常任理事 真栄田 篤彦
去る1 月5 日(土)沖縄ハーバービューホテ ルクラウンプラザにおいて、平成20 年沖縄県医 師会新年祝賀会が開催された。会員89 名、家族 47 名、来賓52 名が参加し大いに賑わった。
初めに「1 月1 日の歌」の斉唱で新春を寿ぎ、 玉城信光副会長の開会の辞に続いて、宮城信雄 会長が次のように挨拶を述べた。
宮城会長挨拶
「新年明けまして おめでとうございま す。本日は2008 年 の新春を寿ぐ、沖縄 県医師会の新年祝賀 会を開催いたしまし たところ、仲井眞弘 多沖縄県知事をはじ めご来賓の方々、会員並びにご家族の皆様方多 数ご参加いただきまして、衷心より感謝申し上 げます。
日本という国は世界の中で一番高齢化が進ん でおります。これは他に例のない早いスピード で進展しております。人口が高齢化するに従い 医療費が増えることは世界の大きな流れであり ます。しかしながら、日本という国は医療費を 長年削減し続けて参りました。
医療崩壊をしている国があります。イギリス です。かの有名なサッチャー首相が極端な医療 費を抑制した結果、イギリスの医療は崩壊しま した。例えば、がんと診断されても手術をする までに2 年かかるという日本では考えられない ことが起こっております。お金のある方は手術 を受けるためにフランス等大陸に脱出をして手 術を受けるということが起こりました。その後を継いだブレア首相は、これではいけないとい うことで5 年間で医療費を1.5 倍に増やす政策 変更を行いました。しかしながら一度医療崩壊 が起こってしまうとそれを立て直すには非常に 困難が伴います。医師・看護師が不足してお り、今や日本の医療は小児科医療、産科医療、 救急医療をはじめとする地域医療に非常に重大 な影響を及ぼしております。高齢者に対する長 期療養病床の削減は医療難民、介護難民を生み 高齢者の孤独死の急増が懸念されております。 国民医療を守るために医療には財源が必要だと して、財源確保を要求すべく、去る12 月5 日 に東京において国民医療を守る決起大会が開催 されました。会場には仲村正治議員をはじめと する多くの県選出国会議員の先生方も多数駆け つけられ、200 名を超える国会議員、2,300 名 を超える医療関係者が集まりました。それに呼 応する形で12 月20 日には沖縄県でも国民医療 を守る沖縄県民集会を開催いたしました。その 声が届いたかどうかわかりませんが、8 年ぶり に医療保険の本体部分、これは技術料に相当し ますが、0.38 %と僅かではありますがアップし ております。しかし薬剤費、診療費は医療費総 額にして1.2 %のマイナス改定であるため、医 療費全体としては0.82 %のマイナス改定であ ります。残念ながらこの国の医療費を抑制する という大きな流れを変えていくことは出来てお りません。国の財産は国民一人ひとりでありま す。その国民の健康が守られなくてはこの国の繁栄は決してあり得ないと私は理解しておりま す。何のための政府なのか、誰のための政府な のか今一度考えなおす必要があるのではないで しょうか。
もうひとつ昨年暮れに発表されたのは、平均 寿命の全国順位であります。沖縄県の女性は7 回連続して1 位の座を保ちました。当初私たち は色んなデータから今回の1 位の座は困難であ るとの見方をしておりましたが、辛うじて保っ たということでホッとしているところでありま す。男性も26 位から25 位になりました。しか しながら沖縄県の肥満率は男性・女性共に全国 一です。男性は2 人にひとり、女性は3 人にひ とりが肥満者です。この肥満率を減らさないか ぎり、知事の公約のひとつであります、沖縄県 の長寿復活は非常に厳しいと考えております。 そのため、今年は肥満解消元年と位置づけ、新 生活改善県民運動を全県的に展開していくこと を提案したいと思っております。今年4 月から はメタボリックシンドロームに着目をして、保 険者に特定健診・特定保健指導の実施が義務付 けられております。会員の先生方の積極的な関 与を期待したいと思います。
長年の懸案事項でありました県医師会館建設 につきましては、会員の先生方のご理解ご協力 を得まして、去る12 月12 日に建築許可が下 り、来週から本格的な工事が着工されることに なっております。本年12 月に予定しておりま す、沖縄県医師会定例総会・医学会総会は新しい会館で行う予定ですので、その折りには改め てご案内を申し上げたいと思います。
最後になりますが、医療をめぐる情勢は今以 て混沌としており、今後も厳しい時代が続くと 予測されます。しかしながら我々に科せられた 崇高な使命である、県民に対する良質な医療提 供が全うできるよう会員の先生方、関係各位に より一層のご協力をお願いし、併せて平成20 年がご参会の皆様にとりまして明るく、希望に 満ちた一年になりますよう心より祈念申し上げ て私の挨拶といたします。ありがとうございま した。」
続いて、来賓を代表して仲井眞弘多知事が祝 辞を述べられた。
「1月1日の歌」斉唱
乾杯
仲井眞知事を囲んで
仲井眞知事挨拶
「あけましておめ でとうございます。 宮城会長には私の 後援会長として日 頃から大変お世話 になっています。私 もおかげさまで県知 事に当選して1 年 数ヶ月が経ちつつあります。昨年6 月には脳梗 塞で3 週間病院に入り治療を受け職務に復帰い たしました。このような時に後援会長がお医者 さんであるということは大変心強く、毎回アド バイスをいただきながら、現在、職務を遂行しているところであります。また、医療参与とい うことで、玉城信光副会長にも県において医療 関係のご指導を賜っているところであります。
沖縄県医師会には平素から沖縄県の保健・医 療・福祉の向上にご尽力をいただき、深く感謝 申し上げます。沖縄県の保健医療は、沖縄県医 師会をはじめ国や多くの関係団体のご理解とご 協力を得て、医療基盤の整備を図り、医療従事 者等の確保に努めてきたことから、保健医療水 準は向上しております。一方、急速な高齢社会 の進行や疾病構造の変化に伴い、県民の保健医 療に対する要求も多様化しており、県民一人ひ とりの立場に立ったきめ細やかな保健、医療の 提供が求められております。また、全国的に医 師不足の問題がある中で、とりわけ多くの離島 を抱える沖縄県において、医師確保の問題は喫 緊の課題であります。沖縄県としましては諸施 策を展開し、離島・へき地の医師の確保等に取 り組んでいるところであります。今後とも沖縄 県医師会をはじめとする関係機関・団体の皆様 とともに緊密な連携を図りながら総合的な保健 医療体制の確立に取り組んで参りたいと考えて おりますので、沖縄県医師会並びに会員の皆様 にはなお一層のご支援、ご協力をお願い申し上 げます。結びに、社団法人沖縄県医師会のます ますのご発展とお集まりの皆様のご健勝とご活 躍を祈念しまして、新年のごあいさつとします。」
引き続いて宮城会長、新垣代議員会議長他7 名の来賓による鏡開きが賑々しく行われ、来賓を代表して岩政輝男琉球大学長が下記のとおり 挨拶された後、乾杯の音頭をとられた。
ポール石垣カルテットプラス古堅まゆみ
ご来賓の方々
会員並びにご家族の方々
岩政琉球大学学長乾杯挨拶
「新年おめでと うございます。平成 20 年の新年を皆様 はどういうふうにお 迎えになられました でしょうか。私は若 い人たちとお酒を 飲みまして、相変 わらず毎年同じことをやっております。昭和20 年は終戦で大変な年でした。平成20 年はどん な年になるのか非常に気になるところでござい ます。元旦の毎日新聞、朝日新聞を見ると一面 に大きく地球温暖化の記事が載っておりまし た。どうも我々人間が沢山産生し排出している CO2 の影響が非常に強いということが書かれて おりました。人類がいろんな産業活動で排出し ているCO2 が70 億トンに昇るそうです。地球 が処理できる量が30 億トンで大変な量がオー バーしており温暖化は防ぎようが無く、後戻り できるポイントは既に過ぎたのではないかとい うことが言われております。このようなことが経済活動によって起こっているので、その結果 でしょうか、非常に格差が広がっております。 医師会長のお話にもありましたようにいろんな 不合理がおこっております。地方は非常に苦し い時代になっております。日本国内を見てもそ うですが世界的なことを考えますとアフリカ等 の低開発国では重篤な熱帯病の治療薬を国が買 う能力がないということが起こっております。 そういう時代ですので、医師会の先生方、医療 関係の方々の努力・尽力、また地域のリーダー としてのいろいろなご助言をオピニオンリーダ ーとしてご活躍していただく場が益々広がって いると思います。」
その後、「ポール石垣カルテットプラス古堅 まゆみ」によるジャズの調べの中、祝宴が和や かに行われた。
福引きで幸運を射止めた方は、21 名おられ たが、1 等賞(液晶テレビ)は山本達人先生、 2 等賞(自転車)は宮城信雄会長、3 等賞(オ ーブンレンジ)は三谷俊英NHK 沖縄放送局副 局長であった。
最後に小渡副会長より2008 年が明るい年にな るよう祈念する旨の挨拶があり、閉会となった。
山本達人先生に代って1 等を受け取られた秀子夫人
2等を当てた本会宮城信雄会長
3 等を当てた三谷俊英NHK 沖縄放送局副局長