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第3回全国メディカルコントロール
協議会連絡会議

安里哲好

常任理事 安里 哲好

第3 回全国メディカルコントロール(MC) 協議会が平成20 年1 月25 日、静岡市グランド シップで開かれ(短期間に3 回目の開催)、主 催は総務省消防庁、共催は厚生労働省と日本医 師会であった。小林國男会長は問題点を共有 し、問題点を理解するために会を持っており、 圏域を越えたMC 体制を構築してもらいたいと 述べていた。石井正三日医常任理事は各地域の 救急医療の脆弱化と対応の低下が社会的に重要 な問題となっている。また、市町村合併や消 防・救急隊の再編成が起こりつつある中で、 MC 協議会の活動に地域差が大きい。そのよう な状況を考慮し、救急医学会、診療現場や救急 救命隊(消防本部)が協力してMC 協議会を充 実させることが大切であると述べていた。挨拶 の後、2 つのテーマについての協議があった。

協議事項T)『MC 協議会の地域をまたがる 場合のMC 体制について』

1)「京都市におけるMC 体制について」

新井聰氏(京都市消防局安全救急部救急課) より次のような報告があった。1)救急救命士に 対する指示体制の一元化で円滑に運営され、除 細動等の業務プロトコールについても府内統一 のものとなっている(MC 協議会は県に1 つ、2 次医療圏に6 つ)。2)事後検証体制は年6 回開 催し、全ての心肺停止事案を対象とし、救急隊 員に対して効果的にフィードバックしている。 3)再教育体制:ア)現任救急救命士に対する病 院実習イ)救急救命士の再教育体制の検討 ウ)救急業務指導医師による研修エ)京都府 プレホスピタル救急医療検討会。

2)「地域MC 協議会間のMC 体制について」

松本尚氏(日本医科大学千葉北総病院救急 救命センター)より次のような講演があった。 地域MC 協議会間で生じる問題1)プロトコー ルの適用2)検証のフィードバック3)資機材の 管理4)ドクターヘリ/ DMAT の要請5)傷病者 搬送を上げていた。

協議事項U)『MC 協議会等の法的役割につ いて』

1)「医療のあり方と病院前救護の役割」

郡山一明氏(救急救命九州研究所教授)より 次のような講演があった。1)医療のあり方と法 体制:救急救命士の担う2 つの役割は現場での *致死的な低酸素回避、*適切な搬送先選定と *搬送途中における症状の著しい悪化防止で、 その役割を実施するために許可された「業」が 救急救命処置で、「業」を担保する法が救急救 命士法で、協議の場がMC 協議会である。2)病 院前救護「高度化推進」の傾向:現場での処置 拡大として、CPCR、除細動、気道確保、静脈 路確保、アドレナリン投与そして、搬送先の選 定・迅速な搬送・車内での生命危険回避。3)今 後のMC 体制構築: MC は救急救命士の活動等 について医師が指示、指導・助言及び検証する ことにより病院前救護の質を保証することであ り、そして、それを充実させる(*事後検証* 指示体制*フィードバックのプロトコール*救 急救命士再教育)ためにMC 体制がある。

2)「MC 協議会等の法的位置付けについて」

松本寛氏(茨城県消防防災課消防担当)の報 告。現在のMC 協議会は法的責任の主体になり える存在でないし、各地域MC 協議会は各消防 本部の諮問委員会的位置付けと捕えるのが実情に即している(橋本雄太郎杏林大学教授の論文 より)。MC 協議会の理想像として、病院前救 護の充実は・強化はもちろんのこと、広く地域 の医療を統括できるような組織にしたいと述べ ていた。

MC とは、MC 協議会の法的位置付けやあり 方、救急救命士の担うべき役割と言う、基本に 帰った検討がなされた。また、地域MC 体制の 整備状況やレベルの差について、そして、県域 を越えた連携(マスコミで取り上げられた、大 阪府、奈良県、兵庫県、埼玉県や東京都で起こ っている搬送受入れの問題を解決するために) をどのようにスムーズに行うかが話し合われ た。多くの課題が山積しているが、その中でも 「産科救急搬送受入体制確保」と「災害時にお ける消防と医療の連携」が大きなテーマのよう だ。振り返って、沖縄県における一番の問題は 指示・管理の一元化かと思う。消防本部再編成 (統合)を検討中とも聞いており、その際、救 急救命士に対する円滑な指示体制と救急病院の 空床状況を把握する全県下的コントロールタワ ーが構築できればと希望している。一方、県庁 所在地より遠い2 次診療圏(離島も含め)で も、救急医療に熱心な医師が居れば、救急救命 士との勉強会や連携、そして事後検証等が充実 しレベルアップになり、公的場所での発表・発 言も多くなる印象を感じており、医師・医療従 事者と救急救命士との密なる連携を充実させ、 県民のために良質かつ適切な医療を提供したい ものだ。

第3 回全国メディカルコントロール
協議会連絡会プログラム

1 挨拶

  • (1)主催者挨拶(消防庁救急企画室長)
  • (2)共済者挨拶(厚生労働省指導課長、日本医師会)

2 開会

  • 全国メディカルコントロール協議会連絡会・ 小林國男会長 挨拶

3 メディカルコントロール協議会の地域をまたが る場合のメディカルコントロール体制について
座長 横田 順一郎(市立堺病院)

  • (1)京都市におけるメディカルコントロール体 制について
    新井 聰(京都市消防局安全救急部救急課)
  • (2)地域メディカルコントロール協議会間のメ ディカルコントロール体制について
    松本 尚(日本医科大学千葉北総病院救命救急センター)

4 メディカルコントロール協議会等の法的役割 について
座長 坂本 哲也(帝京大学医学部救命救急センター)

  • (1)医療のあり方と病院前救護の役割
    郡山 一明(救急救命九州研修所)
  • (2)メディカルコントロール協議会等の法的な位置づけについて
    松本 寛(茨城県生活環境部消防防災課)

5 その他

  • 厚生労働省からの報告
  • 消防庁からの報告