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平成19年度九州医師会連合会
第2回各種協議会

去る1 月26 日(土)、ホテルニュー長崎において開催された標記協議会(医 療保険対策協議会、介護保険対策協議会、地域医療対策協議会)について、 以下のとおり報告する。

1.医療保険対策協議会

常任理事 真栄田 篤彦

開 会

長崎県医師会 高村副会長より開会の挨拶が 述べられた。

挨 拶

日医 鈴木常任理事より挨拶が述べられた。

協 議

1.診療報酬改定並びに後期高齢者医療制度 の診療報酬体系に関する情報について (福岡県)

協議は行わず、日医鈴木常任理事より概ね以下とおりコメントが述べられた。

<日医 鈴木常任理事>

診療報酬改定の経過についてお話しする。20 年度の診療報酬改定幅は先生方のお力添えによ り医科本体0.42 %プラスとなったが、しかし ながら全体トータルでみると0.82 %のマイナ ス改定となった。財源的な問題で微増となり大 変申し訳ないと思っているが、マイナス改定の 時よりも切込みが少なくなった思う。ここに至 るまでには2,200 億円のシーリングが非常に大 きな足かせになったのは事実である。結果的には健保組合より750 億円の負担を頂いて、なん とか充足することができ、プラス改定の財源が 出てきたわけである。この2,200 億円の穴埋め には薬価の引き下げや、いろいろとご批判のあ る後発薬品の使用促進というようなものを見込 んでおり、ここに入れ込まなければ、今回の診 療報酬改定は出来なかったということが顕然た る事実である。改定率についても財務省と厚労 省の間で様々な数字の駆け引きが行われ、 0.42 %のプラス改定は、実は後発薬品使用分の 1 割を増やした数字を乗せた結果であることを よくご理解いただきたい。後発品については、 あえて粗悪品を使うことは全く無く、使用する 場合には安全な銘柄を指定することを重要視し て行っていただきたい。処方箋の様式変更につ いて面倒になったとお叱りも受けるが、これま での経緯を踏まえてご理解をいただきたい。な お日医が行った後発品に関するアンケートでは 「後発品の促進があってはならない」との状況 を立証できるような調査結果が得られなかった こともあり、政治的な背景も踏まえ、やむなく このような結果になった。

また、これ以上の財源が出なかった理由とし ては、後期高齢者医療制度の低所得者に対する 保険料の免除等が1,300 億円必要であったこと と、肝炎対策にも財源が必要となり、厚労省は 金があるけど出さないという訳ではなく、お金 が全く無い状況であり、今回の診療報酬につい てもやむない状況であった。

前回の改定の際に中医協改革が行われ、今回2 回目の改定となるわけだが、今回と前回との違 いは、内閣府から改定率が示され方向性が決め られたわけではなく、中医協の協議で改定の方向 付けを行ったことである。協議の中では支払者側 も引き下げの意見を主張せず、中医協会長の意 向に沿って引き下げを行わないとの報告書を厚 労省に提出し、プラス改定の方向付けが決って いる。また今回は与党が改定率を決めるという従 来の方法に戻したことも異なる点である。11 月 から改定について協議を始め、12 月3 日の社会 保障審議会の医療部会において基本方針が決ま り、それに基づき「診療報酬の骨子」が纏めら れ、去る23 日の中医協に提示された。昨日25 日 には前橋市で公聴会が開催され、この骨子の方 向付けを行っている。今回の改定は勤務医対策 が重要課題として提示されているので、0.42 % のプラス分は診療所には配分されない。その上、 勤務医の待遇を改善する為には病院の経営を改 善する必要があることから、診療所から病院へ点 数配分が移される予定である。これは否定出来 ない事実である。今朝の日経の朝刊にも昨日の 公聴会の記事が掲載されているが、総会の中で 中医協会長から厚労省へ勤務医対策に必要な額 を提示して欲しいと依頼を行っている。その必要 額に応じて診療所の再診療について判断する考 えである。総会のなかでは、日医は1)再診療の病 診格差の是正、2)外来管理加算の時間制限導入、 3)デジタル映像処理加算の廃止について絶対反 対の意見を出しているが、この件について来週に は決断を迫られる状況である。

なお骨子については各県の担当理事に送付 し、先生方のご意見についてはパブリックコメ ントで提出いただいているものと考えている。 これまでお話したことが診療報酬が決定された 経緯と、来週には決められる平成20 年度改定 の今後の予定である。

2.「診療所の初・再診料引下げ」案につい て(宮崎県)
3.外来医療の診療報酬について(熊本県)

上記の2 題については関連している為、一括 協議を行った。

既に各県より回答されている意見のほかに追 加として次のような意見があげられた。

○福岡県

診療報酬は基本診療料と特掲診療料の部分に 分かれるが、基本診療料については医師の技術 料であり、これを引き下げることには断固反対 する。

○佐賀県

診療所は有床・無床でハッキリしているが、病院は大中小様々であり、それに対し点数配分 するのはおかしいのではないか。

○大分県

病院と診療所が対立する構図となっている が、病院は病院、診療所は診療所それぞれの役 割・目的を持って機能分担している。日医には 目先の小さな点数について協議するのではな く、病院・診療所それぞれの制度について議 論、提案していただきたい。

<日医 鈴木常任理事>

もともと病院は入院基本料、診療所は外来管 理料ということで、それぞれの機能分担により 病院と診療所に点数の枠が振り分けられてきた 経緯がある。この経緯を無視して病診の統一化 を支払者側は盛んに言っている。しかしながら 各診療科のバランスであるとか様々なことを考 慮すると、再診料の病診の統一化についてはた くさんの矛盾点が出てくる。まず再診料は1 点 下げただけで120 億強の影響が出る。5 点下げ ることになれば500 数十億になる。なおかつ引 き下げにより、各診療科の受診日数に比例する と思われるが、整形外科、耳鼻咽喉科、皮膚科 という順序で影響が出てくる。この各科バラン スをどのようにとるのか非常に苦慮するところ である。現在、日医では再診療の引き下げにつ いて反対の意見を出しているが、将来的にはこ の辺をよく見極めた議論をあらためて行わなけ ればならないと考えさせられた。また私は知ら なかったが、病診の初・再診の統一化について は前々回の中医協の時から、支払者側の大きな 意見として持っていると思われる。平成18 年 の改定では病診ともに初診料を統一し、270 点 となったようである。

また外来医療の診療報酬についてだが、夕方 18 時〜 22 時、早朝6 時〜 8 時の診療について加 算をつけることより勤務医の負担が緩和される ことを見込んだ勤務医対策の一環としての提案 である。これまで協議が行われてきたが、先週 18 日の会議において中医協会長から、「やってみ なければ分からないのであればやってみて、勤務 医対策の一環となれば良い」との判断から、実 施することに決まった。新加算点数は50 点程度 と思われるが、ただし、実施する医療機関は手 上げ方式にして欲しいと条件を出している。加 算を取るか取らないかは選択できるようになる ので、各先生方においてご判断をいただきたい。 本来、勤務医対策というものは診療報酬だけで 解決することは不可能である。病院の環境整備 については公立病院であれば総務省管轄、大学 病院であれば文部省管轄であるから、それぞれ で対策をとっていただく必要があり、開業医か ら診療報酬を引き剥がして勤務医対策を行うこ とは出来ることではないと強く意見はしている が、いずれも内情には触れない姿勢をとってお り全く議論にならない状況である。この辺のと ころにも政治の介入が必要ではないかと考える。

4.診療報酬上の医療安全対策の評価につい て(要望)(大分県)

既に各県より回答されている意見のほかに追 加として次のような意見があげられた。

○熊本県

医療機関に対する義務とされているが、これ は国民に対するインフラストラクチャーであ り、これを診療報酬で解決しようとするのはお かしいのではないか。医療安全対策は医療の環 境整備であり、医療法に基づくものとしてしっ かりと整備することが必要ではないか。

○福岡県

医療安全対策は国民の願いであり、これをし っかり実施するには予算をつけるべきである。日 医にはもっと強く意見を述べていただきたい。

○佐賀県

医療は人件費や作業時間等、原価計算がされて いない分野である。人間が少なく劣悪な環境の中 で医療安全対策を行うことは言語道断である。

○沖縄県

インフルエンザ対策として、各県でそれぞれ 対策を練られていると思うが、実際に現場で働 く医師や看護師等の安全性についてもしっかり考えていかなければならない。国はその辺りの 手当てについても考えていただきたい。

<日医 鈴木常任理事>

今現在、病院に支払われている安全対策管理 加算は専従者に対して支払われることになって いるが、昨年の4 月から有床診療所についても 安全対策が義務付けられている。

先程のお話にもあったように、管理義務に対 する原資がどこからもでていない状況であるこ とから、この辺に関してはもう少し分かり易い 対価を主張すべきだろうと考えている。

5.高齢者医療の自己負担に定額制は考えら れないか。(大分県)

既に各県より回答されている意見のほかに追 加として次のような意見があげられた。

○熊本県

在宅医療が言われているが、在宅時医学総合 管理料などは高額であり、とても患者からは取 れない。在宅医療の面から見ても定額制が良い と思う。またガン治療についても高額となる 為、定額制は有効ではないか。

○宮崎県

どの県においても自己負担について、ある一 定の限度額は必要であるとの考えは一致してい ると思う。しかし今後、これが診療報酬の総枠 制に及ぶことに危惧を感じていると思う。

< 日医 鈴木常任理事>

事業主が保険料の負担を低く抑えたいために、 個人に対する負担率が3 割になっていると考え る。これ自体はとても健康保険と呼べる代物で はない。社会保険制度について、どのようなも のが必要で、何が国民に資するものになるのか 真剣に議論してハッキリさせるべきである。し かしながら国民の自己負担率が問題化されてい る一方、未収金の話のように最初から踏み倒す つもりで受診する人もいるようである。これで は負担率が2 割だろうが3 割だろうが関係ない。 3 歳以下の小児の人口は、前年と比べ1 %減っ ており、延べ受診率も減っている。高齢者につ いては逆に人口が3 %増えているにもかかわら ず、延べ受診率は減っている。この結果は受診 者数の減少を示しているが、推察として、自己 負担率が大きな要因となっていると思われる。 このような結果は今後おそらく定率制・定額制 等、いろいろなものの議論をする入り口として あるのではないかとの印象を受けた。

6.後期高齢者医療制度に対するかかりつけ 医・主治医の役割について(大分県)

既に各県より回答されている意見のほかに追 加として次のような意見があげられた。

○大分県

主治医になるためには4 日間の研修が必要と なっているが、日医にはこの制度について是非 反対していただきたい。

○福岡県

研修についてはこれまでの経験や実績がある ので必要ないのではないか。在宅支援診療所の ような複雑で厳しいものにならないようにして いただきたい。

○鹿児島県

一人の患者さんに対し15 分の診察が必要と して時間が決められてしまうと一日の患者さん を診る人数が限られてしまう。それでは診療所 は成り立たない。このような制度に対しては強 く反対するべき。反対することで廃止となる政 策もある。

○長崎県

薬歴管理、地方の評価、ADL 評価、カンフ ァレンスを行い、書類を作成すると診療報酬算 定できるという仕組みはどうだろうか。病院の 医師が困っているのは作成する資料の多さであ り、診療所についても同様の結果になりえる。

<日医 鈴木常任理事>

厚労省から当時示された高齢者医療における 外来の主治医の役割からは大幅に変えさせたつもりである。まず問題提起のあった4 日間の研 修であるが、医師会から研修終了証を発行し、 それが保険の請求条件となるということは過去 無かったことである。高齢者を見る医師は、生 涯学習の中で必要な単位を自分で努力して積極 的に取得することが大切であり、必要なことと 考える。高齢者の生活をよく熟知した医者が患 者さんの生活を支えることになるので、この4 日間の研修の義務化については今回外した。ま たカンファレンスの問題であるが、診療所や開 業医の先生方は在宅等で往診に行った先でカン ファレンスを行うことは容易ではない。病院で あれば多職種のスタッフがおり、そこでのカン ファレンスというのは容易である。4 日間の研 修やカンファレンスというのは本来高齢者を治 療している病院に必要な事項であり、診療所の 先生にこれを義務化することは現状にそぐわな いことと申し上げ、厚労省にも理解いただいた。

包括についてもオプションとなった。包括を選 択すれば当然患者さんの治療計画を立てなければ ならないが、包括を選ばない場合でも、特定疾患 管理料の月2 回分と治療計画作成と足し合わせて 包括と同じぐらいの価格となるようにしたいと考 えている。包括と出来高、どちらを行うかは先生 方がご自由に選択していただきたいと思う。この 件については追って通知することになると思うの で、今は先生方のところで留めていただきたい。 また、高齢者担当医という名称については、「総 合」が名称から外れればどれでもよいと思ってい る。これはいわゆる総合医であるとか、総合科の 入り口にならないことだけを考え交渉した。生活 習慣病の管理料について、60 〜74 歳までは管理 をして、後期高齢医療制度の75 歳になったとた ん管理をしないというのはおかしなことである。 先生方には生活習慣病の延長線で診ていただき、 患者が高齢になるにつれ認知症やいろいろな疾病 が付加されていくと思うが、ずっと診ていただく 形となる。いわゆる総合科や総合医は後期高齢者 の外来主治医ではないので、つとめて総合科や主 治医を排除するようにした結果、現在、高齢者担 当医に落ち着いている。今後、名称が変わること も考えられるが、より一般的な名前に変わっても 「主治医」や「総合」等は全く考えていない。

7.処方箋様式の再変更について(熊本県)

既に各県より回答されている意見のほかに追 加として次のような意見があげられた。

○福岡県

医療材料として薬剤を取り扱うことについ て、なにが信頼できる薬剤なのかMR(医薬情 報担当者)等の情報だけでは分かりにくい。国 がこれを進めれば、薬害肝炎と同じようなしっ ぺ返しがくる。

○大分県

ジェネリックを使うと安く収まる。これが目 的であると思われるが、実際はそんなには安く ならない。安いものを使えば安全性の保障は出 来ないからである。国民にはジェネリックの安 全性についてもっと周知を図るべきではないか。

<日医 鈴木常任理事>

2 年ごとに様式が変わることで紛らわしく、 非常に使いづらいとの主張はしたが、先程の診 療報酬改定の経緯でお話したとおり、厳しい背 景の結果であり、厚労省の財務省対策が大きな 理由であるので、先生方のご理解を頂きたい。

8.未収金の問題について(沖縄県)

既に各県より回答されている意見のほかに追 加として次のような意見があげられた。

○福岡県

保険者が責任を持つべきか、医療機関が責任 を持つべきか、上の方で法的なものをハッキリ 決めていただきたい。

○佐賀県

このような協議を行う際に患者さんが含まれ ていない。国民全体が正しく医療の状況を知っ てもらう努力が必要である。国が関わらないの であれば、日医がやるべきではないか。

<日医 鈴木常任理事>

今回の診療報酬での勤務医対策については先 ほどお話したが、この対策で病院の経営が改善 されれば当然、勤務医の待遇も改善されること が一つの目的である。しかしこの未収金の問題 は、今の病院経営の破壊の大きな要因になって いる。病院経営の問題としては、消費税や官民 格差のコスト的な問題もあると思う。その内の 一つとして未収金の問題を位置付けて考えてい たが、先程、最初から払う気が無い患者さんも いるとのお話も聞いたので、また別な角度で未 収金問題を考えてみたい。

9.個別指導の実施状況並びに指導体系につ いて(鹿児島県)

既に各県より回答されている意見のほかに追 加として次のような意見があげられた。

○熊本県

現在の個別指導は指導大綱に沿って行われて いる。10 月に社会保険庁が解体されることか ら、現在、平均点数については各県ごとに出さ れているものを、この際九州平均として出し、 個別指導の選定を行っていただきたい。

○佐賀県

事務的な誤りは指導でよいと思うが、診療内 容については裁量権があるので、内容について は言いたいことを言える場にしている。

<日医 鈴木常任理事>

個別指導については、社会保険庁の解体・再 編により、各地方厚生局が行うことになる。九 州には九州厚生局ができ、地方社会保険医療協 議会が設置される。委員は診療側7 名、支払側 7 名、公益6 名、臨時委員の構成となる予定で ある。診療側委員の構成としては通常の場合、 医科5 名、歯科1 名、薬剤1 名の7 名となる見 込みで、九州8 県のうち、3 県から委員として 入れない状況となる。選出委員についてはブロ ックでご協議いただき、2 年交代とするような 方法もご検討いただきたい。また各県には部会 が設置され、診療側3 名、支払側3 名、公益2 名の委員構成となる。診療側3 名のうち、医科 は1 名になると思われる。部会委員で、厚生局 の委員で無い場合、発言を行う場合は臨時委員 として出席し、発言することになる。この件に ついては後日、事務連絡で通知する。

10.レセプト・オンライン化に向けた各県 あるいは各地区医師会の取り組みについ て(沖縄県)
11.レセプト・オンライン請求の義務化に ついて(熊本県)

上記の2 題については関連している為、一括 協議を行った。

既に各県より回答されている意見のほかに追 加として次のような意見があげられた。

○熊本県

レセプトオンライン請求義務化の段階的な普 及策について、日医ではどのように考えている のか、逐次、情報提供いただきたい。

<日医 鈴木常任理事>

オンライン請求については義務化をせずに「手 上げ方式でやるべきだ」ということが日医の主張 である。「対応したい」「対応出来る」について、 それぞれ先生方の医療施設でご判断いただきた い。高齢のためオンライン化に対応できない等、 いろいろな事情があると思うが、そのような場合 は年間のレセプト枚数1,200 枚、月に換算すると 100 枚程度の先生方には義務化を阻止できるよう 努力するつもりである。また、そのような先生方 のご不自由が無いように代行請求が出来るような システムが必要とも考えている。4 月1 日から始 まる特定健診についても同じようなデジタル化が 行われるので、その実施状況を把握し対応する予 定である。なお、代行請求については従来どおり 支払基金、国保連合会で行えるよう調整中であ り、基金からは必要であれば対応するとの回答を 得ている状況である。オンライン化による矛盾点 については、今後もよく検討したい。

12.混合診療に対する考え方について (沖縄県)

時間の都合上、協議はせず、日医 鈴木常任 理事よりコメントが述べられた。

<日医 鈴木常任理事>

混合診療の解禁については日医は反対であ る。保険外診療は事前に安全性、有効性が認め られていないので保険外扱いとなっている。こ れを保険診療と併用して行った場合、何らかの 問題が発生することも考えられ、これは患者に とってデメリットであるばかりか、公的保険の 信頼性が損なわれることになると考えている。 もう一点は混合診療が解禁されると新しい技術 が自己負担となるが、この技術が保険診療に適 用しようとするインセンティブを阻害し、働き にくくなる。公的保険の範囲を縮小するおそれ があるというところから反対である。いわゆる 一部の金持ちの患者さんの利益の為に、多くの 患者さんの不利益をもたらすことは絶対避けな ければならず、日医としては反対を表明してい る。保険外の部分に関しては保険外併用療養費 制度、これは選定療養並びに評価療養とある が、これを活用していただき、安全性について 公正で迅速な検証をして、保険適用すべきもの は保険適用をすることが必要であると考える。

なお、保険外併用療養費制度は現金制度であ り、現物給付である国民皆保険制度を維持する 為には急速に加速促進すべきではないと考えて いる。しかし高度先進医療の場合、その器具等 については国内で認可を受けていなければ却下 されていたが、その辺りの規制が緩められたた め、この保険外併用療養費制度について多少、 柔軟化されているとの話を聞いている。

印象記

真栄田篤彦

常任理事 真栄田 篤彦

医療保険対策協議会に出席して

平成20 年度の診療報酬改定の動向が非常に気になるが、鈴木日医常任理事からの報告では、こ れまで、毎回マイナス改定であったのが今回は医科本体0.42 %プラスとのこと。しかし、全体で みると0.82%マイナス改定ということで、財源的には依然として医療界では厳しい経営を強いら れる状況である。内閣府の2,200 億円のシーリングに関しても、昨今の医療崩壊の流れの中、舛 添厚労大臣は制限すべきではないと発言しているが、実際にはどうなるか注目を要すると思われ る。後期高齢者医療制度に対するかかりつけ医・主治医の役割に関して、日医は、「4 日間の研修 の義務化」については外すよう要請、カンファレンスの問題も現状にそぐわないとして否定した。 包括に関してもオプションとして対応することになったとのこと。つまり、包括を選択すれば、患 者の治療計画を立てなければならないが、包括を選択しなくても、特定疾患管理料の月2 回分と 治療計画作成と足し合わせて包括と同じくらいの価格になるよう要請している。高齢者担当医と いう名称については、「総合」が名称から外れればどれでも良いとのこと。「レセプトオンライン 化」について日医では、月100 枚程度のレセプトの場合には、義務化を阻止できるよう努力する と発言していたが、頑張ってもらいたいものである。沖縄県医師会から提案した「未収金」問題 に関しても日医ニュース(平成20 年2 月20 日)によると「診療所治療費未払い実態調査」を踏 まえ、今後は厚生労働省の「医療機関の未収金問題に関する検討会」で議論し、日医もこれに対 応していくことになっている。