜 3 週ごとにみる。 甲状腺ホルモンを測定し、血中甲状腺ホル モンが正常になったら、MMI を減量する。 30mg なら20mg に、15 〜 20mg なら10mg にする。ホルモンレベルを正常に保ちつつ 5mg ずつ漸減し、5mg ／日を維持量とする。

（3）抗甲状腺薬の副作用

　重篤な副作用は無顆粒球症である。頻度 は500 人に1 人。患者に副作用を説明し、 高熱、原因不明の咽頭痛が生じたら直ちに 来院するよう指示する。直ちに入院させ、 感染症対策とG-CSF を使用して白血球回 復をはかる。また副作用には多発性関節 炎、重症肝障害、ANCA 関連血管炎があ る。PTU に多い。尿検査で血尿をみる。 蕁麻疹を5 ％でみる。抗ヒスタミン薬で対 処する。程度が強い場合は他剤にする。肝 障害も多い。甲状腺中毒症のためにGOT、 GPT が上昇することがある。

2）投薬中止の目安

薬物療法による寛解率は2 年間の服薬で10 〜 20％。寛解の確実な指標はない。TRAb陰性を指 標にする。TRAb 陰性は必ずしも寛解ではない。

3）特殊な病態の治療

（1）妊娠合併　抗甲状腺薬（ATD）で治療 すれば妊娠の継続は可能である。妊娠を計 画している患者にはPTU を勧める。授乳 の場合は、乳汁への移行の低いPTU が望 ましい。

（2）甲状腺クリーゼ　甲状腺中毒症の劇症 型。致死率が高い。未治療、コントロール 不良の重症患者が感染などのストレスに曝 されると発症する。高熱、流れるような 汗、頻脈、興奮・せん妄などの精神不安、 循環不全-ショック状態になる。大量の ATD と無機ヨード、β受容体遮断薬を投 与する。脱水・循環不全-ショックの改善。 解熱処置。副腎皮質ホルモン投与。

（3）バセドウ病心房細動　甲状腺機能亢進症 をまず治療する。甲状腺機能を正常にする だけで心房細動が消失することがある。

［予後］

予後は良好である。しかし寛解をえるのはむ つかしい。

眼球突出が悪化して失明することがある。

診断・治療をせずに、放置しておくと甲状腺 クリーゼになり、死亡することがある。心房細 動で心不全になる。

2. TSH 受容体抗体（TSH-receptor antibody: TRAb）; TBII ・TSAb ・TSBAb

TRAb 測定法にはTBII（TSH-binding inhibitory IgG）、TSAb（thyroid stimulating Ab）とTSBAb（TSH-stimulation blockingAb）の三つがある（表1）。TBII はradioreceptor assay である（表1A）。TSH 受容体を 用い、TSH 結合阻害性IgG として測定する。 TBII はradioreceptor assay であり、細胞活 性をみるものではない。TSAb とTSBAb は T R A b の機能をみたものである（表1 B ）。 TRAb には刺激抗体TSAb と抑制抗体TSBAb がある。TSAb は甲状腺細胞を用い、cAMP 産 生を指標に甲状腺細胞刺激活性をみる。甲状腺 細胞刺激抗体（TSAb）として測定する。また TRAb にはTSH によるcAMP 産生増加を抑制 するTSBAb がある。

T R A b には刺激抗体T S A b と抑制抗体 TSBAb の二つがある（表1B）^4,5,6,7,8）。TSAb は甲状腺刺激抗体として働き、バセドウ病の原 因になる。TSAb は甲状腺細胞内cAMP を増 加し、甲状腺ホルモンの産生・分泌を亢進す る。TSBAb はブロッキング抗体・甲状腺抑制 抗体として働き、甲状腺機能低下症の原因にな る。TSBAb はTSH の作用を抑制し、cAMP 反応を低下させ、甲状腺ホルモンの産生・分泌 を抑制する。TSBAb はブロッキング抗体・甲 状腺抑制抗体として働き、甲状腺機能低下症の 原因になる。TRAb にはTSAb とTSBAb があ り、TSAb はバセドウ病、TSBAb は甲状腺機 能低下症の原因である。バセドウ病ではTRAb が甲状腺刺激抗体（TSAb）として働く。これ を刺激抗体TSAb という。またTRAb はブロ ッキング抗体（TSBAb）として働き、TSH の 作用をブロックし、甲状腺機能低下症の原因に なる。これをブロッキング抗体TSBAb とい う。ブロッキング抗体TSBAb による甲状腺機 能低下症では甲状腺は萎縮している。これを自 己免疫性萎縮性甲状腺炎という。慢性甲状腺炎 （autoimmune chronic thyroiditis）には甲状腺 腫のある橋本病（ autoimmune chronic goitrous Hashimoto’s thyroiditis）と甲状腺 腫のない萎縮性甲状腺炎（autoimmune chronic atrophic thyroiditis）がある^4,5,6）。

TRAb 測定法にはTBII、TSAb とTSBAb の三つがある（表1）。TRAb はバセドウ病の原 因である。バセドウ病では、このTRAb を TBII（表1A）あるいはTSAb（表1B1）とし て測定する。TBII はradioreceptor assay を 用いるTSH 結合阻害性IgG として測定する。 TSAb は甲状腺細胞を用い、cAMP を指標に刺激活性をみる。TBII はTSH 受容体レベルで TRAb を測定している。TBII（表1A）は TSAb（表1B1）とTSBAb（表1B2）を、甲 状腺細胞を刺激するか抑制するかを識別しな い。TSAb は甲状腺細胞刺激活性をみる。バセ ドウ病ではTSAb を測定する。TSBAb は TSH によるcAMP 上昇反応をどの程度抑制す るかをみる。TSBAb は甲状腺機能低下症の原 因である。TRAb はブロッキング抗体TSBAb となり、甲状腺機能低下症の原因になる。ブロ ッキング抗体による甲状腺機能低下症（萎縮性 甲状腺炎） ではT S B A b が陽性になる。 TSBAb を測定する。しかし、一般には甲状腺 機能亢進症ではTBII はTSAb を反映し、甲状 腺機能低下症ではTBII はTSBAb を反映する。

正常人ではTBII は0 ％をピークに、TSAb は100 ％をピークにともに正規分布を示す。未 治療バセドウ病患者のTBII、TSAb の分布を 示した（図2）^7,8）。ROC （receiver operating characteritic）解析を行い、TBII、TSAb の感度、特異度を検討した（図3）^7）。TBII の cut-off 値は10 ％、TSAb は180 ％である。感 度、特異度ともに優れている。TBII のcut-off 値を10 ％、TSAb を180 ％と決め、TBII、 TSAb の陽性率を比較した（表2）^7,8）。未治療 バセドウ病患者283 例中でTBII 陰性そして T S A b（s T S A b）陰性であったのは1 0 例 （3.5 ％）であった。未治療バセドウ病患者283 例中273 例（96.5 ％）でTBII あるいはTSAb （sTSAb）が陽性であった。未治療バセドウ病 患者の9 6 . 5 ％ でT R A b が陽性であった。 TRAb はバセドウ病の原因である。TBII の cut-off 値は10 ％、TSAb は180 ％である。未 治療バセドウ病患者96.5 ％でTBII または TSAb が陽性であった。

TRAb （TBII ・TSAb）が早期に消失する ものは寛解する^9）。

文献
1）浜田昇　甲状腺疾患パーフェクトガイド　pp1-189, 診断と治療社（東京） 2007
2）Kinjo Y, Takasu N, et al. Remission of Graves' hyperthyroidism and A/G polymorphism at position 49 in exon 1 of cytotoxic T lymphocyte-associated molecule-4 gene. J Clin Endocrinol Metab 87: 2593- 2596, 2002.
3）日本甲状腺学会　バセドウ病薬物治療のガイドライン 2006 pp1-151, 南江堂（東京） 2006
4）Takasu N, et al. TSBAb（TSH-stimulation blocking antibody）and TSAb（thyroid stimulating antibody） in TSBAb-positive patients with hypothyroidism and Graves' patients with hyperthyroidism. Horm Metab Res 33: 232-337, 2001.
5）Takasu N, et al. Evidence for thyrotropin（TSH）- blocking activity in goitrous Hashimoto's thyroiditis with assays measuring inhibition of TSH receptor binding and TSH-stimulated thyroid adenosine 3',5'- monophosphate responses/cell growth by immunoglobulins. J Clin Endocrinol Metab 64, 239- 245, 1987.
6）Takasu N, et al. Disappearance of thyrotropinblocking antibodies and spontaneous recovery from hypothyroidism in autoimmune thyroiditis. N Engl J Med 326: 513-518, 1992.
7）Takasu N, et al. Thyroid-stimulating antibody and TSH-binding inhibitor immunoglobulin in 277 Graves' patients and in 686 normal subjects. J Endocrinol Invest 20: 452-461, 1997.
8）Takasu N, et al. Sensitive thyroid-stimulating antibody assay with high concentrations of polyethylene glycol for the diagnosis of Graves' disease. Clin Exp Pharmacol Physiol 31: 314-319, 2004.
9）Takasu N, et al. Remission of Graves' hyperthyroidism predicted by smooth decreases of thyroid-stimulating antibody and thyrotropin-binding inhibitor immunoglobulin during antithyroid drug treatment. Thyroid 10: 891-896, 2000.

著　者　紹　介

琉球大学医学部　第二内科教授
��須　信行

出身地：愛知県

出身大学：東京医科歯科大学

略歴
　現在　琉球大学医学部　第二内科教授
　東京医科歯科大学卒業、フランス国立衛生研究所
　研究主任、信州大学医学部助教授

専攻・診療領域
　甲状腺・内分泌・糖尿病・代謝

その他・趣味等
　山登り、水泳、読書、雑文を書くこと。

Q U E S T I O N ！

問題：Merseburg の三徴は何か。三つ選べ。

• a．眼球突出
• b．頻脈
• c．手指の振るえ
• d．高血圧
• e．甲状腺腫

CORRECT ANSWER!　2月号（vol.44）の正解

こどもの貧血−よもやま話−

問題：鉄欠乏性貧血について誤っているのはど れか。

• a. 小児では乳児期、思春期に多くみられる。
• b. 小球性低色素性貧血をきたす。
• c. MCV/RBC（× 10⁶/μl）＜13 のときは、サ ラセミアを疑う。
• d. フェリチンは正常以下に低下している。
• e. 鉄剤補充はヘモグロビン値が正常化した時点 で終了する。

正解　e

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